引き続き鼓童へのご支援、お力添えを賜りますようお願い申し上げます(2020年10月1日)/太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

4月に発信いたしました鼓童緊急支援のお願いに際し、多くの方々、広範な地域よりご支援と応援のお言葉を賜り、心より感謝申し上げます。

私たちは感染対策を徹底しながら、少しずつではありますが公演活動を再開しております。まだまだ事態の収束や今後の予測もつきにくい状況ですが、生の音を直に届けられることの喜びを噛み締め、お客様に少しでも喜んでいただけるよう頑張って参ります。

さて、佐渡の多くの田んぼは、稲刈りを終え、風に揺れるススキの穂や色づき始めた柿の実に秋の深まりを感じます。鼓童研修生たちが育てた田んぼの稲刈りは、一足遅れてこれからとなります。

Photo: Erika

20年前、米つくりと言えば、田植えや稲刈りくらいの想像しかなかった私には、稲を植える以前の準備、何度抜いてもすぐに生えてくる草との格闘、水や畦の管理などなど、それは大変な日々だったと記憶しています。それでも仲間とともに育てた稲穂を刈り取り、ハザに掛けた日の喜び、そしてようやく食べることができた嬉しさは格別なものでした。同時に、やはりプロが作る田んぼの美しさ、収穫量、米の美味しさを再認識させられた思い出があります。 

本年は鼓童の活動自体もさることながら、研修所も1年生の入所延期に始まり、外部講師の方々の講義や出演も伴う場となる佐渡宿根木公演中止など、多くのカリキュラムやイベントの変更を余儀なくされました。そのような中でも稲はしっかりと成長し、まもなく収穫の時を迎えます。食欲旺盛な18人1年分の収穫量には到底足りませんが、きっとその味は格別であり、その収穫までの過程と実りの喜びを体感した彼らの太鼓の音、唄、踊りはそれまでとはまた違うものとなると思います。

Photo: Yasuhiko Ishihara

私は、鼓童の舞台という一つの目標に向かい、ライバルでもある仲間との2年間の共同生活の中で、悩み苦しみ自らと向き合いながら、少しずつそれでも着実に成長していく彼らの姿に感動いたします。そして、鼓童の舞台の根幹となるこの研修所をこの先も守り、支えて行きたいと思う力になります。

引き続き、多くの皆さまからのご支援、お力添えを賜りますようお願い申し上げるとともに、是非研修生も応援していただけましたら幸いです。

2020年10月1日
太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎