鼓童の舞台

鼓童の舞台は、主に三つの要素で成り立っています。

第一に、私たちが感動した日本各地の民俗芸能をそれぞれの地元の方々に教えていただき、佐渡に持ち帰って練り上げた演目です。その際に私たちが目標とするのは型の再現ではなく、伝統的な芸能の中に蓄積されている普遍的な精神やエネルギーを、自らの肉体を通し、新たなかたちに変えて舞台に表出させることです。長い時間をかけて地に根づいた芸能は、そこに暮らす人々や自然との関係を抜きに成立するものではありません。しかしそれらは人類のかけがえのない財産として、この混迷する時代に多くの示唆を投げかける存在でもあります。私たちは原点となる芸能への敬意を失うことなく学び続けるとともに、伝統から教わることによる可能性を現代に生きる人々に広く問いかけていきたいと思います。

舞台構成要素の二つめは、作曲家の石井眞木氏・池辺晋一郎氏、歌舞伎の囃子方である藤舎呂悦氏・仙波清彦氏、ジャズピアニストの山下洋輔氏など、活動に共鳴してくださった方々からの作品です。

そして、三つめは、鼓童のメンバー自身が旅先で出会った人々や風景、様々な音やリズムを糧に、独自の表現を産みだそうというものです。

このような要素をもとに、佐渡の風景や音の中で生活し、稽古を重ねる中から培われてくる感性によって私たちは舞台を創っていきます。

ワン・アース・ツアー

1984年のワールド・ツアーより掲げてきた鼓童の公演タイトル。
言葉や文化の違いを越えた「共感共同体」を創りたいという願いが込められています。

世界には、様々な人々が色々な文化の中で生きています。そうした異質な人々が、お互いを認めあい、この小さな地球の上で共存していくことは、今最も大切なことではないかと私たちは考えます。

昔から太鼓は共同体のシンボルとして、人と人、人と神とをつなぐ役割を果たしてきました。鼓童は、1984年の約6ヶ月にわたる世界ツアーより「ワン・アース(ひとつの地球)・ツアー」と名付け活動してきました。このタイトルは、世界各地を旅し言葉や文化の違いを越えた「共感共同体」を創りたいという願いを込めた、鼓童の表現活動の総称です。

交流学校公演

1999年より劇場での公演と並行して、主に中学生を対象とした交流学校公演を行っています。中学校の体育館を使って、演奏のほかにレクチャーやワークショップを交えて、太鼓の魅力を身近に体験してもらう公演です。この公演を通じて、若い世代の方々の自己発見へとつながる契機になることを願っています。

交流学校公演

アース・セレブレーション

私たちは世界各地での旅で巡り会った人々を今度は佐渡にお招きし、豊かな自然の中で多様な文化を交錯させる場を創りたいと考えてきました。1988年の鼓童村開村を機に佐渡の人々と始めた「アース・セレブレーション」は、そうした試みの一つです。’地球の祝祭’を意味するこの国際芸術祭のテーマは、人間にとって根源的な行為「たたく」。世界各地のアーティストや文化人らが集い、コンサート、講演、ワークショップ、フリンジ(一般参加のパフォーマンス)など、様々なかたちで交流が繰り広げられます。そして、ここから生み出されるエネルギーを糧に、鼓童は世界を巡る新たな旅に出かけたいと思います。
なお、この芸術祭は鼓童が佐渡市と共に結成するアース・セレブレーション実行委員会で主催しています

アース・セレブレーション

ソロ・小編成公演

鼓童メンバーがソロあるいは少編成のグループを組んで公演やイベントなどに出演しています。各人の個性を打ち出すなかで得た経験をグループに持ち帰り、また表現の幅を広げていく。そのような形で鼓童の舞台が広がっていきます。

ソロ・小編成の活動紹介

ワン・アース・キャラバン

結成25周年を迎えた2006年からスタートした新たな試み「ワン・アース・キャラバン(以下OEC)」。これまで予算や輸送、会場の制約などから通常の編成ではなかなか実現が困難であったアジア、中南米、アフリカ、東欧などの国々や日本の離島などを訪問したり、実験的な企画公演に挑戦するツアーです。OECは、小回りの利くコンパクトな編成でワン・アース(一つの地球)の意義をより明確に実感しながら、劇場公演・学校公演、ワークショップなどを行います。