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「若い夏」へむけて挾土秀平さん佐渡稽古へ/西村信之
先月、約7日間若い夏のお稽古を佐渡で行いました。昨年より試行錯誤を重ねてきたため、演奏者と共に良い緊張感をもってお稽古に取り組むことができました。
そして今回は美術の構想のために挾土秀平さんに佐渡へお越しいただきました。その際の様子を挾土さんがブログに記してくださいましたので、ご紹介させていただきます。
挾土秀平さんのブログ「遠笛」
http://blog.syuhei.jp/?eid=239255#sequel
▼【残席わずか】鼓童浅草特別公演「若い夏」チケット好評発売中!
鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日(金)〜3日(日)東京都台東区 台東区立 浅草公会堂
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html
【問】チケットスペース Tel. 03-3234-9999
(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)
鼓童浅草特別公演「若い夏」に向けて/前田剛史(演出)
鼓童浅草特別公演「若い夏」に向けて
鼓童は今年で創立35周年を迎えました。2012年からは坂東玉三郎さんを芸術監督にお迎えして足掛け5年になります。鼓童が誕生以来今日までに培ってきたもの、そして玉三郎さんとの出逢いから得てきたものを大切にし、今と向き合っていかねばなりません。そのような一つの節目となる年に、浅草公会堂に於いて「若い夏」という公演の演出を担当させていただく事となりました。
山口幹文さんと齊藤栄一さんという2人の先輩の力添えをいただきながら、「若い夏」のタイトルの通り、年齢もキャリアも若いメンバーを中心に構成した舞台です。私や「若い夏」の出演者のほとんどは鼓童が人気を博して、一つの型が出来上がっている環境下での入団でした。これまで芸術監督とともに取り組んできた数年間は、自分達の固定概念を考え直しての出発でもありました。その時改めて『鼓童』という集団がどの様なものか見えてくることが多くありました。
今回の舞台では「若い夏」の題字を書いてくださった、左官職人の挾土秀平さんに舞台美術をお願いしました。
今年の1月に「若い夏」のメンバーと一緒に挾土さんの工房にお訪ねしました。その時、挾土さんのお声がけで、真冬にもかかわらず外で焚き火をして朝食にうどんを茹でて食べようということになったのです。
自分が鼓童村で寮生活をしている時にみなで集まり、焚き火をしてはハムやチーズを焼いたりして食べたことがありますが、まさか挾土さんと共に、このようなスタイルで朝食を作ることになるとは思ってもみませんでした。挾土さんの号令で早速山から枝を集め、せっせと火を起こし、じっと鍋が沸騰するのを待つ。
その間に畑から大根をとってきてすり下ろす人、食器を準備する人、食べられるような場所を作る人。申し合わせずとも皆で協力して朝御飯のために動きます。具はツナと辛味大根のおろしだけ、とてもシンプルです。そして、麺が茹で上がったら釜揚げで熱々のうどんを好きなだけ食べる。「朝食、食べるぞ!」と言ったのが9時頃。食べ始めたのが11時頃。体も芯まで冷えお腹もペコペコの状態で食べたあのうどんの味は、「こんなに美味いうどん初めて食べた!」と思うほど体に染み渡りました。
皆でたっぷり時間をかけて作り、味わう。このプロセスがあったからこそ、深く味わえ、普段の何十倍も吸収できることがありました。飛騨高山の地で職人として自然や日々の生活と向き合っておられる挾土さんの言葉には濁りがなく、芸術家というよりは「親方!」と言いたくなるような親しみを感じて引き込まれてしまう瞬間があります。挾土さんとの経験を通して、普段何気なく過ごしている中に、一つ一つを大切に生きることの大事さを再確認したのです。
今の自分達でどんな舞台が作れるのか。鼓童として大切にしなくてはならないものは何なのか、先輩たちがここまで命燃やし打ち継いできてくれたものは何なのか。芸術監督が伝えようとしてこられたことは何なのか。自分に問いかけ、周囲と向き合って、新しい道を切り開く。これが今の自分達には大きな意味があるのだと感じています。「若い夏」がどんな舞台になるかはまだまだこれからですが、皆で精一杯創り、舞台に挑みたいと思っています。
▼【残席わずか】鼓童浅草特別公演「若い夏」チケット好評発売中!
鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日(金)〜3日(日)東京都台東区 台東区立 浅草公会堂
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html
【問】チケットスペース Tel. 03-3234-9999
(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)
・チケットぴあ Tel. 0570-02-9999 [Pコード:286-894] http://pia.jp/
・イープラス http://eplus.jp/
・ローソンチケット Tel. 0570-000-407(オペレーター 10:00~20:00) Tel. 0570-084-003[Lコード:34284] http://l-tike.com/
・セブンチケット http://7ticket.jp/ 全国のセブン-イレブン店頭マルチコピー機
ご挨拶/船橋裕一郎
2016年を迎え、私たち鼓童は35周年という節目の年を迎えました。
昨年は『神秘』『道』『永遠』『アマテラス』『打男』『混沌』『交流学校公演』『佐渡特別公演』また、様々なジャンルの方々との共演~アース・セレブレーション、『モノプリズム』『輝夜姫』、バリ島での公演などもあり、振り返れば多種多彩、あっという間の1年でした。
芸術監督4作目『混沌』では、ドラムセット三台をはじめ新たな表現に挑戦しました。様々なものを学び、新しいものに触れることで、己をさらに深く知ることの必然性、必要性を感じ、鼓童の舞台表現のさらなる発展が感じられる作品となりました。
玉三郎さんは、この稽古期間中に「『今』を全力でやってきたら、ここまであっという間でした。今もそうです」と仰いました。芸の世界で半世紀以上を過ごされた方の言葉に、鼓童が50年、100年先の未来に向け、この瞬間に全身全霊を注ぎ、太鼓の音をさらに響かせていこうと改めて思った次第です。
本年もまた、新作や再演も含め、多彩な公演を予定しております。佐渡宿根木公会堂での「佐渡宿根木公演」、サントリーホールでの三夜、浅草公会堂の『若い夏』、そして『螺旋』『アース・セレブレーション』も新たな試みを模索いたします。
理念と歴史を振り返りつつ、私たちの『今』この瞬間の音を是非体感して頂きたく、引き続きのご支援、ご鞭撻を賜りますよう、お願い申し上げます。
太鼓芸能集団「鼓童」代表 船橋裕一郎
新しい挑戦/西村信之
新しい挑戦
昨年、ツアー中に前田剛史と話し合った。
自分たちが真の意味でどこまで「鼓童」であるのか。どうすれば「鼓童」になれるのか。自分たちは「鼓童」を追いかけているに過ぎないのではないか。現状についての憂いや不安も含め包み隠すことなくお互いに言い合った。そこで初めて自分がスタッフとして感じていたことと、前田が演奏者として感じていたことが同じであることに気づき、驚いた。
一つ至った答えは、自分たちで新しく何かを創り上げることが必要だということだった。その新しく創るという行為を通してでなければ、これまで鼓童を創り上げてきた人たちが切り開いてきた景色は見ることができない、言い換えれば、その行為を経て初めて創設者達の想いが理解できるのではと思った。
そんなことを考えている最中、大河ドラマ「真田丸」の題字を書いている挾土秀平さんの姿を見た。赤土の巨大な壁に、鏝で土をえぐりとる様に描くその姿はあまりにも衝撃的だった。途端に、この方と一緒に舞台を創りたいという激しい衝動に駆られ、何の伝手もない中すぐに連絡をし、気がつけば挾土さんの本拠地である飛騨高山まで来ていた。
極度の緊張のもと対峙した挾土さんは、すぐにその様子を察してくださったのだろう「僕に西村さんが探すものがあるかどうかわかりませんが、是非僕の世界をみてください。」と答えてくださった。その日は正午から真夜中まで挾土さんのアトリエや迎賓館をご案内いただき、じっくりと語りあう時間をいただいた。挾土さんが感じられる鼓童の印象やこれからの可能性から、前田と話し合ったことまで真剣に語り合った。左官としての経験とその視点から発せられる言葉一つ一つから、まさに自分が求めていた「何か」があった。これまで言葉にできなかったけれど、感じ欲していた「何か」を挾土さんは持っていらしたのだ。
「若い夏」は、芸術監督からの学びを生かし、改めて鼓童としての表現に挑戦する舞台である。その背景に、挾土さんの力が加わる。太鼓と左官、伝統と革新に挑戦する両者が生み出す舞台、その第一歩を踏み出した。
鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日~3日 東京・台東区
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html
【チケット本日発売!】
チケットスペース Tel. 03-3234-9999
(月~土、10:00~12:00、13:00~18:00)