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本日、「永遠」川崎公演!


鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠 川崎公演

Photo: Erika Ueda

本日12月2日、神奈川県川崎市「ミューザ川崎シンフォニーホール」での「永遠」公演です。川崎市は副代表・船橋裕一郎の地元でもあります。当日券の販売は17:30からです。皆様のご来場をお待ちしております。

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ご主催のtvk、エニー・ちけっとぽーと、劇場の皆様と。

Photo: Erika Ueda

ミューザ川崎シンフォニーホールでお待ちしております!

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

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12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール

18:00開場、18:30開演
※当日券は17:30より販売いたします。

全席指定 6,500円


鼓童特別番組「鼓童 永遠の響き」をYouTube で公開中!

11月22日にテレビ神奈川で放映された鼓童特別番組を、全世界どこからでもご覧頂けます。是非ご覧ください。

▶YouTubeでみる

<番組紹介>

新作舞台「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」を携えてツアー中の、太鼓芸能集団 鼓童。中心メンバーとして活躍する坂本雅幸が、本拠地の佐渡・鼓童村をご案内。美しい初秋の佐渡を背景に、舞台では激しい演奏を繰り広げる鼓童メンバーの、知られざ­るオフステージの素顔や、鼓童メンバーになるための厳しい修業の苦労話を大公開。また­近年の坂東玉三郎さんとの珠玉の作品の数々も一挙紹介、そしていよいよ全貌を現した新­作「永遠」に賭ける想いを語り尽くします。佐渡島を拠点に世界で喝采を受ける若者たち­の魅力に迫ります。


2014年を振り返って/見留知弘


皆様こんにちは。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。

12月に入り、佐渡の最高峰・金北山にも雪化粧を見るようになりましたが、例年よりは暖かい師走の入りを迎えています。

さて、少し気が早くもありますが、今月は今年1年の鼓童を振り返ってみたいと思います。

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まず1月末のヨーロッパでの「伝説」公演と、同時進行で実施した国内での小編成公演、春には「神秘」・交流学校公演の2つの国内ツアー、さらに並行して「佐渡特別公演」と各地での小編成の舞台を行いました。

Photo: Takashi Okamotomystery_asakusa_TO_3213-f-ss

6月には2回目となりました浅草公会堂での「神秘」連続公演も成功を収め、応援してくださる浅草の方々との絆をさらに深めることができました。

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7月には交流学校公演ツアーのメンバーで、新しい演目と内容での「打男」のヨーロッパ公演を実施いたしました。2つのツアーを同時に行なうことはすでに定着していますが、今回初めて坂東玉三郎氏演出の異なった作品を世界で同時に上演できたことは、演奏者・スタッフともに大きな自信となりました。

そして夏には、地元佐渡でのアース・セレブレーション。

Photo: Takashi Okamoto

「城山コンサート」の初日は、名誉団員から準団員まで、鼓童の歴史の中でも最多となる総勢32名が出演いたしました。近年はメンバーの数も増えて、皆で同じ舞台に立つ機会がありませんでしたので、若くパワーみなぎる太鼓や、熟練の演奏など、稽古の時からお互いがとても刺激的で楽しい時間を過ごすことができました。

Photo: Takashi Okamoto

世代を超えて、同じ太鼓で繋がっている事は、改めてすばらしく、お客様にも30年の層の厚さを感じていただけたことと思います。

Photo: Maiko MiyagawaPhoto: Maiko MiyagawaPhoto: Maiko MiyagawaPhoto: Satoko Maeda

また、2日目には、新体操で磨かれ、研ぎすまされた肉体をもつ「BLUE TOKYO」の皆さんを、3日目には、さらにダンスの世界で独自な表現方法を追求する「DAZZLE」の皆さんと元ブルーハーツのドラマーの梶原徹也さんをお迎えし、ジャンルの枠を越えた、表現の融合と発信がされました。

秋には、若干のキャストの交替を行い、「神秘」の国内ツアー・交流学校公演の2つのツアーと、「佐渡特別公演」のベテランメンバーが、小編成、ソロ活動などを各地で精力的に行いました。また、昨年の11月から1年間掛けて展開して参りました「神秘」ツアーは、おかげさまで、国内のすべての日程を終了いたしました。各地の会場へのご来場とご声援をありがとうございました。なお、こちらは引き続き、北米での上演を予定しています。

Photo: Takashi Okamoto

そして11月には、新作舞台の「鼓童ワン・アース・ツアー~永遠」と、新演出の交流学校公演が、キャストを新たに稽古を始め、「永遠」は、11月20日に地元佐渡で初日を迎える事ができました。

Photo: Takashi Okamoto

この作品は、全ての楽曲が新たに書き下ろされたもので、演奏者には高い演奏技術と表現力が求められ、鼓童の舞台表現の新たな段階を感じていただける内容になっています。

両ツアーとも、これから1ヶ月にわたって各地で公演を予定しておりますので、お近くに鼓童が参りました際には、ぜひ皆様のご来場をお待ち致しております。

年の瀬の何かと忙しい日々ではありますが、公演のひととき、心を休めていただき、鼓童の音色で、一年を楽しく締めくくって頂けたらと思っております。

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アオーレ長岡公演:ご縁のある東北の芸能と共に舞台を/千田倫子


いよいよ明後日11月30日に迫りましたアオーレ長岡での公演。20日に佐渡で初日が明けたばかりの、新プログラム「永遠」をお届けしますが、他にも見どころが沢山の一日になります。

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中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭と銘打ったこの公演には、鼓童とご縁のある東北の芸能団体をお招きしています。岩手県北上市の岩崎鬼剣舞、福島県いわき市の菅波じゃんがら念仏踊り、岩手県大槌町より城山虎舞の皆さんです。

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鼓童は岩崎鬼剣舞は40年来、菅波じゃんがら念仏踊りは、18年来、師匠と仰ぎ教え頂いてきました。どちらの芸能も、もともと鎮魂や供養の目的をもった芸能。今回は、中越・東北、被災地への思いを込め演舞をして下さいます。

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また、城山虎舞さんとは、昨年12月に大槌町で開催された「奈奈子祭」で同じ舞台を踏んだのが出会いでした。壊滅的な被害から心を立ち直らせ、虎舞で地域の結束を保ち続けたいと活動されている皆さんの心意気に打たれ、思いが繋がりました。

午前中、10時から市民交流ホールAにて、各団体さんの演舞があります(無料)。また、14:30からのアリーナ公演第1部にて、鼓童のメンバーが共演をさせていただく演奏があります。
菅波じゃんがら念仏踊り(鼓童共演者:辻勝、内田依利、花岡哲海)岩崎鬼剣舞(藤本吉利)/城山虎舞(見留知弘)

Photo: Takashi Okamoto

それに続き、第2部が「永遠」の舞台という構成になります。

Photo: Takashi Okamoto

また10時からは、市民交流ホールB・Cにて、鼓童交流学校公演メンバーによる長岡の子ども達への太鼓ワークショップもあります(見学無料)。ナカドマというエリアでは、東北の物産展も同時開催されています。

どうぞ、みなさま、鼓童公演のスペシャルな一日、長岡でお楽しみください。

ハートビートプロジェクト
鼓童サイト|ハートビート・プロジェクト Heartbeat Projectheartbeat_project_logo


「鼓童 永遠の響き」YouTube で公開!


鼓童特別番組「鼓童 永遠の響き」をYouTube で公開!

11月22日にテレビ神奈川で放映された鼓童特別番組を、全世界どこからでもご覧頂ける様になりました。是非ご覧ください。

▶YouTubeでみる

<番組紹介>

新作舞台「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」を携えてツアー中の、太鼓芸能集団 鼓童。中心メンバーとして活躍する坂本雅幸が、本拠地の佐渡・鼓童村をご案内。美しい初秋の佐渡を背景に、舞台では激しい演奏を繰り広げる鼓童メンバーの、知られざ­るオフステージの素顔や、鼓童メンバーになるための厳しい修業の苦労話を大公開。また­近年の坂東玉三郎さんとの珠玉の作品の数々も一挙紹介、そしていよいよ全貌を現した新­作「永遠」に賭ける想いを語り尽くします。佐渡島を拠点に世界で喝采を受ける若者たち­の魅力に迫ります。

Photo: Takashi Okamoto

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

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11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館

公演詳細はこちら
東京公演チケット購入(ぴあ)
大阪公演チケット購入(ぴあ)


「永遠」初日/石塚充


11月20日「永遠」初日

およそ一年かけて創ってきた新作舞台「永遠」が、佐渡でめでたく初日の幕を開けました。

Photo: Takashi Okamoto

前田剛史作曲、坂東玉三郎構成「カタライ」(写真:岡本隆史)

朝日、光、風、波、動物や植物の気配、雨、雲、夜の闇、星、月、そしてまた朝が‥‥この世界のありとあらゆる現象、自然の営みが延々と螺旋状に続いていく。その中で生かされている「人々」の姿。そんな情景を、全編できたての新曲で描いていきます。

「永遠」と最初に聞いたときは、とんでもなく壮大なテーマを頂いたなと驚いていたのですが、玉三郎さんと一緒に噛み砕いていく中で、結局一番描きたいものは「人間」なんだというところに行き着き、すごくしっくりきて、力まずに曲づくりに取り組めるようになりました。

Photo: Takashi Okamoto

石塚充作曲・振付「満ちる」(写真:岡本隆史)

すべて新曲ということ、これまでの芸術監督の作品からさらに一歩踏み込んだ、まったく新しい舞台作品に仕上がっていることで、演じる自分たち自身、舞台上でどのようなことが起こるのか、お客さんが入ってみないとまったくわからないという状況での稽古がこの1年続きました。そうして、ようやく迎えた初日当日の楽屋の雰囲気は、いつもと違うじっとりとした緊張感で包まれていました。

 

Photo: Takashi Okamoto

いよいよ本番。客席からも、何が起こるのか?!という緊張感と期待感が伝わってきます。さてどうなるのでしょうか?!

ここから先は、皆様が実際に劇場で体感してみてください!
「永遠」ツアー、スタートしますよ!

Photo: Takashi Okamoto

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鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

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11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館

公演詳細はこちら
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鼓童公演チケット好評発売中!


提供:日本テレビ

日本テレビ「心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU」、テレビ神奈川「鼓童 永遠の響き」をご覧いただきありがとうございました。

鼓童出演メンバー紹介:坂本雅幸小田洋介内田依利蓑輪真弥漆久保晃佑地代純

鼓童公演については以下をご覧ください。

 

鼓童ワン・アース・ツアー2014 ~永遠

Photo: Takashi Okamoto

ツアービジュアル
芸術監督・坂東玉三郎氏演出による第3作「永遠」。今作では森羅万象の移ろいを描きながら、そこに立ち現れる一瞬の永遠を表現。全編が新曲で構成され、踊りや構成演出などにおいてもさらに奥深い表現に挑みます。鼓童らしい力強い太鼓も健在、クライマックスでは怒濤のような連打に圧倒されること必至です。
公演詳細はこちら
東京公演チケット購入(ぴあ)
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<公演スケジュール>

東京/神奈川公演
大阪公演
新潟/愛知/岡山/広島/福岡公演

鼓童 交流公演

鼓童交流公演
観て、聴いて、楽しめる演奏にメンバーのトークを交え、舞台と客席がぐっと近づく特別プログラムをお届けします。▶公演詳細はこちら

東京・小編成公演

 

Photo: Takashi Okamoto

各地の劇場でお会いしましょう!

【お問い合わせ】鼓童チケットサービス Tel. 0259-86-2330(23日9:30-12:00、24日以降は平日9:30-17:00)


佐渡にて「永遠」開幕!


「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」初日・佐渡公演

Photo: Takashi Okamoto

『雨よ風よ』 写真:岡本隆史

 

11月20日、「永遠」初日の舞台を、拠点である佐渡で無事迎えることができました。ご来場いただきました皆様、温かい拍手と沢山のカーテンコールを有難うございました!

11月末より全国の劇場を巡ります。鼓童の描く「永遠」をお楽しみください。

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

news20141120oet170

11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

交流公演メンバーもロビーでお出迎え

 


【鼓童 番組出演のお知らせ】

11月22日「心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU」和太鼓SPに鼓童が出演します、どうぞご覧ください。また同日、テレビ神奈川「鼓童 永遠の響き」もあります。こちらもお見逃しなく!

■11月22日(土)23時〜日本テレビ「心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU」出演
番組サイト:http://www.ntv.co.jp/rockyou/kokoro/2014/11/post-125.html

■11月22日(土)18:30~テレビ神奈川「鼓童 永遠の響き」放映

▶詳しくはこちら


鼓童、そして和太鼓の原点こそが『永遠』/鼓童稽古場レポート


鼓童、そして和太鼓の原点こそが『永遠』

文●今井浩一(フリーライター)、写真●岡本隆史

 ▶PDFでみる/印刷をする

佐渡に初めて渡ったとき、その日最後の輝きを放ちながら、水平線の向こうに沈んでいく太陽がなんとも感動的だった。佐渡汽船の新たな高速カーフェリーがこの秋に「あかね」と名づけられたばかりだけれど、まさにそれがあの日の夕陽の色だった。そして合わせて佐渡で大切に育てられている天然記念物のトキの色にも重ねたネーミングなのだそう。そんな佐渡の夕陽は、島の豊かな自然を象徴している気がして、それがなぜなのかはわからないけれど、他所で見る夕陽に比べて格段に劇的だった。

鼓童の稽古場で、新作『鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠』初の通し稽古を見ていて、実はそんなことを思い出していた。まるで秋祭りを彷彿とさせるような懐かしくて、温かな音色、オープニングからほどなくステージ後方に浮かび傾いていく太陽が、すぐさま佐渡のイメージを喚起させてくれたのだ。

それにしても『永遠』とはまた、過ぎるほどに壮大で、深遠なタイトルだ。

そのことについては、坂東玉三郎芸術監督はこうしたためている。

Photo: Takashi Okamoto
「永遠というテーマについて自分なりに思いを巡らせていたある日、ふと「自然の営み」が螺旋状に続いて行く、という考えに行き着いたのです。「自然の営み」を羅列することで「永遠」を表現出来たらと。厳密に言えば「永遠」というものは無いのかも知れませんが、それに繋がるきっかけとして 夜明け 光 雨 風 雲 波 星々 夕暮れ その中の「人間」というものが思い浮かび上がってきました。」

 

全員で試行錯誤する稽古場は
心、音、そして笑顔の交歓に満ちあふれていた

Photo: Takashi Okamoto

自然の営みは、人智ではどうにもならない圧倒的な力もあれば、小さな芽にも宿る生命の神秘のような力もある。そんなさまざまを、和太鼓の音色のあらゆる表情でつづっていくのが『永遠』、ではないだろうか。

これから始まるドラマを映し出すスクリーンが闇に広がっていくような曲「夜霧」(前田剛史作曲)で始まった。おりん(※1)の高音が、島を吹き抜ける涼やかな風のように響きわたる。そして横笛を軸にいろんな、新たに取り入れたものも含めた“打つ”楽器がベースのリズムを刻むメロディーは、前述した秋祭りの祭り囃子のよう。日本人の中に古くから伝わるなりわい、繰り返し繰り返し行われてきた営み。そんなものに対する郷愁をかき立てる。同時に波の音、風の音が加わり、佐渡の自然の豊かさを、海であったり山であったりの恵みへの感謝を思わせる。

(※1 正式名称は「ここちおんず」という仏具)

 

『永遠』の1部は、冒頭とエンディングが、こうした世界観で包み込まれている。和太鼓の爽快感を期待する観客をするりと交わし、はぐらかしてくすぐり、やがて燃え上がらせる。

桶胴のソロから続く「カタライ」(前田剛史作曲)では、一人の奏者の周りを大小いろんな大きさ、いろんな形の和太鼓がぐるりと囲み、そのさらに外側を4人の奏者が囲むというユニークなポジショニングで演奏が繰り広げられていく。それはまさにフリージャズのセッションのようだ。

Photo: Takashi Okamoto

「この曲は玉三郎さんから太鼓で囲ってみたらいいんじゃない? 囲った状態でつくってみてほしいと言われて作曲したものです。おしゃべり、会話するというテーマがあって、太鼓によってさまざまな拍子、それぞれに違う言葉(音)を持っているのですが、その個性がうまく混じり合って一連の曲になっていけばいいなあと。生きているうえでの、コミュニケーションとしての会話、人間の根源的な営みを描いているんです。玉三郎さんは太鼓を和音的な楽器として捉えていらっしゃるというか。音の高低が混じり合ったときのメロディー、複雑な中にも大きな波があるとか、そういうものを求められている気がします」

Photo: Takashi Okamoto

稽古場では、メンバーと同じ目線で、まさに「一緒に」作品づくりをする芸術監督がいる。すべてを瞬時にチョイスしていく姿は、太鼓の演奏はしなくとも、直感的に魅力的な要素がわかってしまうかのごとく。「カタライ」の返し稽古でも「いっそ、こうしてみたら」とメンバーのアイデアを大胆に膨らませていく。次!次!次!と叩く太鼓を指で素早く指示していく。奏者もそれを右へ左へ身体を切り返して負けじと叩き続ける。芸術監督のアドバイスによって、若い奏者たちが、動きが、音がより自由に、大胆になっていく。一息ついて芸術監督とメンバーたちが笑顔の交歓している稽古場は、皆がハジけている。そして先ほどのフリージャズは、奏者同士の濃密なやりとりへと変貌していくのだ。

 

芸術監督のさまざまなオーダーから
改めて太鼓の魅力に気づくことができた

Photo: Takashi Okamoto

この通し稽古が行われたのは9月の中旬のこと。8月21日から23日に行われたアース・セレブレーションの喧噪が徐々に秋風に変わりかけていた。しかし鼓童村の稽古場では、この11月からツアーを開始する新作『鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠』の稽古が熱を帯びていた。世界を、国内をかけめぐっている鼓童とあって、数少ない全員が集まってのリハーサルは集中度がものすごい。『永遠』に取りかかったのは今年1月のことだったそうだ。「今回はすべて新曲で行きましょう!」の芸術監督の一言から始まった。これまでの作品は、鼓童の代表的な曲を核にアレンジしたり、形を変容させながらつくられることが多かったが、『永遠』はすべてがまっさらな状態からのスタートだ。


Photo: Takashi Okamoto

芸術監督から渡された『永遠』について(冒頭の)短い文章をもとに、イメージなどを一緒になって話し合い、共有した。「それをもとにアイデア出し、発表をする機会を何回か持ちました。その内容は曲であってもいいし、太鼓を叩く形でも太鼓の配置でもなんでもいいんです。それを玉三郎さんがご覧になって、その中から得た着想をもとに新作が練られていきました。この曲のこの部分を膨らませたい、この形を使ってみたいというものを核に徐々に作品ができていく感じです」(船橋裕一郎)。その後は芸術監督がチョイスした“種”をメンバーそれぞれが育てていく作業がずっと続けられ、その全貌が姿を表したのが9月上旬だった。

『永遠』は、坂東玉三郎が芸術監督となって演出を手がける第3作目。第1作目の『伝説』は、鼓童の伝説的演目と芸術監督が手掛けた新作曲をつないだ作品だった。第2作目の『神秘』は、闇と光の交差する幻想的な空間で、演劇的な要素、役者としての立ち方を追求したものに。芸術監督が求める表現、それは鼓童にとっての新たな挑戦というべきものだった。

Photo: Takashi Okamoto

「以前の鼓童というのは、歯を食いしばって、汗を飛び散らせながらデカい音を出してなんぼみたいなところが少なからずあった。玉三郎さんには逆に引き算を要められて、しばらくは小さい音、繊細な音をひたすら練習しましたね。そのことで一つの太鼓がどういう音色を持っているのかを改めて知る機会になりました。だから作曲するときでも、そうやって発見した音を散りばめられるようになりましたね」(前田剛史)。

Photo: Takashi Okamoto

「自分たちで演出をしているときには、新しいことをやろうと思っても、昔からの鼓童の伝統にしばられた部分が意外と大きいんだなと気がつきました。半纏、鉢巻きや褌が脱げなくて、脱げないがゆえに踏み出せなかった。確かに最初は衣裳を脱ぐことにさえ抵抗がありましたが、脱いでみたら気持ちも変わって、新しいことにチャレンジすることが面白くなってきました。玉三郎さんは思いもかけないことをおっしゃるんですけど(笑)、それが今では意外としっくりくることもある」(坂本雅幸)。

Photo: Takashi Okamoto

「今まで鼓童は、和太鼓と日本の民俗芸能をベースにしていたので、洋楽的なリズムをやること、ダンスのような身体のさばきには違和感があったんです。玉三郎さんが新しいことを積極的にやらせようとされていて、戸惑いながらも自分たちの受け幅が広くなってきて、今度はこれ、今度はこれとわかるようになってきたんです」(石塚充)。

2012年の正式就任以前から続く芸術監督との10年におよぶ交流を通して、その思いはメンバーの中で消化、浸透してきたからこそ、『永遠』では、皆がフラットな状態からスタートできたのだ。

 

和太鼓とは何か? そんな問いから生まれる新たな魅力

Photo: Takashi Okamoto

『永遠』の第二部もおりん(※2)の音から始まる。どうやらこの音は、観客が日常から離れるためのおまじないのようなものかもしれない。小さなシンバルのようなチャッパと鈴(すず)などの鳴りもののアンサンブルから始まる。そこから4人が抜け出し、コンテンポラリーでありながら土着性も感じさせるダンスを繰り広げる。チャッパやガムランの鳴り響く不思議なメロディーに併せてのダンスが異空間へと観客を誘う。

(※2 正式には「久乗おりん」)

 

異空間で最初に出会うのは「焚火」(小田洋介作曲)。まるで和太鼓の概念をくつがえしていくようなユーモアにあふれた演奏だ。5人の奏者が和太鼓の縁を円を描くようにツーっとなぞる、コンコンと叩く。和太鼓というもののすべてを使って、明らかに和太鼓とは違った音とリズムを生み出していく。誤解を恐れずに言えば、目を閉じて聞いていたら、デッキブラシやドラム缶などを使ったパフォーマンス、『ストンプ』の世界に入り込んでいくようだった。それが和太鼓が奏でているものとは思えなかったのだ。鼓童の影響を受けて『ストンプ』が誕生したのはよく知られていることであるけれど、その世界観の原点であり、太鼓の奥深い可能性を見せられた気がした。

Photo: Takashi Okamoto

「永遠というテーマを考える中で、僕にとってははるか昔にさかのぼる必要性があったんです。永遠は未来だけではなく過去にもあるわけじゃないですか。だったら和太鼓の基本的な演奏方法が確立される前の段階、和太鼓が和太鼓になる前の生まれた瞬間を想像してみたとき、曲をつくるうえで、従来の和太鼓の音のつくり方を外してみようと思ったんです。もしかしたらあんなの和太鼓じゃないとおっしゃる方もいらっしゃるかもしれないけど、本当の原始の時代はどんなふうにやっていたかなんて誰もわからないじゃないですか。“従来の”という考え方自体が基本ができ上がってからのことですから」。

小田がこの発想にたどり着いたのも、『伝説』『神秘』という作品を経て、芸術監督が目指しているものが何であるかがわかってきたからだと言う。これは芸術監督が歌舞伎というものを伝統芸能ではなく現代と呼吸する表現に昇華させている姿勢に通じるものではないだろうか。鼓童の中心メンバーである小田が突出してこうした自由な発想を生み出すことは、ほかのメンバーへの影響も大きいはず。

 

Photo: Takashi Okamoto

やがて、笛の音とともに、ふさのついた長いバチを振りかぶっての踊りが始まっていく。円を描きながら回っていくうちに、それは平胴大太鼓を叩く動きに変わっていく。平胴大太鼓が1台から3台へ、叩き手も1人から数人へ。こうしたフォーメーションをはじめ、間(ま)、しなやかな動き、緩急などは芸術監督自身が大切にしているものであり、それらが皆に浸透しているのを感じさせる。「永遠というテーマを聞かされたとき、何かが回っているイメージが浮かんだんです。とにかく回りたいと考えて、最初はバチを回して、身体を回して、太鼓の周りを回ってみたら、このまま太鼓を増やしてたらと玉三郎さんがおっしゃって。回っているうちに同じところだけではなく、高まっていく感じを出せたり、太鼓を叩くだけではない空気の動きを出せたらいいなと」(石塚)。稽古場に太陽系のような関係性、引力が生まれていた。

Photo: Takashi Okamoto

そこからはおなじみの力強い和太鼓の世界。迫力あるリズムが疾走していく。鼓童のメンバーが、和太鼓と一体化しているようでもあり、壮絶に格闘するかのようでもある。気がつくと小田をはじめ3人の奏者が掌で太鼓に向かっている。それこそ、原始そうであったかのような姿からは、太鼓と闘いを通して対話をしているようでもある。これだけいろんな表情を見せた和太鼓がラストスパートに向かっていく。無骨に打ち続ける刹那がより際立っていく。最後の一打ちまで。

 

積み重ねてきたものの大切さを知る
鼓童版“温故知新”

和太鼓の魅力、和太鼓を超えた新しい魅力を鼓童のメンバー自身が発見し、それをまた観客自身が発見していく。それが『永遠』。改めて和太鼓という“もの”に無垢に向き合った。和太鼓とは何かを改めて考え、和太鼓を知り、そして当たり前だったことを投げ打ってさらに新たな可能性を広げていった。そして『永遠』では、鼓童の作品を締めくくってきた象徴たる大太鼓も登場するシーンがなくなった。でも違和感はまるでない。その代わりさまざまな和太鼓がいろいろな表情で魅せる。それが和太鼓とは思えないような音までも奏でる。だからこそ、力尽きるまで叩き続ける姿がより際立ち、感動を引き起こすのではないだろうか。そして同時に、30年以上積み重ねてきた歴史、方法論、経験、環境などなどが改めて素晴らしいものであることを実感している。新たなチャレンジの意義は、そこにもあった!

「玉三郎さんがいらしてからは、なんと言われようとも今までやってこなかったことにチャレンジをしてきた。もしかしたら、何が新しい、何が古いとかではなくて、どんなことをやっても鼓童の舞台だねって言われるようになりたいです。伝統曲も、コンテンポラリーダンスも同じ土俵で語られる武器にしていきたい」(坂本)。

「民俗芸能、和テイストのものには自分たちはすぐ行けるんです。この際、やれることはすべてやってしまうのがいいんじゃないかと思いますね。どんどん可能性を広げて、あとは自分たちで選べばいい」(前田)。

最後は小田の言葉で締めたいと思う。

Photo: Takashi Okamoto

「玉三郎さんが目指しているものが、うっすらですが見えてきました。将来どういうふうな太鼓打ち、芸能者になってほしいかという思いが見えてきましたね。求められているものが普通じゃない。より高度なものなんです。あえて言えば、これまでの鼓童より見た目は華やかに仕上がっているかもしれないけど、より古代に回帰しているのかもしれません。でもそれは鼓童の歴史じゃなくって、太鼓の生まれた理由にまでさかのぼっている感じ。僕らがやらなければいけないのは、これまで積み上げたものを置いていくこと。今まで積み上げたものの上で今があるわけですけど、同時に手放していく作業もしていかないといけない。たとえば自己表現への欲求を置いてきた先に、自分が見えてくるように。」(小田)。

だからこそ、鼓童にはこの言葉を贈りたいと思う。
鼓童は変わらない、しかし鼓童は変わり続ける。それこそが、『永遠』の姿なのかもしれない。

▶You Tube で再生 http://youtu.be/8_BHh_OyRVs

 

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

news20141120oet170

11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館

 

今井浩一(フリーライター)
日本大学芸術学部美術学科絵画科卒業。大学時代に演劇に出会い、演劇にハマる。演劇情報誌シアターガイドにて16年を過ごし、編集長、スーパーバイザーなどを経て、まつもと市民芸術館広報に。5年半勤めた後、フリーの編集・ライターに。信州を拠点に演劇をはじめ、アーティスト・クラフト作家、農家などを取材。最近はイベントの企画なども行っている。

鼓童カレンダー2015、ふわりタオル新色発売開始!/鼓童オンラインストア


鼓童カレンダー2015、ふわりタオル新色発売開始!

「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」公演のツアー会場で販売するカレンダーと、ふわりタオルの新色が鼓童オンラインストアでもご購入いただけます。是非ご来店くださいませ!

2015calendar1111 1

鼓童カレンダー2015
http://www.kodo.or.jp/store/91_1464.html

IMG_0262

鼓童ふわりタオル新色(ターコイズ/ピンク)
http://www.kodo.or.jp/store/84.html

kodo2鼓童オンラインストア
http://www.kodo.or.jp/store/index.html


ツアートラック「永遠」ビジュアルに衣替え


Photo: Taro Nishita

いよいよ今週、佐渡で「永遠」の幕が開きます。
ツアートラックもポスターと同じ写真に衣替えして出発を待っています。

鼓童ワン・アース・ツアー2014〜永遠

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11月 20日 (木) 【新潟】アミューズメント佐渡
11月 30日 (日) 【新潟】シティホールプラザ「アオーレ長岡」※
※中越大震災10年復興祈念・東日本大震災復興祈願祭 ハートビート・プロジェクト特別公演
12月 2日 (火) 【神奈川】ミューザ川崎シンフォニーホール
12月 4日 (木) 【愛知】愛知県芸術劇場コンサートホール
12月 6日 (土) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 7日 (日) 【大阪】NHK大阪ホール
12月 10日 (水) 【岡山】岡山市民会館
12月 12日 (金) 【広島】上野学園ホール
12月 15日 (月) 【福岡】博多座
12月 16日 (火) 【福岡】博多座
12月 19日 (金) 【東京】文京シビックホール
12月 20日 (土) 【東京】文京シビックホール
12月 21日 (日) 【東京】文京シビックホール
12月 22日 (月) 【東京】文京シビックホール
12月 23日 (火・祝)【東京】文京シビックホール
12月 25日 (木) 【新潟】新潟県民会館


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