鼓童ブログ Kodo Blog

代表メッセージ

今月のご挨拶/船橋裕一郎


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皆様いかがお過ごしでしょうか。

1月下旬より若いメンバーを中心に17名が、「神秘」欧州ツアーにて各地を廻っております。ツアーを経るごとに内容も練り込まれ、大きな反響を頂いております。

写真:ゆふいん源流太鼓提供
1月29日 iichiko総合文化センター・グランシアタにて。ゆふいん源流太鼓と鼓童メンバーとで記念撮影。

私自身は1月末に大分県由布市に拠点をもつ、豊の国ゆふいん源流太鼓さんとの共演「日本太鼓 PREMIUM CONCERT 2016『打つ』」に出演してまいりました。本業を持ちながら、日々の鍛錬に裏打ちされた、源流太鼓の皆様の音や情熱に多くの学びを得ました。そして、リハーサルから打ち上げまで濃密でなにより楽しい時間を過ごさせて頂き、アマチュアとプロとの垣根を超えた、素晴らしい公演となりました。合わせて、名誉団員全員との共演にもなった公演でもあり、あらためて大先輩の存在感、続けることの大切さを体感した貴重な時間となりました。

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そして、2月中旬の約1週間ほど、ベトナムのハノイに芸能調査に行ってまいりました。まもなく人口1億人を超え、急速な発展を遂げつつある国の景色は、日本の高度経済成長期を彷彿とさせるものがあるとも言われていますが、人々の熱気、平均年齢が20代という若さと熱気を犇々と感じることができました。

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今回、新たな「アース・セレブレーション(EC)」に向けて模索するなか、多くの素晴らしい出会いを得ました。政治や経済、歴史が複雑に絡み合い、おそらく我々に計り知れない困難な問題を抱えながら、自身の芸能に対する誇りと愛情をもち、逞しく生きる音楽家の皆様に大変な感銘をうけました。私はこれまでベトナム音楽に触れる機会はありませんでしたが、短い期間ながら多様で多彩な音色と音楽、そして温かな人柄に魅了されました。

この夏、皆様にもご紹介する機会となるべく、ECにお招きするゲストやその内容についても決まりつつあります。随時皆様に発信してまいりますので、皆様ととともにこれからのアース・セレブレーションを作り上げていければと思っております。昨年のスアール・アグンさんに続き、アジアの皆様との交流は、今後の我々にとって、大きな収穫となることかと思います。

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▲ブラジル、劇場仕込みの様子

そして、この3月には「打男」ツアーでブラジルに来ております。鼓童を通して、国内外で素晴らしい出会いがあることに改めて感謝しております。

東日本大震災から5年という月日が経ちました。私たちができうることは当時も今も僅かではありますが、芸能者として、太鼓打ちとして、果たすべき使命とはなにかということをそれぞれが考え、思い続け、全国各地、世界各地を巡ってまいります。

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ご挨拶/船橋裕一郎


2016年を迎え、私たち鼓童は35周年という節目の年を迎えました。

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

昨年は『神秘』『道』『永遠』『アマテラス』『打男』『混沌』『交流学校公演』『佐渡特別公演』また、様々なジャンルの方々との共演~アース・セレブレーション、『モノプリズム』『輝夜姫』、バリ島での公演などもあり、振り返れば多種多彩、あっという間の1年でした。

Photo: Takashi Okamoto

芸術監督4作目『混沌』では、ドラムセット三台をはじめ新たな表現に挑戦しました。様々なものを学び、新しいものに触れることで、己をさらに深く知ることの必然性、必要性を感じ、鼓童の舞台表現のさらなる発展が感じられる作品となりました。

Photo: Takashi Okamoto玉三郎さんは、この稽古期間中に「『今』を全力でやってきたら、ここまであっという間でした。今もそうです」と仰いました。芸の世界で半世紀以上を過ごされた方の言葉に、鼓童が50年、100年先の未来に向け、この瞬間に全身全霊を注ぎ、太鼓の音をさらに響かせていこうと改めて思った次第です。

本年もまた、新作や再演も含め、多彩な公演を予定しております。佐渡宿根木公会堂での「佐渡宿根木公演」、サントリーホールでの三夜、浅草公会堂の『若い夏』、そして『螺旋』『アース・セレブレーション』も新たな試みを模索いたします。

理念と歴史を振り返りつつ、私たちの『今』この瞬間の音を是非体感して頂きたく、引き続きのご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。

太鼓芸能集団「鼓童」代表 船橋裕一郎

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11月、秋から冬への移ろいの中で/見留知弘


11月、秋から冬への移ろいの中で

皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。11月に入り、めっきり寒くなってまいりました。

Photo: Takashi Okamoto
10月18日の鹿児島公演で、2014年の11月から始まりました、坂東玉三郎芸術監督の演出第3弾「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」が、1年間の国内ツアーを終えました。今回は「永遠」という深い意味を持ったタイトルで、すべてが新しい曲での舞台、鼓童にとって、新しい表現にまた一歩踏み込んだ作品となりました。

提供:Les Grands Ballets Canadiens de Montreal

提供:Les Grands Ballets Canadiens de Montreal

時を同じくしてカナダでは、現代バレエ作品「輝夜姫」が上演されました。お陰様で公演は毎回盛況で、ダンサーや、西洋打楽器、雅楽奏者の皆様とも、とても良い関係を育みながら公演が行われました。

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公演の合間には、海外で初めてとなる学校公演が行われ、初めて日本の太鼓の響きに触れるモントリオールの子どもたちに、メンバー達もフランス語での自己紹介に挑戦するなど、とてもよい交流の時間となったとのことです。

海外での公演はさらに、10月の末には「打男」が香港で、11月には小編成でのバリ島公演が続き、ともに29年ぶりの訪問となります。いずれの公演にも、前回の経験者はおらず、演奏者にとっては初めての体験。きっと大きな刺激を受けて来る事でしょう。公演のご報告やお土産話はこのブログ等でご紹介してまいります。どうぞお楽しみに。

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2014年の「神恩感謝 日本太鼓祭」の様子

また、私は2014年に引き続き、伊勢神宮の「おかげ横丁」で行われます「第13回 神恩感謝 日本太鼓祭」に出演致します。この催しには国内各地から素晴らしい演奏団体が集結し、2日間にわたり熱演が繰り広げられます。

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2014年「収穫祭」の様子

そして本年は、研修所が、柿野浦地区の旧岩首中学校に移転して20周年を迎えました。例年11月の初旬に行われている、研修生自身が企画・運営して行うイベント「収穫祭」も今年は「大収穫祭」と銘打ち、研修所を修了したメンバーが研修生とともに演奏させていただくなど、大きな会になる予定です。この「収穫祭」は、日頃お世話になっている、柿野浦や岩首地区周辺の皆様、研修所や鼓童としてお世話になっている方々と、鼓童のメンバー、スタッフそして研修所の修了生との、再会の場でもあり、同窓の場でもあります。20周年の節目にふさわしい収穫祭になる事、楽しみにしております。

Photo: Takashi Okamoto

そして、いよいよ11月23日には、坂東玉三郎芸術監督の演出最新作、「鼓童ワン・アース・ツアー〜混沌」が、佐渡で初演を迎えます。

今回の作品では、これまで以上に大胆で自由な発想のもとに、西洋の音、東洋の音、そして日本の音が、入り混じり、そしてまた分かれていくという、そんな混沌や調和の世界が、繰り広げられてまいります。

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

11月の鼓童は、新しい作品と共に、新しいツアーが始まる、胸躍るスタートの月です。
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実りの秋に寄せて/見留知弘


皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。10月に入り、陽気の中にもひんやりとした空気が感じられるようになってまいりました。十数年前には、10月でも雪まじりの雨が降る年もありましたが、近年は温暖化の影響もあり、佐渡の秋は少し長くなっているような気が致します。

写真:竹谷正純

さて、9月の鼓童は、ワン・アース・ツアー〜永遠、交流学校公演、特別公演編成など、北は北海道から四国まで、公演しておりました。各ツアーごとに、特別な企画があり、共演あり、ワークショップありと、多彩な活動を行っておりました。

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私が参加している、佐渡特別公演は4年目を迎え、ベテランと準団員、そして初参加の蓑輪真弥と8名で、4日間で7公演を行いました。宿根木公会堂は築57年になるそうで、今年の秋から耐震工事が入っており、来春には少しのリニューアルをした公会堂でお目にかかる事になります。

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Photo: Damian Siqueiros
Dancers: Jerimy Rivera & Edi Blloshmi

交流公演チームは、9月末にツアーが終了し、10月上旬より開催される、カナダのモントリオールで3年ぶりに上演されるバレエ作品「輝夜姫」公演に向けて、佐渡で稽古期間に入っております。本作は、「モノクローム」や「入破」の作曲をして下さった、故・石井眞木さんの作品で、オーケストラと雅楽、西洋パーカッションに和太鼓が加わった、バレエ音楽として演奏を致します。音楽としては、オーケストラピットの中で演奏する時間がほとんどですが、舞台に上がって演奏するシーンもあり、西洋打楽器と和太鼓が、戦いの場面を表して激しい打ち合いをするシーンなどもあります。

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そして研修生もこの10月にはイベントが盛りだくさんで、稽古以外には、島内の中学校での交流公演、鼓童塾、そして実りの秋ですから、柿やお米などの収穫と、農作業も大事な経験です。9月末には東京と大阪にて、研修所の説明会が行われました。鼓童の舞台に立ちたいという気持ちがあっても、具体的にどのような研修を受けるのか、2年間をどのように過ごすのかなど、不安に思われることもあるでしょう。佐渡に来て、体験入所していただけるとよいのですが、遠方で難しいという方にも、できるだけ足を運んでいただきやすいように、島外での説明会を数年前から設けております。本日10月1日より応募受付が始まりました。一度きりしかない人生、若い力のチャレンジを心待ちにしております。

芸術の秋、ぜひお近くの鼓童公演会場で、皆様をお待ち致しております。

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「蜜月」を経て飛翔する9月/見留知弘


皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。

8月は怒濤の稽古期間とアース・セレブレーション、そして地元小木祭りと、佐渡にてとても濃い時間を過ごしました。旅とはまた違った疲れも在りますが、拠点である佐渡に居る事で、自然に癒され、次のツアーに向けたリスタートを切る、大事な時間だと思います。

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto

さて、8月上旬には、11月に発表する新作「鼓童ワン・アース・ツアー〜混沌」に向けた稽古を重ね、ドラマーの梶原徹也さんをお迎えし、芸術監督とメンバーとで作品を作っておりました。

Photo: Erika UedaPhoto: Erika Ueda

中旬からは、アース・セレブレーションの稽古。レナード衛藤さん(レオさん)をお迎えし、2日目の「蜜月」と最終日の「祝祭」の稽古、スアールアグンさんをお迎えする前の事前稽古、そして休日には若手メンバーへの稽古など、メンバーとの音作りから、楽器に向かう姿勢など、休む事なく教えて頂きました。そして、アース・セレブレーションの初期の様子や、「族」や「彩」という楽曲が出来た背景について、作曲者であるレオさんご自身から説明を受け、リズムのうねり、舞台の立ち位置、演出構成の事などをお伺いし、とにかく刺激的で、勉強になる濃い毎日でした。担ぎ桶太鼓を世に流行らせたのは、まぎれもなくレオさん。そして平胴太鼓を世に流行らせたのも、レオさんです。

Photo: Maiko Miyagawa

初日は雨に打たれながらでしたが、33名出演による、前田剛史演出、鼓童単独での「鼓童ナイト」公演が行われました。新人からベテランまでが一つの舞台に上がる、年に一度の貴重な舞台でした。

Photo: Takashi Okamoto

2日目には、レナード衛藤さん演出の「蜜月」。スアールアグンさんによる前半、レナード衛藤さんと鼓童による後半の2部構成。1部は竹楽器によるアンサンブルと、シンバルやクンダン(太鼓)の演奏など、やはり野外に合う音楽でした。

Photo: Maiko Miyagawa

2部は、私としては、レオさん演出の懐かしさを感じる舞台内容でした。舞台を清める演出から、1人で聴かせるソロ、アンサンブル、太鼓太鼓のてんこもりまで、お客さんを引きつけるライブ感、極めつけは赤い鼓童半纏!!でした。

Photo: Maiko Miyagawa

そして「祝祭」石塚充演出では、三者が一体となって、最終日を大変な盛り上がりで、無事に終える事が出来ました。

久しぶりの海外ゲストとの共演で、初めての経験となる若手メンバーも、コラボレーションとはどう言うものなのか、音の渦の中で、色々な経験が出来、刺激的だった事と思います。ご来場頂きました皆々様、誠に有難うございました!

城山公園でのコンサートを中心とする形態でのアース・セレブレーションは一旦一区切りでは在りますが、来年は形を変えて続けてまいります。時期は2016年8月26〜28日の3日間。どのような形になるかは未確定ですが、来年の5月には、概要が発表になります。2017年の、アース・セレブレーション30周年も視野に入れて、企画を練ってまいります。

Photo: Yuki Nakagawa
そして29日は地元の小木祭り。祭り太鼓の会として、小木の町中を山車でまわり、日頃お世話になっている感謝の気持ちを音に込めて、太鼓を叩きました。それ以外にも、地元の芸能に参加するなどして、住民としても、祭りに参加させて頂きました。

9月からは、またワンアースツアー永遠公演・学校交流公演の2班体制でツアーに戻り、皆様の所へと出掛けてまいります。そして名誉団員を中心とする、鼓童佐渡特別公演は、地元佐渡の旧小木町宿根木地区内の、宿根木公会堂にて、9月19日〜22日まで、全7回公演(19日を除く2回公演)を行います。

まだまだ暑さ厳しいですが、頑張ってまいります。

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鼓童の夏、祭りの夏/見留知弘


皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。

二ッ亀海水浴場(撮影:竹谷正純)

梅雨が明け、本当に厳しい暑さがやってまいりました。各地での猛暑日、高温注意情報、熱中症、そして九州地方での集中豪雨などのニュースを聞くにつけて、お世話になっている皆様の身を案じております。佐渡は30度を超える日もありますが、やはり海に浮かぶ島、朝夕は都会に比べれば過ごしやすく、扇風機だけで過ごせる日も、少なくはありません。日中はそんな厳しい暑さですが、私が指導を行なっております研修所は冷房がないので、熱中症にならないように、こまめに水分を補給し、休憩をとりながら、稽古を進めております。以前はここまで暑くなる事がなかったものですから、体調管理もより一層気をつけなければならないと気を配っております。

さて8月は、アース・セレブレーション、そして小木祭り(小木港祭り)と、鼓童にとって地元佐渡での祭りシーズンがやってまいりました。

撮影:長谷川みず穂撮影:前田聡子

アース・セレブレーション開催期には、海のイベント、山のイベントなども同時開催され、夜の城山コンサートはもちろん、日中のフリンジや各ワークショップ、セミナー、この時期でしか見られない小木界隈の賑やかさなど、ここでなければ体験できないイベントが目白押しです。

撮影:前田聡子

特に今年は長年続けてきた形態の一区切りとなりますので、来ようか悩んでいらっしゃる方、ぜひ思い切って佐渡まで足を運んで下さい。期間中には佐渡汽船のジェットフォイルの特別運航が決定したとのことです。(http://www.sadokisen.com/info/?cd=231)佐渡の方も小木まで足を伸ばしてみて下さい。独特な雰囲気や時間の流れは、この瞬間しか得られません。

アース・セレブレーションには都合が悪く、でも佐渡で夏を満喫したい! という方に、もう一つのおすすめとしては、地元のお祭り、小木祭り!!

撮影:河本唯

私達鼓童のメンバーやスタッフも、8月29日には「小木祭り太鼓の会」として、太鼓を打ち鳴らしながら町を練り歩き小木祭りを盛り上げるべく、参加させて頂きます。その夜には、都会では見られない3尺玉が2発も上がる花火大会。身体に響く大音量と大きさは一見の価値有りです。

小木祭りが終わると、佐渡は秋へと様変わりして行きます。

9月のシルバーウィークには、宿根木公会堂にて、鼓童佐渡特別公演2015-秋-が行われます。本公演は、本拠地の佐渡で、しかも鼓童と昔から縁の深い宿根木公会堂で鼓童をご覧いただける絶好の機会ということはもちろん、宿根木の皆様と一緒に地域を盛り上げる「地域活性化」の取り組みだとも感じています。

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そして、この宿根木公会堂での公演の魅力は、何と言っても客席と舞台の距離がとても近く、迫力ある演奏を間近で感じることができることです。

夏の祭りに秋の公演、皆様のお越しをお待ちしております。

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アース・セレブレーション、一時代の節目〜これからの新しいかたち/見留知弘


アース・セレブレーション、一時代の節目
〜これからの新しいかたち

皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。新潟県は先月19日頃に梅雨入りしたようですが、佐渡は6月末にやっと雨が降り始め、農家の方も水不足を心配されているようです。

さて、6月10日に発表させていただきましたように、1988年より始まりましたアース・セレブレーションについて、今年をもちまして現在の形を一区切りする事となりました。
http://www.kodo.or.jp/ec/topics/1763/

Photo: Buntaro Tanaka

そもそもは、鼓童の最初の代表であった故・河内敏夫が、鼓童“むら”構想の中で、世界を旅する中で出会ったアーティストを佐渡に招き、佐渡から発信するということを描いたのが始まりです。それ以来、利賀フェスティバル(富山)、「SADO MUSIC FESTIVAL~なぜか突然日本海」(佐渡)、エジンバラ・フェスティバル(イギリス)などでの経験と影響を受けて、回数を重ねるたびに色々なものを取り入れ、現在の形になりました。

例年は8月に開催ですが、5月に開催した年や、テント劇場として約1カ月に渡りイベントを行った年もあり、野外イベントとして色々な形で28年間継続してまいりました。

Photo: Masakazu Sakomizu

1988年のアース・セレブレーション/Photo: Masakazu Sakomizu

私のアース・セレブレーション(EC)を辿ってみますと、1988年に行われた第一回のECは、鼓童村の開村コンサートと城山公園でのコンサート、日中に同時開催で行われた太鼓教室に参加するため、初めて佐渡に渡りました。舞台に立っているメンバーさんから直々に太鼓を教えてもらうなど、人生の舵が変わるイベントとして、振り返れば今の自分の通過点になりました。

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1989年のアース・セレブレーション

1989年は鼓童の研修生として参加しました。最終日は台風に直撃され、コンサート会場になった旧小木町体育館が、臨時の避難所に変わり、大変だった記憶が…。

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1990年のアース・セレブレーション

1990年には、準メンバーとしての舞台。初日は雨に降られ、コンサート会場から旧小木町体育館へ移動。楽器や照明、音響などを早朝から引っ越し、ドロドロとドタバタの状況で休む間もなく公演へ突入でしたが、こういう時こそ、普段でない力が出るものなのですね(笑)。

舞台の設営と撤収作業には、初回から2012年までは、スタッフと一緒になってメンバーたちも汗を流しました。何もかもをゼロから立ち上げ、3日間の公演をし、イベント終了翌日には船でお帰りになるお客様を太鼓でお見送りし、イベント会場の撤収作業。終わってから約3日間の片付けまでが、私達にとってのEC期間でした。体力的にも非常に大変ではありましたが、やはり自分達の祭りとして、あえて1年に一度のしんどさとして楽しみ、佐渡の方々、ボランティア、アルバイトの方々と皆で作り上げた、やりがいのあるイベントでした。

2004年ファンファーレ・チォカリーア(ルーマニア)との共演

2004年ファンファーレ・チォカリーア(ルーマニア)との共演

それから色々なゲストとの出会いと共演や、ワークショップ企画の年、城山コンサート後のECシアターや、色別入場整理券配布前のゲリラライブ、旧羽茂町の能舞台公演、ハーバーマーケットでのダンスナイト、昨年の鼓童大吟醸「五衆」などなど、趣向を変え、場所を変え、前年度の経験をふまえて、より良いものへと創意工夫をしながら、今の形に変化してまいりました。

そして30回の開催を2年先に控えて、この機会に、今一度、フェスティバルのかたちを見直し、私達も楽しめて、お客様にもより一層喜んで頂けるイベントとして、これからも佐渡の方と一緒にECを継続してまいります。

Photo: Maiko MiyagawaPhoto: Satoko Maeda

ECは、鼓童の拠点である佐渡島で、鼓童の野外公演を楽しめる数少ないイベントですが、城山公園での大きなコンサートのある「夏フェス」としては、一区切りとなります。今年の城山コンサートのゲストは、鼓童の一時代を作ってきた偉大な先輩、レナード衛藤さん。そして鼓童の演目にも影響を与えてきました、スアール・アグンの皆様をお迎えします。3日間の会期中は、多国籍な雰囲気漂う旧小木町界隈、各コンサートやワークショップ、佐渡全島での体験型企画をご用意して、皆様にお楽しみ頂けますよう、準備を進めております。

佐渡へは、今年3月に開業したばかりの北陸新幹線での移動も、旅の思い出として、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

また、今年4月より小木—直江津間に就航しました高速カーフェリーあかねも、楽しみの一つかと思います。ただ、今までのカーフェリーと違いまして、全席指定の椅子席ということで、定員以上は乗ることが出来ないとのことです。ご予約はどうぞお早めになさってください。

アース・セレブレーションへ、海外、国内、そして佐渡島内から、たくさんの皆様のご来場をお待ちいたしております。

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6月の鼓童/見留知弘


皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。6月に入り、日差しもますます強くなり、森の緑が鮮やかで、自然の力を感じます。

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数年前までの私は、毎年5月上旬から6月下旬までは、春の国内ツアーに出ており、佐渡に帰ってくると、ツアー前とツアー後の自然の変化に圧倒されたものでした。そして鬱蒼とした木々をくぐりながら、鼓童村に降り立つと、あー帰ってきたなーと言う実感をしておりました。

撮影:岡本隆史、提供:松竹座

撮影:岡本隆史、提供:松竹座

さて5月は、大阪松竹座での「アマテラス」公演が、お陰様で盛況のうちに千秋楽を迎えました。ご来場の皆様、誠に有難うございました。2年前の新演出での再演から、鼓童の出演者もさらに若手のメンバーが入り、新たなパートや新たな楽器に挑戦し、玉三郎さんと同じ舞台に立たせていただいたことは、とても貴重な経験になった事と思います。

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同時期に、佐渡では4年目の鼓童佐渡特別公演が行われ、ベテランと準団員と、親子以上の年齢差がある出演の顔ぶれで、こちらも若い準団員には貴重な機会となる舞台が、歴史ある宿根木の公会堂で繰り広げられました。

6月からは、例年のように、「鼓童ワン・アース・ツアー2015〜永遠」、そして交流学校公演と、さまざまな公演活動を予定しています。

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そして6月10日〜15日は、浅草公会堂にて、「打男DADAN2015」公演が行われます。6月の浅草公会堂での公演は3年目に入り、お陰様で浅草の鼓童公演が定着してまいりました。

Photo: Takashi Okamoto

Photo: Takashi Okamoto

2009年に初演を飾ったこの「打男」は、男性のみで90分間、打って打って打ちまくる舞台です。鼓童の舞台としては初めてヘアメイクを採用し、新しい衣装も取り入れました。

Photo: Takashi Okamoto

またスクリーンに、打ち手が打ち手を近距離で撮影したものを映写、普段では見えない裏打ちや、踏ん張っている足、飛び散る汗が間近に見える事で迫力が倍増、新しい舞台表現のきっかけとなった作品でした。そしてビジュアル面だけでなく、クンプールやボックスフォンなどの楽器を使い、力強さだけではなく繊細さも表現し、音楽的な表現の幅も広がりました。

Photo: Takashi Okamoto

「打男」公演は毎年のように再演を重ね、その後2012年のパリ・シャトレ座での4日連続公演、同年日本での凱旋公演、そして昨年のスペイン・フランスでの公演を経て、舞台は大きく進化を遂げています。

(c) www.ESJAPON.com

提供:www.ESJAPON.com

今年の浅草の「打男」では、昨年のヨーロッパツアーで新しくなった演目とキャストに、さらに新しいキャストが加わりました。時を経て内容が刷新され深化し続けている「打男」の舞台を、どうぞお楽しみ下さい。

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6月浅草「打男」
http://www.kodo.or.jp/news/20150610dadan_ja.html


芽吹く季節に/見留知弘


Photo: Taro Nishita
皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。5月に入り、とても過ごしやすく、清々しい季節となりました。花々が次々と咲き誇り、力がみなぎる春です。

Photo: Takashi Okamoto

例年鼓童の4月は、11月佐渡初演の「鼓童ワン・アース・ツアー」の新作のための稽古や、初夏から行われる「鼓童ワン・アース・ツアー〜永遠」、交流学校公演、「鼓童佐渡特別公演」等の稽古と、自然のサイクルと同じに、芽吹く時期でございます。

そして今年の5月は、2006年に初演、2013年に東京・博多・京都と、全ての会場で大盛況となった、「アマテラス」が大阪・松竹座にて行われます。

Photo: Takashi Okamoto

私達の芸術監督、坂東玉三郎氏と鼓童が共演する貴重な機会、そして前回に引き続きまして、特別出演に愛音羽麗さんをお迎えし、またさらに新たな演出を加え、皆様にお届け致します。神話の物語を、和楽器の音色で紡ぎながら、太鼓の持つ力で、時には荒ぶる神を、そして八百万の神々の宴を表現します。

Photo: Takashi Okamoto

そして宴はアメノウズメ(愛音さん)の舞いとともにクライマックスに達し、岩戸から光り眩しきアマテラスが登場。その瞬間には、演者である我々も、演奏をしながら感動してしまうほどの物凄い波動があり、まさに格別の時間がそこには存在します。この機会をどうぞお見逃し無く!

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また、大型連休中には、地元佐渡にて、ベテランメンバーを中心に今年入りたての準メンバーも加わって、4年目の鼓童佐渡特別公演が行われております。3月の北陸新幹線の開業、4月は新造船あかねの就航と、佐渡の南玄関、小木―直江津航路が近く、便利になり、午後の公演であれば、島外から日帰りも出来るスケジュールが組めるまでになりました。国の重要伝統的建造物群保存地区の中に在る木造建築の芝居小屋、宿根木公会堂で行われる特別な舞台へぜひご来場下さい。

そして4月より、今までの生活とは別世界での経験を始めた新研修生12名。だんだん生活サイクルに慣れ、稽古はもちろん、色々な習い事、農作業に地元の祭りなど、初めての経験がどんどんやって来ますが、それが2年後、5年後、10年後と、未来の自分の土台を作る事になります。そんな経験を積んだ研修生が、今の舞台を支えてくれています。そしてその道筋を作ってきてくれた先輩方がいます。色々な世代、色々な表現の舞台をお届け致します。

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新年度を迎えて/見留知弘


皆様いかがお過ごしでしょうか。太鼓芸能集団 鼓童、代表の見留知弘です。4月に入り、佐渡も春めいて来ましたが、だんだんと桜の梢にも蕾が見分けられるようになりました。

新年度の始まりと申しますと、間もなく新しい34期の鼓童文化財団研修所研修生も集合し、研修生活が始まろうとしております。期待と不安と、大きな夢を持って、佐渡に向かってくることでしょう。

Photo: Julieta Cervantes

アメリカ・ニューヨーク「神秘」公演より「霹靂」 (c) Julieta Cervantes

さて、1月末から始まりました「鼓童ワン・アース・ツアー2015〜神秘」北米ツアーも、お陰様で盛況に無事終了いたしました。この公演に関わって下さったクルーと関係者の皆様、ご主催の皆様、そしてご来場下さったお客様に、改めてお礼申し上げます。

国内では、3月より小編成やソロの出演など、各地で多様な活動が行われ、3月15日には、福島県福島市飯坂・岡山県倉敷市・新潟県北蒲原郡聖籠町・上越市の4カ所での同時出演もあり、メンバーもスタッフも各地へと飛びまわっておりました。

Photo: Takashi Okamoto

そして3月19・20日には、神奈川県横浜市の神奈川芸術劇場KAATにて、鼓童特別公演2015「道」が行われました。
平日の公演日ではありましたが、お陰様で2日間とも満席。鼓童を長く観て頂いているお客様には、懐かしい公演プログラム。近年鼓童を見始めて下さっているお客様には、新しい公演プログラムに感じられたのではないでしょうか。

鼓童の礎である演目を新しいメンバーと演奏することで、ただの再演ではなく、一つの新しい作品として取り組むことが出来たと思っております。演奏だけではなく、楽器や台類の転換、舞台での歩き方など、鼓童が何を大切にして来たかを再認識すること、伝えることと受け継ぐこと、そんなことも同時に行われていました。

Photo: Takashi Okamoto

34年間で積み上げて来た大切な土台を芯に、さらに新しい時代を生き抜く力をつけていくことが、今の鼓童にはとても大切です。そして鼓童が長く継続して行く為に、現在取り組んでいる新しい表現がとても大切だからこそ、この公演の成果がのちに生きてくると思います。これからもさまざまな形で、鼓童の根源を感じていただける機会をお届けできればと思います。

Photo: Takashi Okamoto

メンバーが佐渡に集う4月は、佐渡で新作やアマテラスなど、しっかり稽古に励んで、舞台の準備を進めてまいります。

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