ONE EARTH/宮城紘司
北米ツアーも残すことあと10日ほどになりました。
この旅を続けていく中で度々思い返す言葉があります。
私たちは、太鼓とともに世界をめぐり、
多様な文化や生き方が響き合う「ひとつの地球」を目指します。
これは鼓童グループの活動理念です。
研修所に入所した際にこの言葉を学び、その意味について同期や先輩、後輩と話し合っていた頃を今でも覚えています。
最初は文言を覚えることで安堵し、なんとなく理解しているつもりでした。
それから数年が経ち、今このように実際に太鼓とともに世界を巡っていますと、
「世界」というのはまだまだ自分が想像していたより遥かに大きく、「自分が知らない世界」の方が大半を占めていることに改めて気づかされます。
幼少期からアメリカで育ち「北米」というものを知っているつもりでいましたが、訪れる先々では新たな発見や出会いに溢れていました。
地域によっては景色や気温も違えば、人種や国籍も様々です。
街ひとつをとっても、経済大国を象徴するかのように連なる高層ビルの下にはダンボールの上で縮こまっているホームレスが寝ています。
大学生が中心となって活気付いている学生町もあれば、家族でオシャレな服にドレスアップして公演を観にきていただけるような地域もありました。
様々な地域を巡る中で、多様な生き方や文化が混在していることを実感しています。
今回の旅では誰しもが知っているであろう大都市だけでなく、そこから少し外れた町などへにも旅をすることで様々な発見があり、その都度、自分たちの活動理念に振り返る機会を頂いています。
そんな中、鼓童の公演を観にきてくださるお客様は終演後には子どものように無邪気な顔で私に必死に感想を伝えてくれます。
「太鼓の振動が身体全体に伝わってくるんだ!」
「大きい音だけかと思ったら、すごく繊細な音もあって驚いたよ!」
「彼らはどうやったらあそこまで打てるようになるんだ?みんな疲れないのか??」
公演をおこなう場所が毎回違えど、終演後のお客様の無邪気な笑顔はみんな一緒です。
自分たちが「太鼓とともに」世界をめぐることで「ひとつの笑顔」を今回は見つけることができました。
きっと私が知らない世界はまだまだあり、今の世界情勢では太鼓を演奏することができない地域や、喜んでいただけない地域もあるかもしれません。
それでも鼓童が続く限り、新たな世界へ旅を続け、いつかはどこにでも太鼓の響きを届けることができる「ひとつの地球」ができることを楽しみにしています。
鼓童・北米ツアーメンバーは今ここ!
カナダ、オンタリオ州 トロント
2019.03.21(木) カナダ、オンタリオ州 トロント Sony Center for the Performing Arts
「鼓童ワン・アース・ツアー2019〜Evolution」北米ツアー(Kodo One Earth Tour 2019 Evolution)