鼓童ブログ Kodo Blog

新しい挑戦/西村信之


新しい挑戦

昨年、ツアー中に前田剛史と話し合った。

自分たちが真の意味でどこまで「鼓童」であるのか。どうすれば「鼓童」になれるのか。自分たちは「鼓童」を追いかけているに過ぎないのではないか。現状についての憂いや不安も含め包み隠すことなくお互いに言い合った。そこで初めて自分がスタッフとして感じていたことと、前田が演奏者として感じていたことが同じであることに気づき、驚いた。

一つ至った答えは、自分たちで新しく何かを創り上げることが必要だということだった。その新しく創るという行為を通してでなければ、これまで鼓童を創り上げてきた人たちが切り開いてきた景色は見ることができない、言い換えれば、その行為を経て初めて創設者達の想いが理解できるのではと思った。

挾土秀平IMG_0945-fそんなことを考えている最中、大河ドラマ「真田丸」の題字を書いている挾土秀平さんの姿を見た。赤土の巨大な壁に、鏝で土をえぐりとる様に描くその姿はあまりにも衝撃的だった。途端に、この方と一緒に舞台を創りたいという激しい衝動に駆られ、何の伝手もない中すぐに連絡をし、気がつけば挾土さんの本拠地である飛騨高山まで来ていた。

極度の緊張のもと対峙した挾土さんは、すぐにその様子を察してくださったのだろう「僕に西村さんが探すものがあるかどうかわかりませんが、是非僕の世界をみてください。」と答えてくださった。その日は正午から真夜中まで挾土さんのアトリエや迎賓館をご案内いただき、じっくりと語りあう時間をいただいた。挾土さんが感じられる鼓童の印象やこれからの可能性から、前田と話し合ったことまで真剣に語り合った。左官としての経験とその視点から発せられる言葉一つ一つから、まさに自分が求めていた「何か」があった。これまで言葉にできなかったけれど、感じ欲していた「何か」を挾土さんは持っていらしたのだ。

「若い夏」は、芸術監督からの学びを生かし、改めて鼓童としての表現に挑戦する舞台である。その背景に、挾土さんの力が加わる。太鼓と左官、伝統と革新に挑戦する両者が生み出す舞台、その第一歩を踏み出した。

【チケット本日発売!】KODO_16summer_B1poster

鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日~3日 東京・台東区
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html

【チケット本日発売!】
チケットスペース Tel. 03-3234-9999
(月~土、10:00~12:00、13:00~18:00)

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