「バックハー」との再演/菅野敦司

「アース・セレブレーション2016」で初共演をした、ベトナムの伝統音楽芸能集団「バックハー」が2年ぶりに来日します。

Photo: Atsushi Suganoこの写真は、演出を担当する住吉佑太が、昨年12月に初めてハノイを訪ね、現地の空気に触れ、リハーサルと交流とを行った時の様子です。Photo: Atsushi Sugano

Photo: Atsushi Sugano

旅先で出会ったアーティストを日本で紹介できることは、私たちにとって何よりの喜びです。バックハーは5月21日来日し、鼓童村でのリハーサルを経て、5月26日に新潟での再演が実現します。

どうぞ、お楽しみに。

2018年5月26日(土)鼓童特別編成で出演「NST開局50周年 りゅーとぴあ開館20周年 日越外交関係樹立45周年 アース・セレブレーションコラボイベント『鼓童&バックハー』」(新潟県新潟市)

たたこう館からやってきた!/米谷友宏

 

3月8日(金)から12日(火)までの5日間、太鼓体験講師のサミーちゃん(宮﨑正美)とよねちゃん(米谷友宏)はたたこう館を飛び出し、今年も新潟県内の様々な場所で太鼓ワークショップを行いました。

 

 

 

太鼓は演奏するためだけの楽器ではありません。誰でも楽しく打つことが出来ます。

老若男女問わず、誰でもすぐに音を出すことが出来るのが太鼓の良さなのです。(もちろんとても奥が深い楽器です。)

 

太鼓の音は、ときには人を楽しい気持ちにし、ときには落ち着かせてくれる。

また、その場にいる人達のチームワークを強く高めてくれる。

太鼓にはそんな力があります。

 

 

あるおじいちゃんは私に「俺は昔、町一番の太鼓打ちだったんだ。」

といって祭りの太鼓を見せてくれました。

何十年前の太鼓でも身体は覚えていて、一生懸命演奏して下さいました。

 

今回の出張!たたこう館では、太鼓体験やエクサドンだけでなく、

太鼓を用いた企業研修も行いました。

 

どのような太鼓ワークショップでも共通していることがあります。

太鼓を中心として、人と人が繋がるということ。

 


それは夢中で太鼓を打ち、汗を流し、笑顔と会話が広がり、一つの音を合わせたときに感じました。

誰でもすぐに音を出すことが出来る太鼓だからこそ、

そんな役割と力を持っていると感じています。

 

 

あなたも一緒に「ドン!」と太鼓を叩いてみませんか?

 

出張!たたこう館!/米谷友宏

3月8日から13日まで、佐渡を飛び出し新潟市、阿賀野市で出張ワークショップ(WS)を行いました。
6日間で計10回のWS。ちいさな子どもからおじいちゃんおばあちゃん、知的障害をもった方など、様々な方に太鼓を体験していただきました。

写真提供:かがやき福祉会 石川貴英様

「せーのっ!」ドン!!!

WSはこの音から始まり、この音で終わります。

写真提供:かがやき福祉会 石川貴英様 写真提供:かがやき福祉会 石川貴英様

感情を表に出すのが苦手な方。

普段は楽器の音が苦手な子ども。

太鼓を前にすると、全員が無心になって太鼓を叩いていました。

写真提供:かがやき福祉会 石川貴英様

年齢も性別も何もかも違う人たちが奏でる音。

はじめはバラバラな太鼓の音。

でも何故か楽しい。

太鼓を使った様々なゲームをする内に、

一人一人が目を合わせ、心を開き通わせ、

最後には一つの音を奏でていました。

写真:米谷友宏

聴く観るだけではない、自分が打つ太鼓。

この6日間で太鼓の持つ「人と人をつなぐ力」を改めて感じました。

太鼓を通じて多くの人が心一つになれるよう

太鼓の楽しさを広めていきたいと思います。

写真提供:かがやき福祉会 石川貴英様

「せーのっ!」ドン!!!

雅幸・佑太コンビ/住吉佑太

Photo: Takashi Okamoto

坂本雅幸という大先輩と、住吉佑太という新人のコンビ。
始まりはアマテラスの「草分け」という曲から。それに続いて「炯々」「霹靂」「カデン」「段」と、五年間一番近くで雅幸さんの姿を見てきました。

Photo: Takashi Okamoto

ありがたいことに僕はいつも、雅幸さんの対で演奏することが多かったんです。

Photo: Mayumi Hirata

「草分け」に関しては、アマテラス、金丸座、神秘、打男……

人前で演奏した数だけでも400回は越えているかもしれません。

「いったい、あと何回やるんだろうな」と雅幸さんはよく言いました。

「それもあと2回ですよ」と心の中で答えてみると、なかなか感慨深い思いが湧いてきます。

Photo: Takashi Okamoto

僕が鼓童に入って間もない頃、雅幸さんがヨーロッパツアーから帰ってきた春、初めて稽古をつけてもらいました。

演目は「SHAKE」の締獅子だったかと思います。

しかし稽古の内容は、フレージングでもストロークでもなく「打つ前の空気感」について。

「SHAKE」という曲をご存知の方はお分かりかと思いますが、締獅子のフィルインから始まります。その一打を打つ前に、何百人もの観衆の目や耳を、自分の手元に集める気持ちでと雅幸さんは教えて下さいました。

「エネルギーを発散したいときと集中させたいとき、胸の角度で自分を表現するんだよ」

今でも舞台に立つとき、この言葉を思い返します。

Photo: Takashi Okamoto自分が前へ出るときは胸を開き、バッキングにまわるときは胸を落とす。音の強弱と胸の表現、まさに音楽と身体言語を一致させるということ。

雅幸さんとはよく酒を飲みました。国内でも海外でも、よく飲みに連れていってくれました。(というよりも僕が行きましょう!と声をかけることの方が多かった気もしますが)

初めて雅幸さんが住居棟(若手の独身寮)に飲みに来てくれたときは、嬉し過ぎて30分で酔いつぶれてしまい、雅幸さんを困らせました。

雅幸さんが30歳になる誕生日のときは、僕が企画して鼓童村の中庭で盛大にバーベキューをしました。

Photo: Takashi Okamoto

酒を飲みながら、本当に取り留めのない話から太鼓の話まで、たくさん話し込みました。雅幸さんの性格と人柄を知り、大事にしているモットーを学び、馬鹿なこともたくさんしました。

食べ放題じゃない焼肉に行って、すさまじい金額に恐れ慄いたり

優柔不断な雅幸さんのために、一緒に行ってギターを選んであげたり

二人で海へ飛び込んで、あまりに強い日本海の波力で岩に打ち上げられたり

僕がウクレレで雅幸さんがギターのブルースとも言えないセッションにハマったり

ドイツビールを飲みに行く前に二人で走り込んで「これじゃプラマイゼロですね」というと「定点的なゼロと、行って帰ってきたゼロは質が違う」という格言が生まれたり……

その1つ1つの思い出が、僕たちの音をピタリと合わせるための糧になっていきました。

雅幸さんは、やせ我慢を現実に変える男でした。

どんなに薄着で寒そうでも「寒くない」と言い、どんなに顔が真っ青できつそうでも「余裕や」という。

変なところが負けず嫌いで、どんなに乗り気じゃなくても煽るとやってくれる

Photo: Ryotaro Leo Ikenagaそんな雅幸さんを心から尊敬していて、今も憧れています。

それでいながら飾らず気さくで、いつもそばにいたいなと思わせてくれる先輩。

Photo: Takashi Okamoto雅幸さんが鼓童から卒業するということは、僕が雅幸さんから卒業するということでもあります。

いつだって目標にしてきた、雅幸さんより目立ちたい!という一心で、並んで舞台に立ってきた日々から。

あと2公演。新潟と佐渡。

打男ツアーは12月まで続きますが、後半戦は(石塚)充さんとダブルキャストで交代になるので、雅幸さんと一緒に舞台に立つのはあと2回です。

泣いても笑ってもあと2回です。

ぜひ、新潟公演へ!

ぜひ、佐渡公演へ!