大きな扉/梅垣晶子

Photo: Akiko Umegaki

今回、19年振りに中国本土で公演を行うことになりました。日本のお隣にあって、そして太鼓も含め、文化的にも歴史的にもたくさんの影響を受けているにも関わらず、実際のことろ、あまりよくわからない、近いようで遠い国、それが中国に対する正直な印象でした。

実際、公演までの約9ヶ月間、準備を進めて行く中で、物の見方や考え方、仕事の進め方など、欧米や日本のツアーではこれまで自分が「普通」だと思っていたことが通じないことや尺度の違い、というものを度々思い知らされてきました。

人口は日本の10倍、国土は25倍、歴史は2倍以上ある国です。当たり前のことですが、中国のエージェントを信頼し、そのやり方を尊重し、提案に寄り添い、このプロジェクトを推し進めていくことが、最良の策であり、19年間閉じられていた扉を開く鍵になる、ということを痛感しました。

広州タワーと私達のトラック/北京の劇場入り口

実際に行ってみた中国は、日本より進んでいるシステム、食の豊かさ、日本語を話せる人の多さ、仕事の速さや丁寧さなど、驚きの連続でした。

進んでいるシステム

Photo: Akiko Umegaki

その1、大きな画面のチケットシステムで、携帯をかざして、お支払い&チケット受け取り

Photo: Akiko Umegakiその2、遅れてくるお客様用のチケット取り置きロッカー

Photo: Akiko Umegaki
その3、センスの良いプログラム

そして、日本のメディアでは、滅多に取り上げられることがない、多くの人の優しさやサポートにより、3都市6公演、プラス、沢山のメディア対応やイベント出演を行うことができました。同時に中国という国が急成長している理由も良くわかりました。

上海公演2日目。在上海日本国総領事館にお招きいただき、上海の今、そして日本と中国のこれからについて、貴重なお話を伺うことができました。

北京公演では、19年前の公演をご覧になった李長鎖さん(写真上)という写真家の方にお会いすることが出来ました。19年前は、反日感情が強く、今のように中国人が自由に海外旅行をする前だったため、当時の客席は、非常にピリピリしていたそうです。

それが、19年経って、若い世代の人たちが、こんなにも大きな拍手や歓声で、鼓童の公演を楽しんでくれたこと、李さんも感動していましたし、私も本当に嬉しく思いました。

Photo: Wilson Tong

Photo: Wilson Tong

Photo: Wilson Tong

こうしてまた一つ、One Earth の輪が広がったこと。

19年振りということで、ほぼ何の実績も無い中国で、ゼロからスタートし、大きな扉を一緒に開いてくれた鼓童のメンバー、スタッフ、そして私たちを暖かく迎えてくれた中国側のスタッフ、そして、お客様に心より感謝します。

Photo: Akiko Umegaki

上海の野外公演、細やかで力強いサポートをしてくださった中国のスタッフの皆さんと

Photo: Hayato Otsuka

スナオと、北京の劇場の映えスポットで。

2019年7月鼓童ワン・アース・ツアー2019〜螺旋(中国)

ヴォイス・サークル/梅垣晶子

佐渡でも鶯の声が鳴り響くようになった今日この頃、深浦学舎で藤本容子さんによる、研修生のための
ヴォイス・サークルが行われ、参加させていただきました。

Photo: Akiko Umegaki

室内での発声練習のみならず、小春日和の青空の下、広い校庭では、自分が心地よいと感じる場所を選んで歌うワーク。森に響く自分の声、周りの声、鳥のさえずりや土を踏みしめる足からの感覚、近くに歩み寄ることにより、それらが、どう折り重なり、聞こえるかを感じます。

そして何より、外で大きな声で歌うってとっても気持ちがいいんです!

Photo: Akiko Umegaki Photo: Akiko Umegaki

また、好きな楽器を選んで、歌にそれぞれのリズムを合わせて、みんなで曲を完成させていったりもしました♪(特別ゲスト:宿直の草洋介

Photo: Akiko Umegaki

2日目の夜は、研修生お手製のトビウオのつみれ鍋。「写真を撮るよ〜。」と言ったら、みんなトビウオの真似をしてくれました。お鍋に入った大根は研修所産、ポン酢も手作りです。

食後は、甘酒を飲みながら、ひとりひとり好きな歌を歌い、お互いを褒め出すワーク。成長した研修生を見て、思わず泣きそうになってしまいました。

3日間で、小木おけさや木曽節などの日本の民謡を始め、アイヌ歌謡、ガーナ、パプアニューギニア、ニュージーランドの曲、そして容子さんが作詞・作曲した歌も歌いました。

Photo: Akiko Umegaki

もちろん、苦手な歌い回しのお稽古もみっちり行います。

Photo: Akiko Umegaki

タケは、逆立ちして小木おけさを歌うことに挑戦し、自分の壁を超えたようです。

Photo: Akiko Umegaki

最後は、仲間一人一人のために歌うワークです。なかなか照れます。

Photo: Akiko Umegaki

容子さんから、歌だけではなく、容子さんたちが作ってきた鼓童の歴史や繋がりも教えていただきました。

歌が苦手とか下手とかは関係なくて、ヴォイス=声、歌、言葉というひとりひとりが持っている楽器でもって、仲間とまあるく輪になって繋がる気持ちの良い時間。そして、容子さんの大きな愛に包まれた時間でした。

最後に、研修生から『ようこさん LOVE』のオムレツ❤

Photo: Akiko Umegaki

鼓童文化財団研修所