2008年 南米ツアーレポート

2008年10月〜11月に行われた南米ツアーから、参加メンバーのツアーレポートです。

2008年 南米ツアーレポート 吉井盛悟

サンバカーニバルで有名なリオデジャネイロで1、2を争うサンバグループの練習を見学するということで、「勿論、行く。」と意気揚々と参加者一行に立候補したが、「それでは、今夜22時半集合で出発します。」と言われ驚いた。「れ、練習ってそんな不謹慎な時間にやるの…」

マングイラの練習会場は、ファベイラと呼ばれるスラム街の付近で、旅行案内等では「危険もあるので近づかないほうがよい所」とされているらしい。また、リオは今、麻薬の取引も多く、犯罪の巣窟と呼ばれ、武装勢力もあるため、警察も手出しができないと言う程。そんなところの土曜の晩に日本人がバスで乗りつけようというのだからこれは不安。

しかし、行ってみるとなんだか楽しい。

練習会場は大きな倉庫のようだが、一般入場者はチケット制で、内部にはバーもあり、サンバのダンスクラブといった雰囲気。彼らの練習とは、お客さんも沢山集めて行なわれ、いわば、本番なわけである。

さてさて、サンバ。始まったと思えば、タンボリンの耳を貫くような音。爆竹さながらというか、とにかく、耳がキーンとする。蠢き合う人々。身体が自然と動く。興奮、高揚、鳥肌が立ち、叫びたくなるような心地。スルドの、癖になるズゥーンとくるボディブロー。体内の血液をシェイクするようなヘピーキのノリ。スコールの如く降り注ぐ音に、突然の夕立を食らった時に訪れる唖然とするような感覚に包まれた。

何か、音楽というより「エネルギーの一斉放出」といった方が近いかもしれない。

十年前に八丈島で聞いた「この島の中で、楽しみとか、ストレス解消が太鼓なんだ。太鼓のお蔭で島の生活のバランスがとれてきたんだよ。」ふと、そんな言葉を思い出した。人の営みとはこういうことかもな…、と感じた。

音を作る人達は、皆、一生懸命で、踊る人達は、皆、笑顔。歌い手の声は、マイクの音量が大きすぎて、私には何を歌っているのか分からないけど、会場に来ている数千人近い人は、老若男女、皆、口ずさんでいる。熱い、人間愛の共有。

「生活が辛い所でこそ、エネルギーのある良い音楽が生まれてくるんだよね。」と、松田美緒さんの言葉。

数日後、オノ・ヨーコさんにお会いし、「Imagin Peace」「平和な世界を想像してごらん」と書かれたバッジを頂いた。日本では今日も「誰でも良いから殺したかった。」という報道がされている。

平和とは何だろう。

おい、日本。安逸を貪るのはやめよう。頑張るぞ。

ブラジルの音楽と出会い、その社会を垣間見て、また次なるエネルギーをもらった気がする。

Top