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「鼓童塾」締切り間近です!/千田倫子


「鼓童塾」締切り間近です!

今年も10月7日(金)〜10日(月・祝)、佐渡市柿野浦の鼓童研修所を会場に「鼓童塾〜齊藤栄一の太鼓篇」を行います。この齊藤栄一が塾長を務める太鼓篇は1992年に始まり、初期には年に4回、その後は年に一度ずつ、ずっと続いてまいりました。当時から内容はほぼ変わることがありません。しかし、毎回受講してくださった皆様から満足の声をいただけるのは、太鼓というシンプルな楽器を通して、人の心と身体の大切な核をただただ素直に引き出し、それをただただ皆で共有することにあるのかと思います。

という訳で、太鼓未経験の方も大歓迎。経験者の方には、人の心に届く太鼓とは何か?そのヒントが散りばめられている、「鼓童塾〜齊藤栄一の太鼓篇」。7月30日(土)、締切間近となりました。ぜひ、ご応募お待ちしております。秋の佐渡で、皆様にお会いできることを楽しみにしております!

>>詳細はこちら!

提供:鼓童文化財団
研修所の校舎の畑の前で、栄一塾長「ご参加、お待ちしておりまーす!」

提供:鼓童文化財団
昨年の鼓童塾風景〜起床後、朝の体操をして

提供:鼓童文化財団
朝日を受けながらジョギング、研修生もご一緒に。

提供:鼓童文化財団
食事時以外は太鼓三昧。

提供:鼓童文化財団
練習会場となるのは、研修生が2年間、日々稽古で汗を流し、毎朝の雑巾掛けで磨き上げているこの稽古場です。

提供:鼓童文化財団
実は、本番8ヶ月も前から鼓童塾予行演習に余念が無い、栄一塾長!!

提供:鼓童文化財団
「皆さん、ぜひ来てくださいね〜」塾長と、期間中のスタッフとして、いろいろ勉強させて頂く鼓童研修所2年生達。(参加した年は違えど、実はこの中に4人も鼓童塾生がいます) 後ろは、二十年前に研修所としてお借りした当時そのままの、旧岩首中学校体育館入口の生徒会スローガン『最善を尽くせ』。

2016年10月7日(金)~10日(月・祝)鼓童塾 齊藤栄一の太鼓篇
<ワークショップ概要2016>
http://www.kodo.or.jp/ws/juku_eiichi_ja.html


【出逢い】「浮島神楽」作曲家・伊左治 直氏インタビュー『我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇』/寄稿・清川 仁


鼓童創立35周年記念コンサート 第一夜
~出逢い~
8月18日(木) 東京・サントリーホール

<鼓童×新日本フィルハーモニー交響楽団>
ープログラムー
伊左治直作曲 「浮島神楽」世界初演
猿谷紀郎作曲 「紺碧の彼方」世界初演
石井眞木作曲 「モノプリズム」
冨田勲作曲 「宇宙の歌」

「浮島神楽」作曲家・伊左治 直氏インタビュー
我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇

文●清川 仁

最初、作曲の話があった時の高揚感は、ちょっと格別でした。鼓童のCDはずっと聴いてきたので、本当にうれしかったですね。僕はブラジル音楽が好きなのですが、ブラジルにはサンバがあるけど日本には鼓童があるぞ、という思いも抱いていました。

Photo: Erika Ueda

今回は、まずワークショップのようなことをやりまして、自分の曲のサンプルをどんな風に叩いてくれるのか、色々な楽器を叩いてもらって音を確かめてみました。そして、練習をしながら、鼓童のみなさんと一緒に曲を作り上げていきました。僕の要求に対して、返ってくる反応が素晴らしいんですね。「こうやると、こう音色が変わります」とか、僕じゃ分からない楽器のことを教えてくれる。

Photo: Erika Ueda

鼓童は、和太鼓だけじゃなくてプラスアルファで色々な楽器を取り入れているので、今回はスリットドラムを入れてみました。また、僕は音だけでなく身ぶりや振る舞いにも興味があるので、音の良さだけじゃなくて、叩くフォームを含めて楽器を選択しました。オーケストラだけの時も身ぶりを取り入れたり、普段使われない打楽器を使ったり、ちょっとしたパフォーマンスも取り入れます。それ以上に鼓童は徹底しますよね。玉三郎さんが演技指導までして下さるんですから。

Photo: Takashi Okamoto

新潟県佐渡市・乙和池。中央、奥に浮かぶのが巨大な浮島。

僕は民俗学や伝奇伝承に興味があり、「浮島神楽」というタイトルをつけました。佐渡島には、巨大な浮島をもつ乙和池という場所がある。神聖で水がきれいだけど、使ってはいけないというタブーがある不思議な場所です。社会の便利さや不便さを問い直すようなテーマも感じるんです。また、僕が好きな民俗学者、網野善彦さんが唱えるように日本地図をひっくり返してみると、日本海が大きな湖のようになっていて、佐渡自体が日本海という湖の中にある大きな浮島に見えるんです。世界各地で演奏している鼓童自体が、南米やヨーロッパに現れる浮島のようなイメージにも通じているのではないかと思いました。

途中、密室のコンサートホールに穴を空けるような仕掛けも施します。動き出した音楽と、それと違う時間軸が入り込む不思議な状況を作ってみたい。精霊のようなものが入り込むイメージです。神楽のコミカルな要素も取り入れ、広い意味での神楽の本質を楽しんでもらえればと思います。

Photo: Erika Ueda

伊左治 直 Sunao Isaji1968年生まれ。日本音楽コンクール第1位、日本現代音楽協会作曲新人賞、芥川作曲賞、出光音楽賞を受賞。現代音楽系の作曲、パフォーマンスや即興演奏から、ブラジル音楽や昭和歌謡曲などのライブまで、様々な活動を展開している。2005年と2012年にはサントリー芸術財団による個展を開催。伝統楽器のための活動として、2013年に雅楽作品《紫御殿物語》、2014年に声明・謡・民謡・ポップスの共演による《ユメノ湯巡リ声ノ道行》などがある。

清川 仁 Jin Kiyokawa読売新聞東京本社文化部記者。音楽担当記者として、邦楽ポピュラーを中心に、ジャズ、クラシック、純邦楽など幅広く取材を行う。年間、100人以上のアーティストに取材し、100本以上のコンサートに足を運ぶ。 「次世代シャンソン歌手発掘コンテスト」(日本シャンソン協会主催)審査員。


news20160818kodo35th_01-1鼓童創立35周年記念コンサート

http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html

8月18日(木) 第一夜 ~出逢い~
18:00開場/18:30開演
東京・サントリーホール

出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也

料金:S席9,800円 A席7,800円 B席6,800円(全席指定、未就学児の入場はご遠慮ください。)

お問い合わせ:チケットスペース Tel. 03-3234-9999(月~土、10:00~12:00、13:00~18:00)


<「出逢い」関連記事>

好対照 二つの新曲オーケストラ/寄稿・清川 仁
紺碧の彼方 作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー「青い海に潜めた 数字の魔法」/寄稿・清川 仁
浮島神楽 作曲家・伊左治 直氏インタビュー「我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇」/寄稿・清川 仁


【出逢い】「紺碧の彼方」作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー『青い海に潜めた 数字の魔法』/寄稿・清川 仁


鼓童創立35周年記念コンサート 第一夜
〜出逢い〜
8月18日(木) 東京・サントリーホール

<鼓童×新日本フィルハーモニー交響楽団>
ープログラムー
伊左治直作曲 「浮島神楽」世界初演
猿谷紀郎作曲 「紺碧の彼方」世界初演
石井眞木作曲 「モノプリズム」
冨田勲作曲 「宇宙の歌」

「紺碧の彼方」作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー
青い海に潜めた 数字の魔法

文●清川 仁

Photo: Erika Ueda

冷静さの中に血の沸き立つような情熱と魂。それが、何度も演奏を聴かせていただいた僕が感じる、鼓童の素晴らしい魅力です。オーケストラとの共演ではそこに、ストイックなまでの客観性、冷静さを増幅し織り交ぜてゆけないかと考えました。おもむくままに音を大きくする、速くするということも大事ですが、同時に自分が今どういう状況にいてそう叩いているかということを、別の視点で見てみることも重要かも知れません。

Photo: Erika Ueda

新曲「紺碧の彼方」のエッセンスは、3連符と4拍のシンプルなポリリズムにあります。それが細胞のような最小単位であり、なおかつ全体を支配しています。稽古では、この混じり合わない3と4の組み合わせを何度も練習しましたが、終盤では最初と比べものにならないほど緻密になりました。

Photo: Erika Ueda

平胴太鼓3台、締太鼓2台という最小限のユニットでどこまで色んな変化が可能かということにも着目しています。

作曲家には、それぞれの作品ごとにその作品を構成する原理が必要と考えています。思いつきの鼻歌も作曲に違いないけれど、普遍性や客観性には疑問がある。ドの次にレが来る必然性、どうしても次はこの音に行かなきゃいけない、という仕組みを作ることが二十世紀以降の作曲とも言えるでしょう。

Photo: Erika Ueda

伊勢神宮の式年遷宮の曲を創らせていただいたとき、左右対称の神殿の形に倣って、5楽章それぞれを全てシンメトリーの構図にしました。今回は、紺碧の海に囲まれた佐渡の風景と、少しずつサイズが異なる3台の平胴太鼓とを、同居させる仕組みに行き着きました。3台の太鼓の胴の幅はおよそ60センチ、65センチ、70センチ。紺碧という色の由来になったラピスラズリという鉱石は、硬度が5〜5.5。その比を割り出して導いた10:11:12:13:14という数字の組み合わせで、新曲は出来ているのです。

Photo: Kenta Nakagome

タイトルが示す通り、青い海の果てに一体何があるのだろうかという思いも込めています。そうした詩的なイメージと、数学や哲学めいた仕組みとを同居させることが芸術だと考えています。

Photo: Erika Ueda

お聴きになる方には、仕組みを理解していただく必要はありませんが、太鼓が似たようなことをやっているようで少しずつ違う、というデリケートな変化を感じていただければ嬉しいです。また、紺碧の彼方のような広い空間を、オーケストラの楽器の倍音によって存分に感じていただければと思います。

Photo: Erika Ueda

猿谷紀郎 Toshiro Saruya:慶応義塾大学を卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院作曲科、同大学院を卒業。ミュンヘンビエンナーレBMWシアタープライズ最高作曲賞、クーセヴィツキーファウンデイションなど受賞し、1992年武満徹監修サントリーホール国際作曲委嘱シリーズにおいて初演された「Fiber of the Breath《息の綾》」で一躍その名を知られることとなった。芥川作曲賞、出光音楽賞、尾高賞、佐治敬三賞、芸術祭大賞など受賞。2014年には、第62回伊勢神宮式年遷宮の奉祝曲《交響詩「浄闇の祈り2673」》で3度目の尾髙賞を受賞した。

清川 仁 Jin Kiyokawa:読売新聞東京本社文化部記者。音楽担当記者として、邦楽ポピュラーを中心に、ジャズ、クラシック、純邦楽など幅広く取材を行う。年間、100人以上のアーティストに取材し、100本以上のコンサートに足を運ぶ。 「次世代シャンソン歌手発掘コンテスト」(日本シャンソン協会主催)審査員。


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http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html

8月18日(木) 第一夜 〜出逢い〜
18:00開場/18:30開演
東京・サントリーホール

出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也

料金:S席9,800円 A席7,800円 B席6,800円(全席指定、未就学児の入場はご遠慮ください。)

お問い合わせ:チケットスペース Tel. 03-3234-9999(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)


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好対照 二つの新曲オーケストラ/寄稿・清川 仁
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浮島神楽 作曲家・伊左治 直氏インタビュー「我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇」/寄稿・清川 仁


【出逢い:稽古ルポ】好対照 二つの新曲オーケストラ/寄稿・清川 仁


鼓童創立35周年記念コンサート 第一夜
〜出逢い〜
8月18日(木) 東京・サントリーホール

<鼓童×新日本フィルハーモニー交響楽団>
ープログラムー
伊左治直作曲 「浮島神楽」世界初演
猿谷紀郎作曲 「紺碧の彼方」世界初演
石井眞木作曲 「モノプリズム」
冨田勲作曲 「宇宙の歌」

Photo: Erika Ueda

8月東京・サントリーホールでの「出逢い」公演を前に、鼓童の本拠地、新潟・佐渡島にて作曲家・猿谷氏、伊左治氏、指揮者・下野氏とのリハーサルが行われました。その稽古場の様子を音楽記者の清川氏にレポートしていただきました。

好対照 二つの新曲オーケストラ

文●清川 仁

Photo: Erika Ueda

桜やスイセンの花が今を盛りと咲き誇り、春の訪れを寿ぐ祭りばやしも聞こえてきた4月上旬の佐渡島。風景が色づき、にぎわい始めたこの島に根を張る太鼓芸能集団・鼓童も、新たな芽吹きの季節を迎えていた。8月18日の「創立35周年記念コンサート第一夜〜出逢い〜」に向けた、世界初演となる新曲2曲を含む、オーケストラとの共演曲への取り組みだ。

稽古場には、現代音楽の最先端を走る作曲家、猿谷紀郎さんと伊左治直さん、将来の音楽界を担う俊英、指揮者の下野竜也さん、さらに、坂東玉三郎芸術監督の姿もあった。東京から新幹線と船を乗り継ぎ、なおかつ車で1時間あまり要する鼓童村へ、この顔ぶれを集めてしまう鼓童の行動力、組織力に恐れ入る。

筆者の目には、この稽古場で繰り広げられた1年前の光景が焼き付いている。「混沌」の稽古で、大きな平胴太鼓にメンバーが乗り、コーヒーカップのように稽古場をぐるぐる回る。玉三郎芸術監督がまさにその瞬間にひらめいたアイデアを言い放ち、鼓童メンバーがそれに生き生きと応じて次々に形にしていったのだ。

Photo: Erika UedaPhoto: Erika Ueda

しかし、今回の雰囲気は異なっていた。メンバーの身体は緊張で硬く、表情もこわばって見える。エレクトーン奏者が弾くオーケストラパートにつられてリズムを乱し、頭を抱える場面もあった。普段、奏者同士で呼吸を合わせてリズムを共有する鼓童メンバーにとっては、場を統率する指揮者も詳細に書き込まれた譜面も自由を奪う存在だっただろう。

そんな緊張状態を、テンポ抜群の進行とエネルギッシュな指導で解放させるのが、下野さんだ。「100点です! 1000点満点のね」。親指を突き上げ、いたずらっぽく微笑む。一瞬のリズムのズレも逃さず聞き分け、決して妥協を許さないが、それを明るい冗談に包んで場を和ます。

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隣には、下野さんの指示を丹念にメモするメンバーの坂本雅幸さんがいた。指揮者と作曲家がそろう貴重な場で、彼らの意図する音楽を必死にとらえようとしていた。

「自分たちは楽譜や、オーケストラに合わせることに慣れていないので、指揮者も作曲家もいない時に、僕がどのように稽古を進めていくか俯瞰して見る役割を任せていただいています。自分達が思っている以上にオーケストラと調和するのが難しいので、僕が通訳になれればと思います」

Photo: Erika Ueda

坂本さんは、下野さんから「こういうのは、太鼓の奏法としてありですか?」と問われる場面も多々あった。太鼓奏者側の窓口として、やはり指揮者にとっても良き通訳となっているのだ。同時に、下野さんの太鼓に対する敬意も感じられた。

「太鼓は、誰が叩いても音が出るでしょ。だから難しいんですよね。僕らクラシックの指揮者の中にも、打楽器奏者には平気でバチを替えろと言う人がいるんです。バイオリンに楽器を変えろなんて言わないのに、失礼な話です。誰もが音を出せるものをいかに質の高いものでやるのかは、誰でもできるものではないんです」

Photo: Erika Ueda

さて、今回、鼓童から新曲の委嘱を受けた2人の作曲家は、図らずも対極的なアプローチでこのプロジェクトに臨んだ。2曲の違いは、音にも見た目にも指導にも明白だった。音楽的にもパフォーマンスでも鼓童を伸び伸びと躍動させる伊左治さんの「浮島神楽」と、禁欲的なアプローチを導入して鼓童を新たな次元に立たせる猿谷さんの「紺碧の彼方」だ。

Photo: Erika Ueda
神秘的な燦めきで幕を開ける「紺碧の彼方」は、16分の7、16分の7、16分の5、8分の6・・・と、めまぐるしく拍子が変化。とりわけ、3連符と4拍の異なるリズムを核になって鳴らす締太鼓の2人は、音の強さのばらつきや速度のブレなどが細かく修正された。平胴太鼓を叩く住吉佑太さんは、戸惑いを感じながらも徐々に猿谷さんの狙いを理解しつつあった。

Photo: Takashi Okamoto

「太鼓らしいフレーズというか僕たちの体に染みついているリズムとは異なり、最初は面白くないなと思ったんです。でも、猿谷さんとお話しして、少しずつ理解してきました。楽しく高揚しながら演奏することで人間らしさに繋がるのではないかと思っていたけれど、冷たく研ぎ澄まされた中であっても、人としての呼吸、人間性が滲み出てくるのかもしれない」

Photo: Nobuyuki Nishimura
神楽の雰囲気から太古へ、そして宇宙へと世界が拡張していくかのよう伊左治さんの「浮島神楽」は、丸太形のスリットドラムや、三宅島式の横打ちスタイルなど見た目にもにぎやか。バットばちを両手でブンブン回しながら振り下ろす叩きっぷりながら、音量は確かに抑制されている石塚充さんも印象的だった。

Photo: Takashi Okamoto

「伊左治さんは、僕らを見た目も含めてオーケストラの異物として存在させようとして、打ち方や雰囲気も指示される。太鼓だけの練習の時はフォルテシモで叩いていたのですが、サントリーホールは響くので3分の1の音量に抑え、それでいて雰囲気は大振りしてほしいと。大変ですが、コントロールしています」

オーケストラのバックで、太鼓がそれぞれ割り当てられた7拍子や5拍子のフレーズをバラバラに進行させるパートでは、下野さんからユニークな提案があった。互いの音やフレーズの個性を際立たせるため、キャラクター設定をするというものだ。「怒りっぽい人」「メソメソした人」「勤続40年の幼稚園の先生」「いてもいなくてもいいようなお巡りさん」という個性的な人物設定の中で、「バツ5」担当の蓑輪真弥さんも絶妙に解釈した。

Photo: Erika Ueda

「ある程度人生を経験している人で、いろんな人を見ながら、あ、この人いいな、この音いいなという人にパッと乗っかっていく。またいい音が聞こえたら、そっちに乗り換える心移りが激しい人。でも一途なところもあるような」

たった2日間の稽古ながら、メンバーはオーケストラの緻密な音作りを水が染み込むようにみるみる吸収していった。見所のたっぷりの世界初演曲に加え、太鼓とオーケストラの共演の先駆けである石井眞木さんの「モノプリズム」、日本が世界に誇るシンセサイザーアーティスト、冨田勲さん作曲の「宇宙の歌」も演奏される。

下野さんは「作品群はすべて質感がたっぷりですが、決して食べ合わせが悪いわけではなく、非常に良く練られたプログラムです。素敵なサントリーホールでいっぱいの音を浴びていただきたいと思う」と語った。


IMG_4467-f2016年4月、稽古後に作曲家の猿谷さん、伊左治さん、指揮者の下野さん、エレクトーン奏者の清水さん、松田さん、芸術監督・玉三郎さんと鼓童メンバーでの記念撮影

清川 仁 Jin Kiyokawa:読売新聞東京本社文化部記者。音楽担当記者として、邦楽ポピュラーを中心に、ジャズ、クラシック、純邦楽など幅広く取材を行う。年間、100人以上のアーティストに取材し、100本以上のコンサートに足を運ぶ。 「次世代シャンソン歌手発掘コンテスト」(日本シャンソン協会主催)審査員。

news20160818kodo35th_01-1鼓童創立35周年記念コンサート
http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html

8月18日(木) 第一夜 〜出逢い〜
18:00開場/18:30開演
東京・サントリーホール

出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也

料金:S席9,800円 A席7,800円 B席6,800円(全席指定、未就学児の入場はご遠慮ください。)

お問い合わせ:チケットスペース Tel. 03-3234-9999(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)

冨田勲氏と鼓童

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作曲家・シンセサイザーアーティストの冨田勲さんが、今年5月5日にお亡くなりになりました。「宇宙の歌」は、鼓童のアルバム「ナスカ幻想」のために書き下ろされたもので、2008年にオーケストラ版として上演。今回8年ぶりに上演させていただくお願いに、「嬉しいお話です。鼓童村の『和泉邸』に一週間こもって作曲したうちの一曲です。」というご返事をいただき、当日にもご来場いただけるように準備をしていたところでした。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。


<「出逢い」関連記事>
紺碧の彼方 作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー「青い海に潜めた 数字の魔法」
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自芯/漆久保晃佑


自芯(じしん)

Photo: Takashi Okamoto

皆さまいかがお過ごしでしょうか。最近は暑さも厳しくなってきまして早くも蝉が鳴き始めました。私たち「交流学校公演」班は予定されていた学校での公演を終え、私自身残すところ「35周年記念コンサート」と「アース・セレブレーション」のみとなりました。

Photo: Ryoko Iwamoto

今回の交流学校公演班は主に熊本県、岩手県、新潟県、兵庫県の学生さんたちに演奏を聴いていただきました。初めて太鼓を見た生徒さん、普段太鼓をやっている生徒さん、太鼓をやりたくなった生徒さん…様々な生徒さんに演奏をすることができました。

Photo: Takashi Okamoto

次々と近代化をしていく世の中において新しいものだけ、便利なものだけを嗜むのではなく、古典的なものも見た上で様々なものを精査していって欲しい。生徒さんに対しそんな想いで演奏をしておりました。

鼓動(全体)

公演が終わり生徒代表の挨拶をしてくれた子達が「初めて聞いたけれども面白かった」とか「今後は日本の音楽にも目を向けていきたい」と話してくれて本当に嬉しかったです。汗に紛れて目から涙が出た時もあったほどでした…(笑)

さて今回の旅は上記の四県を主に周ったというように書きました。この四県に共通するのは「地震」です。過去に大きな地震を経験した四県でした。地元の方々がお話ししてくださった内容は、とても信じがたく想像もつかないようなものばかりでした。そして太鼓グループの中には、お稽古場が崩れてしまったグループや楽器が破損してしまったグループなど様々…心が痛かったです。

Photo: Ryoko Iwamoto

しかし、現地の方々は常に笑顔を絶やさず、中には「俺たちゃ乗り越えられると神様がいってんだな」と仰る方々もいました。そんな方々に演奏をさせていただく機会もあり、演奏後「明日から頑張れるわ」「なんか自信が出てきたな」といってくださる方々もいました。自分にとって最後の交流学校公演は不思議な縁に恵まれて様々な方々とお逢いすることができましたし、私の微力が人の役に立てて嬉しく思います。

Photo: Ryoko Iwamoto

一刻も早い復興を心からお祈りしております、また交流学校公演がずっと続いていくように願っています。旅中お世話になった皆さま、ありがとうございました。

Photo: Takashi Okamoto

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ロベール・ルパージュさん、鼓童村ご来訪!


ロベール・ルパージュさん、鼓童村ご来訪!

シルク・ドュ・ソレイユの「KA」や「TOTEM」などの作品の演出を手掛け、俳優の活動も行われているロベール・ルパージュさんが鼓童村にいらっしゃいました。

Photo: Yui Kawamoto

佐渡太鼓体験交流館にて太鼓体験

Photo: Yui Kawamoto

鼓童の演奏者やスタッフの間でもロベールさんのファンが多いのですが、なんとロベールさんご自身も長年鼓童を応援してくださっていたようです! とても素敵な出会いに感謝です。

2016年6月30日 鼓童村・食堂にて

2016年6月30日 鼓童村・食堂にて
左から河本唯、青木孝夫、ロベール・ルパージュさん(Robert Lepage)、クリスチャン・ギャロンさん(Christian Garon)、菅野敦司


新たな試み/船橋裕一郎


新たな試み

いかがお過ごしでしょうか。今年も早いもので下半期を迎えました。メンバーは2ヶ月に及ぶツアーにて全国各地を巡っております。来月は35周年記念コンサート、そしてアース・セレブレーション(EC)と続きます。

Photo: Takashi Okamoto

2015年送り太鼓(お客様お見送り)の様子

ECについては既に告知されているように野外コンサートを中心としたフェスティバルから地域に根ざした新たなコミュニティとして生まれ変わります。多くの鼓童メンバーは一年の大半を佐渡以外の土地で過ごします。旅が我々の活動の中心でありそのことに喜びを感じておりますが、帰るべき場所となる佐渡を改めて見つめ直し、根ざすことの本質を我々自身がより深くすることにより、旅をする意義を改めて問い直す機会になり、還元できるものも多くなってくるのではと思っております。

月間鼓童より

この冬にベトナムで出会った<バックハー>の皆様との再会、共演はなによりの楽しみです。ハノイの地で体感したお祭りの熱気は、思い出すたびに心弾みます。彼らは苦難の歴史や複雑な社会情勢のなかで、逞しくそして自分たちの芸能に誇りと愛情をもっています。この夏、大きな会場で多くのお客様に発表する場とはなりませんが、良い意味で緩やかに楽しみながら継続したお付き合いのなかで学べる機会となり色々な地で何度となく発表する機会がでてくることもあり得ると思っております。

Photo: Takuro Susaki

また、ECシアターやフリンジなどメンバーから新たになにかを生み出す動きもあります。佐渡体験プログラムやワークショップも鼓童メンバーが積極的に参加し、より近い距離でお客様との触れ合いの場となります。

ECサイトより

新たな試みには、もちろん不備や不慣れな点もあるかと思いますが、ECをお客様、出演者、スタッフそして佐渡の皆様ともじっくりと濃密な時間を過ごしながらひとつずつ、つくりあげていければと思っております。

Photo: Takashi Okamoto

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2016年8月26日(金)〜28日(日)
アース・セレブレーション2016
(新潟・佐渡市)

http://www.kodo.or.jp/ec/

https://www.facebook.com/EarthCelebrationJP/


7月9日、16日の2週連続(BS)D-LIFE「ジャパカル+」に鼓童(坂本雅幸、大塚勇渡、北林玲央)出演!


7月9日、16日 2週連続
(BS)D-LIFE「ジャパカル+」に鼓童出演!

Photo: Erika Ueda

7月9日(土)と16日(土)の午前9時30分より(BS)D-LIFE「ジャパカル+」に鼓童・坂本雅幸、大塚勇渡、北林玲央が出演します、是非ご覧ください。写真は番組MCのあやまんJAPANの皆さん、高橋友希さん、シューマッハさん、ゲストの皆様と。

Photo: Erika Ueda

収録の様子。太鼓演奏もあります!

(BS)D-LIFE「ジャパカル+」
放送局:D-LIFE(全国無料のBSテレビ局)http://www.dlife.jp/
放映日:2016年7月9日(土)、16日(土)午前9時30分~
「ジャパカル」番組詳細:世界中で注目を集めている日本の文化、ファッション、料理、ゲームなど、最新トレンドをお届け!流行を先取りしている雑誌や、流行の発信源である女性とコラボしながら発信する。
http://www.dlife.jp/lineup/variety/japaculplus/

D-LIFE視聴方法:
http://www.dlife.jp/howtowatch/


駐日アメリカ合衆国ケネディー大使、「若い夏」へご来場いただきました!


駐日アメリカ合衆国ケネディー大使、「若い夏」へご来場

Photo: Takashi Okamoto

2016年7月1日 浅草公会堂「若い夏」舞台上にて

先週末、浅草で行われた「若い夏」公演に駐日アメリカ合衆国ケネディ大使がご来場されました。1週間前の鼓童村ご来訪に続いてお会いするのが早くも2回!とても楽しんで頂けたようで光栄です。ご来場ありがとうございました!

撮影:岡本隆史

【関連記事】駐日アメリカ合衆国ケネディー大使、鼓童村ご来訪
http://www.kodo.or.jp/blog/pub/20160628_10111.html

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news20160701wakainatsu鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日(金)〜3日(日)東京都台東区 台東区立 浅草公会堂
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html


打っ叩く/住吉佑太


打っ叩く

「混沌」ツアーも、残すところ3週間ほどとなりました。今回の作品はかなり挑戦的な舞台となっておりまして、賛否両論、様々な感想や意見をお聞きしています。そんな中、今さらではありますが、僕の「混沌」という舞台への想いを改めてお話したいと思います。

Photo: Takashi Okamoto

玉三郎さんとのプレミアムコンサートの中でも、少しお話する機会がありましたが「ドラムをやることへの抵抗はなかったのか」というお話からさせて頂きます。

正直、とてもありました!(笑)
抵抗という言葉がふさわしいかどうかは別にして「なんで太鼓打ちがドラムなんだ!」という気持ちが最初は常にありました。その気持ちが邪魔をして、ドラムの稽古にも身が入らなかったりこんなことをしてていいのか、なんていう焦燥感のようなものすら感じていました。

Photo: Takashi Okamoto

ドラムの稽古は、3年くらい前からすでに少しずつ始まっていたのですが「よし!やるぞ!」という気持ちになるまで、なかなか腹をくくれずにいました。

そこから気持ちが大きく変わるきっかけとなったのは、とある日のドラム稽古のことです。ちょうど「混沌」が始まる半年ほど前のことだったかと思います。小田洋介と坂本雅幸と僕、3人並んでひたすらドラムを打っ叩き続けるという時間がありました。梶原さんのアツいカウントが飛び交って「ワン!ツー!スリー!フォー!」僕たちは何度もドラムを打っ叩く。汗が飛び散る。無我夢中で打っ叩く。

Photo: Takashi Okamoto

そして、その稽古が終わった夕方、稽古場の空気感が、屋台囃子の打ちっ放し(*)の稽古のあとと、同じ空気だと感じたんです。

*屋台囃子をひたすらみんなでまわして打ち続ける稽古。

鼓膜の奥がまだ少し鳴っていて、薄ぼんやりとした熱気と、汗の匂いが残る稽古場。

そのとき、ふと思ったんです。「一緒じゃねえか」と。

Photo: Takashi Okamoto

何かを打っ叩く行為。それは人間の根底にある「狩猟本能」のようなものなのかもしれません。その証拠に、太鼓と対峙するとき、怒っているわけじゃないのに、「うおー!!」という気持ちが芽生えてきます。

魂の震え。

それと同じ感覚になったんです。ドラムを叩いていて初めて、うおー!!って感じたんです。

Photo: Takashi Okamoto

西洋だの東洋だの日本だの、そういう文化圏の違いを越えて、というよりも、その奥深くにある感覚。
日本人として、太鼓打ちとして、ということよりももっと深い部分。人類としてのアイデンティティーのようなもの。

Photo: Takashi Okamoto

まぁどういう言葉で表現するべきかなのかは、まだ全然分かりませんが、直感的にそのようなものを感じました。

「じゃあ、太鼓でやればいいじゃねえか」という話に戻るんですが、僕たちはこれまでもずっと、そういう気持ちで太鼓を叩いてきたはずなんです。

太鼓ってそういうもの。っていう感覚が、みんなどこかに根付いています。それは僕たちだけでなく、お客様の中にも太鼓って言ったらこうでしょ!みたいな感覚はあるはずです。樹齢何百年という木に、動物の皮を張った、たくさんの命と歴史が刻み込まれた楽器。表面的であれどうであれ、先ほどもお話した、打ち手の「うおー!!」という魂の震え。でもそれが当たり前になっているのでこの感覚ってなんだろうなんて、改めて考えることってないんじゃないかなと思います。

Photo: Takashi Okamoto

そういう意味で今回、和太鼓じゃないものを叩くことでたくさんの気付きがありました。

ドラムにも深い歴史があります。その話はさて置き、
プラスティックの皮を打っ叩いて!
和太鼓の力を借りずに!
僕たちの魂の震えを伝えることができたら…

Photo: Takashi Okamoto

人形劇と同じようなものになればいいなと思っています。

なんで人形で演技するのか。本物の人間でやる方が、表情も豊かで、動きもなめらかなのに。でもそこには「人形」という、ある種「無機質」なものを通すことで、その奥にある本質そのものを際立たせるという意味があるのではと思っています。

僕たちも和太鼓ではなくドラムを叩くことで逆に「打っ叩く」という魂が、より浮き彫りになっていけばいいなと。

Photo: Takashi Okamoto

もちろんそれだけではなく(打っ叩いて暴れてればいいというわけではなく…笑)ドラムを練習することで、和太鼓にはない感覚や音楽的、技術的な学びがたくさんありました。

そういった思いの全て、学びの全てをこの「混沌」という舞台に詰め込んでお届けしているつもりです。

明日は佐賀公演。これからもツアーは続きます。ぜひ、劇場に足をお運び頂き生で感じて頂ければと思います。

Photo: Takashi Okamoto

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