2008年 南米ツアーレポート

2008年10月〜11月に行われた南米ツアーから、参加メンバーのツアーレポートです。

2008年 南米ツアーレポート 菅野敦司

日本から飛行機を丸一日乗り継いでたどりついた、ブラジルとアルゼンチン。日系移民百年を迎えた両国で感じたことは、日系人のもたらしたものが人々の生活の中に豊かに育まれていることである。食べ物であれば、野菜の豊富さや、ブラジル化されたお寿司。ここでは、人々の中に息づく日本を、二人の日系人の言葉を通して紹介させていただく。

ブラジルではサントスのルーカス村口氏。大切そうにバチバッグを肩から下げてロビーに立つ青年の姿が気になり話しかけてみた。現在、五つのグループの指導者で、ブラジル太鼓コンテストのチャンピオン「一心太鼓」のリーダー。彼は太鼓の魅力についてこのように表現した。「自分のありのままが現れ、太鼓には隠し事ができない。そして、人々の絆を創る。」

アルゼンチンではブエノスアイレスの日本文化センターのレセプションで出会った、ホゼ・マリア国分氏。貿易商であると同時にタンゴ協会の理事をつとめ、歌手であり研究家である。彼は、タンゴ発祥の歴史を調べるうちに、日本の演歌とタンゴの共通点を見いだしたという。「共に貧しく陽のあたらない人々の思いを、唄に託した哀歌である。」彼が街角のピザ屋で歌った「炭坑節」が今でも忘れられない。

文化は時間と空間の隔たりを一気に飛び越え、人々の思いを繋ぎ、伝わっていくということを、あらためて実感する旅の大切な思い出である。

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