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Tag ‘佐渡’

「ゆきあひ~清姫」への誘い/小島千絵子


アース・セレブレーション2015 ECシアター
小島千絵子「ゆきあひ〜清姫」

ECシアター 「ゆきあひ 清姫」は最終日8月23日の14時からあゆす会館で開催します。今年は写真集も発売になり、DVD「清姫物語」も準備中です。なかなかお目に掛けることが叶わなかった清姫の世界へ、皆様をご案内したいと思います。

まず、これまでのオリジナルメンバーのご紹介から。笛、三味線の木村俊介さん、箏の池上眞吾さん、バイオリンの西田ひろみさん、パーカッションの池田安友子さんです。

笛・三味線の木村俊介さん、箏の池上眞吾さん、バイオリンの西田ひろみさん、パーカッションの池田安友子さんと。

ECでは特別編成でお箏にかわり、韓国の琴、伽耶琴カヤグムの音色が清姫の心情に寄り添って奏でられ、一層深く皆様の心に沁みてゆくものと思います。奏者は、朴順雅(パク・スナ)さん。

さらに、さらに、二日目にフリンジに登場して下さいます、島根県温泉津・石見神楽の小林泰三さんの「蛇舞」参加も決まり、一期一会の舞台が見逃せません。

島根県温泉津・石見神楽の小林泰三さんと

先日、島根・温泉津町の小林さんの神楽面工房を訪ね、打ち合わせと稽古をしました。着々と佐渡への準備が進んでいました。

Photo: Maiko Miyagawa

そして、花八丈は物語のクライマックスに登場します。道成寺の梵鐘と見立て、清姫の思いを打ち鳴らします。皆様のご来場をお待ちしております。

清姫あらすじ

清姫あらすじ

なお、アース・セレブレーション期間中、小木町の「てぬぐいとコーヒー~日和山~」にて宮川舞子写真展「佐渡の清姫物語」を開催します。佐渡の四季を借景に撮り下ろした美しい写真の数々も、どうぞ合わせてお楽しみ下さい。
写真展詳細 http://www.kodo.or.jp/ec/event/others/kiyohime/

小島千絵子「ゆきあひ~清姫」
http://www.kodo.or.jp/ec/event/ectheatre/yukiahi/

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『炎』ー三人でのライブに至るまでー/中込健太


アース・セレブレーション2015特別フリンジ
黒田征太郎×中村達也×中込健太ライブペインティング『炎』

Photo: Kenta Nakagome

昨年の夏、大阪で行われた黒田征太郎さんと、中村達也さんのLIVEをみた。即興で自由奔放に描き、叩き続ける二人。
狭いライブハウス中に音と、色とが飛び散って、二人の「気」が高速で走り抜けていった。

心が震えた。体中に力がみなぎってくるようだった。

黒田征太郎さんが鼓童と昔関わりがあったことを知っていたので一言ご挨拶したくて、興奮冷めやらず、楽屋にいれてもらった。黒田さんに、佐渡から来ました。と話した。黒田さんは、「佐渡」、「鼓童」についてとても懐かしがってくれた。一時間以上の時間を、たった一人で叩き切った、汗だくの中村達也さんも気さくに話してくれた。さっきまで、凄まじい音をだしていた達也さん。目の前にして、僕は興奮で自分の足がふるえた。

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ー中村達也さんー
高校生だったころ、達也さんのドラムを初めて聴いた。
腹の底から、なにかが沸騰してくるような、叩くという、衝動。力強い響きに、それ以来、魅了された。佐渡にわたり、研修所での修行の日々でも、体のなかにどこか、達也さんのドラムの響きと一心不乱に叩く姿が、残っていた。そうして、自分はいつしか太鼓打ちになっていった。演奏の旅をする暮らしを始めてからもその感覚はあり続けた。大太鼓に向かっている時でも。楽器は違えど、叩くことへの獰猛な欲望を駆り立ててくれる感覚。
達也さんの音に、僕は、無条件に血が騒ぐ。

撮影:Fu

ー黒田征太郎さんー
一年の間で佐渡にいる間、僕らは毎日、黒田征太郎さんの絵を目にしている。

Photo: Kenta Nakagome

佐渡の道端、民家に描かれた絵がいまでも残っている。80年代に描かれた、鳥、犬、花、様々な絵たち。長い長い時が過ぎ、これらの絵は、佐渡の風雨にさらされ、生命みなぎる夏、凍てついた冷たく厳しい冬、幾つもの季節とともにそこにあり続けた。自然の木々や、草花、人々が暮らす家屋、野山にすむ獣たちと同化して、今、そのものになろうとし、重厚な存在感を放っている。佐渡の自然の中の、当たり前の風景になっている。太陽から、光を、雨雲から水をいただくように、そこに佇む絵からも、僕たちは、なにか力を得て日々を暮らし、太鼓を叩いている。

ー三人でのライブに至るまでー
大阪でのライブをみて数ヶ月後、「COYOTE(コヨーテ)」という雑誌で黒田さんとの対談企画に参加させていただくことになった。とにかく、ライブで受けた興奮を伝えたかった。そこでの黒田さんの話に触発され、自分の中にあった、情念のカタマリのようなものが一気に噴き出した。二人で興奮し、時をわすれて話しつづけた。『三人で、何かを、やりたい。』その取材の場で黒田さんは達也さんに、電話をかけた。そこから、『三人で何かをやる』ということがスタートした。

三人とも、移動し続ける日々をおくる旅人でもあり、一緒になにかをやる場所、時期を探り続けた。
冬の佐渡、東京、新宮…
様々な場所を考え、トライしてきた結果、今回、夏の佐渡がその場となった。

Photo: Kenta Nakagome

黒田さんは、ここまでいつも「すべてのことを面白がってやろうぜ。俺たちが面白がっていれば、いろんなことは後から付いてくるよ。」といってくれた。電話や、Fax、メール、手紙をつかってお互いにコンタクトを取り合いながら、ある時は、お互い旅の途中の大阪のbarでの集合。そういうことが、なんだかとても面白い。

Photo: Naomi Iseki

左から中村達也さん、黒田征太郎さん、北村道子さん(衣裳デザイナー)と下北沢にて。

今回のタイトル『炎』は達也さんの突然のひらめきでついた。『とにかくなにかやりたい』という思いだけで少しづつ、育ってきたこの、小さな芽が、いま小さな小さな花を咲かせようとしている。目に見えない、「縁」や、大きな力。引き寄せあう力。言葉にはならない気持ちが、なにかを動かしている。

撮影:竹谷正純

お二人に、会うたび、その素直な、人間に触れるたびに、僕はとてもおおらかな気持ちにさせられてきた。太鼓への向き合い方が、潔くなってきたきがしている。

お二人への大きな感謝と、夏の佐渡にお招きできる喜び。

いろんなことを書いたが、とにかく感じて、叩きたい。この夏に三人で佐渡で過ごす短い時間が、自分たちにとって、大事な大事な時となることをねがって。

Photo: Takashi Okamoto

黒田さんとの対談で描いた絵

佐渡の海にて黒田さんとの対談で描いた絵と。

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【EC2015】黒田征太郎×中村達也×中込健太ライブペインティング『炎』おたのしみに!
http://www.kodo.or.jp/blog/pub/20150802_7108.html
EC特別フリンジにつき、なんと入場無料です。佐渡島に集合!

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http://www.kodo.or.jp/ec/


健太、三十路につき②/中込健太


佐渡の港①

もうすぐECはじまるよー!

佐渡の港②

このあとアイス、落っことしました。

※ゴミはスタッフが回収しました。

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風雨に打たれた絵たち/中込健太


アース・セレブレーション2015特別フリンジ
黒田征太郎×中村達也×中込健太ライブペインティング『炎』に向けて

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今年のアース・セレブレーションにて黒田征太郎さんを約27年ぶりにお迎えします。黒田さんは80年代、佐渡にたびたび来られた時期がありました。今の鼓童村の近くの廃校舎を借りて「画童(がどう)」と名付けたアトリエで絵を描いておられたそうです。

今でも、当時描いた民家や貯水池の壁の絵が残っています。時が経って自然の風にさらされた作品たちを目の当たりにすると、そのエネルギーに心の中で何かが奮い立ってきます。

▼貯水池にて

Photo: Kenta NakagomePhoto: Kenta Nakagome

正面から側面へのびる絵 Photo: Kenta Nakagome裏まで続いてます! Photo: Kenta Nakagome

▼鼓童村の表札も黒田さんが描かれたものです。

Photo: Kenta NakagomePhoto: Kenta Nakagome

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【EC2015】黒田征太郎×中村達也×中込健太ライブペインティング『炎』おたのしみに!
http://www.kodo.or.jp/blog/pub/20150802_7108.html

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【EC2015】黒田征太郎×中村達也×中込健太ライブペインティング『炎』


アース・セレブレーション2015特別フリンジ
黒田征太郎×中村達也×中込健太
ライブペインティング『炎』

黒田征太郎×中村達也×中込健太 ライブペインティング『炎』

2015年8月23日12:15~ 新潟・佐渡市小木体育館

2014年12月、中込健太(鼓童)が憧れの画家 黒田征太郎さんと雑誌「Coyote」での対談をきっかけに実現した今回の企画。EC初期には城山コンサートでのライブペインティングもされた黒田征太郎さんと、カリスマ的な人気を誇る元Blankey Jet Cityのドラマー中村達也さんに中込健太が挑みます。本邦初公開、3人でのセッションです!

黒田征太郎×中村達也×中込健太メッセージ

黒田征太郎氏メッセージ
佐渡国さま。

自然が絵を描かせてくれることを
教えてもらいました。

鼓童さま。
音に身体が動かされることを
教えてもらいました。

黒田征太郎
————————————-
神サマと人が、分離精製される前からある大地、風、海。
永遠に生きていたい。そんなような、心。気持ち。炎。
旅姿三羽烏故郷に帰る。

中村達也
————————————-
今、思うこと

結果をもとめず、
お互いを感じあって
全身でぶつかってみたい。
黒田さんの、色、線。達也さんのドラムの響き。自分の叩く太鼓の音に導かれ、己の肉体は何をしでかすのだろうか。三人で、どこにたどりつくのだろう。
この場に導いてくださった、多くの人たち、天と地に、感謝し、
たたいて、たたいて、たたきつくしたい。

中込健太

出演者紹介

撮影:Fu黒田征太郎(くろだ せいたろう)
1939年大阪生まれ。米軍軍用線乗組員など多くの職を経て、1969年長友啓典とK2設立。1994年「野坂昭如/戦争童話集」12話映像化プロジェクト開始。2004年よりPIKADONプロジェクトを展開し、国内外でライブペインティング・壁画制作/絵画教室等幅広く活動中。2011年震災後、神戸・大阪・盛岡・南三陸町においてポスターライブ(売上金全額寄付)。仮設住宅の壁画作成を現在も進行中。「怒る犬MAD DOGS」(岩波書店)「火の話」「水の話」「土の話」(石風社)「教えてください。野坂さん」(スイッチ・パブリッシング)出版。
(写真:Fu)

DSC_4109中村達也(なかむら たつや)
ex. BLANKEY JET CITY
稀代のドラマー。現在の活動はソロ演奏を筆頭に、斉藤和義(vo, g)との無頼派ユニット「MANNISH BOYS」や、チバユウスケ(g)、イマイアキノブ(g)と結成したバンド「The Golden Wet Fingers」。KenKen(b)とのバトル・ユニット「SPEEDER-X」。仲井戸麗市(g)、蔦谷好位置(key)らとの「the day」の他、FRICTION, TWIN TAIL、そして自身のプロジェクト「LOSALIOS」など。多くのバンドを担う傍らで、画家の黒田征太郎とのライブ・ペインティングや、舞踏家の田中泯との創作ライブも精力的に行っている。俳優としても活躍しており『BULLET BALLET バレット・バレエ』(00年/塚本晋也監督)、『涙そうそう』(06年/土井裕秦監督)に出演。 『蘇りの血』(09年/豊田利晃監督)では主演として特異な存在感を漂わせた。’10年にはNHK大河ドラマ「龍馬伝」にも登場。持ち前の野生を生かし、様々なフィールドで活躍している。
http://www.nakamuratatsuya.jp


kentanakagome11-2中込健太
(なかごめ けんた)
太鼓芸能集団 鼓童メンバー。
2004年研修所入所、2007年よりメンバーとして活動。舞台では主に太鼓を担当。「三宅」や「屋台囃子」など力強い太鼓を得意とし、パワフルでエネルギー漲る演奏が魅力。幅広いお客様に慕われている正統派の太鼓打ち。交流学校公演では子どもたちへの太鼓ワークショップ講師も務める。
http://www.kodo.or.jp/member/kenta_ja.html
(写真:岡本隆史)

EC特別フリンジ情報 http://www.kodo.or.jp/ec/topics/2054/

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http://www.kodo.or.jp/ec/


鼓童の夏、祭りの夏/見留知弘


皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。

二ッ亀海水浴場(撮影:竹谷正純)

梅雨が明け、本当に厳しい暑さがやってまいりました。各地での猛暑日、高温注意情報、熱中症、そして九州地方での集中豪雨などのニュースを聞くにつけて、お世話になっている皆様の身を案じております。佐渡は30度を超える日もありますが、やはり海に浮かぶ島、朝夕は都会に比べれば過ごしやすく、扇風機だけで過ごせる日も、少なくはありません。日中はそんな厳しい暑さですが、私が指導を行なっております研修所は冷房がないので、熱中症にならないように、こまめに水分を補給し、休憩をとりながら、稽古を進めております。以前はここまで暑くなる事がなかったものですから、体調管理もより一層気をつけなければならないと気を配っております。

さて8月は、アース・セレブレーション、そして小木祭り(小木港祭り)と、鼓童にとって地元佐渡での祭りシーズンがやってまいりました。

撮影:長谷川みず穂撮影:前田聡子

アース・セレブレーション開催期には、海のイベント、山のイベントなども同時開催され、夜の城山コンサートはもちろん、日中のフリンジや各ワークショップ、セミナー、この時期でしか見られない小木界隈の賑やかさなど、ここでなければ体験できないイベントが目白押しです。

撮影:前田聡子

特に今年は長年続けてきた形態の一区切りとなりますので、来ようか悩んでいらっしゃる方、ぜひ思い切って佐渡まで足を運んで下さい。期間中には佐渡汽船のジェットフォイルの特別運航が決定したとのことです。(http://www.sadokisen.com/info/?cd=231)佐渡の方も小木まで足を伸ばしてみて下さい。独特な雰囲気や時間の流れは、この瞬間しか得られません。

アース・セレブレーションには都合が悪く、でも佐渡で夏を満喫したい! という方に、もう一つのおすすめとしては、地元のお祭り、小木祭り!!

撮影:河本唯

私達鼓童のメンバーやスタッフも、8月29日には「小木祭り太鼓の会」として、太鼓を打ち鳴らしながら町を練り歩き小木祭りを盛り上げるべく、参加させて頂きます。その夜には、都会では見られない3尺玉が2発も上がる花火大会。身体に響く大音量と大きさは一見の価値有りです。

小木祭りが終わると、佐渡は秋へと様変わりして行きます。

9月のシルバーウィークには、宿根木公会堂にて、鼓童佐渡特別公演2015-秋-が行われます。本公演は、本拠地の佐渡で、しかも鼓童と昔から縁の深い宿根木公会堂で鼓童をご覧いただける絶好の機会ということはもちろん、宿根木の皆様と一緒に地域を盛り上げる「地域活性化」の取り組みだとも感じています。

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そして、この宿根木公会堂での公演の魅力は、何と言っても客席と舞台の距離がとても近く、迫力ある演奏を間近で感じることができることです。

夏の祭りに秋の公演、皆様のお越しをお待ちしております。

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芸術監督坂東玉三郎氏演出 第4弾「混沌」稽古場より


芸術監督坂東玉三郎氏演出 第四弾 「混沌」

撮影:岡本隆史

和太鼓の響きの中に、きらびやかなドラムの夢が通り過ぎる… 芸術監督・坂東玉三郎演出の最新作は、次々と現れるイマジネーションの旅。緊張とリラックス、静けさと喧騒、そして混沌と融合。叩き奏でる音色が織りなす心地よい時間をお届けします。

鼓童村での「混沌」稽古より

撮影:岡本隆史

今年4月に行われた「混沌」の稽古の際、メンバーに話を聞きました。

住吉佑太

撮影:岡本隆史

●今回、新しい試みはありますか
今回の「混沌」のメインの要素としては、和太鼓に西洋のドラムを取り入れた内容になっています。そこが、今までにない、鼓童としては一番新しい試みなのではないかと思ってます。
「混沌」の稽古が始まる前に玉三郎さんがお話してくださったことがあり、本当は混沌ではなく、調和を表現したいと仰っていました。ただ、調和するということは、まず混沌としている中で初めて調和が生まれてくる、生まれうるものだということをお話いただきました。

●舞台づくりにどのように関わっていますか
具体的にはフレーズをいくつか提供せていただきました。今まではプレイヤーが曲を作って持ち寄り、玉三郎さんに提案して、そのできた点と点を線でつないでいくという作業をしてきましたが、今回は、初めの新曲のアイデア出しというのは全くありませんでした。本当にゼロの状態でスタートして、玉三郎さんがそこで思いつかれたことを僕たちにお話してくださり、そこから初めて曲にして、フレーズが生まれ、それを広げて一幕と二幕を構成するという創り方をしています。それが、予想以上に難しいですね。いつもは時間をかけて作ったものを玉三郎さんにお見せするのですが、極端な話、「じゃあ午後までにここの部分を作ってきて」ということが多々あり、どれだけ日頃から新しいものを追求し続けていて、自分の中にどれだけバリエーションがあるのか、ということを試されて、すごく勉強になった期間でした。

撮影:岡本隆史

内田依利

●今回の作品で色んなチャレンジがある中で、自分の中で克服すべき課題は
今回は本当にゼロからその場でどんどんどんどん、リズムを作っていくということで、なかなかすぐ対応できない自分もいるので、もっともっと常に新しいものを勉強していかないといけないんだなということを実感しています。

●稽古の雰囲気はどうですか
雰囲気はとても明るいです。今回はスムーズに進んでいる感触があります。玉三郎さんの方からアイデアをいただいて、何人か中心になってリズムを出したり、「適当に遊んでみて」みたいなこともありますね。「タイヤを適当に叩いて」と言われて今取り組んでいるのですが、後から映像で観ると意外に面白くて。その場で適当に叩いたものが、そのまま曲になっている部分もあります。

撮影:岡本隆史

●いつもと違う手法はタイヤの他にありますか
ドラムがまず一番大きいと思います。西洋のドラムと太鼓を単純に一緒に演奏するだけでなく、どの音とどの音が馴染んで違和感なく混ざって行けるか。一つのアイデアをその場でどんどん引き延ばして作って行くので、いつも以上に先入観を持たずに、目の前のものに対応して行くのに必死です。

船橋裕一郎

撮影:岡本隆史●「混沌」というテーマに、どういうイメージを持っていますか
読んで字の如く、訳の分からないような世界であったりとか、英語で言うカオス、そういう整然としていないようなイメージがあるんですけど、街を歩いていても、混沌とした場所とかっていうのはハラハラしたりドキドキしたりしますよね。具体的には都会の中の、ちょっと一本脇道に入ったような所とか。一歩踏み込んじゃいけない世界を味わえるドキドキ感が結構好きなので、そういったものをイメージしています。

●玉三郎さんの演出の進め方はいかがですか  
今は創作初期段階なのでタイトル通り混沌としていますが、その中からちょっと美しい場面であったり整然とする場面が出てきたりしています。今までは曲やモチーフが多かったものが、今回は一つの音から輪のように広がっていくような創り方が多い印象です。一つの音、一つの閃きから世界がどんどん広がっていって、そこを繋ぎ合わせていっている段階という感じですね。自分たちも今、どこに向かうのかまだまだ分からない所もありますが、それがとても新鮮で楽しいですね。
そして新しい楽器にもチャレンジしています。中国の揚琴という、叩いて奏でる琴です。叩きながらもメロディーが出てくる非常に綺麗な音のする楽器なので、「混沌」としている空気の中からそういう綺麗な音色が出せるように、頑張って稽古していきたいと思います。

撮影:岡本隆史


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▶「混沌」作品紹介
▶スケジュール(2015年11月佐渡初演〜12月)


研修生・津軽手踊りの稽古/千田倫子


7月6日〜7日 津軽手踊りの稽古

Photo: Chieko Kojima

津軽手踊りの石川義純(いしかわ・よしじゅん)先生と中学生のお弟子さんが研修所へ出稽古においでいただきました。鼓童は前身の鬼太鼓座初期から、石川流を創始した石川義衛(いしかわ・よしえ)先生を青森に訪ね、教えを請うてきました。義衛先生亡き後、純粋にその教えや技を守り継いできた方々のお一人が義純先生です。鼓童村で挨拶がわりに、と普段着のまま踊ってくださった先生の「あいや節」からは、津軽のふるさとの風景が広がって見え、涙が出てきて仕方ありませんでした。

Photo: Michiko ChidaPhoto: Michiko Chida

この機会に合わせて「じょんから節」を予習していた研修生もグングン吸収し、月末の発表会に向けて意欲を燃やす日々です。


鼓童文化財団研修所「夏の体験入所」のご案内/千田倫子


鼓童文化財団研修所
8/3〜8/5「夏の体験入所」のご案内

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鼓童文化財団研修所では、例年お問い合わせをいただく学生の方々の夏休み期間に合わせて、2泊3日の「夏の体験入所」プログラムを実施することにしました。いわゆるオープンカレッジのようなもので、鼓童文化財団研修所に興味を持ち、将来、応募を考えてくださっている方々で研修生の日常を一緒に体験し、研修所での共同生活の雰囲気を感じていただこうというものです。また、鼓童メンバーによる太鼓の稽古体験の時間もあり、これは、通常の見学にはないプログラムです。

上限15名としますが、まだ余裕がございます。間際のご案内になりますが、研修生、鼓童メンバー、研修所スタッフ等と気軽に話し、質問やアドバイスを受けるなど、思う存分触れ合い体験できる3日間です。興味をお持ちの方は、ぜひお問い合わせください。


<研修所紹介映像>▶Youtubeで再生 https://youtu.be/9VzM4tu2K7k

夏の体験入所

◆日時:2015年8月3日(月)〜8月5日(水)
◆会場:鼓童文化財団研修所(佐渡市柿野浦)
◆料金: 8000円(税込)宿泊費・食費等含む(佐渡までの交通費はご負担ください)
◆集合・解散
8/3(月)両津港集合15時10分(12:35新潟発フェリー)
8/5(水)両津港解散12時10分
(12:40両津発フェリー/12:55発ジェットフォイルに乗船可能)
◆参加資格:高校生以上〜24歳
◆応募締切:7月27日(月)
◆予定する主な内容
・稽古(鼓童代表:見留知弘による稽古/見留知弘の研修生への稽古を見学/研修生による稽古成果発表/トレーニング/ストレッチ)
・生活(食事作りと片付け・掃除・農作業など)
・関連施設見学(鼓童村=太鼓芸能集団「鼓童」拠点/深浦学舎=鼓童文化財団「地域づくりコース」拠点)
◆お問合わせ/お申込先:鼓童文化財団研修所(担当:千田/石原)
※電話は日中、繋がらない場合があります。恐れ入りますが、お問い合わせはできる限りメールにてお願いいたします。
Email: kenshujo@kodo.or.jp
Tel. 0259-28-2999、Fax. 0259-28-2997

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http://www.kodo.or.jp/apprentice/index_ja.html


アース・セレブレーション、一時代の節目〜これからの新しいかたち/見留知弘


アース・セレブレーション、一時代の節目
〜これからの新しいかたち

皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。新潟県は先月19日頃に梅雨入りしたようですが、佐渡は6月末にやっと雨が降り始め、農家の方も水不足を心配されているようです。

さて、6月10日に発表させていただきましたように、1988年より始まりましたアース・セレブレーションについて、今年をもちまして現在の形を一区切りする事となりました。
http://www.kodo.or.jp/ec/topics/1763/

Photo: Buntaro Tanaka

そもそもは、鼓童の最初の代表であった故・河内敏夫が、鼓童“むら”構想の中で、世界を旅する中で出会ったアーティストを佐渡に招き、佐渡から発信するということを描いたのが始まりです。それ以来、利賀フェスティバル(富山)、「SADO MUSIC FESTIVAL~なぜか突然日本海」(佐渡)、エジンバラ・フェスティバル(イギリス)などでの経験と影響を受けて、回数を重ねるたびに色々なものを取り入れ、現在の形になりました。

例年は8月に開催ですが、5月に開催した年や、テント劇場として約1カ月に渡りイベントを行った年もあり、野外イベントとして色々な形で28年間継続してまいりました。

Photo: Masakazu Sakomizu

1988年のアース・セレブレーション/Photo: Masakazu Sakomizu

私のアース・セレブレーション(EC)を辿ってみますと、1988年に行われた第一回のECは、鼓童村の開村コンサートと城山公園でのコンサート、日中に同時開催で行われた太鼓教室に参加するため、初めて佐渡に渡りました。舞台に立っているメンバーさんから直々に太鼓を教えてもらうなど、人生の舵が変わるイベントとして、振り返れば今の自分の通過点になりました。

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1989年のアース・セレブレーション

1989年は鼓童の研修生として参加しました。最終日は台風に直撃され、コンサート会場になった旧小木町体育館が、臨時の避難所に変わり、大変だった記憶が…。

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1990年のアース・セレブレーション

1990年には、準メンバーとしての舞台。初日は雨に降られ、コンサート会場から旧小木町体育館へ移動。楽器や照明、音響などを早朝から引っ越し、ドロドロとドタバタの状況で休む間もなく公演へ突入でしたが、こういう時こそ、普段でない力が出るものなのですね(笑)。

舞台の設営と撤収作業には、初回から2012年までは、スタッフと一緒になってメンバーたちも汗を流しました。何もかもをゼロから立ち上げ、3日間の公演をし、イベント終了翌日には船でお帰りになるお客様を太鼓でお見送りし、イベント会場の撤収作業。終わってから約3日間の片付けまでが、私達にとってのEC期間でした。体力的にも非常に大変ではありましたが、やはり自分達の祭りとして、あえて1年に一度のしんどさとして楽しみ、佐渡の方々、ボランティア、アルバイトの方々と皆で作り上げた、やりがいのあるイベントでした。

2004年ファンファーレ・チォカリーア(ルーマニア)との共演

2004年ファンファーレ・チォカリーア(ルーマニア)との共演

それから色々なゲストとの出会いと共演や、ワークショップ企画の年、城山コンサート後のECシアターや、色別入場整理券配布前のゲリラライブ、旧羽茂町の能舞台公演、ハーバーマーケットでのダンスナイト、昨年の鼓童大吟醸「五衆」などなど、趣向を変え、場所を変え、前年度の経験をふまえて、より良いものへと創意工夫をしながら、今の形に変化してまいりました。

そして30回の開催を2年先に控えて、この機会に、今一度、フェスティバルのかたちを見直し、私達も楽しめて、お客様にもより一層喜んで頂けるイベントとして、これからも佐渡の方と一緒にECを継続してまいります。

Photo: Maiko MiyagawaPhoto: Satoko Maeda

ECは、鼓童の拠点である佐渡島で、鼓童の野外公演を楽しめる数少ないイベントですが、城山公園での大きなコンサートのある「夏フェス」としては、一区切りとなります。今年の城山コンサートのゲストは、鼓童の一時代を作ってきた偉大な先輩、レナード衛藤さん。そして鼓童の演目にも影響を与えてきました、スアール・アグンの皆様をお迎えします。3日間の会期中は、多国籍な雰囲気漂う旧小木町界隈、各コンサートやワークショップ、佐渡全島での体験型企画をご用意して、皆様にお楽しみ頂けますよう、準備を進めております。

佐渡へは、今年3月に開業したばかりの北陸新幹線での移動も、旅の思い出として、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

また、今年4月より小木—直江津間に就航しました高速カーフェリーあかねも、楽しみの一つかと思います。ただ、今までのカーフェリーと違いまして、全席指定の椅子席ということで、定員以上は乗ることが出来ないとのことです。ご予約はどうぞお早めになさってください。

アース・セレブレーションへ、海外、国内、そして佐渡島内から、たくさんの皆様のご来場をお待ちいたしております。

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