鼓童のサウンドメーカー住吉佑太(左)&池永レオ遼太郎(右)。
遼太郎による「巡」アレンジにヨーロッパツアー中の動画を合わせた、ロードムービーを公開!
そして、「巡」作曲者・佑太による”トランス・ヴァージョン”も本サイトで初披露。
2人にこの「巡」楽曲アレンジの面白さを語ってもらった。
Kodo 2018 Europe Tour Scenes / Music: 巡 -MEGURU-
arranged by Ryotaro Leo Ikenaga
聞き手:伊達なつめ(演劇ジャーナリスト)
池永 去年のアメリカ・ツアーの時に、個人的にiPhoneで撮った動画を、メンバーに見せていたんです。
住吉 それが面白かったので、同じように『巡』の音楽に合わせてつくってもらえないかと、遼太郎に頼んでみました。
池永 楽曲にあわせて、今年のヨーロッパ・ツアーで巡った全都市を、訪問順に並べてはめ込んでいったんですけど、映像の方が足りなくて、編集にはちょっと苦労しました。
住吉 曲自体も、遼太郎がアレンジしてくれました。『巡』はもともと日本的な5音階でできていて、コードも一般的にはスリーコード(基本の3つの和音で構成される)のところを、敢えて2つのコードにしてあります。ただ2コードだと、どうしても暗いイメージが強くなるので、「メジャースケール※の感じにしてくれない?」と頼んだら、メロディーはそのままに、和音を別のものにして変化を付けてきた。こういう発想は、いままで無かったですね。
→※メジャースケール(外部リンク http://chaco2008.com/theory/1-3_majorscale.html)
池永 2コードから4コードに増やしたらどうかな、と思ってやってみました。こういうループする感じ、ゲーム音楽やBGMなどでは、よく使われるコード進行です。つくるのに時間もそれほどかかりませんでした。
住吉 ひとつの音型をひたすら繰り返す(=ループ)ミニマル・ミュージック系の曲は、鼓童にはあまりないタイプですね。今回、シンプルさを強調したら、図らずもこうしたアレンジが可能になりました。僕がつくった”トランス・ヴァージョン”の『巡』も同様で、生演奏とはまったく異なり、音色の制限もなく、いくらでも音を重ねられるDTM(desktop musicの略。パソコンのマウスやキーボードを打ち込んでつくる音楽の総称)で遊んでみたもので、かなりぶっ飛んでます(笑)。
巡 -MEGURU- Trance Version / 鼓童 Kodo
arranged by Yuta Sumiyoshi
住吉 これを鼓童の舞台で演奏することはありませんが、いろいろ試してみることが、新しい音楽表現を生み出したり、様々な客層の方への興味の入り口になったりすると思うんです。
池永 そうですよね。僕らにとっては、こういうのもとても自然な音楽のつくり方です。やっていて楽しいですし、楽しくないと意味がありませんから。
住吉 たとえば民謡で使う三味線も、日本に伝わってきた時に「これ使ってみたらいいんじゃない?」という好奇心で取り入れたものが、定着したわけですよね。こういうことは歴史的に繰り返されているのですから、僕たちも「邦楽器だから」と縛りをつけずに、かっこいいと感じたものを、柔軟に取り入れていければと思っています。
Photos: Takashi Okamoto
演出:住吉佑太
Yuta Sumiyoshi
小学校2年生より和太鼓を始める。2010年研修所入所、2013年よりメンバー、「大太鼓」やソリストに抜擢される。舞台では主に、太鼓、笛、「混沌」公演ではドラムを担当。軽やかなバチ捌きを得意とし、また「草分け」「結」「炯炯」「綾織」など舞台の要となる数々の楽曲を生み出す、鼓童のサウンドメーカー。
2017年、「打男」北米・国内ツアー参加。「坂東玉三郎がいざなう鼓童の世界」、「幽玄」で坂東玉三郎氏と共演。
2018年「Evolution」ヨーロッパツアー参加、「巡 -MEGURU-」で初演出を務める。
鼓童サイト|住吉佑太プロフィール
https://www.kodo.or.jp/about/member/yutasumiyoshi
池永レオ遼太郎
Ryotaro Leo Ikenaga
大学1年生より太鼓を始め、学内の太鼓グループで活動。2013年研修所へ入所。2016年より正式メンバーとなる。舞台では主に太鼓、笛を担当。2015年「打男」浅草公演、「永遠」「混沌」国内ツアーに参加。「混沌」ではフルートを演奏。2016年、「螺旋」国内ツアー、「打男」ブラジルツアーに参加。
2017年、「坂東玉三郎がいざなう鼓童の世界」、「幽玄」で坂東玉三郎氏と共演。「打男」北米、国内ツアー参加。「鼓童若手連中」で舞台演出デビュー。
2018年、フランスの著名な劇団「太陽劇団」の招聘により演出舞台「鼓童若手連中」の海外版、「Kodo Next Generation」をパリにて上演。また、「道」の演出補佐を務める。「Evolution」ヨーロッパツアー参加。旋律楽器も得意とし作曲にも力を注ぐ。
鼓童サイト|池永レオ遼太郎プロフィール
https://www.kodo.or.jp/about/member/ryotaroikenaga