Tag ‘蓑輪真弥’
「道」新曲紹介その3 ~黄ポポ~/石塚充
「道」新曲紹介その3
~黄ポポ~
「紫雲」とともにこちらも、真弥が今回のためにつくってくれた新曲。真弥らしい強めの太鼓アンサンブルに明るく軽快なメロディーが乗っかった、ハッピーな曲です。
謎の言葉「黄ポポ」とは何でしょうか?
この曲を聴いて、どんな景色が見えてくるでしょうか?? ぜひ劇場で体感して下さい!
演出
出演(予定)
山口幹文、齊藤栄一、見留知弘、船橋裕一郎、石塚充、中込健太、前田剛史、蓑輪真弥、小松崎正吾、三浦康暉、三浦友恵、米山水木
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鼓童特別公演2017「道」(日本国内)
「道」新曲紹介その1~紫雲~/石塚充
「道」新曲紹介その1
~紫雲~
今回の「道」では、鼓童の定番演目をがっつり演奏する他に、いまのメンバーたちの中から生まれてきた新曲をいくつか発表する予定です。
「紫雲」は、小柄なパワーヒッター蓑輪真弥が作曲。これまでの鼓童に根強くあった優しく華やかな女性像を突き抜けて、凛々しく力強く、気力と身体力を振り絞った女性の太鼓を聴いてみたいなと相談したところから始まりました。
“ファイター蓑輪”が己の細胞をフル稼動して作ってくれ、それを真弥、水木、友恵の、期待の若手女性メンバー3名が全力で打ち込んでいきます。どんな作品に仕上がっているのかは観てのお楽しみ!
乞うご期待!
演出
出演(予定)
山口幹文、齊藤栄一、見留知弘、船橋裕一郎、石塚充、中込健太、前田剛史、蓑輪真弥、小松崎正吾、三浦康暉、三浦友恵、米山水木
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鼓童特別公演2017「道」(日本国内)
螺旋/蓑輪真弥
螺旋
創立35周年記念コンサート「螺旋」稽古が始まっています。新曲と昔懐かしい曲とが織り交ざり、見ごたえのある内容となっております。
美しい闇が情景として浮かんでくる「夕闇」は私の好きな曲の一つです。
8月19日、サントリーホールでお待ちしております。そして9月からの「螺旋」全国ツアーで各地の皆さまにお会いできることを楽しみにしています!
鼓童創立35周年記念コンサート
http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html
2016年8月18日(木)、19日(金)、20日(土)サントリーホール
8月18日(木) 第一夜 〜出逢い〜
出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団/指揮:下野竜也
8月19日(金) 第二夜 〜螺旋〜【S席完売】
演出:坂東玉三郎/出演:鼓童
8月20日(土) 第三夜 〜飛翔〜【完売】
演出:坂東玉三郎/出演:鼓童、ゲスト:BLUE TOKYO、DAZZLE
プレイガイド
・チケットスペース Tel. 03-3234-9999(オペレーター) WEB「チケットスペースオンライン」検索
・サントリーホールチケットセンター Tel. 0570-55-0017
・チケットぴあ Tel. 0570-02-9999 [Pコード:286-898] http://pia.jp/
・イープラスhttp://eplus.jp/
・ローソンチケット Tel. 0570-000-407(オペレーター 10:00〜20:00)Tel. 0570-084-003 [Lコード:30118] http://l-tike.com/
・セブンチケット http://7ticket.jp/ 全国のセブン-イレブン店頭マルチコピー機
・東京文化会館チケットサービス Tel. 03-5685-0650
2016年9月~12月「鼓童ワン・アース・ツアー2016~螺旋」(日本国内)
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
【出逢い】「浮島神楽」作曲家・伊左治 直氏インタビュー『我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇』/寄稿・清川 仁
鼓童創立35周年記念コンサート 第一夜
~出逢い~
8月18日(木) 東京・サントリーホール
<鼓童×新日本フィルハーモニー交響楽団>
ープログラムー
伊左治直作曲 「浮島神楽」世界初演
猿谷紀郎作曲 「紺碧の彼方」世界初演
石井眞木作曲 「モノプリズム」
冨田勲作曲 「宇宙の歌」
「浮島神楽」作曲家・伊左治 直氏インタビュー
我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇
文●清川 仁
最初、作曲の話があった時の高揚感は、ちょっと格別でした。鼓童のCDはずっと聴いてきたので、本当にうれしかったですね。僕はブラジル音楽が好きなのですが、ブラジルにはサンバがあるけど日本には鼓童があるぞ、という思いも抱いていました。
今回は、まずワークショップのようなことをやりまして、自分の曲のサンプルをどんな風に叩いてくれるのか、色々な楽器を叩いてもらって音を確かめてみました。そして、練習をしながら、鼓童のみなさんと一緒に曲を作り上げていきました。僕の要求に対して、返ってくる反応が素晴らしいんですね。「こうやると、こう音色が変わります」とか、僕じゃ分からない楽器のことを教えてくれる。
鼓童は、和太鼓だけじゃなくてプラスアルファで色々な楽器を取り入れているので、今回はスリットドラムを入れてみました。また、僕は音だけでなく身ぶりや振る舞いにも興味があるので、音の良さだけじゃなくて、叩くフォームを含めて楽器を選択しました。オーケストラだけの時も身ぶりを取り入れたり、普段使われない打楽器を使ったり、ちょっとしたパフォーマンスも取り入れます。それ以上に鼓童は徹底しますよね。玉三郎さんが演技指導までして下さるんですから。
新潟県佐渡市・乙和池。中央、奥に浮かぶのが巨大な浮島。
僕は民俗学や伝奇伝承に興味があり、「浮島神楽」というタイトルをつけました。佐渡島には、巨大な浮島をもつ乙和池という場所がある。神聖で水がきれいだけど、使ってはいけないというタブーがある不思議な場所です。社会の便利さや不便さを問い直すようなテーマも感じるんです。また、僕が好きな民俗学者、網野善彦さんが唱えるように日本地図をひっくり返してみると、日本海が大きな湖のようになっていて、佐渡自体が日本海という湖の中にある大きな浮島に見えるんです。世界各地で演奏している鼓童自体が、南米やヨーロッパに現れる浮島のようなイメージにも通じているのではないかと思いました。
途中、密室のコンサートホールに穴を空けるような仕掛けも施します。動き出した音楽と、それと違う時間軸が入り込む不思議な状況を作ってみたい。精霊のようなものが入り込むイメージです。神楽のコミカルな要素も取り入れ、広い意味での神楽の本質を楽しんでもらえればと思います。
伊左治 直 Sunao Isaji:1968年生まれ。日本音楽コンクール第1位、日本現代音楽協会作曲新人賞、芥川作曲賞、出光音楽賞を受賞。現代音楽系の作曲、パフォーマンスや即興演奏から、ブラジル音楽や昭和歌謡曲などのライブまで、様々な活動を展開している。2005年と2012年にはサントリー芸術財団による個展を開催。伝統楽器のための活動として、2013年に雅楽作品《紫御殿物語》、2014年に声明・謡・民謡・ポップスの共演による《ユメノ湯巡リ声ノ道行》などがある。
清川 仁 Jin Kiyokawa:読売新聞東京本社文化部記者。音楽担当記者として、邦楽ポピュラーを中心に、ジャズ、クラシック、純邦楽など幅広く取材を行う。年間、100人以上のアーティストに取材し、100本以上のコンサートに足を運ぶ。 「次世代シャンソン歌手発掘コンテスト」(日本シャンソン協会主催)審査員。
鼓童創立35周年記念コンサート
http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html
8月18日(木) 第一夜 ~出逢い~
18:00開場/18:30開演
東京・サントリーホール
出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也
料金:S席9,800円 A席7,800円 B席6,800円(全席指定、未就学児の入場はご遠慮ください。)
お問い合わせ:チケットスペース Tel. 03-3234-9999(月~土、10:00~12:00、13:00~18:00)
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好対照 二つの新曲オーケストラ/寄稿・清川 仁
紺碧の彼方 作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー「青い海に潜めた 数字の魔法」/寄稿・清川 仁
浮島神楽 作曲家・伊左治 直氏インタビュー「我が意を得たり 共に紡ぐ伝奇」/寄稿・清川 仁
【出逢い】「紺碧の彼方」作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー『青い海に潜めた 数字の魔法』/寄稿・清川 仁
鼓童創立35周年記念コンサート 第一夜
〜出逢い〜
8月18日(木) 東京・サントリーホール
<鼓童×新日本フィルハーモニー交響楽団>
ープログラムー
伊左治直作曲 「浮島神楽」世界初演
猿谷紀郎作曲 「紺碧の彼方」世界初演
石井眞木作曲 「モノプリズム」
冨田勲作曲 「宇宙の歌」
「紺碧の彼方」作曲家・猿谷紀郎氏インタビュー
青い海に潜めた 数字の魔法
文●清川 仁
冷静さの中に血の沸き立つような情熱と魂。それが、何度も演奏を聴かせていただいた僕が感じる、鼓童の素晴らしい魅力です。オーケストラとの共演ではそこに、ストイックなまでの客観性、冷静さを増幅し織り交ぜてゆけないかと考えました。おもむくままに音を大きくする、速くするということも大事ですが、同時に自分が今どういう状況にいてそう叩いているかということを、別の視点で見てみることも重要かも知れません。
新曲「紺碧の彼方」のエッセンスは、3連符と4拍のシンプルなポリリズムにあります。それが細胞のような最小単位であり、なおかつ全体を支配しています。稽古では、この混じり合わない3と4の組み合わせを何度も練習しましたが、終盤では最初と比べものにならないほど緻密になりました。
平胴太鼓3台、締太鼓2台という最小限のユニットでどこまで色んな変化が可能かということにも着目しています。
作曲家には、それぞれの作品ごとにその作品を構成する原理が必要と考えています。思いつきの鼻歌も作曲に違いないけれど、普遍性や客観性には疑問がある。ドの次にレが来る必然性、どうしても次はこの音に行かなきゃいけない、という仕組みを作ることが二十世紀以降の作曲とも言えるでしょう。
伊勢神宮の式年遷宮の曲を創らせていただいたとき、左右対称の神殿の形に倣って、5楽章それぞれを全てシンメトリーの構図にしました。今回は、紺碧の海に囲まれた佐渡の風景と、少しずつサイズが異なる3台の平胴太鼓とを、同居させる仕組みに行き着きました。3台の太鼓の胴の幅はおよそ60センチ、65センチ、70センチ。紺碧という色の由来になったラピスラズリという鉱石は、硬度が5〜5.5。その比を割り出して導いた10:11:12:13:14という数字の組み合わせで、新曲は出来ているのです。
タイトルが示す通り、青い海の果てに一体何があるのだろうかという思いも込めています。そうした詩的なイメージと、数学や哲学めいた仕組みとを同居させることが芸術だと考えています。
お聴きになる方には、仕組みを理解していただく必要はありませんが、太鼓が似たようなことをやっているようで少しずつ違う、というデリケートな変化を感じていただければ嬉しいです。また、紺碧の彼方のような広い空間を、オーケストラの楽器の倍音によって存分に感じていただければと思います。
猿谷紀郎 Toshiro Saruya:慶応義塾大学を卒業後、ニューヨークのジュリアード音楽院作曲科、同大学院を卒業。ミュンヘンビエンナーレBMWシアタープライズ最高作曲賞、クーセヴィツキーファウンデイションなど受賞し、1992年武満徹監修サントリーホール国際作曲委嘱シリーズにおいて初演された「Fiber of the Breath《息の綾》」で一躍その名を知られることとなった。芥川作曲賞、出光音楽賞、尾高賞、佐治敬三賞、芸術祭大賞など受賞。2014年には、第62回伊勢神宮式年遷宮の奉祝曲《交響詩「浄闇の祈り2673」》で3度目の尾髙賞を受賞した。
清川 仁 Jin Kiyokawa:読売新聞東京本社文化部記者。音楽担当記者として、邦楽ポピュラーを中心に、ジャズ、クラシック、純邦楽など幅広く取材を行う。年間、100人以上のアーティストに取材し、100本以上のコンサートに足を運ぶ。 「次世代シャンソン歌手発掘コンテスト」(日本シャンソン協会主催)審査員。
鼓童創立35周年記念コンサート
http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html
8月18日(木) 第一夜 〜出逢い〜
18:00開場/18:30開演
東京・サントリーホール
出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也
料金:S席9,800円 A席7,800円 B席6,800円(全席指定、未就学児の入場はご遠慮ください。)
お問い合わせ:チケットスペース Tel. 03-3234-9999(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)
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好対照 二つの新曲オーケストラ/寄稿・清川 仁
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【出逢い:稽古ルポ】好対照 二つの新曲オーケストラ/寄稿・清川 仁
鼓童創立35周年記念コンサート 第一夜
〜出逢い〜
8月18日(木) 東京・サントリーホール
<鼓童×新日本フィルハーモニー交響楽団>
ープログラムー
伊左治直作曲 「浮島神楽」世界初演
猿谷紀郎作曲 「紺碧の彼方」世界初演
石井眞木作曲 「モノプリズム」
冨田勲作曲 「宇宙の歌」
8月東京・サントリーホールでの「出逢い」公演を前に、鼓童の本拠地、新潟・佐渡島にて作曲家・猿谷氏、伊左治氏、指揮者・下野氏とのリハーサルが行われました。その稽古場の様子を音楽記者の清川氏にレポートしていただきました。
好対照 二つの新曲オーケストラ
文●清川 仁
桜やスイセンの花が今を盛りと咲き誇り、春の訪れを寿ぐ祭りばやしも聞こえてきた4月上旬の佐渡島。風景が色づき、にぎわい始めたこの島に根を張る太鼓芸能集団・鼓童も、新たな芽吹きの季節を迎えていた。8月18日の「創立35周年記念コンサート第一夜〜出逢い〜」に向けた、世界初演となる新曲2曲を含む、オーケストラとの共演曲への取り組みだ。
稽古場には、現代音楽の最先端を走る作曲家、猿谷紀郎さんと伊左治直さん、将来の音楽界を担う俊英、指揮者の下野竜也さん、さらに、坂東玉三郎芸術監督の姿もあった。東京から新幹線と船を乗り継ぎ、なおかつ車で1時間あまり要する鼓童村へ、この顔ぶれを集めてしまう鼓童の行動力、組織力に恐れ入る。
筆者の目には、この稽古場で繰り広げられた1年前の光景が焼き付いている。「混沌」の稽古で、大きな平胴太鼓にメンバーが乗り、コーヒーカップのように稽古場をぐるぐる回る。玉三郎芸術監督がまさにその瞬間にひらめいたアイデアを言い放ち、鼓童メンバーがそれに生き生きと応じて次々に形にしていったのだ。
しかし、今回の雰囲気は異なっていた。メンバーの身体は緊張で硬く、表情もこわばって見える。エレクトーン奏者が弾くオーケストラパートにつられてリズムを乱し、頭を抱える場面もあった。普段、奏者同士で呼吸を合わせてリズムを共有する鼓童メンバーにとっては、場を統率する指揮者も詳細に書き込まれた譜面も自由を奪う存在だっただろう。
そんな緊張状態を、テンポ抜群の進行とエネルギッシュな指導で解放させるのが、下野さんだ。「100点です! 1000点満点のね」。親指を突き上げ、いたずらっぽく微笑む。一瞬のリズムのズレも逃さず聞き分け、決して妥協を許さないが、それを明るい冗談に包んで場を和ます。
隣には、下野さんの指示を丹念にメモするメンバーの坂本雅幸さんがいた。指揮者と作曲家がそろう貴重な場で、彼らの意図する音楽を必死にとらえようとしていた。
「自分たちは楽譜や、オーケストラに合わせることに慣れていないので、指揮者も作曲家もいない時に、僕がどのように稽古を進めていくか俯瞰して見る役割を任せていただいています。自分達が思っている以上にオーケストラと調和するのが難しいので、僕が通訳になれればと思います」
坂本さんは、下野さんから「こういうのは、太鼓の奏法としてありですか?」と問われる場面も多々あった。太鼓奏者側の窓口として、やはり指揮者にとっても良き通訳となっているのだ。同時に、下野さんの太鼓に対する敬意も感じられた。
「太鼓は、誰が叩いても音が出るでしょ。だから難しいんですよね。僕らクラシックの指揮者の中にも、打楽器奏者には平気でバチを替えろと言う人がいるんです。バイオリンに楽器を変えろなんて言わないのに、失礼な話です。誰もが音を出せるものをいかに質の高いものでやるのかは、誰でもできるものではないんです」
さて、今回、鼓童から新曲の委嘱を受けた2人の作曲家は、図らずも対極的なアプローチでこのプロジェクトに臨んだ。2曲の違いは、音にも見た目にも指導にも明白だった。音楽的にもパフォーマンスでも鼓童を伸び伸びと躍動させる伊左治さんの「浮島神楽」と、禁欲的なアプローチを導入して鼓童を新たな次元に立たせる猿谷さんの「紺碧の彼方」だ。
神秘的な燦めきで幕を開ける「紺碧の彼方」は、16分の7、16分の7、16分の5、8分の6・・・と、めまぐるしく拍子が変化。とりわけ、3連符と4拍の異なるリズムを核になって鳴らす締太鼓の2人は、音の強さのばらつきや速度のブレなどが細かく修正された。平胴太鼓を叩く住吉佑太さんは、戸惑いを感じながらも徐々に猿谷さんの狙いを理解しつつあった。
「太鼓らしいフレーズというか僕たちの体に染みついているリズムとは異なり、最初は面白くないなと思ったんです。でも、猿谷さんとお話しして、少しずつ理解してきました。楽しく高揚しながら演奏することで人間らしさに繋がるのではないかと思っていたけれど、冷たく研ぎ澄まされた中であっても、人としての呼吸、人間性が滲み出てくるのかもしれない」
神楽の雰囲気から太古へ、そして宇宙へと世界が拡張していくかのよう伊左治さんの「浮島神楽」は、丸太形のスリットドラムや、三宅島式の横打ちスタイルなど見た目にもにぎやか。バットばちを両手でブンブン回しながら振り下ろす叩きっぷりながら、音量は確かに抑制されている石塚充さんも印象的だった。
「伊左治さんは、僕らを見た目も含めてオーケストラの異物として存在させようとして、打ち方や雰囲気も指示される。太鼓だけの練習の時はフォルテシモで叩いていたのですが、サントリーホールは響くので3分の1の音量に抑え、それでいて雰囲気は大振りしてほしいと。大変ですが、コントロールしています」
オーケストラのバックで、太鼓がそれぞれ割り当てられた7拍子や5拍子のフレーズをバラバラに進行させるパートでは、下野さんからユニークな提案があった。互いの音やフレーズの個性を際立たせるため、キャラクター設定をするというものだ。「怒りっぽい人」「メソメソした人」「勤続40年の幼稚園の先生」「いてもいなくてもいいようなお巡りさん」という個性的な人物設定の中で、「バツ5」担当の蓑輪真弥さんも絶妙に解釈した。
「ある程度人生を経験している人で、いろんな人を見ながら、あ、この人いいな、この音いいなという人にパッと乗っかっていく。またいい音が聞こえたら、そっちに乗り換える心移りが激しい人。でも一途なところもあるような」
たった2日間の稽古ながら、メンバーはオーケストラの緻密な音作りを水が染み込むようにみるみる吸収していった。見所のたっぷりの世界初演曲に加え、太鼓とオーケストラの共演の先駆けである石井眞木さんの「モノプリズム」、日本が世界に誇るシンセサイザーアーティスト、冨田勲さん作曲の「宇宙の歌」も演奏される。
下野さんは「作品群はすべて質感がたっぷりですが、決して食べ合わせが悪いわけではなく、非常に良く練られたプログラムです。素敵なサントリーホールでいっぱいの音を浴びていただきたいと思う」と語った。
2016年4月、稽古後に作曲家の猿谷さん、伊左治さん、指揮者の下野さん、エレクトーン奏者の清水さん、松田さん、芸術監督・玉三郎さんと鼓童メンバーでの記念撮影
清川 仁 Jin Kiyokawa:読売新聞東京本社文化部記者。音楽担当記者として、邦楽ポピュラーを中心に、ジャズ、クラシック、純邦楽など幅広く取材を行う。年間、100人以上のアーティストに取材し、100本以上のコンサートに足を運ぶ。 「次世代シャンソン歌手発掘コンテスト」(日本シャンソン協会主催)審査員。
鼓童創立35周年記念コンサート
http://www.kodo.or.jp/news/20150917kodo35th_ja.html
8月18日(木) 第一夜 〜出逢い〜
18:00開場/18:30開演
東京・サントリーホール
出演:鼓童、新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮:下野竜也
料金:S席9,800円 A席7,800円 B席6,800円(全席指定、未就学児の入場はご遠慮ください。)
お問い合わせ:チケットスペース Tel. 03-3234-9999(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)
冨田勲氏と鼓童
作曲家・シンセサイザーアーティストの冨田勲さんが、今年5月5日にお亡くなりになりました。「宇宙の歌」は、鼓童のアルバム「ナスカ幻想」のために書き下ろされたもので、2008年にオーケストラ版として上演。今回8年ぶりに上演させていただくお願いに、「嬉しいお話です。鼓童村の『和泉邸』に一週間こもって作曲したうちの一曲です。」というご返事をいただき、当日にもご来場いただけるように準備をしていたところでした。
ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
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【TV出演】6月10日J:COMチャンネル「デイリーニュース」に蓑輪真弥、北林玲央、小池将也が出演&生演奏(神奈川)
6月10日J:COMチャンネル「デイリーニュース」(神奈川)
鼓童出演&生演奏
6月10日(金)18:00〜J:COMで放送の「デイリーニュース」に、鼓童メンバーの蓑輪真弥、北林玲央、小池将也が出演、生演奏もあります!神奈川県のみなさま、放映地域のみなさま、ぜひご覧ください。
J:COM「デイリーニュース」
- 放送日時
- 2016年6月10日(金)18:00~
- 放送局
- J:COM
- 出演
- 蓑輪真弥、北林玲央、小池将也
▼まもなく「混沌」神奈川公演!
2016年6月11日(土)18:00 神奈川県茅ヶ崎市 茅ヶ崎市民文化会館
▼新作「螺旋」神奈川公演も開催決定!
2016年10月26日(水)18:30 神奈川県横浜市 神奈川県民ホール 大ホール
ブラジル「打男」初日、リオ・デ・ジャネイロ小公演、サンパウロWS/蓑輪真弥
ブラジル「打男」初日、リオ・デ・ジャネイロ小公演、サンパウロWS
8年ぶりのブラジル公演、無事に打男、初日を迎えました。
サンパウロの「Teatlo Alfa」は8年前に私が観て、鼓童へ行くきっかけとなった公演と、まさに同じ劇場、そして同じ舞台。公演が始まると8年前にタイムスリップして、舞台に釘付けになっていました。
ブラジルのお客様の反応は前回と変わらず、フルスタンディングオベーションの大盛況でした。
そして、「打男」初日より一足先に、リオ・デ・ジャネイロで小公演を行いました。私を含め5人という少人数ではありましたが、鼓童を初めて観ていただくお客様にもわかりやすく、鼓童の紹介や研修所紹介、鬼太鼓を打ったり、日本の伝統文化も伝えてられる舞台となりました。
進行のMCでは、ポルトガル語にも挑戦! メンバー自己紹介もそれぞれ頑張ってポルトガル語で行い、観客との距離もグッと縮まり、あっという間の一時間公演となりました。
和太鼓が盛んなサンパウロでは太鼓経験向けのWSを行いました。参加者の無垢で貪欲な眼差しから、遠く離れたブラジルにも、和太鼓に熱き思いを持った方々がいるということを改めて実感しました。そんな彼らに伝えられること、一発一発の音を大切に、そして、その時空の中で作り上げるグルーヴの面白さを体感する。とても濃厚な4時間のワークショップとなりました。
8年振りのブラジルの和太鼓の音の中で、言葉の壁を超えた共通言語と深い間の重みを体感し、初心を思い出し、前進し続ける意義を感じました。
今回、私の後輩である29期の元研修生、サンパウロ在住の海藤洋平さんに、通訳のお手伝いをしていただき、このブラジル公演を行うにあたり、多大な尽力をいただいております。
これからはリオデジャネイロでの打男公演です。日本の裏側に鼓童の音を残せるよう、「打男」メンバー、一丸となって頑張っています。
2016年3月
鼓童「打男 DADAN 2016」ブラジルツアー
http://www.kodo.or.jp/news/20160317dadan_ja.html
「混沌 」文京公演へのご来場を有難うございました/蓑輪真弥
「混沌」文京公演
昨年末に開催した文京公演、ご来場いただいた皆様、有難うございました。
文京シビックホールでの公演は、佐渡で幕を開けてから約一ヶ月のツアー最後の会場でした。ツアー終盤になりタイヤの張りが弱くなってきたため張り替えを行いました。
新たな命を吹き返す、楽器としてのタイヤ達。耐久性も考えながら出したい音になるために日々試行錯誤…
『混沌』では和太鼓と様々な楽器を演奏するにあたり、どんな音を出したら馴染みが良いかなど、和太鼓も今までどおりの音を出すのではなく、響きをミュートしたりと繊細に音を合わせてきました。
混沌としているけど、なぜか心地の良いこの舞台。それは音にしても、呼吸を合わせるにしても、意図的にするものでもなく、どちらか一方に合わせるのでもない。異質なものが入ってきても、お互いを感じながら混じり合わせる。
お互いが心地良く聞こえるように、自然と、調和の方へと向かっていく自分達がいるからだと感じています。
5日間の連続公演、毎日たくさんのお客様にご来場いただき、誠にありがとうございました。
「Japan’s Kodo drummers」英・ファイナンシャル・タイムズ紙記事
http://on.ft.com/1n8pnQ6
<一部抜粋>
“Chaos is aptly named, but this is chaos of the most scrupulously organised kind. It is an exhilarating performance that leaves both drummers and audience breathless and a reminder that there is simply no substitute for the visceral thrill of experiencing the powerful cumulative resonance of these drums played in person.”
“「混沌」とはうまくつけたものだ。しかしこの混沌はきわめて緻密に仕組まれている。胸のすくようなその舞台は演奏者と観客の双方を圧倒する。そして同時に、これほどの血湧き肉躍る感興を与えてくれるものは、この力強い太鼓の響きの重なりを直に体験すること以外、この世にはないのだと思い知らせてくれるのだ。”
「『打つ』ことの根幹に存在感を示す」アイディアニュース
http://ideanews.jp/archives/14340
<一部抜粋>
“そして二幕の終盤になると、もはや太鼓かドラムか、といった違いが気にならなくなっていた。初めに視覚から入り込んだ違和感が、いつしか聴覚から払拭されていた。太鼓を始め、竹筒を床に落として音を出すシンプルな楽器トンガトン、拍子木、スネアドラム、ティンパニ、ドラムセットまで、作品全体を通してあらゆる打楽器がリズムの線でつながり、音で風の流れが作られていく感覚を覚えた。”
“最後にストンと落ちてきたのは、鼓童としての存在感。それは、どんな楽器を演奏していても、「打つ」という行為の根幹において、「鼓童」としての存在感を示せることの強さだ。”
2016年6〜7月全国ツアー!詳細は2月上旬に公式サイトで公開します。
「混沌」いよいよ劇場へ/蓑輪真弥
新作舞台「混沌」の初日、佐渡公演まであと2日となりました。稽古も大詰め、鼓童村から場所を移し、昨日から舞台稽古が始まりました。
「混沌」というだけに”カオス”状態。その中で生み出される音色はなぜか心地が良く、調和のとれた舞台になっていると思います。この舞台を作っていってる中で、和太鼓、鼓童とはこういうものだと、自分の中にあった固定概念が自然と消えていき、ニュートラルな感覚で音を出している自分がいます。
タイヤであろうが、西洋打楽器であろうが、音を出している自分には変わりはない。新しい感覚で、それでいて”素”でいられることがとても楽しいです。
佐渡初日までの2日間で更に進化していく舞台。皆様、お楽しみに!
【佐渡へ初演を観にいこう!】
23日、新作「混沌」佐渡初演!
http://www.kodo.or.jp/oet/20151123a_ja.html
11/22 17時まで受付:アミューズメント佐渡 Tel. 0259-52-2001、蔦谷書店佐渡佐和田店(窓口へ)
(鼓童チケットサービスでの受付は終了しました)
当日券は23日14時より劇場で販売