「道」稽古場より②/吉田航大

Photo: Erika Ueda

1月の佐渡は何度も寒波に見舞われ、時折晴れたかと思うとまた鉛色の空を見せる。見ていると、こちらの気も沈んでしまいそうな。しかし、鼓童村の稽古場からは活気に溢れた太鼓の音が聞こえて来る。

Photo: Erika Ueda

1月4日の若手寒稽古から始まり、今年の新作稽古、そして今春に全国を回る『道』公演の作り込みの稽古だ。今年で3回目を迎えるこの「道」公演。1回目は山口幹文、2回目は石塚充、そして3回目である今回は船橋裕一郎の演出でお届けする。

毎回その演出家の特徴が出る舞台となっているが、根っこの部分は同じ。前身の「佐渡の國 鬼太鼓座」時代から受け継いできた魂を次の世代へとつなげ、再創造を図る。これは鼓童の活動そのものと言える。

Photo: Erika Ueda

今回、代表の裕一郎さん演出のもと始動した「道」初稽古。顔合わせに集まった顔ぶれは若手が多いものの、やはりベテランの存在感は大きい。どこか緊張感のある顔合わせだった。

私は1日だけ見稽古させていただいた。新曲の稽古だった。

Photo: Erika Ueda

ホワイトボードの前に立ち、稽古を進めていたのはメンバー3年目、池永レオ遼太郎。今回の演出補佐を務め、この新曲の作曲者でもある。頭脳明晰で、音楽的にもメンバーを導いてくれる。

遼太郎さんと私は研修生の先輩、後輩(私)の関係。研修生の時から作曲や演出などするのが得意で、私も彼の作る曲が好きだった。そして芸術に対して誰よりも熱い情熱を抱いている。

しかし今回、自分の曲を「道」という作品に載せるのは簡単なことではないと彼は言う。それでも遼太郎さんが作る音楽が自然と裕一郎さんの思う「道」に乗っかっていくような、そんな気がしているのは私だけだろうか。これからどのような曲ができ、作品が仕上がってくるのか楽しみだ。

Photo: Erika Ueda

先代が踏み固めてきた道は固くて歩きやすい。それに比べて新しい道を作るというのはとても酷で時間がかかる。だが、一度できた道はいつ通っても通りやすくて安心する。そしてまた新しい道を作ろうとする。どんなに辛い道作りであっても、いつでも帰れる道がある。

Photo: Erika Ueda2018年「道」、乞うご期待ください。

【浅草公演、チケット発売開始しました!!】

2018.06.20(水) 〜2018.06.24(日) 東京都台東区 台東区立浅草公会堂

鼓童特別公演2018「道」全国ツアー

「道」稽古場より①/池永レオ遼太郎

「道」稽古場より①/池永レオ遼太郎

Photo: Erika Ueda

1月。
6月の「道」公演に向けて、最初の顔合わせ稽古が行われました。

Photo: Erika Ueda

60代から20代まで。黎明期れいめいきより鼓童の根幹を作り上げてきた大先輩方。それを継承し発展させてきた先輩方。そして、これからの鼓童を担う我々若者達。3世代が作り上げる、新たな「道」です。

Photo: Erika Ueda

先輩方の一挙一動全てに自分たちの至らなさを痛感する毎日です。
たたずまい。音。稽古に取り組む姿勢。只々、圧倒されるばかりです。

Photo: Erika Ueda

我々若手は全力で喰らい付き、少しでも多く吸収し、より良い舞台を皆さまにお届けできる様、精進して参ります。

Photo: Erika Ueda

余談ではございますが、今回私は演出補佐として作品作りに関わらせて頂いています。新たな表現や曲などにも積極的に取り組んで参ります。

Photo: Erika Ueda

Photo: Erika Ueda

血湧き肉躍る。
まだまだ先ではございますが、「道」公演、乞うご期待くださいませ。

鼓童特別公演2018「道」

公演予定地:北海道、岩手、宮城、山形、福島、茨城、栃木、群馬、東京、愛知、京都

【東京・浅草公演】2018年2月3日(土)チケット発売!

鼓童特別公演2018「道」全国ツアー

この冬はたたこう館に行こう!/赤澤京

2月のたたこう館企画「ぽっかぽかでわっくわくな旅」の料理教室のメニュー試作会を行いました。

食事のテーマは、「佐渡の食材を使った、食べてほっとする食事」

今回のメニューは、冬野菜を使ったほっこりカレー。財団の活動の一環である「エクサドン」にもつながるメニューづくりをしました。メンバーは、鼓童文化財団より、高津万理、宮﨑正美、赤澤京、汐彩クリニックより森本貴子副院長も参加してくださいました。

カレールーはスパイスから作った、手作りのルーです。

ベジブロスも使って野菜のうまみがぎゅぎゅっと凝縮されています。具材は大根・レンコン・さつまいもなど冬の食材をサイコロ型に切り、歯ごたえのある食感を意識して作りました。よく噛んで食べることで、脳の発達や胃腸の働きが促進されます。子供の知育や、高齢者の認知症予防にもつながり、満腹感も得られます。

見た目にもこだわり、太鼓をイメージした盛り付けをしました。

中には、可愛らしい女の子のカレーも…
子どもも大人も見て楽しい気持ちや、ワクワクする気持ちになれたらと工夫をしました。

たたこう館スタッフにも試食してもらい、皆んなの意見を聞きました。次へのチャレンジも見つかり、更に美味しくしたい意欲が湧きました。見て楽しい、食べて美味しい、そして健康になれる。そんな素敵なメニューを目指します!

2月の料理教室のメニューは、このほっこりカレー。(3月は佐渡の伝統料理を予定) 宿泊企画もございます、島外からのご参加も大歓迎!!!

料理教室に加え、たたこう館では2月3月の毎週土日、ものづくり体験、太鼓体験とお楽しみ盛りだくさんな、プログラムになっております。

皆さま、2月、3月の週末は是非たたこう館へお越しください!

たたこう館企画「ぽっかぽかでわっくわくな1泊2日の旅 〜こころもからだも癒す2月の佐渡〜」参加者募集!

 

新研修生面接にて/内田依利

1月7日・8日の1泊2日で、「太鼓芸能集団 鼓童」メンバー養成コースの新研修生を選考する実地面接を柿野浦研修所にて行いました。

1日目の夕方、現研修生による稽古発表の時間がありました。次の後輩へむけて張り切って演奏する研修生たち。年末年始は9ヶ月ぶりに実家に戻った研修生たちから出ていた言葉は、どれも実感がこもっていました。

「人間はすぐに怠けたがる!」

下界(研修生は島外をこう呼ぶ  笑)には人を怠けさせるものにあふれていて、いくら集中しようとしても、誘惑が多すぎると気づいたようです。
目の前のことに集中できないので、やることも雑になり、やる気も失せていく感覚があったと話してくれました。研修所では、必要最低限のものしかないから工夫することを覚えて行きます。研修所が、いかに集中して学ぶことに恵まれているかを心から実感したと言っていました。また、他には今まで親が当たり前にやってくれていた、料理、洗濯、掃除がいかに大変なことか分かりましたと言っていた研修生も。

世の中の20歳前の人たちが、どれほど実感を持って、このようなことに気が付けるだろうかとしみじみ思ってしまいました。

4月、高卒の何名かの研修生たちは、学生気分が抜けませんでした。その頼りなかった学生たちが、みるみるしっかりと研修生になり、若者の顔になっていきます。そんな中でも一緒に過ごして色々伝えていると、本当に伝わっているのだろうかと心配になる時もあります。

ですが、今回の彼らの素直な気持ちから出てきた言葉は、ちゃんと受け止めてそれぞれの種を育ててくれていることを教えてくれました。

彼らに学ばせることや教えることはできません。

できるのは種を蒔き、環境を整えること。

悩みながら、工夫しながら、失敗もしながら自分なりに気づいて育てた種は、自分だけの花にいつか育ってくれると思います。

新しい研修生にも期待しつつ、みるみる変わっていく研修生の成長スピードに自分も食らいついていきたいです。