第36期研修生修了式/内田依利
佐渡の冬にしては大変珍しい澄み渡る青空の中、第36期研修生の修了式が行われました。たたこう館に正装したメンバー、スタッフ、講師の方が集まり、2年間頑張った彼らの姿を見届けます。
最初の4月はまだまだ学生気分。稽古時間に遅れてきたり、敬語もままならず、自分の思っていることを言葉にもできず。稽古をする真剣な空気感になることすら、なかなかできませんでした。
何年も経験のある研修所所長や、講師陣は最初はこんなものと落ち着いたものでしたが、初めて関わる私は、この子たちがあの「鼓童研修生」になっていくの? と1人焦ったりしていました。
しかし一週間会わないだけで、顔つきも身体つきもみるみる変わっていきます。
1日にこんなに詰め込めるものなんだ!というくらい朝5時から夜10時まで、毎日ビッシリ詰まったカリキュラム。研修所所長や講師陣、地域の方、鼓童外からお呼びする一流の先生方など、常に研修生を温かく、厳しく見守る目。
そしてそこには、研修生本人たちが本気で、成長したい!メンバーになるんだ!という意思があって初めて、驚異のスピードで変化を遂げていくのです。
そんな2年を終えた彼らが、顔つきも身体つきも全く違って、鼓童メンバー、スタッフの前に堂々と立ち、この二年間の思いを、1人1人自分の言葉でしっかりと伝えていきます。
「何が伝えたいんや」
研修所所長の石原が2年間、常に研修生に問いかける言葉です。
その一言に、自分にとって太鼓とは?なぜ鼓童なのか?を嫌という程悩み抜きます。
最後の修了演奏では、その思いが色や形で見えそうなくらい、しっかりと1つになり、温かいエネルギーが会場全部を包んでいました。
太鼓は気持ちがそのまま出る。とはよく言いますが、その気持ちに「嘘がない」ことがどれだけ重要か。
心の底から湧き上がった感情が、太鼓の響きにのり、空気を震わせ、人の身体に心に届く。
この2年間の大変な研修生活というプロセスが、あの音を彼らに出させ、不覚にも私も涙腺に響いてしまいました。
この先どんな道に進んでも、自分が2年間関わって彼らに心から伝えたいのは、
みんな才能に溢れているということ。
その素晴らしい価値は変わらないということ。
2年間で目覚しく成長したということ。
そしてこれからも自分で成長していけるということ。
現代たくさんの選択肢がある中、わざわざ大変な道を選んでくれてありがとう。
その苦しい思いの分、それ以上に身についたもの一生ものがたくさんあります。それを持って、これからの人生、自信を持って歩んでください。
修了おめでとうございます。
そして本当にありがとう。
鼓童文化財団研修所
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