9年ぶりの壮大なローマ/内田依利

Photo: Eri Uchida

駅から出た途端、目の前にそびえ立つ巨大建造物に思わず震えました。
推定収容人数が7万人にもなるというコロッセオ。

Photo: Eri Uchida
2000年も前に電気も機械もない時代に、こんなものを人の手で作り上げたなんて。人の知恵と、力と、欲と、執念に驚愕せずにはいられません。
見世物を面白くする「迫り」での登場や、客がスムーズに入退場できる通路の工夫など、どれも緻密でダイナミック。

Photo: Eri Uchida
中で行われていた催しは、剣闘、つまり人同士か人と獣の殺し合い。当時の人々はそれに熱狂していたと聞き、現代の自分たちはそこから本当に根本的に違うのだろうかと少し恐ろしくなりました。

私にとってローマは、2009年に初ツアーのヨーロッパ夏のフェスティバルツアーで訪れて以来。一週間ほど滞在したはずのローマも、私はひどい花粉症と、まだ初ツアーという緊張で、出歩いたのはバチカン市国へ観光した1日だけ。それでも、ECに向けた a Filetta との稽古があったり、聖チェチーリア交響楽団とのモノプリズム公演があったりと思い出深い土地です。

Photo: Eri Uchida
当時はこのホールがとてつもなく巨大に見え、選抜メンバーのモノプリズムを見ながら、誇りに思うのと同時に、自分があの舞台に立つのかと怖かったのを思い出しました。

 

Photo: Eri Uchida

今回、まだお客様の入っていない客席を舞台から見ると、(あれ? こんなに小さかったかしら?)と不思議に思っていました。

しかし、本番の幕が開き、ほぼ満席のお客様に埋め尽くされた会場は、気が充満していて、音も吸われ、1番遠くの客席が随分遠く感じるようでした。

Photo: Eri Uchidaそれでも全員でそれぞれのベストを尽くし、最後にはスタンディングオベーションがおこり、喜んでいただけたようです。

メンバーも皆、オフに一日中ローマをしっかり見て回りそれを舞台のエネルギーに変えているようでした。またこの果てしないスケールのローマに戻って来られる日を楽しみに。次は、ミラノで2連続公演です!