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鼓童メンバーからの質問/「混沌」ドラム監修・梶原徹也Q&A
ドラマー梶原徹也さんへ質問
鼓童×「混沌」ドラム監修・梶原徹也
2015年4月30日大阪にて 聞き手●上田恵里花 写真●岡本隆史
新作「混沌」のドラム監修・梶原徹也さん(元ザ・ブルーハーツ)に鼓童メンバーからの質問に答えていただきました。
◎まずはドラム経験者、坂本雅幸より質問です。
「いつも演奏されているライブハウスでのパフォーマンスと、今回のような劇場空間を対象に曲を創作する上での違いはどんなことですか。」
梶原氏(以下、K): ライブハウスは空間が狭いので、熱が伝わるんですよ。もう死ぬ気でやって、死ぬ気で汗かいたら、それがそのままボーンって伝わるんで、それがいいところですよね。だから今、鼓童と玉三郎さんが目指している舞台芸術、ほんとにもう細かい所まで計算しつくして、計算より更に上のものがくるように目指していると思うんですけれども、ライブハウスでは直接伝わる熱気のようなエネルギーの方をまず考えます。
◎やっぱり一番は勢い、魂ですか
K: そうそうそうそう。それで、通じちゃうみたいなことはありますね。だけど、ブルーハーツはライブハウスから武道館の1万人にってなった時に、どうだったかというと、やっぱりその熱が伝わりにくくなるというんですかね。
◎距離がありますもんね
K: そうですね。伝わらないってことじゃないんですけど。その時どうするかっていうことで。この熱、想いを音に乗せて伝えるにはどうしたらいいか。武道館の一番後ろで聴いてる子達に、自分たちの演奏とともにエネルギーを伝えるには、例えばテクニック的な細かいことをやっても、何やってるかわかんないじゃないですか(笑)音も会場中に回っちゃってるし。かと言って、勢いだけで伝わる距離ではない…ていうときに、シンプルな演奏で、力強くひとつひとつの音をはっきり出して。それに乗せて、武道館の一番後ろまで自分の気持ちと音を届けようってことになって。で、自分のスタイルがね、出来ていった気がしますね。別にその細かいこととか、テクニカルなことを否定してることではなくて、自分がどうしようかっていったときにそういう方法を選んだってことですね。
◎副代表の船橋裕一郎より質問です。
「梶原さんのパワフルな演奏に圧倒されます。その元気の秘訣、パワーの源は何ですか。」
K: それはオンとオフがハッキリしてるってことです。三年寝太郎的な、蓄えてる時と、カッとスイッチはいる時と。
◎続いて、パワーヒッター中込健太からの質問、
「今までに最高の爆音がでた瞬間とは、どんな時でしたか。」
K: うーん、どんな時だったかなー。三十歳前後で腰を痛めて、その時にそうる透さんというドラムの大先輩に、脱力奏法を 教えていただき、カラダの中心を使ったグルーブの出し方、力ではなくスピードとキレで、音楽的に打楽器を鳴らすということを学んで。それ以来、音が変わった!より一打一打に想いをのせて演奏することということも含めて。日々、いい意味での爆音が出ているっていう。
◎日々爆音更新中ということですか?
K: そうですね。脱力奏法をやるようになってからは、逆にデカい音が出る様になったというのもありますし、爆音に深みが出てきました!健太と爆音対決したいなー。やってみたいなー。
◎「混沌」稽古でタイヤドラムを打ち鳴らしていた女性奏者、内田依利より質問です。
「ドラムが持つ力とは何でしょうか。『たたく』という行為や音が及ぼすパワーについてどう感じていますか。」
K: 叩くという行為に対してはドラムも太鼓もパーカッションもどれも同じだと思うんですけれども。あとは民族性ですかね。ロックももともとは民族音楽って感じがするんですよね。何で2・4のバックビートでリズムをとるようになったかというと、アメリカでロックが生まれた時に、黒人の人たちがもっているビート感がちゃんとそこに入っていたからだと思いますね。
それから大事なことは、叩くという単純な行為で、バイブレーションが生まれること。そのバイブレーションには、民族、伝統、人々の、もちろん個人の想いが宿っているということです。スタイルとしては、世界中の民族音楽がそれぞれ持っている特有のビートが、ドラムを通して世界共通の打楽器言語に翻訳されると思うんです。だから、コピーもしやすくなるし世界中に広まっていく。そこを取っかかりに、その音楽を作り上げた世界中の人々の生活、民族性、考え方に想いを巡らすことができたらいいなぁ、って。
例えば、鼓童でいうと「屋台囃子」という演目がある。これは、埼玉県の秩父神社の夜祭で演奏される太鼓を伝授していただいた、と聞いています。ここから、秩父の神様、自然、人々の生活や想いにまでつながっていける、これはスゴイ!素晴らしいことです!
◎最後に鼓童のサウンドメーカー住吉佑太からの質問です。
「ドラムを叩いていて最高に気持ちがいい!と思った瞬間はどんな時でしたか」
K: うーん、そうだなー。最近、ドラムソロで ちょっと新しい要素を加えて皆さんとコール&レスポンスをするようになって、「おーい!」っていい合うお客さんとのやりとり、あれ気持ちいいですね。あとは、自然の中での演奏!大自然のエネルギーの動きの一部に自分の音もある。どちらも音を通して自然や人とつながっている!この共鳴というか、共振、一体感に勝るものはないです!!
梶原さん、ご回答有難うございました。11月の稽古もよろしくお願いいたします。
▼梶原徹也さんコメント動画
▶「混沌」稽古場より(月刊鼓童より)
交流公演ツアー始まりました/内田依利
内田演出「交流公演」いよいよ最終・秋ツアー、始まりました!ただいま出発して早速午後から公演です。
秋は一般公演が半分以上。12月に創ったばかりの新鮮なエネルギーでまわり、春は40公演、2万人を越える子供達の前で演奏し、この夏のアツイECを経てのこの9月が集大成です。
子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで!鼓童も太鼓も見たことがなくてもお楽しみいただけます。このチーム(内田演出組)ではラストチャンス!是非いらしてくださいませ。
鼓童「交流学校公演」、終演後の様子
鼓童交流公演
- 2015年9月11日(金)新潟県中魚沼郡 津南町公民館
- 2015年9月12日(土)新潟県新潟市 新潟市りゅーとぴあ劇場
- 2015年9月13日(日)新潟県長岡市 中之島文化センター
- 2015年9月18日(金)北海道浦河町 浦河町総合文化会館文化ホール【チケット完売】
- 2015年9月25日(金)香川県三豊市 三豊市文化会館マリンウェーブ
- 2015年9月26日(土)愛媛県松山市 松山市北条市民会館
- 2015年9月27日(日)愛媛県八幡浜市 八幡浜市文化会館ゆめみかん 大ホール
交流公演/交流学校公演
http://www.kodo.or.jp/news/20150300koryu_ja.html
芸術監督坂東玉三郎氏演出 第4弾「混沌」稽古場より
芸術監督坂東玉三郎氏演出 第四弾 「混沌」
和太鼓の響きの中に、きらびやかなドラムの夢が通り過ぎる… 芸術監督・坂東玉三郎演出の最新作は、次々と現れるイマジネーションの旅。緊張とリラックス、静けさと喧騒、そして混沌と融合。叩き奏でる音色が織りなす心地よい時間をお届けします。
鼓童村での「混沌」稽古より
今年4月に行われた「混沌」の稽古の際、メンバーに話を聞きました。
住吉佑太
●今回、新しい試みはありますか
今回の「混沌」のメインの要素としては、和太鼓に西洋のドラムを取り入れた内容になっています。そこが、今までにない、鼓童としては一番新しい試みなのではないかと思ってます。
「混沌」の稽古が始まる前に玉三郎さんがお話してくださったことがあり、本当は混沌ではなく、調和を表現したいと仰っていました。ただ、調和するということは、まず混沌としている中で初めて調和が生まれてくる、生まれうるものだということをお話いただきました。
●舞台づくりにどのように関わっていますか
具体的にはフレーズをいくつか提供せていただきました。今まではプレイヤーが曲を作って持ち寄り、玉三郎さんに提案して、そのできた点と点を線でつないでいくという作業をしてきましたが、今回は、初めの新曲のアイデア出しというのは全くありませんでした。本当にゼロの状態でスタートして、玉三郎さんがそこで思いつかれたことを僕たちにお話してくださり、そこから初めて曲にして、フレーズが生まれ、それを広げて一幕と二幕を構成するという創り方をしています。それが、予想以上に難しいですね。いつもは時間をかけて作ったものを玉三郎さんにお見せするのですが、極端な話、「じゃあ午後までにここの部分を作ってきて」ということが多々あり、どれだけ日頃から新しいものを追求し続けていて、自分の中にどれだけバリエーションがあるのか、ということを試されて、すごく勉強になった期間でした。
内田依利
●今回の作品で色んなチャレンジがある中で、自分の中で克服すべき課題は
今回は本当にゼロからその場でどんどんどんどん、リズムを作っていくということで、なかなかすぐ対応できない自分もいるので、もっともっと常に新しいものを勉強していかないといけないんだなということを実感しています。
●稽古の雰囲気はどうですか
雰囲気はとても明るいです。今回はスムーズに進んでいる感触があります。玉三郎さんの方からアイデアをいただいて、何人か中心になってリズムを出したり、「適当に遊んでみて」みたいなこともありますね。「タイヤを適当に叩いて」と言われて今取り組んでいるのですが、後から映像で観ると意外に面白くて。その場で適当に叩いたものが、そのまま曲になっている部分もあります。
●いつもと違う手法はタイヤの他にありますか
ドラムがまず一番大きいと思います。西洋のドラムと太鼓を単純に一緒に演奏するだけでなく、どの音とどの音が馴染んで違和感なく混ざって行けるか。一つのアイデアをその場でどんどん引き延ばして作って行くので、いつも以上に先入観を持たずに、目の前のものに対応して行くのに必死です。
船橋裕一郎
●「混沌」というテーマに、どういうイメージを持っていますか
読んで字の如く、訳の分からないような世界であったりとか、英語で言うカオス、そういう整然としていないようなイメージがあるんですけど、街を歩いていても、混沌とした場所とかっていうのはハラハラしたりドキドキしたりしますよね。具体的には都会の中の、ちょっと一本脇道に入ったような所とか。一歩踏み込んじゃいけない世界を味わえるドキドキ感が結構好きなので、そういったものをイメージしています。
●玉三郎さんの演出の進め方はいかがですか
今は創作初期段階なのでタイトル通り混沌としていますが、その中からちょっと美しい場面であったり整然とする場面が出てきたりしています。今までは曲やモチーフが多かったものが、今回は一つの音から輪のように広がっていくような創り方が多い印象です。一つの音、一つの閃きから世界がどんどん広がっていって、そこを繋ぎ合わせていっている段階という感じですね。自分たちも今、どこに向かうのかまだまだ分からない所もありますが、それがとても新鮮で楽しいですね。
そして新しい楽器にもチャレンジしています。中国の揚琴という、叩いて奏でる琴です。叩きながらもメロディーが出てくる非常に綺麗な音のする楽器なので、「混沌」としている空気の中からそういう綺麗な音色が出せるように、頑張って稽古していきたいと思います。
撮影:岡本隆史
「はじめてのKODO」小編成公演/内田依利
「はじめてのKODO」小編成公演
春の交流公演ツアー千秋楽は、学校公演の集大成とも言える、3歳からのこどもが主役のコンサート。私達はこの2ヶ月、子どもがどれだけ正直で、シビアなお客様か思い知らされてきました。しかも、今回は甘えることのできる親御さんと一緒! できるだけ参加型にしたり、ゲームを盛り込んだりと色々と工夫をしながら本番を迎えました。
ありがたいことに全ての心配は杞憂に。晴れわたるで客席登場の瞬間から親子の温かい雰囲気に手拍子。足も届かないイスにちょこんと座ったこども達も目をキラキラさせて見てくれています。
『三宅』のわっしょいも一生懸命かわいい声で応援してくれ、『恋恋風車』は予想以上の笑の渦に。そのおかげで『千里馬』や『一六囃子』は食い入るように見てくれました。叩くという太鼓の原点から、客席全員で手を叩いて太鼓の気分になって遊んだ後は、いよいよ最後の『大太鼓~屋台囃子』。
60分という時間は彼らにとって短くはないはずですが、最後までしっかりと見ていてくれました。演奏していてもあっという間に感じられたのは、この2ヶ月間子どもたちの反応を目の当たりにしながら公演してきたメンバーの成果でもあり、とても嬉しく思います。
次回、内田演出・交流公演ツアーはまた9月になります。学校以外に劇場公演も多い秋、身近で触れ合える「鼓童交流公演」、みなさま是非劇場でお会いしましょう!
交流公演/交流学校公演
http://www.kodo.or.jp/news/20150300koryu_ja.html
2015年7月20日(月)新潟県柏崎市「はじめてのKODO」小編成公演
http://www.kodo.or.jp/news/20150720hajimete_ja.html
始まりました春の交流公演!/内田依利
始まりました春の交流公演!
冬の「神秘」北米ツアー、「道」や「モノプリズム」、そして「アマテラス」を経て再集合です。一つツアーを終えて佐渡に帰るたび同じ場所とは思えないほど景色が変わっており自然の力強さを感じます。そしていつもどれだけ成長できたのか自分に問いかけます。
ほぼ半年ぶりに集まったメンバーは色んな面でパワーアップしており頼もしくなっていました。
学校公演は体育館で、子ども達の目の前で演奏します。「太鼓は耳を塞いでも聞こえるんだよ。空気や床がビリビリ振動してみんなの体全体に響いているんだよ」というと、耳を塞いでみたり、床をさわったり、床に耳をくっつけて聞いてみたりとみんな思い思い自由に聞いて音を感じてくれます。
テレビやパソコンの画面の向こうではなく、ライブで見ないと味わえないこの感覚。画面の向こうで情報がありふれている今だからこそ、自分の身体で感じる感覚の面白さを体感して、持ち続けてほしいなあと思うと同時に、自分もまた改めてそれを確認し、研ぎすましていくような毎日です。
今回は松本での3週間近くの連続での小学校公演。月曜から金曜まで午前、午後と毎日2回公演します。体力的に大変ではありますが、日々子ども達から学ばせてもらいとても充実しています!
まだまだ続きますが、松本中をビリビリと響かせてきたいと思います!
交流公演
http://www.kodo.or.jp/news/20150627koryu_ja.html
2015年7月20日(月)新潟県柏崎市「はじめてのKODO」小編成公演
http://www.kodo.or.jp/news/20150720hajimete_ja.html
WEBサイト「DAILY MORE」に鼓童記事掲載!
WEBサイト「DAILY MORE」に鼓童記事掲載!
女性ファッション誌「MORE」のWEBサイト「DAILY MORE」に鼓童メンバーのインタビューが掲載されました。
<前編>では舞台への想いや稽古のことなどを、坂本雅幸、住吉佑太、漆久保晃佑のMORE世代3名が語っています。写真も盛り沢山、是非ご覧ください。<後編>では鼓童に入ったきっかけや、研修所時代について語っています。ぜひFacebook、Twitter等でシェアをお願いいたします!
【インタビュー】太鼓芸能集団『鼓童』にハマれ!(前編)
http://more.hpplus.jp/odekake/look/1613
【インタビュー】太鼓芸能集団『鼓童』にハマれ!(後編)
http://more.hpplus.jp/odekake/look/1614
▼▼▼こちらも要チェック!
【鼓童の舞台写真が盛りだくさん!】
芸団協広報誌「SANZUI」
芸団協広報誌「SANZUI」の「特集 ホレボレ」で俳優・田中要次さんのコメントと合わせて、鼓童の舞台写真が掲載されています。以下のWEBサイトからダウンロードでご覧いただけます。ぜひご覧ください。
http://cpra.jp/sanzui/2015_sanzui/sanzui-vol07-2015-spring.html
【チケットぴあ関西WEB版】悠久の自然の営みを和太鼓の調べにのせて『鼓童 ワン・アース・ツアー2015~永遠』船橋裕一郎&前田剛史にインタビュー
http://kansai.pia.co.jp/interview/stage/2015-05/kodo.html
【エンタステージ】太鼓音楽で「永遠」を紡ぐ 鼓童『ワン・アース・ツアー2015〜永遠』公演日程が決定
http://enterstage.jp/news/2015/05/002675.html
【文京アカデミーWEBサイト】「文京シビックホール提携団体・コメントリレー」に石塚充の記事が掲載
http://bunkyocivichall.jp/special_mail_magazine/1505/004/index.html
【Huffington Post】「神秘」アメリカ公演記事掲載
http://www.huffingtonpost.com/steve-mariotti/the-magic-of-taiko-for-am_b_7436620.html
【WEB「GREEN GLOBAL TRAVEL」】鼓童公演紹介、内田依利インタビュー記事掲載
http://greenglobaltravel.com/2015/03/26/kodo-taiko-drummers-japanese-culture
交流学校公演を通して実感すること/内田依利
学校公演で各地を回って実感するのは、挨拶の大切さです。先日行ったある小学校では、子ども達が一人一人立ち止まって丁寧に挨拶をしてくれました。
コミュニケーションは何をするにおいても欠かせないことですが、挨拶はその始まりでもあり、そこに全てが詰まっています。
学校に行くと先生が子ども達に言っています。「話を聴く時はその人の方を向いて、目をみてしっかり聞きましょう。」当たり前に教えられたことをいかに忘れているか。
実際に挨拶が元気にできる子は集中力もあり、オン・オフのメリハリがあるように感じます。
それは自分たちにも言えること。
昔は、「礼儀などの日本の堅苦しいルールはなんて面倒なんだ」と思っていた時期もありましたが、礼儀とは「気持ちをきちんと伝える為に一番無駄のない手段」と聞いてからは自然とそれが気持ち良くなり、手紙などもよく書くようになりました。
子ども達は最初、意味などわからなくても、まず形をなぞることで、そのうち意味が分かってくる。大人はその意味をちゃんと理解して、一人一人に合ったやり方で手助けができれば良いのかなと。言葉で説明するだけで終わるのでなく、やはり自分で声に出して、身体で体感していくことで初めて腑に落ちるのかな、などと考えていました。
子ども達は日々ものすごいスピードで成長していますが、それに負けないように大人気なく対抗していきたいです。
撮影:岡本隆史
国立市で「交流公演」千秋楽!/内田依利
12月20日 国立市「鼓童交流公演」
交流公演班、くにたち市民芸術小ホールで満席のお客様に迎えられ、無事に千秋楽を終えることができました。
今回7人中3人が、交流公演が初めてのメンバー。11月の稽古期間は少し固かった表情も、学校公演で子ども達の前で演奏し続けるうち、いつの間にか随分柔らかく自然になっていました。
学校公演では子ども達は大変正直です。面白ければ一時も目を離しませんが、少しでも間を逃すとおしゃべりが始まったり、大きな音を出しすぎると耳を塞いでしまったりします。そんな中一ヶ月やってきたメンバーは今、目の前のお客様の反応を肌で感じながら音を出しています。
面白いのは大太鼓でした。力のありあまる中込健太は基本的に音が大変大きいのですが、子どもを前にするとその大きい音の中に優しさがにじみ出てくるようになっていました。
千秋楽はその集大成のような音で、一発目をどーんと響かせた瞬間、身体の中に温かいものが染み渡ったような不思議な感覚になりました。
七人それぞれが学校公演を通して、子どもたちと向き合うことで、太鼓や自分たちと今一度向き合えたような。そんなことを感じられた千秋楽でした。
撮影:岡本隆史
福厳寺 火渡り神事/内田依利
12月14日「福厳寺 火渡り神事」出演(愛知県)
愛知県小牧の福厳寺火渡り神事での演奏を無事終えました。当日はあいにくの天気でしたが、朝からいろいろな団体の演奏や美味しそうな屋台がならんでおり賑わっておりました。
昨年に、引き続き鼓童の出演は2度目になるのですが、始まる前にお寺の方から神事の由来をお聞きいたしました。何百年も続く祭りの一つとして演奏させて頂けることは大変光栄であり、気が引き締まります。
夕方に向けて気温もどんどん下がって行く中、五時の鐘がなり、まずは鐘楼にて演奏スタート。演奏中も鐘を鳴らし続けていただきながらの演奏です。昔から鐘の音を村中に届けるために建てられた建物だからでしょうか、かなり遠くまで太鼓が気持ちよくなり響きます。
その後いよいよ火渡り神事の行われる場所の目の前のメインステージでの演奏です。
想像以上に寒く、肌が見えている部分は切れるような思いです。それが逆に気持ちを奮い立たせます。
大太鼓は裏打ちの住吉佑太、鉦の花岡哲海の音にも気合いがこもってるのが音から伝わってきます。表を打っていた中込健太の背中からは湯気がもくもくと立っていたようです。
屋台囃子が始まった時には火が着き始め、炎と煙を前にした演奏では皆の音もいつもとは少し違ったように感じました。
しかし、いくら気合いを入れても、寒いものは寒い! 本番中は平気な気がしていましたが、相当震えていたようで、次の日は内臓が相当筋肉痛になっておりました。
何もかもを飲み込んでしまう「火」の恐ろしさを知る神事ではありましたが、同時に「寒さ」の恐ろしさも知りました。やはり自然にはかないませんが、冬なのに暖かいところでぬくぬくし過ぎたら人間的にも弱くなる! と反省した日でもありました。