太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

新春を迎え、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
まず、昨年元日の能登半島地震から一年、今なお大変な状況におかれている皆様に心からお見舞い申し上げます。
昨年も私たちは国内、海外、佐渡島内において多彩な公演を行うことができました。その中でも夏のアース・セレブレーションのコンサートゲストに東アフリカのウガンダからNAKIBEMBE EMBAIRE GROUPを、年末には韓国太鼓奏者チェ・ジェチョル氏をツアーゲストにお迎えしました。改めて、旅をして、客人を招き、人が集まり、共に食べ、共に音を奏でるといった、人間にとって大切なことを身体が喜んでいるという実感をもって教えてもらえた一年となりました。
また、ここ数年、鼓童は個人での活動も徐々に増え、個々の表現の幅を広げています。演劇や舞踊、スポーツなどジャンルを超えた方々との交わりは、刺激的で多くの学びを得ます。同時に不安や怖れ、時として摩擦が生じることもあります。しかし、自分の属するコミュニティではない場に一人で身を置くことは、自らの力量、現在地を知る時間となります。そして太鼓や音楽を介した共感は、ジャンルや境界の壁を軽々と超えるものだと体感します。その経験はグループに奥行きをもたらし、鼓童を身体に例えるならば、その足腰を強くしていると感じます。
2025年、私たちは1月中旬からの北米ツアーを皮切りに皆様のもとへと生の音を届けて参ります。近年は佐渡島での演奏機会も増えております。鼓童の音が育まれているこの島の営みと文化を肌で感じていただけたら幸いです。
本年も皆様にとって喜び溢れる年となりますよう祈念し、太鼓の響きが活力の一助となりますよう一同精進して参ります。引き続きご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。
2025年1月
太鼓芸能集団 鼓童
代表 船橋裕一郎
株式会社北前船 代表取締役社長 洲﨑拓郎
変化の激しい時期には、その対応に夢中になるあまり、足下を見失いそうになるときがあります。先日、私が初めて鼓童を知るきっかけとなった、1985年のNHK特集「太鼓よ地球に響け!~佐渡国 鼓童の20人~」の録画を見直す機会がありました。番組の終わり近く、アナウンサーの方のナレーションに「やれることを全て試みた後で、単純な太鼓のドーンという一音の響きに、全てを打ち消されてしまうこともあった。」というところがありました。40年前のフレーズですが、いまの私たちへのメッセージとさえ思えます。
「ドーンという一音」は、その響きが人の身体と心に染みこみ、その余韻とともにザワザワしたものを収め、静けさを生み出します。その静けさの中にしばらく身を置くと、自分の中、チームの中、もしかすると社会の中からも、聞こえてこなかった小さな、そして大切なものの声が聞こえてくるようになります。
考え、発信し続けることは簡単ではありませんが、静かにたたずみ、周囲の音や声に耳を傾けることはもっと難しく感じます。心のこもった「ドーンという一音」を生み出し、そしてその音に助けてもらい、収まっていく余韻の中で耳を澄まし、どんな時代でも変わらないものの音や声を見失わないよう、努めていきたいと考えています。
どうぞ、引き続きのご声援、ご支援のほどお願い申し上げます。
2025年1月
株式会社北前船
代表取締役社長
洲﨑拓郎
公益財団法人 鼓童文化財団 理事長 五十嵐実

あけましておめでとうございます。謹んで新年のお祝いを申し上げます。いつも鼓童グループに多大なるご支援、ご厚情を賜り、誠にありがとうございます。心から感謝申し上げます。
さて、2024年は元日の大地震から始まった大変な一年でした。能登半島に近い新潟県にも被害が及びました。大変な状況にある皆様に、心よりお見舞いを申し上げます。
一方で、コロナはようやく落ち着き、普通の生活が戻りつつあると感じております。インバウンドでの海外からの訪問者も大幅に増加し、さまざまな交流が日本各地で行われるようになってきました。昨年の佐渡でのアース・セレブレーションも、ほぼコロナ前の水準に戻ってまいりました。
また、「佐渡島の金山」の世界遺産登録の追い風もあって、佐渡も賑わいを取り戻し、島外からの観光客の数もかなり増加しました。このような中で、佐渡のさらなる魅力を発揮するためには、多くの工夫を凝らさなければなりません。佐渡の伝統芸能の果たす役割とそれをさらに引きだすため鼓童の役割もより重要になります。鼓童文化財団の大きな役割の一つ、伝統文化の調査研究を通して、芸術文化の振興を図る事業、さらに国際的な文化交流および地域資源の活用により、地域活性化を図る事業がまさにこれから必要とされる時代となりました。
世界では、様々な混乱や対立がおき、地球環境問題も深刻さを深めています。この混乱、対立を融和させることが、今まさに必要とされていると思います。そのため、私たちは人々の心に共鳴する太鼓の芸能をさらに磨き、心の平和を願い、世界の平和と安定、環境との共生を目指していきたいと思います。
鼓童グループは皆様とともに、これらのことを実施していく所存です。
今後ともご支援賜りますよう心からお願い申し上げます。
2025年1月
公益財団法人 鼓童文化財団 理事長
五十嵐実