【”千の舞”への道】〜ウズメと清姫〜 (二幕 編)/小島千絵子

二部構成 鼓童の音仕立て ドラマチック音楽劇!

二幕「道成寺」

能や歌舞伎、また神楽に有名な「道成寺」は、女人禁制の掟を破り、蛇がとり憑き、調伏される白拍子の物語。

Photo: Takashi Okamoto

また物語の元になった和歌山の道成寺に伝わる清姫伝説は、若い僧・安珍あんちんに恋した清姫が、裏切られ追いかけるうちに蛇体となって、梵鐘ぼんしょうに隠れた安珍共々、自らも焼き尽くしてしまう物語。女性の執着心の戒めとして世に語り継がれて来たお話です。

「佐渡の國鬼太鼓座」に入座した頃は、女性は太鼓を叩けなかった、太鼓を叩きたくて入座したのにその願いは叶わぬものでした。

女性であることのどうしようもない負を心深く感じていた私は、その思いが清姫へ重なり、清姫の有様を恐ろしいというより哀れで愛おしく、胸に迫ります。その姿は蛇に見えたとしても、なりふり構わず追い続ける姿に極限の美しささえ感じました。

Photo: Erika

そんな心の変遷の先で女性性の負への思いを浄化し、おおらかに女性であることを誇る女性ならではの太鼓「花八丈」を生み、安珍への執着心を太鼓に見立てた作品「清姫」はソロの活動の中で重ねて演じて参りました。

Photo: Takashi Okamoto

今回の二幕「道成寺」ではこれまでの「清姫」の作品作りに関わって下さった木村俊介さんを迎え、鼓童の精鋭のメンバーとともにさらに壮大で深く、鼓童の舞台ならではの作品となりました。

私は清姫を宿して舞い踊り、鼓童の音は清姫の心象風景を音に写して、清姫の心の機微を現します。即興性の強い踊りに合わせ、その時起こった「清姫事件」に瞬時に対応できる実力が備わった鼓童に、頼もしく誇らしく、清姫も身を委ね、ままに操られようと思います。

Photo: Takashi Okamoto

道成寺に伝わる絵巻物には、安珍と清姫は天上界で権現と観音になったと結ばれ、道成寺のご住職が解く言葉には、「道成寺を演じる者も観る人も、ともに浄化される」とおっしゃっておられます。

鼓童の「道成寺」がご住職のお言葉のように、そんな特別な演目になれたなら、と密かに願っております。

以上、ご紹介をさせて頂きました。

祭りの庭で鼓童の皆と一緒に舞台を創り上げること、こんなことがずっとやりたかったのです!

Photo: Erika

この機会を頂き、応援くださっている皆々様、一緒に歩んで来た鼓童の皆へ御礼申し上げます。

これからも芸への執着心を捨てず、さらにずっと高みを目指して参りたいと思っております。師走の一夜、鼓童「千の舞」で 特別なお時間をお過ごしくださいませ。

鼓童と共に、お待ちしております。
(一幕編はこちら→ https://www.kodo.or.jp/kodo_blog/membersblog/22363

鼓童「千の舞」 〜小島千絵子芸歴40周年記念公演(東京都文京区)

【”千の舞”への道】〜ウズメと清姫〜 (一幕 編)/小島千絵子

小島千絵子芸歴40周年記念公演 鼓童「千の舞」
〜ウズメと清姫〜

念願の舞台が、もうすぐ開かれます。

「佐渡の國鬼太鼓座」の舞台に立ち鼓童を経て、ほぼ40年が過ぎました。佐渡という地に育てられ、太鼓の響きに包まれ独立独歩で舞い踊って打った年月がぎゅっと詰まった、千絵子40年の最先端の舞台です。

私の記念の会ではありますが、これからの鼓童を担う才能溢れる若者と一緒に作り上げる、この夜限り唯一無二の舞台でもあります。

Photo: Koji

先日、ゲストの木村俊介さんを迎えてのリハが行われ、確かな手応えを得ることができました。

これからどんどん深めてまいりますが、素晴らしい作品になりそうで、この舞台を皆様にご覧頂けることが今から本当に楽しみで仕方がありません!どうぞご期待ください!!!

Photo: Erika

この舞台では私が心惹かれてきた二つの物語を取り上げました。本ブログにて、舞台の見どころ、聴きどころ、千絵子の思いを交えご紹介致します。

「千の舞」二部構成
鼓童の音仕立て ドラマチック音楽劇!

一幕 古事記より「天の岩戸開き」

古事記、日本書紀に芸能の始まりと記されている、天の岩戸前の祭宴の場。

光の再生を願いアメノウズメ、ウケの上で足を踏み鳴らし神がかりし、その時神々大いに笑い再び世に光が蘇る、あのシーン。

Photo: Maiko Miyagawa

たくさんの出逢いに導かれて佐渡に渡り、止むに止まれず舞い踊りしている意味を自らに問うた時、岩戸の前の祀りの庭にたどり着きました。

八百万の神々の輪のなかで、神々の囃す楽に誘われて、舞い踊り狂うウズメ、、、そんなウズメの舞に憧れて、1999年に鼓童の太鼓とともに作った創作舞、「KAGURA」。2006年、2007年には 坂東玉三郎さん演出主演の「アマテラス」に取り上げて頂き、壮大な舞台で初代アメノウズメとして舞わせていただく幸運を得ました。

その岩戸前の祭宴を再び、新しいアレンジや新曲を加え蘇らせます。

Photo: Koji

日本の民俗芸能は、古事記よりもっともっと以前の太古の昔、人間が自然とともに暮らして来た原始の頃より、祈りの作業として舞い打ち鳴らし奏で、その時代時代に人々の身体を借り、変化し整いながら連綿と受け継がれてきた「生命」そのものだと思います。

Photo: koji

様々な自然災害に見舞われている昨今、人は自然のなかで生かされている、と今まで以上に思う日々に、我々がその「生命」の先端にいるのなら、神饌になり、満身の力を込めて踏み鳴らし叩き唄い舞いたいと思うのです。自然に祈り、そして皆様の心の岩戸を開けるべく!!! 

(→二幕 編 ブログに続く

鼓童「千の舞」 〜小島千絵子芸歴40周年記念公演(東京都文京区)

Leo “Dynamism”/中込健太

レナード衛藤さん(以下、レオさん)の舞台、Leo “Dynamism” 森のダイナミズムに出演させていただきます。たくさんの共演者のみなさまと共に深い森の世界を描きます。

レオさんとの初めての出会いは高校生のころ、レオさんが当時アマチュアの太鼓叩きを集めて鼓童の楽曲『族』を演奏するという企画をやっていて、そこに私も参加させていただきました。

かれこれ、15、16年も、前の事で、おどろきました。

当時、高校を卒業し、鼓童入るかどうか悩んでいた自分に、レオさんは表現者として、ひとりの、太鼓叩きとしての生き方みたいなものをとても、短い期間でしたが、ライブや、自身の音、練習、言葉を通じて伝えてくれていた様な気がします。

Photo: Takashi Okamoto

ある時には

自分の表現を全うする覚悟がもてるか?

そう問われたのを、良く覚えています。

15年経ち、久しぶりに、音を出し、言葉を交わし合って、やはり、レオさんは、同じ言葉を僕に投げかけました。

レオさん、ブレてないなあと、その音に対する、こだわり、太鼓に対する愛情深さを改めて感じました。

と同時に自分にとって表現ってなんだ? 改めて問われ自分に、突きつけられた気がしました。

Photo: Takashi Okamoto

高校の時から15年経ち、
社会に、出て、太鼓を叩いて人に
聴いてもらい、生活している。

生活には日々、色々なことがあるし
色んな価値観をもつ人達が、生きている世界に自分も同じく生きている。

Photo: Takashi Okamoto

その世界や社会に対し
僕は毎日、一打の音を放っている。

明確なメッセージや意識があったわけではない。闇雲に世間に対し
一音を、打ちはなってきていたのだ。

Photo: Takashi Okamoto

とにかくがむしゃらに叩きまくってきて、もうわけもわからず、ただただ、叩いているのが好きで半ば無目的に叩いてきた。

しかし、こういう時代だからこそ、音を出す者の、責任があるんだぞと、レオさんに会うと背筋を伸ばさせられる。

自分の、肉体と太鼓の響きで今、ここに、立っているんだぞ!と、気づかされる。

Photo: Takashi Okamoto

そして今回名誉団員の小島千絵子さんも、この、企画に出演するにあたって、後押しをしてくれました。

今や一人で世界を飛び回り、自身の世界を切り開いている千絵子さん。行ってこい!とどんと背中を押してくれた。

一人で渡り合っている人達は、本当にすごい。

熟練された芸の凄みを
ひしひしと感じながら…

11月13日自分も、ひとりの叩き屋として、でかいバチと、バット担いで、渋谷に乗り込みます。

Photo: Takashi Okamoto

機会を与えてくださったレオさん、皆さんに感謝して、自分の体を使って、Leo ”Dynamism” の一部となり、そのサウンドと、世界を、支えます。

太鼓と、共演者の皆様と、深い森の中へ。
是非皆さんもご一緒下さい。

2019年11月13日(水)小島千絵子、中込健太出演「Leo “Dynamism”-森のダイナミズム」(東京都渋谷区)