研修所出発、それぞれの道へ/石原泰彦
1月22日。1年生が進級選考、2年生が準メンバー選考を経て、それぞれの道へ向かって研修所を出発しました。
目指してきたのはプロの道。
とことんまで力を尽くしても、「思い叶わず」という研修生のほうが多いのが現実。覚悟してきた道ではあっても、その結果を受け止めることは、決してたやすいことではないと思います。
研修所での日々は、舞台という夢に届かなかった人にとっては、どういう意味を持つのか?研修生を送り出すこの時期に、いつも自問します。
私自身の話になってしまいますが、遡ること20数年。やはり舞台を目指して佐渡に渡ったものの、準メンバーに届かず、研修生をもう1年。何とか準メンバーになり、しかし正メンバーへの壁は高く… 。そして今、研修所で研修生に向かい合う日々。
悔しさは、いまも身体が覚えています。一方で、こうして人が育つ場に身を置いて太鼓に関われることへのありがたさが、長い葛藤を経て、今は心を満たしてくれています。
舞台という夢には届かなかったけれど、あの日々の意味は「今、この自分がいること」なのだと思っています。
研修所を離れた研修生。今、それぞれ懸命に次の道をつかもうとしていると思います。
悔しさ。それは、夢にありったけを注ぎ込んだ証。
そしてそれは、次の一歩を踏み出す、大きなエネルギー。
その悔しさは消えないかもしれないけれど、いつか人生を歩む中で、その悔しさをもっと大きな気持ちが包み込んでくれる日が来るかもしれません。
今は、自分が力の限り夢を追った日々を誇りとして、また、力を尽くしたからこそ消えないその悔しさをしっかりと胸に、次の一歩を踏み出してほしいと願っています。
佐渡は、雪が少ないまま立春を迎えそうです。春になると、また祭りが賑やかになります。
佐渡の皆さんは、ここにいます。研修所もいつもここにあります。
いつか気持ちがここに向いた時は、またいつでも足を運んでください。