太鼓を伝える。太鼓でツナグ。/小野田太陽

鼓童が培ってきた太鼓の技術をリモートレッスンでお伝えする「鼓童 太鼓の学校」を開始して1年近くが経ちました。0期の受講者の方々とのトライアルを経て、現在は第1期の終盤に向かっております。

若手の自分が教える立場にいる事に最初は戸惑いを覚えましたが、とっても濃厚な経験を積んでおります。

カリフォルニアで生まれ育ったこともあって、レッスンの英語の通訳も担当しているのですが、やはり「言葉」は難しいです。「よろしくお願いします」という挨拶に正確な英訳はないですし、「ふところを深く」などの日本的概念はどう言えば伝わるか… こういった言葉を通訳しながらレッスンを進めているので脳が追い付かないこともしばしば…(汗)。さらには研修所を通じて鼓童のメンバー全員が獲得した共通の感覚を世界の誰しもがわかるように伝えられるようになるまでには時間がかかりました。これは先輩方の話を通訳しつつ自分の感覚とすり合わせて行く中で、日英と頭の中で2回整理できた分「感覚」がより明確な「言葉」になったと感じます。

鼓童に絶対的な「型」が存在しないことも難点でした。「音」に注視しそれぞれの身体にあった打ち方を用いて「良い音」を目指しているので、演奏者が留意しているポイントはそれぞれ少しずつ異なっています。ですので、鼓童式ワークショップのパイオニア的存在である齊藤栄一にアドバイスを乞うたり、鼓童の内外で指導している見留知弘が大事にしている事を体験する勉強会を行ったり。

第0期の「ゲスト回」に登場した齊藤栄一のワークショップ。

こちらは第1期の「ゲスト回」。ゲスト講師の見留知弘が基礎打ちから大太鼓への応用について説明しています。

この他にも様々なメンバーに聞き取りを行い共通点を整理しました。さらには研修生を指導していただいている外部講師の方々も参考にさせていただき今に至ります。

結論としては「型は無い」けど「自然体で太鼓を打つ」のが鼓童流であり、それを体得するために皆日々鍛錬しているということが分かりました。

そのプロセスを共有するのが「鼓童 太鼓の学校」です。ですのでその時担当した講師によってレッスン内容の伝え方が変わるのも醍醐味の一つと思っています。

講師リーダーの阿部好江と。 受講生の方々と丁寧に繋がりを築いていきます。

小松崎正吾の身体作りのパート、舞台に立つ視点からの実際的なアドバイスは「鼓童 太鼓の学校」の特徴。

そこから感じられる先輩方の太鼓への向かい方、言ってしまえば「生き様」を伺える機会は中々ありません。とっても刺激的です。ある意味私にしか経験できない贅沢かもしれません。

でもこの経験を少しでも正確に、世界中の太鼓打ちと共有したい!そんな思いで臨んでいます。

阿部好江と地代純は引き続き第2期も担当。世界の太鼓仲間と繋がる時間をご一緒に。

2022年5月から第2期の「鼓童 太鼓の学校」が始まりますが、私は国内ツアーに出演するため、これまでとは関わり方が変わりますが、今度は「鼓童 太鼓の学校」で培ったものを舞台に活かすべく頑張ります!

太鼓の学校で知り合った方々とも今度はぜひ劇場でお会いしましょう!

 

鼓童 太鼓の学校