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石塚充インタビュー by ジョニ・ウェルズ


ジョニ・ウェルズ氏が、石塚充にインタビューを行いました。英語のブログに掲載されているインタビューを和訳して、皆さまにお届けします。

石塚充インタビュー by ジョニ・ウェルズ

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鼓童村にて(写真:ジョニ・ウェルズ)

石塚充の父親は太鼓界で先駆的存在である助六太鼓の結成メンバー、兄と妹はプロの太鼓奏者、弟は太鼓職人の見習いである。充は5歳の時に舞台デビュー。しかし、鼓童研修所2年生のとき、太鼓についてそれまでに学んできたことを全て忘れ、ゼロからのスタートを切ることを決意した。

Photo: Takashi Okamoto

石塚充は、1979年8月6日に東京で太鼓の世界に生まれた。4歳のとき、両親が子どもを育てるのに良い環境だろうと考え、埼玉の山の中腹に一家で引っ越した。父と兄はプロの長唄のの囃子方の打楽器奏者だ。母は太鼓奏者で、弟は東京で太鼓づくりの修行をしている。そして、妹は横浜で太鼓を教えている。

一番古い記憶は、父の部屋から聞こえてくる鼓の音だ。充が初めて舞台で太鼓を演奏したのは5歳のとき。小学生の時は父親が指導していた地元の太鼓グループに参加していたが、当初は親やまわりの大人のすすめではじめただけで、特別自分がやりたいとか、楽しいという気持ちはなかった。
充が中学生になり、学校の民族芸能クラブに入ってその心境が変わった。そこでは、三宅や屋台囃子、鬼剣舞などを稽古した。これまでと違う環境で太鼓を演奏することで自立心が生まれ、太鼓を心から楽しむようになった。中学、高校時代はほぼ毎日太鼓を打っていた。学校の太鼓部だけではなく、家に帰ってからも兄や友達と一緒に太鼓に興じていた。まさに、太鼓漬けの日々を送っていた。音楽の好みは幅広く、学校でアコースティックギターのライブをすることもあった。

父や兄の姿を見て来た自分にとって、太鼓や舞台の世界へ飛び込むことは自然な選択だった。高校2年か3年の時、他の鼓童メンバーと同様、東京の新宿にあったシアターアプルで鼓童の舞台を初めて観た。

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屋台囃子(石塚充は前列左)

鼓童の舞台やそのグループの背景は、太鼓という人生を選んだ自分にとって、挑むべき道であると感じた。そして、充は鼓童について調べはじめた。鼓童の研修プログラムに応募することを決意したが、その年の応募期限は過ぎてしまっていた。そのため、他の太鼓関係の仕事を探した。父親の知り合いがフリーの太鼓奏者として活動していたので、付いて回り、裏方として、また演奏者として1年間を過ごした。時々報酬も得た。今振り返ってみると、一年間旅をして良かったと思っている。高校を出てすぐ何も知らないまま鼓童に入るよりも、人生についての視野が広がった。

充は研修所に入ったとき、徹底的な鍛錬を求めていた。厳しさと痛みを予想していたし、もしかしたらそれを望んでさえいたかもしれない。しかし、本物のプロとして舞台に立てるようになるための、世界中の人々にメッセージを伝えられるようになるためのトレーニングと稽古は想像以上に厳しかった。一年目は、できる限り一所懸命に取り組んだ。体力とスタミナを付けるためにトレーニングをし、テクニックを磨き、音楽の曲想をよりよく伝え、演奏でニュアンスを付けられるように稽古に励んだ。そして、プロの舞台人として、また、人として何よりも大切なこと、精神的に強くなるために必要な厳しいトレーニングにも堪えて努力しつづけた。その時まで充は、ただ楽しくて、自分の楽しみのために演奏していた。しかし、それまでのやり方を続けていれば、自分の能力に対して本当に成功できるという自信を持てないと感じた。

それを克服して本当に良い演奏者、“プロ”になるために、そのときまでの自分を全て捨ててしまわなければならない。ゼロからのスタート。二年生の一年間は、そのような意気込みで研修に取り組んだ。

その瞬間から、研修所での経験は全く変わった。きついと思っていた稽古は面白く感じるようになり、自分の太鼓が大幅に上達したと感じた。そして、鼓童の準メンバーとして認められ、すぐに交流学校公演ツアーに参加した。佐渡の辺鄙な場所で凍えながらも汗を流した2年半の後、再び観客の前で太鼓を演奏し、聴いてもらうことは、とても気持ちが良かった。

鼓童メンバーとしての14年間に、充は、手首を使う桶胴太鼓よりも、体全体を使って演奏する平胴太鼓のような大きな太鼓を得意とするようになった。鬼剣舞のような踊りや佐渡の鬼太鼓も好きだし、何曲か作曲もしている。その内最もよく演奏されるのが、「あじゃら」と「また明日」の2曲だ。また、26歳の時から、「鼓童ワン・アース・ツアー」、「鼓童12月公演」、「アース・セレブレーション」等、沢山の舞台の演出を担当してきた。そして、「アマテラス」では坂東玉三郎氏のもと、音楽監督を務めた。

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(写真:宮川舞子(左)、岡本隆史(中央・右))

Photos: Takashi Okamoto

芸術監督・坂東玉三郎氏との作品作りについては、充は、生み出される作品そのものだけではなく、むしろ作品の作り方がこれまでと異なると言う。玉三郎氏は太鼓奏者ではなく、また作曲者でもない立場で、観客としての視点から作品を見ている。そして、決して「こんな音をください」とは言わない。それよりも、「このようにしたら、もっと気持ち良い音になりますよ」という言い方をする。芸術監督は歌舞伎俳優なので、舞台上での感覚や気持ちをどのように表現するかということに関心がある。特別難しい曲を演奏した後に、玉三郎氏は、「こう動きなさい、ああ動きなさい」とは言わず、「今こんな気持ちだったら、その時に自分が自然と気持ちよいと思えるように動きなさい」と言う。それはテクニックの問題ではなく、どのように感情を表現するのか、ということだ。

また、玉三郎氏は鼓童にとって新しいことに挑戦すること、今まで誰も舞台に乗せようと思ったことがないアイディアに対し、抵抗がない。しかし、このように自由がある反面、新しい作品を創造する責任は大きくなっている。玉三郎氏の演出のもと、鼓童は従来の「鼓童ワン・アース・ツアー」を主体とした公演から、「アマテラス」、「伝説」、「神秘」、「永遠」など、作品の幅を広げてきた。そして、これからまだまだ生まれる予定だ。

また、充が何度も出演している「打男」という公演もある。打男のアイデアは、何もない、装飾もない舞台に全くシンプルな衣装、太鼓以外の楽器はほぼ使わないというもので、観客はまるでプライベートな太鼓セッションに聞き耳をたてているような感じがする。ひたすらに太鼓を打って打って打ちまくりその喜びを伝える舞台で、90分の後には観客は演奏者と一緒に走っていたかのような疲労感を感じるに違いない。それは心地よい疲労感だ。充は、「打男」という作品に関わって以来、通常の鼓童公演を難しいと感じなくなった。

演奏者として、充は自分の周りの人々の期待にきちんと応えることを楽しみにしている。そして、演出では、玉三郎氏から学んだことを少しでも舞台上で実践できるようになることを望んでいる。

Photos: Takashi Okamoto


石塚充は、「鼓童ワン・アース・ツアー2015〜永遠」ツアーに参加中。6月10日(水)から15日(金)まで、浅草公会堂での鼓童「打男DADAN2015」公演にも出演いたしました。

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「永遠」6〜7月、9〜10月国内ツアー
http://www.kodo.or.jp/news/20150606oet_ja.html

【6〜7月】新潟・神奈川・埼玉・群馬・千葉・大阪・長野・京都・愛媛・広島
【9〜10月】千葉・茨城・宮城・山形・岩手・秋田・静岡・愛知・兵庫・鳥取・山口・福岡・鹿児島


ジョニ・ウェルズ(Johnny Wales)

1953年、カナダ・トロント生まれ。トロント大学卒業(学士号取得)。1975年に初めて日本を旅行、その際、鼓童の前身である「佐渡の國 鬼太鼓座」に出会う。また文弥人形の師匠である浜田守太郎氏にも出会う。1976年カナダに帰国、鬼太鼓座の初めてのカナダツアーの制作を担当。1977~78年、佐渡に住み文弥人形を学ぶ。それ以来、鬼太鼓座、そして鼓童の仕事にたびたび関わりながら、文弥人形の指導、通訳、翻訳、また舞台照明の仕事に従事。その後、文弥人形の指導、活動をしながら木彫師として鼓童の舞台で使用する面を作成。1987年には The Kodo Beat(英文ニュースレター、2011年春に終刊)の最初の編集者として活躍。写真家、イラストレーター、そして Kodo eNews(英文電子ニュースレター、2013年12月に終刊)やブログ作成にも関わる。現在、ジョニ・ウェルズはフリーランス・イラストレータ、アニメーター、木彫師、人形遣い、そして作家としての肩書を持つ。カナダでは7冊の児童向け作品の挿絵を描き、その中の一冊『Gruntle Piggle Takes Off』(Viking Childrens Books出版)において、1996年、カナダの文学作品賞であるThe Governor General’s Awardの候補となる。1995年より、読売新聞にて、東京についてのイラストによるコラムを連載。現在、佐渡にて妻・智恵子と秋田犬のKyla (カイラ)とともに暮らす。

Website: www.johnny-wales.com (英語・日本語)


【番組放映】BS1とNHKワールドで放送「Journeys in Japan」で鼓童研修所紹介


BS1とNHKワールドで放送「Journeys in Japan」で鼓童研修所紹介

提供:Journeys in Japan提供:Journeys in Japan

外国人リポーターが日本各地を訪ね、外国人の視点から日本の新たな魅力を発見する旅番組「Journeys in Japan」で佐渡と佐渡の芸能・鬼太鼓が特集されます。その中で鼓童文化財団研修所や鼓童についても紹介、研修生による太鼓演奏や研修生活についてのリポートもあります。なんと世界130カ国で放映!各国の皆様、ぜひご覧ください。

番組名:Journeys in Japan

【放映時間・放送局】
1)NHKワールドで放送(NHK worldのWEBサイトで試聴可能):2015年6月23日8:30〜、14:30〜、21:30〜、24日午前2:30〜(各28分)
日本国内ではNHKワールドのホームページでストリーミング放送がご覧いただけます。
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/

2)BS1で放送:2015年6月24日(水) 午前3:00~3:30(=23日深夜)
http://www4.nhk.or.jp/journeys/

3)NHKワールドオンデマンド:放送後、全世界で視聴可能(放送後30日程度)。NHKワールドのWEBサイトからアクセス
http://www3.nhk.or.jp/nhkworld/en/vod/journeys/20150623.html

【番組内容】新潟県佐渡島。その昔、流人(るにん)がもたらした京の都の貴族文化、商人が運んだ町人文化、江戸の武家文化が交わり、独自の文化を育んできた島だ。京から配流された世阿弥が発展させたことで知られる能を始め、太鼓に合わせ鬼が舞う「鬼太鼓」や「文弥人形」など、まさに佐渡島は伝統芸能の宝庫である。今回は、コンテンポラリーダンサーのアレッサンドラが、鬼太鼓を学ぶ旅。暮らすように佐渡に滞在し、鬼太鼓の稽古に励む。生活に根差した芸術とともに発展してきた佐渡島の魅力を伝える。

Photo: Erika Ueda

コンテンポラリーダンサーのアレッサンドラさんと鼓童研修生(研修所にて)


佐渡・羽茂祭り「薪能」/本間康子


6月15日佐渡・羽茂祭り「薪能」

羽茂祭りでは、毎年薪能が奉納されます。夕刻、かがり火の火入れ前に仕舞や舞囃子が演じられ、研修生も仕舞「紅葉狩」を披露させていただきました。

Photo: Yasuko Honma

能舞台に立つ経験など、なかなかできるものではありません。自然の風を感じながら舞ったり謡ったりするのは、気持ちがよかったのではないかと思います。

Photo: Yasuko Honma

この舞台に向けて、5月に宝生流能楽師・朝倉俊樹先生に初めてご指導いただきました。舞を舞った4人はもちろんですが、地謡も研修生だけで謡うことを目標にしましたので、地頭(リーダー)役となった人が中心となって一生懸命復習したことと思います。本番では、地謡の声が稽古の時よりもよく揃っていました。

羽茂昭諷会の皆様には、着物や袴の着付けを見ていただいたり、様々にお世話になりました。なお、メインイベントの薪能の写真は、私も地謡で参加しておりましたため、残念ながら撮れませんでした。


「打男」いよいよ10日より浅草・連続公演!


鼓童「打男 DADAN 2015」いよいよ今月10日より浅草で連続公演いたします。選りすぐられた鼓童メンバー13名が生命の限りを尽くして太鼓を打ち鳴らし、疾走する90分。ご来場、お待ちしております!

「打男」稽古(4月鼓童村にて)

撮影:岡本隆史

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

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Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

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出演者:船橋裕一郎、石塚充、小田洋介、坂本雅幸、前田剛史、地代純、三浦康暉、神谷俊一郎、鶴見龍馬、渡辺健吾、池永レオ遼太郎、大塚勇渡、北林玲央

[チケットについてのお知らせ]
6月10日(水)完売いたしました、当日券の販売はありません。6月13(土)、14日(日)は前売り終了、当日券販売の有無は未定です。当日券販売可能な場合は、開場の30分前より会場内の当日券売り場にて販売いたします。

 

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「打男 DADAN 2015 」まもなく開催!


「永遠&打男」ツアー班、いってきます!/三浦康暉


いってきます!

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昨日は交流公演班を送り出し、今日は僕達「永遠&打男」班が送り出されました。

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「いってらっしゃーい!」送り太鼓の様子

では、気を付けて行ってきます!

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それでは全国の皆様、劇場でお会いしましょう!

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「永遠」6〜7月、9〜10月国内ツアー
http://www.kodo.or.jp/news/20150606oet_ja.html

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「打男 DADAN 2015 」まもなく開催!


船橋裕一郎インタビュー by ジョニ・ウェルズ


ジョニ・ウェルズ氏が、船橋裕一郎にインタビューを行いました。英語のブログに掲載されているインタビューを和訳して、皆さまにお届けします。

船橋裕一郎インタビュー by ジョニ・ウェルズ

船橋裕一郎(写真:ジョニ・ウェルズ)

船橋裕一郎(写真:ジョニ・ウェルズ)

船橋裕一郎は、1974年5月9日に、サラリーマンの父と病院勤務の母の間に生まれる。神奈川県南部の二宮町出身。6歳上の姉がいる。子供の頃は周囲の盛り上げ役で、サッカーと野球に興じる日々を送っていた。その当時はコマ回しが一大ブームで、コマ回しにも夢中になった。裕一郎が生まれたのは第二次ベビーブームの終わり頃で、どこも子供で溢れかえっていた。小学校には1,000人以上の児童が通っていたため、友達と遊ぶには事欠かなかった。

中学校ではバレーボール部に入部。以来、高校に上がるまでバレーボールに明け暮れる日々を送った。高校は近所にあったものの生徒数が非常に多く、知らない顔に囲まれてどこか浮いているような感じだったと言う。アメリカン・フットボールと茶道という全く異なることを習いながら、遺跡発掘のアルバイトにも通い、とても物憂い3年間をやり過ごした。その後、京都造形芸術大学へと進む。大学では考古学と発掘物の保存を学んだ。発掘を楽しみ、水中考古学にも興味を持ち始めた。スキューバダイビングの免許取得のための準備をしていた時、人生の岐路に差し掛かる。太鼓が人生に登場したのだ。
ある日友人に誘われ、大学に新しく出来た太鼓クラブに顔を出すようになった。10人ぐらいの男女が1週間に数度の活動を始め、「和太鼓しん」というグループ名を背中に入れた法被を作るまでになった。京都の和太鼓奏者から指導を受け、ついには地域のイベントに出演できるほどになった。裕一郎曰く、「当時の私は技術を情熱でカバーしていました。」

大学2年のある日、裕一郎は鼓童のコンサートを観る。「これは一体何だ?!」。鼓童の演奏は見せ方も音も全く違った。鼓童のスタイルはシンプルで真っすぐで、余分な物を削ぎ落としたものだった。そして卒業後、プロの太鼓奏者を目指し鼓童に入ることを考えはじめた。第10回目のアース・セレブレーションを観に佐渡へ渡ったことがあり、全く知らない世界に飛び込むわけではなかった。鼓童と佐渡はとても楽しいように見えた。しかし、それは8月のこと。鼓童の研修生に応募することを決め、次に佐渡へ渡ったのは1月のある日。吹雪の中、荒れる海を渡った。冬の雷を目の当たりにしたのはその時が初めてだった。研修所への入所試験は上手く行き、合格。両親の応援を受けて佐渡へやってきた。

研修所での2年間は、人生を変える経験だったと振り返る。稽古と生活スタイルはとても厳しいものだったが、辞めようと思うことはなかった。一番辛かったのは、遠く京都にいる彼女(現在の妻)と離ればなれになっていることだった。

そして研修所の2年生の時、数人の先輩プレイヤーが佐渡南東部の柿野浦にある研修所に来た。初めて間近で彼等の演奏を聴いたことはいつまでも忘れられない。自分が出す音とは、音量だけではなく質も全く異なり、自分にはそんな音を出すことは無理ではないかと痛感した。この時、今まで太鼓について学んできた全てのことを忘れ、もう一度ゼロからスタートを切ることを決意した。

稽古以外にも、研修生は多種多様な活動に取り組む。農作業、茶道、狂言、様々な物作り。本当に沢山の科目が詰め込まれているので、太鼓の稽古にもっと時間を使えたら良いのに、と思うほどだった。

Photo: Takashi Okamoto

2年間の研修所生活の後、新しいミレニアムの最初の年に、鼓童への入団を認められた。他の準団員らと共に春の学校交流公演ツアーに参加した。裕一郎は今日まで、研修所で共に過ごした仲間との強い絆を感じている。その後14年間に渡り太鼓や歌、踊りを担当してきた。またアース・セレブレーションの城山コンサートの演出も何度か担当した。

Photos: Takashi Okamoto

裕一郎は現在、鼓童ワン・アース・ツアーの最新作「永遠」に深く関わっている。坂東玉三郎氏の演出による舞台は「アマテラス」には出演していたが、「伝説」と「神秘」の公演時には学校交流公演ツアーに回っていた。

「伝説」は、鼓童がこれまでに積み重ねてきたものを土台に、新しい作品を織り交ぜたものだった。「神秘」は島根県・石見神楽の蛇舞に取り組む等、日本の伝統的な芸術モチーフを含んでいた。

Photo: Takashi Okamoto

しかし「永遠」は全てが新しい。演奏される曲の一つ一つがこの舞台のために作られたものだ。1年前に舞台の創作が始まる時、玉三郎氏は作曲や舞台のアイデアを練る際に心に留めておいてほしいことを書き示した。例えば、「季節」、「朝日」等についてである。それから演奏者達は作曲に励み、玉三郎氏に披露した。「永遠」は、玉三郎氏が選んだアイデアを使いながら徐々に形になり始めた。

Photo: Takashi Okamoto

Photos: Takashi Okamoto

玉三郎氏は折に触れて小さな音の重要性を説く。速度と密度が増して減ること、初めに戻りまた繰り返すことを好む。それは大きな輪の中の人生のようであり、時間そのもののようでもある。裕一郎は初めはよく分からなかったが、今ではプレイヤー達は皆「永遠」の感覚を掴みはじめていると言う。鼓童の舞台は、これまで演目の集合体を一つの作品として仕上げるものだったが、玉三郎氏は舞台を一つの創作と見ている。これまでは一つの曲が静けさから爆発的な盛り上がりまでを網羅していたが、玉三郎氏との舞台づくりでは、それぞれの曲は、一つの大きな絵の一部になっている。ある曲がある一定まで進んだら、終わりに向けてボルテージが上がることなく、そのまま終わることもある。そして次の曲はさらに盛り上がる、というような感じだ。

Photo: Takashi Okamoto

演奏者達は、一つ一つの曲のために感情をコントロールして抑制することを稽古しなければならない。裕一郎はそれはとても難しいと思うが、反面とても自由であるとも感じている。古くからの鼓童ファンも、鼓童が挑戦し、新しい太鼓芸能を切り開いていることを理解してくれることを願っている。

Photo: Takashi Okamoto

裕一郎は、鼓童の従来の演目を繰り返し演奏することも好きだが、成長したいとも強く思っている。新しい方向性に向かうことに喜びを見出しているが、不安な要素もある。公演日まで1、2か月しかないのに、まだ舞台が完成していないのだ(2014年秋現在)。玉三郎氏は「大丈夫!何とかなりますよ!」と言うが、曲はどれも技術的にとても難しく、全て一から学ばなければならない。裕一郎は不安であることを隠さない。

インタビューにて(写真:ジョニ・ウェルズ)

インタビューにて(写真:ジョニ・ウェルズ)

裕一郎は定期的に舞台に立つ団員の中で、最も年輩になったことを自覚している。太鼓芸能集団鼓童の副代表として、団員を管理し舞台をやり遂げることへの責任も強く意識している。どうすればこのグループをより良くできるのか。どうすれば団員として、また観客から見て楽しいグループになるのか。一人一人が自分の力を最大限に発揮するにはどうしたら良いのか。不惑を迎え、裕一郎は先輩プレイヤーと若いプレイヤー達、鼓童の偉大な歴史とまだ見ぬ心躍るような未来とを繋ぐ責任を感じている。

(インタビューは2014年秋に実施)
稽古・舞台写真:岡本隆史

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「永遠」6〜7月、9〜10月国内ツアー
http://www.kodo.or.jp/news/20150606oet_ja.html

▼船橋の母校公演!京都造形芸術大学内・春秋座「永遠」公演
7月11日 http://www.kodo.or.jp/oet/20150711a_ja.html
7月12日 http://www.kodo.or.jp/oet/20150712a_ja.html
【問】京都芸術劇場チケットセンター Tel. 075-791-8240


ジョニ・ウェルズ(Johnny Wales)

1953年、カナダ・トロント生まれ。トロント大学卒業(学士号取得)。1975年に初めて日本を旅行、その際、鼓童の前身である「佐渡の國 鬼太鼓座」に出会う。また文弥人形の師匠である浜田守太郎氏にも出会う。1976年カナダに帰国、鬼太鼓座の初めてのカナダツアーの制作を担当。1977~78年、佐渡に住み文弥人形を学ぶ。それ以来、鬼太鼓座、そして鼓童の仕事にたびたび関わりながら、文弥人形の指導、通訳、翻訳、また舞台照明の仕事に従事。その後、文弥人形の指導、活動をしながら木彫師として鼓童の舞台で使用する面を作成。1987年には The Kodo Beat(英文ニュースレター、2011年春に終刊)の最初の編集者として活躍。写真家、イラストレーター、そして Kodo eNews(英文電子ニュースレター、2013年12月に終刊)やブログ作成にも関わる。現在、ジョニ・ウェルズはフリーランス・イラストレータ、アニメーター、木彫師、人形遣い、そして作家としての肩書を持つ。カナダでは7冊の児童向け作品の挿絵を描き、その中の一冊『Gruntle Piggle Takes Off』(Viking Childrens Books出版)において、1996年、カナダの文学作品賞であるThe Governor General’s Awardの候補となる。1995年より、読売新聞にて、東京についてのイラストによるコラムを連載。現在、佐渡にて妻・智恵子と秋田犬のKyla (カイラ)とともに暮らす。

Website: www.johnny-wales.com (英語・日本語)


佐渡・旧川茂小学校ご挨拶公演/岩本涼子


交流公演班・旧川茂小学校ご挨拶公演

鼓童の稽古は通常、鼓童村の稽古場や深浦学舎体育館を利用して行われます。そして5月の稽古より、新しく佐渡市赤泊にある旧川茂小学校も稽古場に加わりました。連日「どんどん!」と爆音を響かせる私達を、川茂地区の皆様は温かく迎えて下さいました。

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そして5月31日、交流公演班が川茂地区の皆様を対象としたご挨拶公演を行いました。老若男女100名以上のお客様にお越し頂き、90分のプログラムをお楽しみ頂きました。

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太鼓ワークショップでも、大人も子供も関係なく、皆様一緒にお楽しみ頂けたかと思います。佐渡の皆様の温かいご協力に感謝しつつ、交流公演班、本日ツアー出発致しました!


番組放映|BSフジ「鼓童〜永遠の響き」5月24日


5月24日「鼓童〜永遠の響き」BSフジで放映

6月より国内ツアーが始まる「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」の舞台をご紹介する30分番組。2014年放送されたものに舞台映像や新しいインタビューを加えた新バージョンです。

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新作舞台「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」を携えてツアー中の、太鼓芸能集団 鼓童。中心メンバーとして活躍する坂本雅幸が、本拠地の佐渡・鼓童村をご案内。美しい佐渡を背景に、舞台では激しい演奏を繰り広げる鼓童メンバーの、知られざるオフステージの素顔や、鼓童メンバーになるための厳しい修業の苦労話を大公開。また近年の坂東玉三郎さんとの珠玉の作品の数々も一挙紹介、そしていよいよ全貌を現した新作「永遠」に賭ける想いを語り尽くす。佐渡島を拠点に世界で喝采を受ける若者たちの魅力に迫る。

放送日時
2015年5月24日(日)12:00~12:30
放送局
BSフジ
番組サイト
「鼓童〜永遠の響き」BSフジ
http://www.bsfuji.tv/top/pub/kodou.html

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※上記公演地(6〜7月)はBSフジ共催会場のみ。このほか新潟、広島でも公演を行います。

「永遠」詳細:http://www.kodo.or.jp/news/20150606oet_ja.html


鼓童佐渡特別公演2015-春- 満員御礼!/真崎滉大


Photo: Kodai Mazaki

鼓童 佐渡特別公演2015-春-、5月5日に無事、千穐楽を迎えることが出来ました。大勢のお客様にお越しいただき、賑やかに終えることが出来ました。改めまして、本公演にご来場いただいた皆様に御礼申し上げます。

Photo: Kodai Mazaki

また、宿根木集落の方々をはじめ、地域の方々のお力添えなしではこの公演は成り立っていなかったと思います。いつも温かい目で見てくださり、そして様々な場面でご協力をしていただき、本当にありがとうございました。

Photo: Kodai Mazaki

さて、次は秋公演になります。秋はシルバーウィークの【9月19日(土)~9月22日(火・祝)】を予定しております。詳細が決まりましたらお知らせいたしますので、皆様、秋も是非!鼓童佐渡特別公演にいらしてください。お待ちしております。

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鼓童佐渡特別公演2015 -春-


「鼓童佐渡特別公演2015-春-」ゴールデンウィークは宿根木公会堂へ!/真崎滉大


鼓童佐渡特別公演2015-春-

Photo: Kodai MazakiPhoto: Kodai MazakiPhoto: Kodai Mazaki

「鼓童佐渡特別公演2015-春-」無事に4月の公演を終えることが出来ました。大勢のお客様にご来場いただき、本当に嬉しい限りです。ありがとうございました。

Photo: Kodai Mazaki

さて、次は少し日にちをあけて、ゴールデンウィークに公演を行います。今年は北陸新幹線、さらに小木直江津航路に高速カーフェリー「あかね」が就航し、佐渡へのアクセスがしやすくなりました。この機会に是非佐渡へお越しいただき、宿根木公会堂で行う本公演をご覧くださいませ。

皆様のご来場、お待ちしております。

【公演スケジュール】

5/2(土) 5/3(日) 5/4(月・祝) 5/5(火・祝)
11:00開演  –
14:45開演

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鼓童佐渡特別公演2015 -春-


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