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鼓童×石見神楽「神遊ぶ」/藤本吉利
3月20日鼓童×石見神楽「神遊ぶ」
3月20日、群馬県桐生市にある桐生有鄰館にて、石見神楽温泉津舞子連中の皆さんと一緒に公演を行ってきました。会場は江戸時代から大正時代の建造物である元味噌醤油蔵です。1部が石見神楽、2部が鼓童、そして共演というかたちでした。
共演の演目は「神遊ぶ」と題して、素戔嗚尊の大蛇退治を鼓童の「モノクローム」の演奏で行うというもの。(※)締太鼓のピアニシモの音が始まると稲田姫命が登場、次に一頭の大蛇が登場し、稲田姫を襲う。そして、次々に三頭の大蛇が登場し、稲田姫はそのなかに呑み込まれてしまう。四頭の大蛇の欲望を果たした歓喜の舞(私の勝手な解釈)となる。そして、クライマックスは素戔嗚尊が登場し大蛇を次々に退治し、稲田姫を救い出す。
「モノクローム」は本来なら締太鼓7台、宮太鼓3台、銅鑼1台で演奏されるのですが、演奏者の都合で締太鼓5台、宮太鼓2台、銅鑼1台で演奏させてもらいました。山口は銅鑼と笛、私は宮太鼓と鳴り物(鈴)で参加し、締太鼓は5人で演奏出来る様に、見留が曲のアレンジをして、新人組を猛特訓しました。
クライマックス、素戔嗚尊(スサノオノミコト)が大蛇を退治するところから、宮太鼓がドコドコドコドコと打ち出す。そして、最後の一頭を退治するところから、屋台囃子に曲が変わる。
いやーっ、エキサイティングな舞台でありました。燃えました。
1日2回の公演でしたが、「これでおしまいにするのは、もったいないね。また是非再演しましょう」と、みんなで話しました。楽しい嬉しい出会いの舞台でした。ご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
[※鼓童より]今回上演いたしました「モノクローム」の編成の変更は、著作管理者である作曲家、故・石井眞木氏のご家族のご了解を得て実現したものです。
2016年3月20日(日) 鼓童出演 桐生文化芸術発信事業
歴史的建造物 × パフォーミングアーツ「鼓童×石見神楽『神遊ぶ』」
http://www.kodo.or.jp/news/20160320kamiasobu_ja.html
今週末、桐生市にて石見神楽温泉津舞子連中との共演/見留知弘
今週末、桐生市にて石見神楽温泉津舞子連中との共演
3月20日(日)群馬県桐生市にある、桐生有鄰館 味噌醤油蔵にて、石見神楽温泉津舞子連中の皆様と共演する公演が、間もなく行われます!
▲稽古の様子
これは今年から始まった文化庁支援事業アートフェスで、桐生の歴史や文化にちなんだ創造的舞台芸術を、桐生の伝統的建造物群を会場に上演されるイベントです。桐生には日本一のスケールを誇る祗園屋台があり、その鉾には古事記の神話を題材にした江戸期の人形師松本喜三郎作の生人形が残っています。そのつながりから、石見神楽の大蛇退治を取り入れた作品を、とのリクエストを頂き、今回の公演が実現しました。
「神秘」でも大変お世話になりました、石見神楽温泉津舞子連中の小林泰三様に相談し、「鼓童の音楽で大蛇を!」というご提案をいただき、なんと、モノクロームで大蛇退治の作品を仕上げました!
島根と佐渡では移動距離も遠いため、なんども連絡を取り合い、段取りや間合いをすり合わせ、モノクロームの曲調にあった動きを考えてくださり、とてもいい作品になっています。
公演全体は、3部構成になっており、石見神楽・鼓童・そして共演と、歴史的建造物の中で行われる、特別な1日限りの公演です。1日2公演あり、11時開演、16時開演とございます。ご来場、お待ちいたしております。
▶︎公演詳細 http://www.kodo.or.jp/news/20160320kamiasobu_ja.html
桐生文化芸術発信事業 歴史的建造物 × パフォーミングアーツ「鼓童×石見神楽『神遊ぶ』」
群馬県内の歴史的建造物を舞台に、創造的舞台芸術3公演が繰り広げられる「歴史的建造物 × パフォーミングアーツ」。鼓童は第三弾の公演にて、石見神楽温泉津舞子連中と共演いたします。「鼓童ワン・アース・ツアー~神秘」での蛇舞は、この石見神楽温泉津舞子連中の皆さまにご指導いただきました。一日限りのスペシャルステージ、どうぞお楽しみ下さいませ!
2016年3月20日(日)群馬県桐生市 桐生有鄰館 味噌醤油蔵
- 開演
- 11:00/16:00
- 料金
- 4,000円(枚数制限:1人4枚まで)
- プレイガイド
- 桐生市市民文化会館プレイガイド Tel. 0277-22-9999
桐生音協 Tel. 0277-53-3133
SAP Tel. 03-5226‐8537
ローソンチケット Tel. 0570-084-008 [Lコード:36757]
イープラス(ファミリーマート) http://eplus.jp
CNプレイガイド http://www.cnplayguide.com/
- お問い合わせ
- 桐生音協 Tel. 0277-53-3133
桐生文化芸術発信事業実行委員会 (桐生市 教育委員会 生涯学習課) Tel. 0277-46-1111
「ゆきあひ~清姫」への誘い/小島千絵子
アース・セレブレーション2015 ECシアター
小島千絵子「ゆきあひ〜清姫」
ECシアター 「ゆきあひ 清姫」は最終日8月23日の14時からあゆす会館で開催します。今年は写真集も発売になり、DVD「清姫物語」も準備中です。なかなかお目に掛けることが叶わなかった清姫の世界へ、皆様をご案内したいと思います。
まず、これまでのオリジナルメンバーのご紹介から。笛、三味線の木村俊介さん、箏の池上眞吾さん、バイオリンの西田ひろみさん、パーカッションの池田安友子さんです。
ECでは特別編成でお箏にかわり、韓国の琴、伽耶琴カヤグムの音色が清姫の心情に寄り添って奏でられ、一層深く皆様の心に沁みてゆくものと思います。奏者は、朴順雅(パク・スナ)さん。
さらに、さらに、二日目にフリンジに登場して下さいます、島根県温泉津・石見神楽の小林泰三さんの「蛇舞」参加も決まり、一期一会の舞台が見逃せません。
先日、島根・温泉津町の小林さんの神楽面工房を訪ね、打ち合わせと稽古をしました。着々と佐渡への準備が進んでいました。
そして、花八丈は物語のクライマックスに登場します。道成寺の梵鐘と見立て、清姫の思いを打ち鳴らします。皆様のご来場をお待ちしております。
清姫あらすじ
なお、アース・セレブレーション期間中、小木町の「てぬぐいとコーヒー~日和山~」にて宮川舞子写真展「佐渡の清姫物語」を開催します。佐渡の四季を借景に撮り下ろした美しい写真の数々も、どうぞ合わせてお楽しみ下さい。
写真展詳細 http://www.kodo.or.jp/ec/event/others/kiyohime/
小島千絵子「ゆきあひ~清姫」
http://www.kodo.or.jp/ec/event/ectheatre/yukiahi/
島根での「石見神楽」稽古/花岡哲海
改めまして、明けましておめでとうございます。本年もどうぞ、鼓童をよろしくお願い致します。
さて、みなさんはどんなお正月を過ごされましたか?
僕は1月28日から始まる「ワン・アース・ツアー2015〜神秘 北米ツアー」に向け、新人を加えた「大蛇(おろち)メンバー」で島根県・温泉津(ゆのつ)で稽古をしておりました。
指導して下さったのは小林泰三さんを始め、温泉津町を中心に活動をしている、温泉津舞子連中(ゆのつ・まいこれんちゅう)のみなさんです。小林さんは神秘の構想から大蛇に携って下さった方の1人で、ご自身は石見神楽(いわみかぐら)の舞手であり神楽面の面職人でもあります。神秘で使っている蛇頭も、小林さん作なのです。
今回は新人を中心に稽古を進めて頂き、「どうしたらスムーズに動けるのか」「どうやったら大蛇に見えるのか」など、細かい所作や蛇胴のさばき方などを教えて頂きました。改めて気付く部分も多く、単純な動きに見えてすごく洗練されているのが石見神楽なんだなぁと感じました。
今回の稽古では「夜神楽の『大蛇』に参加する」というミッションがありました。「夜神楽」とは、毎週土曜日に温泉津町の龍御前神社の社殿で行われる、温泉津舞子連中の定期公演です。2年前に初めて稽古に来た時も参加させて頂きました。
夜、公演に向け社殿が飾り付されていくのですが、だんだんと石見神楽の空間や空気ができあがっていく様子は、とても感動するものがあります。神聖な場でありながら神様にすごく近いというか、崇敬の念を持ちながら身近に親しんでいる、そんな石見の人々と神様との関係が垣間見えました。2015年の初回の夜神楽公演ということもあり、神様が降りられる天蓋(てんがい)を特別に吊り、公演の支度が整いました。
今回は「大蛇」の他に、場を清めるという意味の演目「塩祓い」の「奏楽(お囃子)」をさせて頂きました。小林さんは舞手として加わって頂き、無事に演奏ができましたが非常に難しかったです。
お囃子の魅力というのは、聞くだけで踊り出したくなったり動きたくなったり、唄いたくなったりなど、人の気持ちを駆り立てる力がある所だと僕は思います。石見神楽は数百年受け継がれている芸能なので、観客を魅了し舞手を奮い立たせる、そんなお囃子が長い歴史の中で育まれて来たのだと思いました。ゾクゾクしてワクワクする、そんなお囃子や演奏ができる太鼓打ちになりたいものです。
「塩祓い」「恵比寿」と演目は進み、最後の演目は「大蛇」。『全国を旅するスサノヲが出雲の斐伊川に来た所、嘆き悲しむ親子に出会いました。翁曰く、毎年 八岐大蛇がやってきて娘を食べてしまい、最後の1人になってしまった。スサノヲは娘との結婚を条件に八岐大蛇退治を引き受け、見事に大蛇を切り捨て退治しました。』というのがストーリーです。
僕は大蛇を2年前の春に初挑戦し、今回で2回目となります。始まってしまえばあっという間という時間の印象はかわりませんが、1つ1つの所作に気をつかったり表現などに工夫を凝らしたりなど、前回よりもできた感覚はありました。また次に来た時は、もっと良いものにできたらと思います。
稽古中や本番前、ふとした時などに小林さんはお話をして下さいます。
「哲海くん、良いものってのは時間がかかるんだよね。」
確かに、石見神楽に限らず芸能や芸術など、僕らが「いいなぁ…」と思うものには相当な時間が費やされています。その時間は、毎日の少しずつの積み重ねや失敗苦労の連続、良いものにしようという気持ちの表れです。だからこそ人々を魅了し、惹き付けるものが生まれるのだと思います。
そして小林さんは続けます。「あたり前のことで良いから毎日やりなさい、しかも丁寧にすること。」
あたり前のこと、出来ているようで出来ていないこと。あいさつをする、靴をそろえる、感謝をする…。十人十色、その人にとっての「あたり前のこと」はいろいろありますが、あたり前なことの丁寧な積み重ねこそが、芸を極めるという事に繋がるし根源であると思います。舞台に直接関係する事でなかったとしても、巡り巡って役立つことがある。だからこそ、舞台人である前に1人の人間として芯をもっていきたいです。
北米ツアーまで残り2週間ちょっと。鼓童を、日本の太鼓を、日本の芸能を伝えるべく頑張ります!
鼓童ワン・アース・ツアー2015~神秘 北米ツアー
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule13a
浅草公演に向けて/花岡哲海
今月21日から25日の5日間、浅草公会堂で行われる「鼓童ワン・アース・ツアー〜神秘」。昨年は、僕が初めてツアーすることになった「伝説」を連続公演させて頂きました。あれから1年。またパワーアップした鼓童の舞台をお見せする機会を頂き、今から楽しみです!
今回、島根県は西部・石見地方に伝わる石見神楽の「大蛇」が舞台に取り入れられています。2013年の4月から出稽古に伺い、1年かけて演目「蛇舞」を作り上げてきました。
石見神楽の師匠でもあり、蛇頭を製作して頂いた小林泰三氏の言葉「簡単なことで良いから毎日やりなさい。そして、丁寧にすること。」毎回の公演をより良いものにするため、日々邁進しています。舞台ではどうぞ、「蛇舞」にご注目ください!
また、「神秘」では「闇」がたくさん取り入れられています。神秘的な事と闇とは、深く関係していると僕は思っています。佐渡島で生活していて経験したこと、街灯も何もない鼓童村で闇夜に浮かぶ月明かりを見た時、提灯の淡い光の中でお祭りが最高潮に達した時…
暗い闇の中は一見恐ろしげに感じますが、そこから神秘的なものが生まれるものです。そんな不思議な世界が表現された「神秘」、ぜひ見て聴いて感じて頂ければと思います!
撮影:岡本隆史
【浅草公演】6月21日〜25日浅草公会堂
▼舞台について
鼓童ワン・アース・ツアー〜神秘
▼各公演日の詳細はこちら
6月21日(土)16:00開演
6月22日(日)15:00開演
6月23日(月)15:00開演
6月24日(火)18:00開演
6月25日(水)14:00開演
▼チケットのお求め
浅草公会堂 Tel. 03-3844-7491
tvkチケットカウンター Tel. 0570-00-3117 http://tvkcom.net/
鼓童ワン・アース・ツアー 〜神秘/寄稿●玉重佐知子氏
『アマテラス』から『神秘』へ
〜日本の心の、神話や民俗芸能に潜む神秘と出逢う舞台
文●玉重佐知子
写真●岡本隆史、玉重佐知子、上田恵里花
新作『神秘』の開幕迫る ─巳年の縁に導かれて
地鳴りのような響きの中を渦巻く大蛇、荒ぶる鬼や囃子。ほの暗い闇に浮かび上がる、時に怖くもあり、どこか懐かしい存在…。『神秘』は、日本各地に伝わる民俗芸能が持つ、神聖さや祈りの中に潜む神秘的な空気を鼓童の太鼓で表現する作品だ。神社や仏閣、あるいは、身近な森での様々なものとの出会い、そこで感じる非現実的で素晴らしい雰囲気が劇場で繰り広げられる。
玉三郎さんが公演の演出のため佐渡の鼓童村に通い始めた2001年は巳年だった。 ▶続きを読む