新1年生(39期研修生)、オンラインでスタート/石原泰彦
春、始まりの季節に、世の中は試練の日々。
いつもの年なら、鼓童の研修所にも新しい1年生がやってくる時期です。今年も12人が揃う予定でしたが、この新型コロナウイルス感染の広がりの中で、まだ叶いません。
4月8日に入所を予定していましたが日程を遅らせ、新研修生となる皆さんには、3月28日より「1日2回の検温報告」を義務付け、外出を必要最小限に絞るなどした上で、入所までの期間を過ごしていただくことにしました。
安全の確保を最優先に検討を重ねた結果、当初の緊急事態宣言の対象地域ではなかった所から、まず3名を受け入れました。柿野浦研修所には直接入所せず、「深浦学舎」にて14日間の健康観察を行っています。この期間を経て研修所へ移り、実際の研修が始まります。
また2年生も、今は地域外への外出はできるだけ控え、安全を第一に研修所で過ごす日々です。
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そんな中、何とか皆の気持ちを一つにスタートを切ろうと、新1年生と2年生、さらに研修所に関わるメンバーを加え総勢25名で、4月21日にオンラインでの顔合わせをしました。長い研修所の歴史でも、初めてのことです。
まずはお互いに自己紹介、今の気持ちを伝え合いました。続いて、研修期間に呼び合うため「呼び名決め」。講師からもその名前で呼ばれることになります。まだぎこちないものの、お互いに「研修生」としての小さな一歩を踏み出せたようでした。
次に、研修生の稽古に関わる舞台メンバーからの話。太鼓をたたけない環境でも、自分で進められる内容を、講師陣が準備。佐渡に集まるまでの期間を「研修準備期間」とし、離れていても皆が同じ取り組みをしていくことを伝えました。
キーワードの一つに「学び方を学ぶ」。その意味と向かい合いながら、日々の稽古を進めます。それぞれが研修所のスケジュールに準じて生活をし、一日の終わりには日誌を書いて皆でLINEで共有。これも初の試みです。離れていても、お互いの思いを、確認し合います。
たっぷりと2時間近く続いたオンラインミーティング。それぞれの場所にいながら、どのように「研修準備期間」を過ごしていくか、気持ちがつながり始めたように思います。
最後は2年生からの太鼓と「待ってるぞー!」のエール。研修所に全員が揃う日を思いながら、それぞれの場所で踏んばる日々が続きます。
[1年生(39期研修生)のことば 〜 それぞれの日誌から(抜粋) ]
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- 朝、外に出てみると、空気が澄んでいた。みんな今の時間走ってるのかなあ・・・
- (太鼓の)稽古は、僕の相棒のタイヤと毎日行っています。
- 開脚は、ついに床まであと10cmほどまで開けるようになり、180°開脚まで近づいてきました。
- 辛い苦しい時、僕たちの表現がみんなが強く生きるための糧としてありたいです。
- 終わりが見えない状況で一人で練習し続けるのは、すごい不安があります。いつか色々な人の心に届く、伝えられるような音を出すために、練習をしていきたいと思います。
- 私は太鼓に救われました。太鼓を打つ人に救われました。いつか私が太鼓を打ち続けることで救える命があるかもしれない。
- 39期は、必ず歴代最高の期になる。
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研修所から見える山には、今年も新緑が芽吹き始めました。
またいつも通り、ここに1、2年全員が揃う日がやってきますように。
そしてこの世の中に、これからもずっと太鼓が息づいていきますように。
今を何とか乗り越えて、この大事な大事な研修所を、皆で力を尽くして繋いでまいります。支えてくださる皆さまへの感謝の中で・・・。
深浦学舎での健康観察期間について
深浦学舎での生活は、柿野浦研修所とはだいぶ様子が異なります。
- 「健康観察票」に検温結果を毎日記入。
- 体育館や校庭で行う体操や稽古は十分に距離をとって実施。
これらは柿野浦でも同様ですが、
- 建物から外に出るのは「校庭限定」。
- 講師への質問や連絡はLINEで。(緊急連絡の可能性があるため、深浦学舎にいる期間は、個人の携帯電話を使用可としています。)
- 1人1部屋で行き来はなし。(研修所では相部屋が基本)
- 研修所より睡眠時間を1時間長くし、暖房も使用可とする。
- トイレ、洗濯機は共用しない。
- スイッチ等、共用するものは消毒。風呂は1人づつ使用後に清掃。
- 食事はスタッフが準備し、個々の部屋で食べる。
- 食器類にテープを貼り、人別に分けてまざらないように使用。
- 常駐するスタッフは人数を絞り、できるだけ外出をしない形で業務。
このような形で、できるだけ感染リスクを下げ、免疫力を上げる配慮をしながらの毎日です。