鼓童へのご支援に感謝申し上げます/鼓童代表・船橋裕一郎

この度の鼓童緊急支援のお願いに際し、多くの方々、地域よりご支援そして応援のお言葉を賜り、心より感謝申し上げます。引き続き先の見えない中、厳しい状況が続いておりますが、この先も皆様に太鼓の響きと音楽を届け続けられるよう、グループ一丸となり頑張ってまいります。

医療や介護の最前線におられる方々、物流やインフラを守る全ての方々への感謝と敬意を捧げます。

現在鼓童グループは活動を大幅に抑え、自宅待機、在宅勤務を基本に、その中で可能な活動とこの後の活動に向けての準備を少しづつ進めております。

日本のみならず世界中にて混乱状態となり大変な思いをされておられる方も多い中、我々のこれまでの活動の中でお届けできることは限られる現状ですが、少しでも皆様の心のご平安を祈り、映像、音源、ラジオ、文章などでの発信を続けてまいります。

そしてまた本格的な活動再開に向け、これまでの活動をしっかりと振り返り、また改めて太鼓の音を届けられるよう、前を向いてまいります。

引き続き、多くの皆さまからのご支援、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。

鼓童代表 船橋裕一郎

 

鼓童緊急支援のお願い


〈事務局より〉
皆さまから多くのご支援を賜り、ありがとうございます。
ただいま、事務所のスタッフの人数を減らして業務を行っておりますため、領収証や、毎月・毎年のご支援の手続き書類の発送等に遅れが生じております。また、お問い合わせへのお返事も日数がかかる場合がございますこと、何卒ご了承いただけますようお願い申し上げます。

(2020年4月30日現在)

山田敬蔵さんを偲んで/藤本吉利

4月2日に山田敬蔵さんが92歳で亡くなられたと知った。

秋田魁新報に掲載されていたこのお写真は、何歳の時の写真だろうか。私が敬蔵さんのお顔を思い浮かべるとしたら、まさにこの通りのお顔である。誠実で爽やかで、とっても親しみ深いお人柄だった。

(写真:秋田魁新報 https://www.sakigake.jp/news/photo/20200423AK0023/1/

私は、山田さんのことを尊敬と親しみを込めて、敬蔵さんと呼ばせていただいていた。敬蔵さんとの出会いは、「佐渡の國 鬼太鼓座」の初期、1974年であったと思う。当時、私たちは体力と精神力を鍛えるために42.195kmのフルマラソンを行なっていて、アメリカのボストンマラソに参加することを目指していた。それで、力試しとレースを経験するために、毎年2月に行われている青梅マラソン(30km)に73年と74年の2回参加した。この青梅マラソンでの出会いがきっかけとなり、佐渡にマラソン指導に来ていただくようになった。

(先頭を走る敬蔵さん)

敬蔵さんは1952年ヘルシンキオリンピックのマラソン代表選手で、53年ボストンマラソンで優勝されている名ランナーだった。

(写真:なんでも鑑定団お宝情報局2 http://blog.livedoor.jp/otakarajoho/archives/21381055.html

そして、1975年4月、私たちは敬蔵さんと共にボストンマラソンを走り、海外デビューした。この時、敬蔵さんは47歳、私は24歳だった。ボストンマラソンに参加するということで、田さんにスカウトされて座員になった若い元ランナー(鎌田豊数くん、太田厚生くん、風間正文くん)も走ったが、その中で一番先にゴールしたのは敬蔵さんだった。タイムは敬蔵さんもランナー組も2時間30分〜35分であったと記憶する。私のタイムは2時間50分55秒であった。その時の優勝者は、ボストン出身のビル・ロジャース選手で2時間9分55秒だった。

(この写真は1975年ボストンマラソンに出場する時の、ボストンでのトレーニングの様子。「佐渡の國 鬼太鼓座」パンフレットより)

鼓童になってからも、新宿シアターアップル劇場での公演には、毎年観に来てくださり、その後も東京での公演を観に来ていただいていた。吉利くんへと言って、ご祝儀をいただいたこともあった。

佐渡へは、1997年に鼓童研修所マラソン(42.195km)を行なった時に来てくださり、研修生と共に走ってくださった。私も奮起して参加したが、30kmぐらいから脚が棒のようになって、ひたすら歩いてゴールしたか、途中で棄権して車に乗せてもらったのか、思い出せない。

敬蔵さんとの思い出で、こんなこともありました。鼓童の公演ツアー中に、宿泊したホテルで偶然お会いして、翌朝まだ夜が明けない暗い中、敬蔵さんと二人でランニングをしました。その時、敬蔵さんは出会う人に走りながら「オーース」と、ドスの利いた声で挨拶をされるのです。私は走ることに人生をかけられている敬蔵さんの迫力というか、魂の入った声に圧倒され、感動してしまいました。

(写真:読売新聞オンラインhttps://www.yomiuri.co.jp/sports/etc/20200423-OYT1T50275/

敬蔵さんは一線を退かれた後も、市民ランナーとして国内外のレースへの出場を2009年まで続けられ、同年81歳でマラソンからの引退を表明されました。生涯で約340回のフルマラソンを走られたとのこと。本当に偉大な方だと改めて思います。

敬蔵さん、ご指導いただき、そして鼓童を応援していただき、本当に有難うございました。天国では尊敬されていた金栗四三先生や多くの走友の方々と楽しく語り合い、また「オーース」と挨拶をしながら楽しく走り続けてください。あっ、引退を表明されたんでしたね。どうぞ、ごゆっくり、ご自由に!ご冥福をお祈りいたします。

2020年4月29日
藤本吉利

(左から、吉利、ハンチョウ、山田敬蔵さん、ライリー・リーさん、山野實さん/写真提供:山野實さん)

鼓童グループの現状と、新型コロナウイルス予防対策について[2020年4月15日現在]|鼓童広報

日頃より鼓童の活動を応援いただき、誠にありがとうございます。

鼓童グループの現在の状況と、新型コロナウイルスによる感染症予防の取り組みにつきましてご報告させていただきます。


[1]ヨーロッパ公演ツアー(鼓童ワン・アース・ツアー2020:Legacy)参加・合流メンバー20名、および北米ツアーを行っておりました小島千絵子は、帰国後2週間の自宅待機および健康観察を実施し、予定の期間を過ぎた4月1日に、全員が体調に問題がないと確認できました。

[2]鼓童グループの全てのメンバー、鼓童研修所研修生は、引き続き一日2回の検温を自主的に行い、検温表への記入やGoogle Formなどの手段で担当者に報告を行っています。なお4月15日の時点で体調不良が確認される者はおりません。引き続き不要不急の外出を控え、健康観察を継続いたします。

[3]鼓童メンバーは、5月6日まで各自調整期間としています。また今後の鼓童の公演の実施予定につきましては、鼓童ウェブサイトでご案内をさせていただきます。

[4]鼓童、鼓童文化財団スタッフは、5月6日までの間、一部の者が在宅で業務を行っております。鼓童事務所へのご連絡につきましては、通常と変わらず電話、ファックス、メールへの対応を行っております。

[5]佐渡太鼓体験交流館(たたこう館)は、4月13日から5月6日までの間、臨時休館とさせていただいております。
http://www.sadotaiken.jp/news/20200412_2014.html

[6]「アース・セレブレーション2020」(8月21日(金)~23日(日))は、現在開催について検討を重ねております。つきましては詳細の発表を当初4月10日とお知らせしておりましたが、5月20日以降に延期させていただきます。
https://earthcelebration.jp/topics/notice/118/

[7]鼓童グループは、佐渡健康福祉環境部(佐渡保健所)と密に連絡を取りながら、今後も応援してくださる皆様、佐渡市民の皆様のご心配や不安をできうる限り少なくできますよう、メンバー一人ひとりが細心の注意を払って行動してまいります。そのために今後の感染の拡大状況に応じた対策マニュアルを作成して対応してまいります。

新型コロナウイルス感染症への鼓童グループの対応につきましては、こちらの記事を合わせてご覧ください。
https://www.kodo.or.jp/info/news_kodo/23953

また、皆さまも共に大変な時期と承知しておりますが、鼓童グループへのご支援につきましてご検討くださいますと幸いです。
https://www.kodo.or.jp/total_support


今回のコロナウイルスによる新型肺炎の感染拡大を受け、苦しんでおられる皆さま、不自由な思いをなさっている皆さまに、メンバー一同より、心からのお見舞いとご同情を申し上げます。また医療関係はじめ、この状況に必要とされる業務に従事されておられる皆さまには、ご無事をお祈りするとともに深い敬意を捧げます。
そして、一日も早くこの災禍が終息し、皆さまに元気な太鼓の響きをお届けできますことを、心から願っております。

 

鼓童グループの現在の活動状況について

鼓童ラヂオ始めます!/小松崎正吾・池永レオ遼太郎

これまで動画配信などをお届けして参りましたが、新しい取り組みとしてラヂオチャンネルを立ち上げました。(鼓童YouTubeチャンネルで配信予定)
皆さんと繋がれる時間が少なくなっている中で、家事をしながら、作業をしながら、ワークアウトしながら…鼓童の音や声で繋がって行けたら嬉しいなと思っております!

普段聞けない楽曲誕生秘話や、舞台への想い、色々なメンバーの声をお届けしたり、皆さんからの企画リクエストや、質問にお答えしたりと、様々な内容でお届けしていければと思っています。
皆さんと一緒に作っていく鼓童ラヂオに沢山の声をお寄せください!

【応募方法】

メール、鼓童インスタストーリーズ、で質問やリクエストを募集しております。
<メールはこちら> radio@kodo.or.jp
<鼓童インスタグラム・ストーリーズで投稿>配信後24時間以内のみ
https://www.instagram.com/kodoheartbeat/

【ラヂオ配信先】鼓童YouTube

https://www.youtube.com/user/KodoHeartbeat

鼓童へのご支援をお願いいたします/太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

日頃、鼓童をご支援頂いている皆様へ、深く感謝申し上げます。

新型コロナウイルスの感染拡大や、それに伴う様々な影響により、不安な毎日をお過ごしのことと思います。

私たちもこの冬からの出来事に大きな影響を受けております。ヨーロッパツアー10公演の中止から始まり、3年かけて準備してきた〈NOVA〉公演を中止するという大変苦しい判断をいたしました。

現在なお、今後の活動に対して厳しい予定変更が続いておりますが、鼓童グループは、今まで以上に一丸となり、この危機的な状況を何としても乗り越え、活動を継続していきたいと考えております。

是非、皆さまのご支援、ご協力をお願いする次第です。

→緊急支援のお願い
https://www.kodo.or.jp/total_support

佐渡での生活、創作、稽古、日本各地の芸能や文化を学び、旅を続け、太鼓の音を日本各地、世界各地へと届ける。

鼓童にとっての「日常」は、あっという間に失われ、様々な制約の中で、稽古や生活を続けています。

我々のような芸能を生業にする者は、こんな時に何ができるのか…
主たる活動の場であった、各地での公演の多くが無くなってしまった今、我々にできうることは何なのか。多くのメンバーが様々なアイディアを出し合い、話し合い、動き出しつつあります。

鼓童の歴史は広く深い繋がりの中で、まもなく前身の「佐渡の國鬼太鼓座」から半世紀を迎えます。各世代にわたる多くの先輩方、メンバーそして家族。また、毎年4月には鼓童の舞台を夢見て、自ら厳しい生活へと身を置くべく決心し、各地から新研修生たちが集まり、その歴史は続いてきました。

『私たちは、
太鼓とともに世界をめぐり、
多様な文化や生き方が響き合う
「ひとつの地球」を目指します』

この、<ONE EARTH TOUR>という理念の歩みが止まらぬよう多くの方々の生活が落ち着きを取り戻して鼓童の生の音にまた触れたいと思って頂けた時、すぐに音を届けられるよう、また、太鼓の響き、音楽が人の心を豊かにする一助となりますよう、グループ一丸となり、頑張ってまいります。

何卒、皆様からのお力添えを賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2020年4月13日
太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

中止・延期となった公演、事業等(2020年4月13日現在)

【海外公演】
  • 3月 ヨーロッパ『Legacy』ツアー:イタリア、ポーランド、ドイツ 10公演
【国内の公演・イベント・ワークショップ等】
  • 3月「出張!たたこう館」(新潟県内)
  • 5月『鼓童佐渡宿根木公演』(佐渡・宿根木での連続公演)
  • 5月〜9月〈NOVA〉(国内9都市)
  • 交流公演、各種イベント出演
  • 県内外で予定されていた交流学校公演
  • エクサドン体験および合宿企画(埼玉県内等)
【佐渡島内】
  • 3〜7月 たたこう館での太鼓体験(国内外からの団体・個人、GW特別企画、修学旅行など)
  • 3〜7月 深浦学舎での海外からの長期滞在・合宿(フランス、アメリカ)
  • 4〜9月 海外からのクルーズ船佐渡寄港に伴う鼓童公演およびワークショップ
  • 4〜9月 エクサドン体験および合宿企画

海外公演ツアーから帰国したメンバーについて[2020年3月25日現在]|鼓童広報

日頃より鼓童の活動を応援いただき、誠にありがとうございます。
先週、海外公演ツアーから帰国したメンバーについて、ご心配いただいている皆さまも多いかと思います。現在の状況についてご報告させていただきます。

[1]ヨーロッパ公演ツアー(鼓童ワン・アース・ツアー2020:Legacy)
・本ツアーは1月末より9ヶ国を巡り、3月15日英国・リバプールで千秋楽を迎えました。3月のイタリア、ポーランド、ドイツ公演がキャンセルとなってしまったことは既にお知らせした通りです。
・参加メンバー18名は、3月17日にロンドン・ヒースロー空港より帰国の途につき、翌18日に成田空港に到着いたしました。
・英国公演に合わせ出張したスタッフ2名も、3月17日、18日にそれぞれ帰国いたしました。

[2]北米ワークショップツアー(小島千絵子)
・2月半ばより約1ヶ月間、アメリカとカナダに滞在し、3月18日に成田空港より帰国いたしました。

– – – – – – – – – – –
・日本政府が、欧州などの国々から入国した人に対し2週間の自宅待機などを求めることを発表したのは3月21日のことで、メンバー帰国の3日後でしたが、ツアー参加メンバーとスタッフにつきましては、帰国時から①自宅待機、②一日二回の検温と報告、③行動の記録を自主的に行っています。
・本拠地の佐渡・鼓童村に居住するツアー参加メンバーについては、他のメンバー、スタッフと接触することなく、鼓童村から約1km離れた「深浦学舎」に滞在し、健康観察を行っています。
・3月24日現在、体調不良が確認される者はおりません。
・引き続き、不要不急の外出を控え、健康観察を継続いたします。
・海外ツアーに参加していないメンバー、スタッフについても、1日2回の検温等、体調管理を行っております。
・帰国後2週間を過ぎた4月1日の時点で、鼓童グループ全員の体調を確認の上、順次稽古を再開する予定にしております。
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今後も応援してくださる皆様、佐渡市民の皆様のご心配や不安をできうる限り少なくできますよう、メンバー一人ひとりが細心の注意を払って行動してまいります。

鼓童グループでは安全を第一に、佐渡健康福祉環境部(佐渡保健所)と密に連絡を取りながら、最新の情報をもとに随時対策を取ってまいります。

新型コロナウイルス感染症への鼓童グループの対応につきましては、こちらの記事を合わせてご覧ください。「新型コロナウイルスによる肺炎に伴う対応について 」

新型コロナウイルスによる肺炎に伴う対応について

欧州ツアー班、無事帰国のご報告/高城テシュネみお・秋元阿実

1月末に日本を出発しました「鼓童OET2020: Legacy」欧州ツアー班は、本日無事に帰国いたしました。
ウェブサイトでお知らせしておりましたように、新型肺炎の影響でイタリア4公演、ポーランド1公演、ドイツ5公演の合計10公演が中止となり、当初の予定より2週間早い帰国となりました。
現地では、鼓童を待ってくださっているお客様がいるにもかかわらず、公演を実施できないことを大変心苦しく思い、これまで当たり前と思っていた「公演ができる」ことの有り難みを実感しました。そして同時に、実現できた公演一つ一つの重みを強く感じるようになりました。
今回のツアー班は海外経験の少ない若手も多く、大きな挑戦となりましたが、この経験で得た想いを糧とし、今後皆さまに更に「良い音」を届けられる様に一同精進してまいります。
そして日本中、世界中からご心配やご声援の声を沢山頂戴しましたことに、ツアー班一同、心から感謝しております。
次回の欧州ツアーは2022年を予定しております。その際に会場でお目にかかれますのを楽しみにしています!

ツアーマネージャー
高城テシュネみお・秋元阿実

新型コロナウイルスによる肺炎に伴う対応について

海外公演ツアーから帰国したメンバーについて[2020年3月25日現在]|鼓童広報

東日本大震災から9年/船橋裕一郎

本日、東日本大震災の発生から9年目を迎えました。

震災により犠牲になられた全ての方々に心よりご冥福をお祈り申し上げます。

また、被災された地域の復興と皆様の御平安を祈念いたします。

太鼓の響き、そして音楽が
少しでも皆さまの活力の一助となり得るよう鼓童は佐渡から旅を続け、
音を届け続けてまいります。

午後2時46分 黙祷を捧げます。

鼓童代表・船橋裕一郎

※本日3月11日12:00より交流公演班による【鼓童YouTubeライブ配信】にて、ハートビート・プロジェクトで作られた楽曲『また明日』の演奏もございます。

顔/詫間俊

僕は今回のツアーで、人生初の海外に来ております。
ヨーロッパの空気、人、街並み、食べ物全てが新鮮で、ワクワクとドキドキを感じると同時に時々日本が恋しくなったりしています。

 

ヨーロッパのお客さんの反応は国によって様々です。感情がそのまま表に出る国もあれば少しシャイな国もあります。場所によっての反応の違い、それがツアーを回る中での一つの楽しみでもあります。不思議な事にその反応の違いで「Legacy」という作品が毎回違う顔を見せる気がします。会場の空気感と舞台上の僕達の気持ちが合わさった物がその日の「Legacy」という作品なのだと思います。

これからの国で「legacy」がどんな表情になっていくのか楽しみながらツアーを回っていきます!

 

 

 

今日の劇場はこちら (2020年2月4日)

鼓童ワン・アース・ツアー2020「Legacy」ヨーロッパツアー

対流/前田順康

雪のない佐渡の1月を過ごし、冬に油断したままヨーロッパに到着しました。
言うまでもないのですが、寒さに容赦のないヨーロッパ。
布団のような上着を着ていても、耳や指が、外気と触れていると、取れてしまいそうです。

それでも、室内は暖かく、特に、エアコンがかかるホテルの部屋は暑いくらいで、乾燥も助けて、手洗いした衣装があっという間に乾いてしまいます。

冬の暖かい部屋の扉を開けると冷たい空気が勢いよく入り込んできて、空気が混ざっていきます。
劇場でも、空気の対流に似たことが起こるのを感じます。

 

客席には今まさにその国の日常を過ごしている人が座っていて、
幕を隔て、ステージの上には、日本の職人さんが作った太鼓が並び、ふんどしとハチマキを締めた日本人が立っています。

そのふたつの空気、幕が上がると同時に“対流“が起こります。
劇場の空気がかき混ざり始め、終演の頃にはその国のものでも、鼓童のものでもない空気が練り上がっています。

 

僕はこの舞台で起きる“対流“にいつもゾクッとします。国内でもそうです。
昼公演だと、夜公演だと、雨の日だと、、、
同じ空間の中で、その瞬間に生まれてくる音を、鮮度そのままにお互い味わって。
写真や映像では捉えきれない、その場にいる人だけが感じられる空気が生まれて。

 

今日、Youtubeで、Netflixで、Spotifyでありとあらゆることを享受できます。
そんな時代でも、鼓童はめちゃくちゃに大きな太鼓を運び、屋台を組み、その日の為のバミリをし、その日の為のチューニングをして、汗まみれで太鼓を打ちます。

食事が食卓の空気によって美味しくなるように、ステージの上、緞帳の裏にどんな空気を作って待っているかが大事だと思っています。

 

鼓童にとって52カ国目となる、リトアニアの公演を終えました。
40年近く、52の国と交換してきた空気を持って旅は続いています。

 

 

今日の劇場はこちら (2020年2月4日)

鼓童ワン・アース・ツアー2020「Legacy」ヨーロッパツアー