「道」ブログリレー11: “ヤツ”の正体/齊藤栄一

“ヤツ”の正体

演出の裕くん(船橋裕一郎)から、「道」の大太鼓の登場シーンで踊りを踊って欲しいと相談を受けた時は、正直少々戸惑いました。

『LION』で踊りっぽいことはやってるけど、他にはここ10年以上も舞台でやってないし…

演出ノートによると ”謎の僧” の様な存在がゆったりとした動きで舞いながら、大太鼓の屋台をステージに導いて来ると云うもの。

Photo: Takashi Okamoto

バックに流れる曲は『HITOTSU』(作曲: 狩野泰一氏)で、ダークな雰囲気を醸し出して欲しいとのこと。

責任重大だよねぇ。「道」と銘打った公演で、鬼太鼓座時代からのメイン演目の一つ・大太鼓を導いて来なきゃならないんだから、そのエネルギーは並大抵のものじゃない。

なので先ず ”謎の僧” の正体を考えました。

Photo: Takashi Okamoto

この僧は鬼太鼓座から現在に至るまでのメンバーの汗と涙。そして色々な形で関わってきた沢山の人々の様々な思い。それらがドロドロとしたガスとなって漂っていたものが集まって形になった存在に違いないと。

その僧を呼び出したのは、歴史をバトンタッチされた若い太鼓打ち達。

この先進むべき「道」を模索するにあたって、僧を召喚して大切なことを学ぼうと。

これまでの「道」を知った上で、先に進もうと。

Photo: Takashi Okamoto

そこでこれまで習ってきた郷土芸能(岩崎鬼剣舞・梁川金津流獅子躍・大償神楽・鬼太鼓)などのエッセンスを振り付けに取り入れて、この ”謎の僧” を表現してみようと思ったのでした。

ここまでは2018年の「道」です。

そしてこの「道」を再演するにあたり裕くんから新たに出されたお題は、例のシーンに〔舞楽〕を取り入れたいと云うこと。

なぜ舞楽なのか、どういった狙いがあるのかは演出の裕一郎くんに聞いてください。

さて〔舞楽〕は言わずと知れた古典中の古典。1200年以上の歴史を持ち、宮廷や寺院で舞われて来たものです。

今回は〔蘭陵王〕と云う故事に由来するイケメン武将の話の舞を教えて頂いたのですが、まぁ舞を習う上でのあれやこれやの話はまた別の機会にするとして、栄一的に問題なのはキャラクター設定が真逆だと云うこと。

前回のドス黒いガスから召喚された”謎の僧”に対して、あまりにも清く神聖なのです。

Photo: Erika Ueda

なので今回の ”謎の僧” の召喚された意味とキャラ設定を考え直さなければなりません。

 

2018年の「道」で歴史や人々の思いを知った上で、さぁ新たな「道」を切り開くぞっと張り切っていたメンバー。

しかし色々と知ることによって、逆に悩み迷い始める…

そこに現れたのが今回の ”謎の僧”。

Photo: Takashi Okamoto

彼らの迷いや纏わりついている余分なガスなどを断ち切ってくれるのが彼の役目。

そうして浄化された世界の中で、新たな大太鼓の音が打ち込まれる…

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto…まぁ2018年の「道」は『温故知新』で2019年の「道」は『不易流行』って感じ。

ダラダラ書いてきたけど、なんだ、一言で云えるんじゃん。

と云う訳で、今回の「道」は再演ではありますが、演目に込められた『思ひ』には相当な違いがございます。

静かな舞ではありますが、大太鼓にも勝るとも劣らないエネルギーを注いで臨んでおります。

ですので、前回ご覧になられた皆様。今回の公演を決して逃してはなりませぬ。

また前回をご覧になっていらっしゃらない皆様。DVDが販売されております。

2019「道」を生でご覧頂いた上で、前回作との違いをお楽しみ下さいませ。

Photo: Takashi Okamoto

それでは劇場で皆様にお会い出来るのを楽しみにしております。

次回の道ブログリレーは
「発声/大塚勇渡」
お楽しみに!

Photo: Takashi Okamoto

 

公演詳細:

https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/16691

6月以降のスケジュール

待望の新作DVD発売中!

Photo: Erika Ueda

この日を楽しみにしてくださっていた方も、「え‼そうなの!?知らなかった!」という方も、ぜひ1枚。見応えある94分、ノーカットライブ収録です。

発売日:2019年5月24日(金)
価格:4,860円(税込)

商品の詳細はこちらから。
http://store.kodo.or.jp/?pid=141745460

公演会場、鼓童オンラインストアにて販売中

 

演目図鑑WEB版「HITOTSU」[前編]

演目図鑑WEB版「HITOTSU」[後編]