鼓童ブログ Kodo Blog

新年明けましておめでとうございます


新年明けましておめでとうございます

Photo: Takashi OkamotoPhoto: Takashi Okamoto
新しい年が素晴らしい一年になりますよう皆様のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます!


鼓童仕事納め


鼓童は昨日27日、早めの仕事納めとなりました。

鼓童創立35周年の2016年は、世界各地でたくさんの方々と出逢い、新たな表現の可能性に挑み、次の時代への飛翔に向けて大きな手応えを掴むことのできた一年でした。

来る2017年も、皆様の心の奥深くに届く舞台をお届けしてまいります。

どうぞ引き続き応援のほど、よろしくお願いいたします。

Photo: Taro Nishita

鼓童村食堂にて

【鼓童@文京・千穐楽】「螺旋」打ち納めました!東京では5日間8000人を超えるお客様にお届けしました。沢山のアンコールと温かい拍手を有難うございました!

Photo: Takashi Okamoto

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月25日

【鼓童@文京】メリークリスマス!本日25日螺旋千穐楽!お待ちしております。

12月25日14時 文京シビックホール(当日券13時より)
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月24日

【鼓童@文京】年末といえば、文京・鼓童!年内は本日24日、25日のあと2回公演です。坂東玉三郎氏演出の「螺旋」お見逃しなく!

12月24、25日14時 文京シビックホール(当日券13時より)
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html

Photo: Takashi Okamoto

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月23日

【鼓童@文京】本日も沢山のお客様にお越しいただきました、有難うございました。年内は24日、25日のあと2回公演です。年末といえば、文京・鼓童!

12月24、25日14時 文京シビックホール(当日券13時より)
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
イヴもクリスマスもお待ちしております!

Photo: Takashi Okamoto

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月23日


アメリカの旅/住吉佑太


アメリカの旅

今年も残りわずかとなりました。寒暖差の激しい日が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。先日、スタッフの河本がブログに書きましたように、11月の26日から12月の20日まで、アメリカを旅しておりました。

【鼓童ブログ】ロサンゼルスで太鼓三昧!/河本唯

Photo: Kim Nakashima

On Ensemble の皆さん、渡辺薫さん、Fumi Tanakadateさんと住吉佑太(Photo: Kim Nakashima)

ロサンゼルスに始まり、サンディエゴ、ラスベガス、シカゴ、ニューヨークと各地を巡り、ワークショップやコンサートを行いました。

先々ではいろんな方々と出会いました。太鼓や音楽をされている方や、そうでない方とも。それぞれのコミュニティの仲間にいれて頂いて、様々な形での交流がありました。あるときは観光をしながら。お酒を飲みながら。セッションをしながら… 各地で本当にお世話になりました。

Photo: Kim Nakashima

ロサンゼルスにて On Ensemble の皆さん、渡辺薫さん、Fumi Tanakadateさんと共演(Photo: Kim Nakashima)

どこで何をしたかということを書き始めると、とてつもなく長い文章になってしまうので…(笑)この旅を通して、何を感じたか、どんな学びがあったかを少し掻い摘んで書きたいと思います。

「1人」でどこまでできるか試したい!そんな思いもあって、この旅を計画しました。今まで甘えてた部分、音楽的なことも、語学的なことも(笑)全部しっかり向き合って、武者修行のような旅にしたいと思って出発しました。

Photo: George Hirose

ニューヨーク、ShapeshifterにてKaoru Watanabe’s Néo の皆さんと(Photo: George Hirose)

みんなで出している音ではなく、自分が出している音がすべて。それは物理的に自分だけ、ということでもあるし、自分の出している音に責任を持ってセッションに参加するということでもあります。それはジャムセッションに限らず、太鼓のアンサンブルやワークショップであっても「鼓童」ではなく、その中の「住吉佑太」としてその場に臨んでみたい。

Photo: George HirosePhoto: George Hirose

今回の旅では、即興で何かを演奏する機会がたくさんありました。「自分の出している音が相手を刺激している!」そんな感覚を改めて覚えました。それは鼓童の中でも絶対ないといけない感覚だなとも思いました。

同じ舞台上で刺激しあえる感覚。
その心地よさと、そこに至るまでの緊張感。
どう展開していこうか、どういう流れにしたいか。
しかも自分だけではなく、いろんなミュージシャンがいる中で、自分はどういう音が出せるか。どういう音を出したいか。
言葉ではなく音で会話していく感覚。(英語での会話も危ういというのに 笑)
次はこうしよう!ここでブレイクをいれよう!
そのやりとりが音楽になって、大きな流れを作っていく。

そんな感覚はとても自分にとって、とても新鮮で大きな学びでした。

Photo: Kim NakashimaPhoto: Kim Nakashima

各地でのワークショップも、とても刺激的なものでした。なるだけ通訳して頂かなくても伝えられるように!という心意気だけは…(笑)前にも書きましたが、ワークショップにおいては背伸びもできなければ、カッコつけることもできません。伝わるのは等身大の自分が、普段どんなことを大切にしていて、日々何を思っているか。舞台と同じくらい、毎回学びがたくさんありました。日本人とはまた違った視点からの質問が飛び交います。とても鋭角的な質問から、広義なものまで。こんな気持ちや理論が自分の中にあったんだ!と、気付かせて頂くことも多々ありました。

Photo: Yui Kawamoto

まだまだ書きたいことはたくさんあるのですが、いろんなことがありすぎて、ちょっとまだうまくまとめられていません…また少しずつ自分の中に沈殿してきたら、どんどん発信していきたいと思っています。

各地で出会った皆様には、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。またお会い出来る日を楽しみにしています!

では、よいお年を!

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「カデン」文京公演ロビーで発売中!


最新アルバム「カデン」絶賛発売中!

Photo: Erika Ueda

鼓童の最新アルバム「カデン」が東京公演会場(文京シビックホール)にて発売をスタートしました!劇場にお越しの皆様、ロビーの販売コーナーにお立ち寄りくださいね!2017年カレンダーもご好評いただいております。

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チラシPDF

*鼓童オンラインストアでは12月26日(月)17時まで大変お得な全商品送料無料キャンペーンをおこなっております。この機会にぜひお買い求めください!(太鼓等、受注生産は除きます)

▼「九界」試聴

【「カデン」ご注文はこちら】鼓童オンラインストア
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そのほか商品も送料無料!鼓童オンラインストア
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カデン ディスコグラフィー
http://www.kodo.or.jp/discography/od018_ja.html

【螺旋@文京】本日23日は公演3日目!ただいま楽器のチューニングやアップをしています。14時開演、ご来場お待ちしております。

http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
(当日券は13時より発売です)

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月22日

【螺旋@文京】今日22日は公演2日目!メンバーアップ中です。14時開演、ご来場お待ちしております。

http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月21日

【鼓童@文京】本日、文京シビックホールでの「螺旋」公演2日目です。昨日は俳優の田中要次さんが来てくださいました!

文京シビックホールでの公演は25日まで(当日券13時より)
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月21日

【チケット先行販売!】坂東玉三郎×鼓童特別公演 幽玄
文京公演 会場限定チケット先行販売のお知らせ

2017年5月Bunkamuraオーチャードホールで行われる公演チケットを一般発売に先駆けて明日12/21からの文京公演ご来場の皆様に先行…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月19日


最新アルバム「カデン」本日発売!


最新アルバム「カデン」本日発売!

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鼓童の最新アルバム「カデン」がついに発売されました! あらたな舞台空間の様な音世界をぜひお楽しみください。鼓童公演会場、オンラインストア、たたこう館(佐渡市)にてお求めいただけます。

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弾け続ける「玉三郎・鼓童」 ─鼓童と玉三郎の十六年─/文・伊達なつめ


弾け続ける「玉三郎・鼓童」
─鼓童と玉三郎の十六年─

文●伊達なつめ

ー鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより

Photo: Takashi Okamoto

玉三郎と鼓童の出会いは16年前。青木代表から鼓童との共演の申し出を受け、まずは演出という形でかかわることを引き受けた玉三郎は、機会を見つけては佐渡の稽古場を訪れ、グループの体制やメンバーひとりひとりの個性を把握しながら、約2年後に『ワン・アース・ツアー スペシャル』(’03)を創り上げた。

Photo: Takashi Okamoto

鼓童のダイナミックな打法に、繊細で柔和な表現力が加わった舞台は好評を博し、続く’06年の鼓童結成25周年には、ついに青木の念願だった両者の共演『アマテラス』が実現。

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’09年には、佐渡の稽古場で自主稽古するメンバーたちの姿を見て玉三郎が思いついたという、小編成でスタイリッシュな演出の『打男 DADAN』が評判となるなど、玉三郎は着実に、鼓童のポテンシャルを引き出していった。

’12年、その手腕に鼓童のさらなる進化を託されて、玉三郎が芸術監督に就任( ※2012年より4年間)。演出家として作品単位で芸術的クオリティの責任を負うだけでなく、鼓童という集団を基盤から整備し、方向性を定めて総体的にプロフェッショナルとして向上させていく立場をも担うこととなった。こうして、本格的な玉三郎による新体制がスタートした。

Photo: Takashi Okamoto

食事等の体調管理や稽古場の空調といった環境面まで、実際の玉三郎の指導は多岐に及ぶが、舞台表現の姿勢においてもっとも強く表れているのは、「演奏技術の向上」と「自由な発想」による、バリエーションの広がりだ。たとえば前者については、就任時にこう語っている。

「技術がなければニュアンスを出すことはできないので、芸術監督になることが決まってから、太い撥を持つ前に、細いドラムスティックで太鼓を叩くことを取り入れました。太い撥で叩いていると、太鼓の面に撥が触れている時間が長くなるけれど、細いスティックだと、一瞬、面に触れることで強い音が出たり、叩いた弾みを利用して叩くことができる。面に長くいるのと一瞬しかいないのとの音色の違いを、打ち手には自分でわかるようになってほしかったですし、実際に細い撥で大きい太鼓を叩くと、最初は違和感があっても、そのうちどんどん音が出るようになって、太い撥がいらなくなるほどになるんです。打ち方のバリエーションもグッと増えるのですよ」

その成果がいかほどかは、本日の舞台に響く音色を耳にすれば、説明不要だと思う。

Photo: Takashi Okamoto

後者の「自由な発想」を求める点においては、撥を鈴に替えてみたり、北米を中心に練習用の太鼓として代替的に使われていることが多い自動車のタイヤを、敢えて持ち出したり、奏法も構造も似て非なる西洋のドラムについて基礎から学び、和太鼓奏者のプロにしかできない、独自のソロ演奏に昇華させたり……。あらゆる常識や固定観念から解き放たれた、遊び心と自由な精神を、何よりも尊ぶ。それが幅広く斬新な表現の開拓につながっているわけだけれど、玉三郎の意識の根底には、柔軟であるべき鼓童が、必要以上にスタイルを硬直化させたり、権威付けを行おうとする傾向への危惧があった。

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「それまでの鼓童には、『大太鼓は神聖なものだから滅多に打ってはいけない』といった雰囲気ができ上がっていたんです。鼓童が誕生して、たかだか数十年しか経っていないというのにね。僕はそんなことぜんぜん気にする必要はないと思うから、『(大太鼓を)縦じゃなく横向きにしましょう』と躊躇せず言いましたし、年功序列もなくしました。『伝統が』とか、『先代が』とかいう話は、まだ若い鼓童では言わないでほしい、という気持ちですね」

伝統や様式、権威の功罪というものを、身をもって知る歌舞伎俳優だけに、説得力は抜群。これは内側からは是正しづらい硬直状態を、玉三郎という外からの刺激で打開してもらえれば、という青木代表の思惑とも一致する。

Photo: Takashi Okamoto

敢えて「伝統」になりかけていた鼓童のスタイルに執着しないことを選択した玉三郎は、鼓童のトレードマークとしてファンにもメンバーにも親しまれてきた鉢巻きと半纏の衣装を用いず、汗まみれ・力まかせの荒削りな演奏スタイルも封印。短い曲が多かったレパートリーを見直し、20分前後の長尺の新曲を次々に発表して、鑑賞する側へも意識の変革を促した。素朴で力強い太鼓打ちによる祝祭空間から、一編のドラマのように緩急と緊張感に満ちた芸術的世界へ。劇的な変化を遂げた主軸の「ワン・アース・ツアー」シリーズは、玉三郎の美意識に共鳴する観客には熱烈に歓迎され、往年の鼓童のスタイルを愛する観客には、少なからずショックを与えた。

第1弾の’12年初演『伝説』では、喧しいほどの賛否両論の嵐が起こり、「変革には痛みを伴う」ことを実感した気がした。それでも、『神秘』(’13)、『永遠』(’14)、『混沌』(’15)と、回を重ねるごとに、演じ手側にも受け手側にも戸惑いが消え、現在は新しい鼓童の世界を、積極的に享受する土壌が調いつつあるようだ。

Photo: Takashi Okamoto

周到な準備期間を設けて稽古に励み、自由度と完成度の高い、攻めの姿勢を貫く玉三郎・鼓童。まだまだ弾け続けて、世界のショービジネスの先頭に立って欲しいと思う。

ー鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより

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「螺旋」公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html

12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html

12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html


尊敬できる人/安藤明子


尊敬できる人

人は誰でも尊敬できる人がいることでしょう。

先輩、上司、憧れの人…

それぞれあると思いますが、自分より上の人に限ることではない。そう感じるこの頃です。逆に自分より下の立場の人間、私の場合、後輩に当たるその人。年齢とか関係なく尊敬できる人。それが後輩にいるということ。

それってとても素敵なことではないでしょうか。

今回初めての交流公演ツアーでそれをとても強く感じました。

Photo: Erika Ueda

共に悩み、共に喜び、共に苦しみ、そしてまた共に悩み…そうして仲間と共に前進していく日々。それが年上だろうが年下だろうが、はたまた先輩だろうが後輩だろうが。そんな仲間がいる素晴らしさ。

高校を卒業してすぐ佐渡に渡った私は鼓童しか知りませんが、それってとても素敵なことなんだろうなと感じている日々です。

Photo: Erika Ueda

交流公演班も今年、残すところ3公演となりました。最後まで前進したい、と強く思える今日でした。

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【鼓童村より】交流公演メンバー、いってらっしゃい!

先ほど交流公演メンバー、元気に旅立っていきました。12月新潟、愛知、千葉、東京で学校公演や特別出演、WSなどを行います。
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2016年12月11日(日)鼓童特別編成で出演「大叢…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日


ニューアルバム『カデン』発売記念キャンペーンのお知らせ


ニューアルバム『カデン』発売記念キャンペーンのお知らせ

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チラシPDF

12月21日の『カデン』発売を記念して、下記の期間全商品送料無料といたします。この機会に是非お買い求めください。

期間:12月10日(土)正午~12月26日(月)17時まで
*国内発送のみ。
*太鼓等、受注生産は除きます。
*期間中よりニューアルバムのご注文もお受けできますが、発送は21日以降となります。

▼「九界」試聴

【「カデン」ご注文はこちら】鼓童オンラインストア
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カデン ディスコグラフィー
http://www.kodo.or.jp/discography/od018_ja.html


心の芯に「芸術的要素」を/坂東玉三郎氏インタビュー


坂東玉三郎氏インタビュー
心の芯に「芸術的要素」を

2016年8月 鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより
文◎伊達なつめ 写真◎岡本隆史

Photo: Takashi Okamoto

──芸術監督就任当初(2012年)は、「和太鼓にはバリエーションが多いわけではないから」と苦労されている様子でしたが、次々と新しい表現が生み出されていますね。

玉三郎 「今日まで出来るだけのことをしてきた」という感じです。正確には「ないもの」を出すというより「ある」ものをそのままではなく展開させて幅を広げる作業になったということでしょうか。『大太鼓』『屋台囃子』『三宅』といった、鼓童のレパートリーを代表する太鼓の曲を沢山聴いていて、今後の為にもさらに新曲があった方がいいのではないかと思い、新しい音楽的なものを模索してきました。私は全てを譜面で伝えていくわけではないので、はじめから「こういうものを創ってほしい」という設計図を示すことはしてきませんでした。鼓童のメンバーが出してきた音を「この音と、この楽器を組み合わせて」やってみては「あ、ぜんぜん合わなかった、こちらの方が良いなあ・・・」などと言いながら、現場で創ってきたのです。

Photo: Takashi Okamoto

その結果、徐々に新しい音が出て来たのでしょうか。それともうひとつは、これまでなかった新しい楽器の組み合わせや使い方、この楽器を加えたら、あるいはこの太鼓の音を前に出さずに、後ろに持って行ったら、どれだけ融合して聞こえるか、といったことを試してきました。

Photo: Takashi Okamoto

──ワン・アース・ツアー『混沌』(2015年初演)で登場した太鼓奏者によるドラム演奏など、実にユニークでした。

玉三郎 同じ打楽器でも、奏法も音の性質もすべてが異なるドラムを使ってみることで、その後元に戻った時に彼らの耳に聞こえる太鼓の音が違ってきたことが、とてもよかったと思っています。たとえば一度旅に出て戻ってくると、自分が住む場所の違った面が見えてくるでしょう。それと同じことを、彼らも感じられるようになってきたのです。

Photo: Takashi Okamoto

──「ちょっとドラムに挑戦にしてみた」という次元とは異なり、「プロの太鼓打ちがドラムを演奏するとこうなる」という新たな楽器の解釈を提示していました。

玉三郎 そこまでいかなければ、お客様に失礼ですから。もちろん今回はプロのドラマーのようには出来なくても、鼓童ができる範囲で、最善のものをお見せしなければなりません。そのために、ここに至るまで3年間かけて稽古してきたのです。

Photo: Takashi Okamoto

──新たに挑戦する楽器の習得に3年をかけ、来年初演の新作の稽古もすでに始まっている。時間の取り方にゆとりと計画性がありますね。

玉三郎 僕自身、俳優として舞台に立つようになってから認めてもらえるまでには、多くの年数がかかりましたし、中国の伝統演劇である昆劇に出演した際も、最低、5、6年は必要でした。フランスの太陽劇団(テアトル・ドゥ・ソレイユ)だって、ひとつの作品を創るのに稽古に2年間もかけているわけです。シルク・ドゥ・ソレイユだって、きっとそうでしょう。本来作品創りというのはそういうものなんです。

──プロの演奏家でありながら、別のジャンルの音楽に挑む姿勢もユニークです。たとえて言えば、チェロの演奏家が胡弓を弾くようなものですよね。

玉三郎 クラシックのチェロの専門家は、人前では胡弓の演奏はしないでしょうけれど、鼓童はとにかく余裕があればやれるところはやってしまわなければならないのです。「やれないでしょう・・・」と言わないで「やれるでしょ?」って最初に言ってしまうんです・・・(笑)。そうするとみんな、だんだん出来るようになっていくんです。そもそも『三宅』(伊豆七島の三宅島)だって『屋台囃子』(埼玉県秩父市)だって、地方の芸能として演奏されているものを、舞台用にアレンジしてきたわけですから。鼓童はそうやって、あらゆる音を自分たちの音色にしてきたのです。ですから今後も、そういうことをして行かなければなりません。

Photo: Takashi Okamoto

──来年初演の新作『幽玄』は、『アマテラス』に次ぐ玉三郎さんと鼓童との共演第2作目、能の世界を鼓童の音色で表現しようという新たな挑戦ですね。

玉三郎 先年打ち手のみんなに、今後はどんなものをやりたいの?・・・と聞いてみたら「日本のものをやりたい」というのです。それじゃあそうしましょう・・・ということになりました。ただ「日本ものはとても難しいよ・・・」とだけは言いました。どこかで古典の専門家の目に触れるでしょうし、様式も技術も、どこまで掴めるかはわからないにしても、「やるんだ」「突き抜けたい」という思い込みだけでは出来ませんからね。お客様にお見せ出来るだけの、練り込む時間がないといけないでしょうね。お能の様式そのものは使えないですから、自分たちが使ってきた楽器で、能や歌舞伎の囃子方では使わない楽器で、稽古をしていかなければなりません。同じ楽器を使ってしまえば、専門家の方が素晴らしいに決まっているわけですから、自分たちの楽器を使って、表現できるように稽古しています。

Photo: Takashi Okamoto

──締太鼓ひとつとっても、能や歌舞伎の大太鼓と似ているようで違うし、違うけど似ているという…

玉三郎 音色が不思議な感じですよね。めずらしさも、新しさも必要ですし、稽古をしていると想像もつかないところにいくんです。それに『幽玄』というからには、謡も入った方がいいかなと思って、ここ5年間くらいやっている発声練習を、謡に活かせるように稽古しています。毎日練習して行けば、確実に声が出て来ますし「なんでもできちゃう」というわけではないですけれど、出来ることはきちんと学んでいきたいと思っています。

──能と歌舞伎と鼓童、と聞いて、アイリッシュダンスと類似点があるタップダンスやフラメンコと競演する『リバーダンス』の一場面を思い出しましたが、そうした広がりも期待できそうですね。

玉三郎 タンゴが酒場のコミュニケーションから生まれてきて、後に芸術的なものに発達したのと同じだと思います。ただ、神社やお寺に集まって演奏するのと、劇場で入場料をいただいてお客様にお越しいただくものとはまた別なことですから、それとは違う線をきちんと引いた状態を保たなければなりません。このようにして、鼓童は各地の芸能に影響を受けてきましたが、デビュー当時から海外公演を多く行う中で、ブルーマン・グループやストンプ(ともにオフ・ブロードウェイを中心に世界各地で公演を続けるパフォーマンス集団)や、シルク・ドゥ・ソレイユのラスベガスのショウの「ミステール」などにも影響を与えているそうです。最近のワン・アース・ツアー『伝説』『神秘』の海外公演では、十分に受け入れられたようですが「影響を受けた海外の打楽器演奏の方が、うまく叩けている」ということにならないように「しっかりとした自覚を持つように」とみんなには話しています。

Photo: Takashi Okamoto

──35周年を迎えた鼓童の今後のことは、どうお考えですか。

玉三郎 具体的には来年(2017年)の春から、「アマテラス」に続く鼓童との共演第2作目の『幽玄』の幕が開きます。9月には、博多座での公演も予定しています。そして秋からは『打男』の日本ツアーが始まります。2009年に創った『打男』が、来年から日本と北米のツアーを回れるようになったことは、演出家としてはとても嬉しいです。佐渡に通うようになってから16年が経ちました。これまで10作近くの作品を創ってきましたが、実は思いのほか大変な作業だったんです。つまり戯曲や筋立て等の全く無いところから、打楽器演奏群の一晩の舞台(コンサート)を構成して行くのですから。自分としては出来るだけ楽しんで創っては来ましたが、お客様がどう思ってくださるかは、また別なことです。特に鼓童の古くからのお客様には、今までとは違う方向性に対する違和感もあったと思います。現在は世界情勢も経済も大変難しい時期を迎えているように思います。そうした状況下で、鼓童のみなさんも「5年後、10年後に自分たちがどうなっていたいのか」・・・ということを真剣に考える時期が来ているのではないでしょうか。

Photo: Takashi Okamoto

鼓童の「和太鼓の曲」は初めから有りましたが、これからは純粋に「打楽器の曲」として考えて行かなければならないこともあるでしょう。また大きな意味で「音楽としての曲創りの捉え方」「舞台人としての有り方」も重要になってくるでしょう。それに加えて心の芯に「芸術的要素」を持って、進んで行ってもらいたいとも考えています。また「舞台裏はお客様には見えている」ということも伝えています。「エンターテインメント」でありながら「品格」も大事なことです。自分も今後の日本の芸術の有り方などを、問い直していきたいと思っているのです。

ー2016年8月 鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより


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坂東玉三郎(ばんどう たまさぶろう)
歌舞伎界の立女形。その深遠な美意識は様々な分野でも発揮され、「ロミオとジュリエット」「海神別荘」などの作品で舞台演出家として高い評価を得る一方、映像作品「外科室」「夢の女」「天守物語」で映画監督としての才能を発揮し、大きな話題となった。2012年4月から4年間、鼓童の芸術監督に就任。2012年9月に、歌舞伎女形として5人目となる重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定、また2013年にはフランス芸術文化勲章最高章「コマンドゥール」を受章した。


 

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「螺旋」公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html

全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a

12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html

12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html

12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html

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鼓童サイト「幽玄」ページ
http://www.kodo.or.jp/news/20170500yugen_ja.html


年の瀬に…/船橋裕一郎


年の瀬に…

Photo: Erika Ueda

いかがお過ごしでしょうか? 今年も残すところ、ひと月余りとなりました。皆様におかれましては、どのような一年でしたでしょうか。私自身は、創立35周年という節目の年に代表に就任し、就任の挨拶文を先日書いたのでは…と思うほど、あっという間の一年でした。おかげさまで鼓童は、諸先輩や多くの先達の助けを得て、本年も広範な地域に赴き、多彩な活動を行うことができました。改めて感謝申し上げます。

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「ワン・アース・ツアー〜螺旋」も佐渡での新作稽古期間をはさみ、後半がスタートしました。サントリーホールでの初演から約3ヶ月、内容も洗練され、一部のキャスト交代を行いながら、更に充実した舞台になるよう、頑張っております。是非、会場に足を運んで頂き、太鼓の音色を肌で感じ、来る年への活力として頂けたら幸いです。

Photo: Takashi Okamoto

さて、時節柄、部屋やパソコンなど色々と整理整頓をしていた折、今年のはじめに読んだエッセイを抜き書きしたメモを見つけました。

『成長するものは変化する。そして以前より複雑になる。考え方もふるまい方も、より複雑で、重層的で、こまやかで厚みのあるものになる。』

という哲学研究者で武道家でもある内田樹氏の言葉でした。それは日本への憂いからきた言葉でした。日本は逆行していると… 急激な成長や変化には畏れや歪みを伴います。それは国内外の政治や経済状況にも顕著に反映されています。

Photo: Takashi Okamoto

ただ、本年「混沌」や「螺旋」というツアーに参加した私にとって、この言葉は、鼓童が成長し続けようとしているグループだという実感を得る言葉となりました。成長過程ゆえの未熟さはまだまだありますが、坂東玉三郎さんから鼓童に対する未来への使命を与えて頂いた作品だと感じるとともに、お客様にはより一層楽しんで頂ける舞台、音を届けていけるよう最善を尽くしていこうと思いました。

Photo: Takashi Okamoto

11月鼓童村・幽玄稽古風景

来年は「打男」北米ツアー初音ミクとの共演「道」の再演から始まり、春になりますと玉三郎さんとの共演二作目となる「幽玄」など上半期だけでも多彩な活動を予定しております。

来年もまた良い年になりますよう、そして鼓童の音が皆様にとって心の潤い、活力源となれるよう、グループ一同、精進してまいります。

太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎

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【新作】坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」上演決定!!
http://www.kodo.or.jp/blog/news/20161201_11506.html

「アマテラス」に続く待望の共演第二弾!

2017年5月16日(火)より…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年11月30日

【鼓童村より】交流公演メンバー、いってらっしゃい!

先ほど交流公演メンバー、元気に旅立っていきました。12月新潟、愛知、千葉、東京で学校公演や特別出演、WSなどを行います。
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2016年12月11日(日)鼓童特別編成で出演「大叢…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日

【米・Forbesに掲載】鼓童の記事が「Forbes」に掲載されました!

【Forbes】Kodo, Japanese Taiko Drumming Company, To Tour Across United States In…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日

【WEB掲載】「カジスマ」に鼓童「螺旋」の紹介記事が掲載されました。坂本からの一言メッセージもあります。ぜひご覧ください!

カジスマ|たまった1年のモヤモヤもスッキリ!…

鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日


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