「粋」演目紹介 04: ヒトヒ(舞踊編)/三浦康暉

ヒトヒ(舞踊編)

Photo: Erika Ueda

祭りが好き。芸能が好き。鬼太鼓が好き。踊りが好き。

「ヒトヒ」には自身の“好き”を詰め込んでみました。

一番の見所の部分には浜河内はまかわち鬼太鼓おにだいこをアレンジさせて頂き、振りをつけてみました。

Photo: Erika Ueda

浜河内は佐渡の集落の1つで、私が佐渡に渡って初めて見た芸能であり、祭りの雰囲気、人々の熱気に18歳の私はカルチャーショックを受けた事を今でも鮮明に覚えています。

そして鼓童で様々な伝統芸能に出会い、知っていく中でより芸能にのめり込んでいきました。

Photo: Erika Ueda

そのキッカケが浜河内の鬼太鼓だと思います。
今回は実際に地元の方々に稽古をつけて頂きました。

少しでも祭りの香り、佐渡の匂いを感じて頂けたら幸いです。

Photo: Erika Ueda

三浦の“好き”をどうぞお楽しみください。

鼓童浅草特別公演「粋」

2019.06.27(木)〜2019.06.30(日) 東京都台東区 台東区立浅草公会堂

鼓童浅草特別公演「粋」

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9月ツアー再開!「道」公演もお楽しみに!

公演詳細:

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9月以降のスケジュール

待望の新作DVD発売中!

Photo: Erika Ueda

この日を楽しみにしてくださっていた方も、「え‼そうなの!?知らなかった!」という方も、ぜひ1枚。見応えある94分、ノーカットライブ収録です。

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「粋」演目紹介 03: ヒトヒ(音楽編)/前田順康

ヒトヒ(音楽編)

Photo: Erika Ueda

今年の2月頃に、演出の裕一郎さんから「『p.p.c.』のようなコミカル踊り演目を作りたい」とお話を受けました。

その後、康暉さんと2人でアイディアを出し、“佐渡のもの”、“人形振り”、“これまでに教わった芸能”などのキーワードが出てきて、振り付けを康暉さん、音楽を私がという分担で少しづつ作り始めました。

最終的に踊りものとして作り上げよう!ということになり、踊っている側の体力的にはなかなかコミカルでないところに来ました! が、振りつけは、喜々としているので定義としての“コミカル”は守られました。

音楽は、佐渡の鬼太鼓、邦楽の三番叟物、そして個人的に好きなテクノ音楽をまたまた“るつぼ”に入れて作りました。

和太鼓とテクノ音楽、今回その間を持ったのは団扇太鼓です。(そもそも電子楽器を使わないので、テクノの定義として破綻していますが)

Photo: Erika Ueda

胴を持つ太鼓とは違い“フューチャー感”(個人の感想です)のある音色を持つ彼には、原始シンセサイザーを担ってもらっています。(シンセという定義もここでは破綻しています)

土の香ビートの中に光る原始シンセをお楽しみいただきたいです。

Photo: Erika Ueda

ヒトヒという曲名についてです。

“ヒトヒ”とは造語でして、
・一年に一日のまつり
・灯る燈
・集まる人
・一日中賑わう村
・古語っぽさ
・音の心地よさ
などから作りました。

佐渡のもの、日本のもの。
佐渡に息づく祭りを“持ってきた”。
そんな心意気で踊り、囃します。

Photo: Erika Ueda

Photo: Erika Ueda

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「粋」演目紹介 02: 兆/平田裕貴

きざし

-きざし-

ものごとが始まろうとする気配
植物の芽生え

そういう意味のあることば
きざし

Photo: Erika Ueda

太陽の光を沢山浴びて
ぐんぐん育つ木々のように、花のように…

Photo: Erika Ueda

これからの鼓童は僕たちの手で!
という想いと

Photo: Erika Ueda

これまで鼓童を創ってきた
先輩たちへのリスペクトを込めてつくりました。

ビジュアルがあの曲そっくりなのは
そういう想いもあったり。

Photo: Erika Ueda

Photo: Erika Ueda

もうすぐ40年になる鼓童の歴史。
その先には
まだまだ面白い未来が広がっている期待も込めて。

新曲 『兆』 お楽しみに!

Photo: Erika Ueda

鼓童浅草特別公演「粋」

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「粋」演目紹介 01: 囃囃子/前田順康

囃囃子はやしばやし

今回の浅草公演『粋』では、この為に作曲したお囃子が登場します。

太鼓と鳴り物パートを私が、笛パートを木村佑太が作曲しました。どなたの耳にも馴染む、どこかで聴いたことのあるような、そんなお囃子でありたい。と、ちょっと出鱈目な名前をつけました。

Photo: Erika Ueda

どこかのお囃子を題材にさせていただいたというものではありません。

これまで、見聞きしたり、お祭りに入って感じて、また各地で教わり、囃してきたお囃子たちが、自分の中の“るつぼ”で溶け合いと混ざり合いをしていました。

それを今回のメンバー、浅草という場所、参加させていただいたお神輿など、いろいろな要素から割り出た“型”に流し込んでいく。

そのような作り方をしました。

Photo: Erika Ueda

“抽出、咀嚼、再構築”

鼓童はこれまでも、各地の太鼓や芸能に教えをいただき、芸をお借りして、頂いて、日本各地、世界各国で演奏をしてきました。

地元で育まれている尊い芸を、日本にはこんなものがあるんだよ!と、知らせていく。

日本人に、もしかしたら世界中の人に、共通している“ノリ”に触れられたらいいなと思っています。

Photo: Erika Ueda

“浅草に思いを馳せた”今回の舞台。
浅草の街中で味わうわくわく感。

祭りがやってきたよという心地を味わってもらえたら幸いです。

鼓童浅草特別公演「粋」

2019.06.27(木)〜2019.06.30(日) 東京都台東区 台東区立浅草公会堂

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演目図鑑WEB版「HITOTSU」[後編]

6月9日よりツアーが始まった、鼓童特別公演2018「道」。
浅草公会堂での5日間の連続公演まで、おかげさまで大好評のうちに終了いたしました。
ツアーの後半は、一部キャストを入れ替えて7月半ばより再開。関東、東北、北海道方面にお伺いいたします。

機関誌『鼓童』でおなじみのコーナー「演目図鑑」のWEB版として、この「道」公演で22年ぶりに演奏している「HITOTSU」をとりあげ、2回にわたってご紹介しています。

[前編]を読む

狩野泰一(作曲)が語る「HITOTSU」の誕生と
船橋裕一郎(演出担当)の「HITOTSU」への思い

聞き手:坂本実紀/構成:本間康子(機関誌編集部)

【「HITOTSU」が再演されることについて】

(狩野泰一:以下狩野)私も、よもや「HITOTSU」を後輩たちがやってくれる日が来るなんて思っていなかったから、もう、めちゃめちゃビックリで本当に、本当にうれしいですね。

今まで鼓童でも歴代色んな方々が色んな要素を入れて曲を作ってきたと思うんだけど、「HITOTSU」の表現とか、楽器群はまた独特だと思うんだよね。

それに今回は舞なんかも入れたりして、さらに新しい意味付けがされておもしろくなった。観た人があれをどう感じるか、みたいなところも楽しみですね。

「道」公演での「HITOTSU」(浅草公会堂にて)撮影:岡本隆史

撮影:岡本隆史

【「HITOTSU」の誕生】

(狩野)この曲を書いたのは、世界中を旅してアジアで音や楽器、人の雰囲気に懐かしさみたいなものを感じたことがきっかけでした。

チベットや中国などアジアを旅している時に出会った音に、インパクトはあるんだけど、ルーツを感じたり、懐かしさを感じてね。
欧米のクラシック、あるいはジャズやボサノバなどとは全然違う伝わり方をしてくるんですよ。

チベットの奥地で民謡を唄い合ったことがあるんだけど、どこか似ていて、親近感を覚えるんだよね。

お辞儀する感じとか、「まあまあまあ」と言いながら、無理やりお酒を注いで来る感じとか、乾杯をカンペイって言ったりするところとか。

「それは何なんだろう」と考えたんだけど、一つは仏教の伝播と共に声明、お経とか、仏教の法器、宗教のための音を出す道具と一緒に仏教文化が、儒教や各地の文字、言葉、文化も入り混じって日本に伝わってきたからかなと。仏教が、インドで発祥してチベットや中国、韓国に伝わり、仏教音楽がアジアの各地を経由して日本に入ってきた。

だから各地の音楽、文化の要素も日本には入っているわけですよ。
声の出し方、歌の節回しやメロディ、太鼓のリズム、重低音、金属音の低い音、高い音などなど。

中東からアジア全般、顔とか言葉とか考え方も全然違うのに、音楽的なところは、同じような楽器で似たような事をやってるような気がします。
言葉は全く分からなくても、音楽は分かる! 共通点を感じる。

だから、アジアの音楽の根っこが「一つ」につながっているっていう感覚があった

そういう体験から感じた共通点、各地の楽器を繋いで、一つの音楽を作りたいなと。
それでできたのが「HITOTSU」なんです

【「ソーナ」との出会い】

撮影:岡本隆史

(狩野)ソーナに出会ったのは中国を旅してる時だった。

チャイニーズニューイヤーの時、田舎道を歩いていたら、遠くから音楽が聞こえてきた。音に誘われて行ってみると、小屋の中でたくさんの演奏者が蛇の皮の二胡からコントラバスみたいな大きなものまで様々な弦楽器を弾いてた。

その中でソーナとか、中国の明笛(みんてき)とか銅鑼とか、スゴイ音楽が鳴ってて、面白くてずっと窓の外から覗き込んでた。

すると、帽子をかぶったおじいさんに「来い来い、中に入れ」って呼ばれたの。
「ありがとうございます」って入って、漢字で筆談しながら音楽を見せてもらった。

「我音楽家」「楽器有宿」って書いたら持って来いって言われて、ホテルから三味線や笛を持ってきて、津軽じょんがら節を弾いたらバカうけ! 私は中国から日本に伝わった楽器が、400年たったらこうなりました、という里帰りのような気持ちで演奏してた。

その時にそのおじいさんに教えてもらったメロディーがあって、その場で必死で覚えて帰ってきたんだ。今でも忘れられないんだけど、でもなんの曲か分からなかった。

で、ずっと後になってある中国人の前でその曲を吹いたら、「中国の軍歌」だって。日中戦争で中国が日本と戦った時に「日本人を殺せ」っていう、そういう歌だったんだ。

私はそうとは知らずに、その場にいる50人くらいの人と50度以上のお酒を返杯しながらご馳走になって、楽器を通して友達になって、それでその曲を教えてもらったって思ってたから…。
ずっと後になって、そのおじいさんが教えてくれたあの夜を結ぶ記憶が、そういう軍歌だったということが分かったわけ。

「昔は殺し合った時代もあったんだよ」って、おじいさんはそう伝えかったのか…今となっては知る由も無いけど…そういう思い出の中で会った楽器なんだ。
アジアを感じる時、そういう風景、みんなの顔なんかが、浮かんでは消える思い出の一つになってる。

ソーナは、そんな旅の中で出会ったインパクトの強い楽器。

私には当時、鼓童の公演の時、周りが太鼓でドカドカやる中、マイクを使わず笛一本で音を通さなきゃいけないという大変さがあった。

だから、大音響の中でマイクなしで響いてくる楽器、ソーナに出会った時に「これだ!」って。

今度はこれを日本に伝えたい、これを使った曲を書きたいたいって、思ったんだよね。

 

【フリージャズ】

(狩野)「HITOTSU」は心臓の鼓動のように、脈打ち続けていく。

基本ビートがたった一つで、ずっと流れてる。

水が流れて川になって海になるように、「ドンスタッ、タタ、タカタカタカタカ」のリズムが始まったら、変化することも止まることもない。
それがどんどんどんどん大きくなっていく。じりじりじりじりね。

「HITOTSU」は基本ビートが一つで、ルート(根音)も一つ。
サビもなく、転調もなく、音階の変化もない。

そして、「ドンスタッ、タタ、タカタカタカタカ」という基本のリズムにはのらず、間と呼吸と気迫で
「ドン、バシャー!!!!ガガーン!ドンチ、ドンチー!」って、太鼓、シンバル類が叫ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アジア独特の「おろし(間が詰まっていくリズム)」が炸裂する。
「七五三(7拍・5拍・3拍)」も洒落で入ってくる。大音響でビックリさせて、お洒落じゃないけど(笑)。

決まったリズムを繰り返してグルーヴを作り、そのビートにのってフレーズを叩き、それにメロディーがのり、繰り返すのが、多くの音楽では当たり前になってるけど、全く違う作り方をしたんだ。

でも、基本ビートがないフリージャズだと、多くの方々にとって心地よくない音楽になってしまうかもしれない。

気持ちいい基本ビートが流れ続けて、なんとも言えないインパクトのあるメロディが流れてきたと思ったら、すごい音、フレージングが入ってきて、で、またそのほとぼりが冷めると次のメロディがきて、っていうのを繰り返しながら、全体がだんだんクレシェンドしていく。瞑想と覚醒。

基本のビート、揺るがない鼓動があるからこそ、何やっても許される、アジアのフリージャズなんですよ。

答えは一つじゃない

(船橋)狩野さんには鼓童村での通し稽古を見ていただきましたが、公演では幕や照明が入ることで印象がかなり変わります。

実は、先日、この演目を劇場版の学校公演でやったんですよ。

一度舞台でやって、見てみたいというのもあったし、この曲に関しては子供に寄り添いすぎず、「大人の世界を、あの世界観をみせよう」と、逆に切り替えて持っていきました。

狙い通りというか…中学生シーンとしてましたね(笑)。

学校公演での「HITOTSU」(撮影:鼓童)

(狩野)分かりやすいものをやってあげるのもパフォーマーとして大事なんだけど、逆に訳の分からないものを大の大人が真剣にやって「なんじゃこりゃ」って人の心を動かすのもおもしろいですよね。

なんでか分からないけどイメージだけ残って、音だけグルグル頭ん中で回っちゃって、後からあれはこういう意味だったんだって人が思ったり…そういうのもいいよね。

(船橋)今、ネットで調べればすぐ何でも分かるようだけど、実際、本当は分からないことだらけなはずなので…。すべてに答えがなくてもいいんじゃないかなと思って。

(狩野)この曲は、例えば人間の一生かもしれないし、国ができて滅ぶ、あるいは宇宙が生まれる過程とか、何を想像してもいい。混沌として、なんだか分からないけど「なに?!」って印象が残ればいい。

「HITOTSU」だけでなく、抽象的なアートっていうのはみんなそういう性格を持っている。千人が聴いたらそれぞれが全然違うストーリーを受けとめて、宇宙を感じたり生命を感じたり…全部正解って言うか。

だから、答えは一つじゃないわけです。

【「道」の中での「HITOTSU」】

(船橋)天気とか、雨雲が重くなると憂鬱な気分になってくるじゃないですか。でも重たい気分の中から、光に向かっていくようなイメージを感じました。

「HITOTSU」は聖なるもの、すなわち大太鼓の前の静と動…空間をゆがませた上で、ほこりが立つイメージ。
そして無音の場面を作りたくて、大太鼓の前の静寂で使おうかな…とイメージが浮かんできて。

この曲は、公演の中でも「おっ」という美しいシーンになるんじゃないかと思います。

(狩野)公演、すごい期待してますよ。
こっそりどっかに、観に行きたくなっちゃったな(笑)。

 

 

 

 

(完)

 

狩野泰一(Yasukazu KANO)プロフィール

篠笛奏者 / 篠笛講師 / 音楽プロデューサー

1963年東京生まれ。一橋大学在学中にジャズドラマーとしてライブ活動を開始。1987年「鼓童」に参加し1997年に独立。佐渡島に暮らしながら「篠笛」の新たな音世界を広げて2005年にメジャーデビューし、多くのCD、教則DVD、楽譜集等を出版。これまで世界30カ国で2000回を越える公演をし、笛・祭り文化の再興のため篠笛講習会を全国、世界で展開。NHKテレビ「日本の話芸」テーマ始め、映画、演劇等の音楽プロデュースも手がける。天皇皇后両陛下の御前演奏、ミラノ万博2015出演も務め、東京ドームで空手世界チャンピオン宇佐美里香の演武とコラボ他、香西かおり、サリナ・ジョーンズ、南こうせつ、河村隆一、伊藤君子など多くのア-ティストと共演している。中西圭三、宮本貴奈とのユニット『WA-OTO』も好評。最新作は、2017年リリースのCD『SOUND OF THE WIND』。

鼓童を離れた後も、鼓童の研修生、メンバーへの篠笛の指導を行っている。

「HITOTSU」のほか、鼓童在籍中に「SOBAMA」(1992年CD『回帰』に収録)、「A-SON-JA-O」(1996年CD『いぶき』に収録)などを作曲。

オフィシャルサイト http://yasukazu.com/

 

CD『回帰』は鼓童オンラインストアでご購入いただけます。

 

鼓童特別公演2018「道」全国ツアー

 

公演スケジュール