前田剛史より退団の御挨拶

鼓童メンバーの前田剛史が9月末日をもって退職することとなりました。残り僅かな期間となりますが、最後まで精一杯努めてまいります。お世話になった皆様に心より感謝申し上げます。

前田剛史より退団の御挨拶

私、前田剛史はこの9月末をもって鼓童を退団する事といたしました。

これまでたくさんの応援をしてくださった皆さまに対し、退団の発表が直前になってしまった事、心より申し訳なく思っています。

思い返せば、小学生の頃から鼓童に入りたいと夢を抱く様になり、明けても暮れても太鼓の事ばかり考えていた幼少期でした。

学校から帰れば鼓童のCDに合わせ太鼓や鳴り物を練習し、寝る時にまで鼓童のCDを子守唄がわりに寝ていた事を今でも思い出します。考えてみればよくもそんな激しい曲で寝られていたな! と自分にツッコミを入れたくなりますが…、それ程までに鼓童に憧れ、鱗模様の半纏に袖を通すことを夢見て一直線にここまで走ってきました。その憧れた鱗模様の半纏に袖を通すのも、アース・セレブレーションが最後でした。

気づけば佐渡に渡り、約13年の月日が経っていました。本当に濃すぎる程のこの時間、長い様ですがあっという間でした。

先輩に恵まれ、同世代の仲間に恵まれ、良き後輩にも恵まれ、日々の生活は決して楽しい事ばかりではありませんでしたが、仲間と歯を食いしばって過ごした日々が、本当に掛け替えのない財産となっています。

研修所、鼓童村、稽古場、舞台袖から見た先輩の姿、舞台上で見た仲間の姿…、一生忘れる事のない光景です。

現在出演させて頂いている幽玄公演も、残りわずかとなっています。

過ぎていく二度と戻らない日々に、過ぎてから気付く事も沢山あり、その寂しさと、またその日々の素晴らしさにも改めて気づきます。

鼓童は今も変わらず大好きです。改めて自分は鼓童が好きなんだなと思う事も、退団を決めてから沢山感じます。

18歳で佐渡に来た私も今年で31歳になり、3月には結婚もしました。

一人の人間として、もう一回り二回り成長できるように、今は新しい世界に飛び出したいと思っています。

本当に、ここまで支え応援して下さった皆さまへ、心より感謝申し上げます。
ありがとうございました。

そして鼓童の皆さま、本当に本当に13年間ありがとうございました。

2017年9月 前田剛史