南風/藤本容子

南風はえ/藤本容子

佐渡の國 鬼太鼓座から鼓童になったばかりの1982年、山口幹文の作曲です。

「鬼」から「童」へ。

その心を象徴するかのような、柔らかく、清らかな、風や波や樹々の揺らぎを感じる沖縄音階の優美な作品です。元々は、こと、スチールドラム、太鼓の構成ですが、今回は笛と鳴り物が加わり、より世界が広がって躍動感を際立たせています。

ずっと大好きでたまらなかったこの曲を、私が弾く時が来るなんて!しかも、記念のステージで。
ご縁は不思議。幸せで胸高鳴ります。

「南風」涼やかな風のひと渡りとなって、みなさまに楽しんでいただけますように。

さて、以下は、私と箏との鬼太鼓座からこれまでを記した雑文です。
気が向いた皆さん、読んでみてください。

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1976年12月15日。

私の鬼太鼓座入座の日。

佐渡両津に着いたのは夕方だった。箏を抱えてバスに乗り込むと、運転手さんが「スキーしに来たんか?」と。

新町バス停に着いたが、座からの迎えがなかなか来なくて、夜になるまで待ち続けた。真っ暗であんまり寒くて、バス停の前で大声で唄いながら待っていたら、通りの向かいの家の人がやってきて電話を使えと言ってくれた。迎えが来てくれるまでの心細さと、島の情けに触れたあの日(大声迷惑だったろうな)

加藤泰監督「ざ・鬼太鼓座」で、当時のツアーの演目となっていた「さくら変奏曲」(自作) が取り上げられた。今観ても美しい映像シーン。そして演奏も。頑張ってる若い私に拍手を送ろう。

ケースに入れると8キロの重さになる箏を、会場までの長い道のり、毎日持って歩いて通ったニューヨーク・ブロードウェイ。

その右半身への偏った負担と過酷なバス移動の連続で背中を悪くしたことが、以降10年間舞台から離れるきっかけとなる。それから久しく、箏は私にとってトラウマとなった。

演出担当者からの要請で、箏の曲を作る。離れていた時間が嘘のように、箏の音に没入してゆく。

その「もりこもり」が、坂東玉三郎さんとの共演「アマテラス」で、アマテラスの存在のテーマ曲となった。思いがけない喜び、かつ、全体の中での演奏の未熟に震えた日々。

 

一人での動きが多くなってからは、美しい音色で持ち運びにも優しい奄美の「たて琴」。より小型で、澄んだ音色の「真琴」が身近となっていた最近。

 

この度、創立40周年の舞台参加に当たって、「南風はえ」の箏を担当することになり、それは同時に佐渡に渡ってからの自分の歴史と向き合うことにもなった。

大変なことがどっさり詰まった歳月の中に、折々の小さな喜びがまばゆく光る、あっという間の45年。

その中で、箏と一緒にいっぱい汗をかいてきたことを、改めて思う。

その音色への憧れは、これからも尽きることはない。

そんな私に、この度、演奏のチャンスを与えてくれた演出の船橋裕一郎代表、ありがとうございます!

↓容子出演はこの日!

11.27(土) 17:30「童」(特別出演 藤本容子)

【鼓童】一同、劇場でお待ちしております!
https://www.kodo.or.jp/performance/performance_kodo/30257

鼓童創立40周年記念公演

2021.11.25(木)〜2021.11.28(日) 東京都渋谷区 Bunkamuraオーチャードホール

開演
11.25(木) 15:00「巴」(特別出演 見留知弘
11.26(金) 14:00「童」(特別出演 藤本吉利
11.26(金) 18:30「鼓」(特別出演 小島千絵子
11.27(土) 13:00「鼓」(特別出演 山口幹文
11.27(土) 17:30「童」(特別出演 藤本容子
11.28(日) 13:00「巴」(特別出演 見留知弘
プレイガイド
●チケットスペース Tel. 03-3234-9999(オペレーター対応) http://ticketspace.jp/top?series=1BKDO
●Bunkamuraチケットセンター Tel. 03-3477-9999(オペレーター対応) https://my.bunkamura.co.jp/
●チケットぴあ https://w.pia.jp/t/40kodo2021/ 【Pコード:197-559】
●ローソンチケット https://l-tike.com/play/40kodo2021/【Lコード:33784】
●イープラス https://eplus.jp/40kodo2021/

公演詳細はこちら!

特別企画鼓童創立40周年記念公演