奇才、中込健太/住吉佑太

彼は演奏者でありながら、作曲家である。
その独自の音楽性と魂は、
多くの人を魅了してやまない。

彼の楽譜は常に斬新で、前衛的である。

例えば、この強弱記号。

「おとこっしも(漢ッシモ)」

通常は「ff フォルテシモ(最も強く)」という音楽記号が用いられるが

その数百倍の音量と魂をもって、
演奏してもらいたい。

そんなときに用いられるのが、
♂(オス)の形を使った記号
「おとこっしも」である。

これは音響学的な音量だけでなく、
精神面や太鼓との向き合い方を考えさせられる
そんな記号なのかもしれない。

最終的にはこんな感じになる。

おとこっししししししも!

単純計算でも
何億倍、何兆倍もの音量を!ということなのだが
これまた、音響学的な問題ではなく
精神性を問われているのだ。

真摯に太鼓と向き合い
全身全霊で
死ぬ気で打ってほしい。

メゾピアノからの音量レンジの幅は計り知れない。

もう1つ
彼の楽譜における最大の特徴を挙げてみよう。

例えばこの譜面。

まさかの、休符にまで「アクセント」が
ついているのだ。

彼曰く「能のコミという概念から着想を得た」
とのことだ。

「コミ(込み)」というのは
能において、次の演奏や動きに移るときに、
気を込めて取る、沈黙の間や呼吸
ある種の「タメ」のようなもので、
「コミをとる」というふうに用いられる。

このアクセントがつけられた休符は、
ただの休みではない。
ドンドン ウン!
ここで強く、この休符に気を込めてほしい。

音と音の間に音楽がある。

そのことを痛感させられる楽譜表現である。

ちなみに彼の曲は
ほぼすべての拍にアクセントがついている。

アクセント記号を書く手間1つにしても
楽譜からすでに彼の魂が感じられるのだ。

彼の楽譜には
様々な挿絵が用いられている。

楽譜をめくるのが楽しくなるような
ストイックで強烈な曲調とは、
いい意味で関係のない挿絵たちは
演奏者の気持ちを和らげてくれるだろう。

ちなみにこの犬は
ほぼすべての楽譜に登場している。

かなり思い入れのあるキャラクター
なのかもしれない。

そんな奇才、中込健太の曲が
今年の夏もECで披露されます!

ぜひ、夏は佐渡へ!
お待ちしてます!!

 

アース・セレブレーション
https://www.earthcelebration.jp/

ほかイベント盛りだくさん!

1ヶ月と10日前の思い出と約束/藤本吉利

8月になり、アースセレブレーションが近くなりましたが、1ヶ月と10日前の思い出と約束を・・・。

それは6月27日(火)に行った愛媛県内子町での二人行脚公演のことです。鼓童はご縁があって、内子町では度々、いろんな形で公演をお世話になってきました。公演の実行委員会の方々のところにホームスティをさせていただいたり、親しいお付き合いが続いてきました。今回の二人行脚公演は以前に実行委員の方と交わした約束でもありました。それがようやく実現して、とても嬉しかったです。

「椎谷の観音様」

6月25日(日)に香川県宅間町での太鼓フェステバル『第9回さぬきの鼓響』にゲスト出演があったので、その後に内子で二人行脚の公演ができないだろうかと、お話ししたら快く受け入れてくださいました。会場は今まで公演を行ってきた内子座ではなく、内子町五十崎自治センター(共生館ホール)でした。

「大太鼓」2尺8寸・太陽を打つ

休憩なしの約1時間20分の舞台、ご来場いただいた約300名のお客様と共に楽しいひと時を過ごさせていただきました。

「ヤサエー節〜和知太鼓」

そして終演後、お客様と一緒に記念写真を撮りました。開演前に実行委員長の徳田さんが終演後記念写真を撮ります。鼓童サイトに乗りますから帰らないで待っててくださいと呼びかけられたのです。

ちょっと遅れてしまいましたが、その約束を今・・・。

容子との二人行脚、いろんなところへ伺いたいと思っています。お気軽にお声がけください。
実行委員会の皆様、ご来場頂いた皆様、ありがとうございました。またお会いできる日を楽しみにしています。お元気で!!

EC「電子と原始」開催!/坂本雅幸

私、坂本雅幸が電子楽器メーカーのローランドさんと開発中の「電子担ぎ太鼓」を使ってお届けする「電子と原始」。

阿部好江、中込健太、そしてフラメンコダンサーの三四郎と共に、真夏の野外で熱い!暑い!舞台をお届けします。

初の試み!世界初!もはや何が起こるかわからないワクワクを佐渡で目撃してください。アース・セレブレーションでお待ちしております!

▼特別フリンジ「電子と原始」
https://www.earthcelebration.jp/event/fringe/denshi/

世界初の「電子担ぎ太鼓」をローランド(株)と鼓童が共同開発

九州の旅にて/藤本容子

7月22日から26日まで、吉利を誘って九州の旅をしてきました。出会いと驚きのいっぱい詰まった、嬉しくて幸せな旅となりました。そんな旅の途中、由布院から大分への快速電車に乗ったところ、嬉しい発見!!


「幽玄」公演の車内吊りです。頑張れー、鼓童!!

九州は、まずは「若い夏」。そして、各地で公演に、稽古に、汗水しているみんな。

頑張れーっ!!

オマケの一枚。「誕生日プレゼントと思ってお願い!」と、しぶる吉利にポーズを要請。その後、できた写真を見たら、まんざらでもない風情となった吉利でした。

なかなかでしょ?


毎日、新しい1日に出発進行!! ですね。

坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」

「若い夏」松山へ!/山脇千栄

若い夏の公演も
残すところあと4公演。

ツアー班は倉敷公演を終え、
四国松山へと移動しました。

四国といえば、私、山脇千栄、
香川県出身でございます。

感覚としては、倉敷も松山も
地元同然のようなもの。
中四国の気候と方言、
移動中には久々の讃岐うどんも食べ、
心も体もなんだかホッとしています。

私にとっては初めての大きなツアー。
不安と緊張で胸が張り裂けそうな
ツアー前半も、先輩方に支えられ、
公演地ごとのお客様の笑顔と拍手に
絶大なるエネルギーを頂きました。
公演を重ねるごとに心も充電満タン。
11回の公演の素敵な記憶たちに
包まれながら、松山へ辿り着きました。

ツアーに出て感じましたが、公演ごとに
それぞれの若い夏があるように思います。
その土地の人・音・食・歴史・空気・水…。
それらと鼓童が混ざり合って
それぞれ特別な若い夏が
作られているように感じます。

明日は、松山公演。
数年前、松山市民会館で
私も一人のお客さんとして
鼓童の公演を見ました。
準団員になりました今、
今度は舞台の上で鼓童の公演を。
幼い頃からよく遊びに来ていた松山の地。
どんな若い夏になるのかな、
お楽しみです。

残りの若い夏ツアーは
四国九州とどんどん南下して参ります。
気温と比例するかの如く
どんどん熱く、どんどん若く!
皆様に太鼓で、夏をお届け致します!
是非劇場へお越しくださいませ。

山脇千栄

鼓童「若い夏」日本ツアー

Photos: Takashi Okamoto