New Album「兆」リリース/住吉佑太

赤嶺さんが亡くなって1年。

赤嶺さんと会うのは、海外ツアーのときが多かった。
パンデミックの影響もあって、なかなか海外に行けない時期が続いていたこともあり、
実は今でも、赤嶺さんが空港で待ってくれているんじゃないかと思ってしまう。

赤嶺さんの病状を知らされたとき、僕らはレコーディングの真っ最中だった。
そのとき作っていたのが、今日リリースされる「兆」というアルバムである。

舞台の仕事が減り、鼓童村に篭って、それでも今の自分たちにできることは何かと、
悶々と試行錯誤を繰り返す日々が過ぎていった。
そんな中でも「自分たちだけで音を録って発信していく」ことに、いち早く可能性を感じてくれていたのは赤嶺さんだった。

Pitch&Syncとの協業企画についても、赤嶺さんが舵取りをしてくれたおかげで、今の関係がある。

何か新しい音源が出来上がる度に、赤嶺さんからメッセージが届いた。

熱く、優しい、赤嶺さんの言葉は、文字からもその語り口が滲み出てくるようだった。
いつも最後は「これからも期待しています」と結ばれていた。

この「兆」というアルバムは、本当に演奏者たちだけで録音した、最初のアルバムとなる。
段取りがうまくいかないこともあったし、トラブルもたくさんあった。
その度に皆で協力しあって、それでも確実に、ここまで進んできた。

赤嶺さんが感じてくれていた可能性を、これからもますます飛躍させていきたい。
そんな「まえぶれ」でもあるこのアルバムを、赤嶺さんの命日である今日、リリースする。

赤嶺さんにも届きますように。

佐渡島より、世界へ。
願いと祈りを込めて。

住吉 佑太

「兆」アルバム配信先はこちら

赤嶺隆さんを偲んで/本間康子

赤嶺隆さんへのメッセージ