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鼓童浅草特別公演「若い夏」に向けて/前田剛史(演出)


鼓童浅草特別公演「若い夏」に向けて

鼓童は今年で創立35周年を迎えました。2012年からは坂東玉三郎さんを芸術監督にお迎えして足掛け5年になります。鼓童が誕生以来今日までに培ってきたもの、そして玉三郎さんとの出逢いから得てきたものを大切にし、今と向き合っていかねばなりません。そのような一つの節目となる年に、浅草公会堂に於いて「若い夏」という公演の演出を担当させていただく事となりました。

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山口幹文さんと齊藤栄一さんという2人の先輩の力添えをいただきながら、「若い夏」のタイトルの通り、年齢もキャリアも若いメンバーを中心に構成した舞台です。私や「若い夏」の出演者のほとんどは鼓童が人気を博して、一つの型が出来上がっている環境下での入団でした。これまで芸術監督とともに取り組んできた数年間は、自分達の固定概念を考え直しての出発でもありました。その時改めて『鼓童』という集団がどの様なものか見えてくることが多くありました。

今回の舞台では「若い夏」の題字を書いてくださった、左官職人の挾土秀平さんに舞台美術をお願いしました。

今年の1月に「若い夏」のメンバーと一緒に挾土さんの工房にお訪ねしました。その時、挾土さんのお声がけで、真冬にもかかわらず外で焚き火をして朝食にうどんを茹でて食べようということになったのです。

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自分が鼓童村で寮生活をしている時にみなで集まり、焚き火をしてはハムやチーズを焼いたりして食べたことがありますが、まさか挾土さんと共に、このようなスタイルで朝食を作ることになるとは思ってもみませんでした。挾土さんの号令で早速山から枝を集め、せっせと火を起こし、じっと鍋が沸騰するのを待つ。

Photo: Narumi Matsuda

その間に畑から大根をとってきてすり下ろす人、食器を準備する人、食べられるような場所を作る人。申し合わせずとも皆で協力して朝御飯のために動きます。具はツナと辛味大根のおろしだけ、とてもシンプルです。そして、麺が茹で上がったら釜揚げで熱々のうどんを好きなだけ食べる。「朝食、食べるぞ!」と言ったのが9時頃。食べ始めたのが11時頃。体も芯まで冷えお腹もペコペコの状態で食べたあのうどんの味は、「こんなに美味いうどん初めて食べた!」と思うほど体に染み渡りました。

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皆でたっぷり時間をかけて作り、味わう。このプロセスがあったからこそ、深く味わえ、普段の何十倍も吸収できることがありました。飛騨高山の地で職人として自然や日々の生活と向き合っておられる挾土さんの言葉には濁りがなく、芸術家というよりは「親方!」と言いたくなるような親しみを感じて引き込まれてしまう瞬間があります。挾土さんとの経験を通して、普段何気なく過ごしている中に、一つ一つを大切に生きることの大事さを再確認したのです。

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今の自分達でどんな舞台が作れるのか。鼓童として大切にしなくてはならないものは何なのか、先輩たちがここまで命燃やし打ち継いできてくれたものは何なのか。芸術監督が伝えようとしてこられたことは何なのか。自分に問いかけ、周囲と向き合って、新しい道を切り開く。これが今の自分達には大きな意味があるのだと感じています。「若い夏」がどんな舞台になるかはまだまだこれからですが、皆で精一杯創り、舞台に挑みたいと思っています。

Photo: Takashi Okamoto

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▼【残席わずか】鼓童浅草特別公演「若い夏」チケット好評発売中!
news20160701wakainatsu鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日(金)〜3日(日)東京都台東区 台東区立 浅草公会堂
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html

【問】チケットスペース Tel. 03-3234-9999
(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)

・チケットぴあ Tel. 0570-02-9999 [Pコード:286-894] http://pia.jp/
・イープラス http://eplus.jp/
・ローソンチケット Tel. 0570-000-407(オペレーター 10:00~20:00) Tel. 0570-084-003[Lコード:34284] http://l-tike.com/
・セブンチケット http://7ticket.jp/ 全国のセブン-イレブン店頭マルチコピー機

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