東日本大震災から10年/船橋裕一郎

東日本大震災の発生から10年目を迎えた本日、震災で犠牲になられた全ての方々に、心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、2月には福島・宮城を中心に再び大きな地震がありました。被災された皆様にお見舞い申し上げます。

あの日から10年。

私たちのような芸能に携わる者ができることは何なのだろうと自問を続けながらも、いくつかの地域を訪れ、被災された地域の復興と皆様の御平安を祈念してまいりました。

10年前のあの日を忘れず、この先の10年、その先の10年と太鼓の響きが皆様の少しでも活力の一助となれるよう音を届け、皆様を応援し続けて参ります。

鼓童代表・船橋裕一郎

※本日3月11日12:00より【鼓童YouTube】にて、ハートビート・プロジェクトで作られた楽曲『また明日』の演奏動画を公開いたします。

 

迫る力/三枝晴太

佐渡はまだまだ寒いです。

鼓童村では、ニューアルバムの録音が進行しています。

Photo: Yuki Hirata

私はこのアルバムの取りまとめを、平田裕貴と共にしています。

生音を稽古場で感じたり、レコーディングブースに入って実際に再生される形を聴いたり、演奏を録音する立場になったり。

Photo: Yuki Hirata

目をつぶって聴いていると、演奏が進行していくにつれて、どんどん気持ちが高揚してくる感覚があります。

気持ちを高揚させるものの正体は何か、を考えていました。

「音量」なのか?それ以外のものなのか?

Photo: Yuki Hirata

音であれば、間違いなく録音され、みなさんの元に届きます。

では、「雰囲気」だったらどうでしょうか?

音でないものは、どのように録音されるのでしょうか?

稽古場全体、その場にいる人間、それら全てをゆらす太鼓の音。

「迫力」と呼ぶのでしょうか。

言葉にするのはとても難しい話で、とても感覚的です。

Photo: Yuki Hirata

すでに収録が完了した楽曲もあります。

私が感じたものがみなさんの耳にどのように聞こえるのか、みなさんの心にどう響くのか、とても楽しみです。

録音やその編集、マイクの立て方や曲順も、全て自分たちで考え、まるで劇場で聴いているかのような感覚を意識してレコーディングしています。

Photo: Yuki Hirata

このアルバムを聴いた皆さんの胸に、何か込み上げてくるものがありますように。

今、メンバー総出で録音しています!お楽しみに!

↓最新の鼓童楽曲こちら/Spotify「Kodo」

39期生二年次スタートしました!/三浦友恵

研修生日誌より:
雪と超風、寒波また来ています。
「当たり前の基準を上げよう」という目標。ちょっとだけ上がったと思うところは曲が始まると、“しっかりスイッチが入るようになってきた“というところです。今の基準は「曲が始まると」なので、次は「稽古が始まると」。そして一番は「1日が始まると」ですよね。それができたら『まぎれもなく最高の期』になれると思います。39期グッと上がっていけるようにがんばります。

修了式、進級を経て、1月下旬から新たに新2年生12人でのスタートとなりました。いよいよ激動の “冬期間” です。
先輩や同期との別れを経験し、自分の夢へ向かって心を新たにスタート。

今まで以上に必要になる同期とのコミュニケーション。お互いに助け合い、鼓舞し合い。楽しいことも辛いことも嬉しいことも一緒に体感することで得るものがたくさんあります。

何が何でも全力で走り抜けなければいけません。
(問答無用だ!!!!by藤本吉利)

これから2ヶ月の間に心身共に成長していきます。自分、同期、太鼓、と正面から向き合う。

この研修所で勝負の時です。

この期間を乗り越えた時、外には色とりどりの花々が咲き、お祭りがあり、佐渡に春がやってきます。厳しい期間を乗り越えた研修生へのご褒美でしょうか。

さぁまずはこの“冬期間“、精一杯やりきろう!

鼓童文化財団研修所

 

『戦慄せしめよ / Shiver』メンバーメッセージ
戦慄と律動/住吉佑太

私たち太鼓芸能集団「鼓童」は1981年のデビュー以来、世界各地を巡る中で新たな「太鼓音楽」の可能性というものを追求し、発信し続けてきました。自分たちの音楽の幅を広げるために、日本はもちろん、世界中の民族音楽を学んだり、現代音楽の作曲家の方に依頼して、鼓童のための楽曲を書いて頂いたりもしました。

(写真:岡本隆史)

民族音楽の持つ、湧き上がってくるようなエネルギー感と、アカデミックで計算され尽くした、現代音楽のもつ精巧さ。この2つをうまく織り交ぜながら、今の時代に、自分たちの音を生み出せないだろうか。

そんなことを模索しているときに、日野浩志郎氏の音楽に出会いました。

(写真:大森克己)

旋律やハーモニーではなく、あくまでリズムの持つ可能性に特化した彼の楽曲は、複雑な構造をもち、精巧な仕掛けでありながら、爆発的なエネルギーを内包していました。

アカデミックなのに、踊り狂える音楽。

リズム、律動というのは、人間のアイデンティティだ、と作曲家 伊福部昭氏は言っています。

音程や倍音に反応できる動物はいても、リズムを認識できるのは人間だけだからです。

(写真:大森克己)

リズムを追い続けてきた日野浩志郎が打ち出す楽曲と、「たたく」という本能的な行為を繰り返してきた我々鼓童の音が重なったとき、これまで辿り着けなかった、人間の根底に流るる、本能的なバイブレーションに共鳴する、新しくも根源的な音楽が生まれるに違いないと確信しています。

(写真:大森克己)

住吉佑太
(写真:岡本隆史)

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信『戦慄せしめよ / Shiver』

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信 『戦慄せしめよ』2月5日(金)19:00より、Vimeoほか各映像配信プラットフォームにて配信開始!

【配信概要】

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信『戦慄せしめよ / Shiver』

『戦慄せしめよ / Shiver』メンバーメッセージ
音が生まれる場所/中込健太

北風が彼方からやってくる
波は容赦なく荒ぶる

岸壁は
自然が激しく震わせる
音で満ちていて、
大太鼓の響きを
容易く
かき消す。

豊田利晃監督は
日野浩志郎、鼓童が
生み出した
音を
畏れと
祈りが
匂い立つ
原初の佐渡に
響かせた。


寒さは
身体の自由を奪い

太鼓の
律動を止めようとしていた。

根源的な恐怖の中
「お前は何故今叩いている」と
監督は
問いつづけた。

血を流し、吠え
呻き、叩きつけながら
音の生まれる瞬間と
その場所を必死で
探しつづけた。

極寒の佐渡にて(写真:大森克己)

中込健太
(写真:岡本隆史)

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信『戦慄せしめよ / Shiver』

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信 『戦慄せしめよ』2月5日(金)19:00より、Vimeoほか各映像配信プラットフォームにて配信開始!

【配信概要】

越島〜地域文化に根ざした新たな音楽映像配信『戦慄せしめよ / Shiver』