内田依利より退団の御挨拶
5月末日で退団のお知らせをしておりました内田依利より、ご挨拶を差し上げます。
内田依利より退団の御挨拶
この5月末日をもちまして、鼓童を退団いたしました。
北米ツアーから日が経ってしまいましたが、この春は研修所の引き継ぎをしながら、最後まで研修生と向き合っておりました。
ここまで純粋に太鼓と向き合うことができたのは、いつも世界中で応援してくださる方々、共に走ってきた仲間、そしてずっと信じて支えてくれた家族のおかげに他なりません。
思えば私が鼓童に入ったのは「舞台に立ちたい!」ではなく、「勉強したい!」からでした。
カナダに高校留学時代に、自分が日本のことを何も知らないことに気づきました。
そして同時に、日本のことを熱心に学びたがっている人が大勢いることを知りました。
必要とされるところに、必要なものを届けたい。
必要な情報や人を繋げたり、自分の言葉で伝えられるようになりたい。
そのために勉強したく、また、ONE EARTHの理念に共感し、鼓童の研修所に入りました。
研修所は学ぶ学ぶで楽しかったのですが、メンバーになってからは音楽のことや舞台のことの右も左も分からず、とにかく必死に食らいついていきました。
ここ3年ほどは、海外の学校公演や、ヨーロッパWSツアー、海外の方向け合宿型WS「Roots of Kodo」を企画、遂行させていただきました。
沢山の方の支えのおかげで、鼓童に入った時の夢が叶った形となり、感謝の気持ちでいっぱいです。
この2年は研修所にも関わり、育てることを通してまた太鼓の可能性を教わりました。
太鼓は人を育てる楽器です。学び方を学べば、育つことには限界はありません。
最初に「日本のことを学びたい」と思っていましたが、私が学んだことは「学び方」だと思います。
太鼓と向き合っている内に、「日本」とは一つの型なのかもしれないと思いました。
それは先人たちが時代を経て磨き上げてきた、どんな花でも咲かせる可能性の詰まった「種」のパッケージ。
私はどのくらい鼓童でそれを咲かせることができたのかは分かりませんが、鼓童の演奏者として、皆様の前で演奏させていただいたことは心から誇りに思います。
これからも鼓童は、その種を世界に蒔き続けてくれることを願っています。
私自身は、太鼓とどのように関わっていくかは模索していくところですが、この種を持ち、「ONE EARTH」という生き方を指針として前に進んで参ります。
鼓童での10年間、温かく支えてくださった皆様、本当にありがとうございました。
そして鼓童の皆様、やりたいことをたくさん叶えてくれて、一緒に走ってくれて、本当に本当にありがとうございました。
2019年6月7日 内田依利