「巡」と出会って/振付・川原あけ未

Photo: Erika Ueda

鼓童と出会ったのは5年位前でしょうか。玉三郎さん演出の作品に振付でお声をかけていただいたのが最初でした。豊かで厳しい自然の中で育った若者たちが太鼓に打ち込んでいる姿は本当に清々しいものです。

Photo: Erika Ueda

そして今回の「巡」では演出家も27歳と若く、出演者も今までの作品出演者より若い。スポーツの世界でも年々若手の活躍が目立って来ましたが、「巡」でも若手がフィーチャーされています。卓球のアイちゃんのように4歳5歳位から太鼓をはじめた人もいて、若くても太鼓経験は豊か。

Photo: Erika Ueda

そんな中、鼓童を支えてきたベテラン勢は時に温かく、時にピリッと舞台を引き締めてくれています、頼もしいです。そして回りのスタッフ陣も実に頼りになります。2年間の研修生を経てスタッフになっている方も多く、演者の立場を理解して演者を支えています。そんなチームの力が鼓童のそして「巡」の魅力になっているように思います。

Photo: Erika Ueda

観客席の若い方には1つの事に打ち込む素晴らしさを感じてもらいたいです。

そして歳を重ねてきた私のような年代の皆様にはいろんな人生を思い巡らし、音を堪能して頂きたいです。

<心臓の鼓動>、<小川のせせらぎ>、<祭りの賑わい>、<懐かしい田園風景>、<ポップなライブ>。聴く方、御覧になる方に音を、音楽を身体じゅうで感じながら想いを巡らせて頂ければ 嬉しいです。

Photo: Takashi Okamoto

Photo: Takashi Okamoto

そしてさらに踊りで元気を一杯受け取って頂ければ嬉しい限りです‼️

追伸    「巡Ⅱ」メンバーの方々へ。最後はフジロックのノリで行って下さい。まだまだ行けます、観客の皆様と共に楽しんでください。🎵

Photo: Erika Ueda

Photos: Takashi Okamoto, Erika Ueda


Photo: Takashi Okamoto

川原あけ未

Akemi Kawahara

名倉ジャズダンススタジオカンパニーメンバーでダンサーとして活動中から坂東玉三郎演出「なよたけ」「ガラスの仮面」、宮本亜門演出「キャンディード」、白井晃演出「オーマイパパ」、宝塚歌劇団、サンリオピューロランド、テレビCM等の振り付けを手掛ける。現在は理学療法士しての活動やヤムナ、ピラティス、フランクリンメソッド等のボディーケアの指導者としても活躍。

物語の風景/衣裳・三好沙也加

Photo: Erika Ueda

2年前、初めて佐渡島を訪れました。

そこで出会ったのはそれぞれの場所から集まってきた太鼓を打つ人たちでした。

Photo: Takashi Okamoto

『巡』の衣裳は一人ひとりのデザインが異なります。

私が彼ら一人ひとりに出会って話す中でつくったものです。

Photo: Erika Ueda

この衣裳が、住吉さんのつくる物語の風景のひとつになれば嬉しいです。

三好沙也加(衣裳)


[住吉佑太より三好沙也加さんご紹介]

三好さんは、実は同じ高校の同級生で、部活も同じでした。将来は、ファッションデザインの道に進んで、服を作りたいと、三好さんがよく話していました。僕も鼓童に入って、いつかは舞台を作りたいと、お互いに夢を語り合っていました。

もし2人とも夢が叶ったら、舞台衣裳を作ってもらいたいなと、あのときは本当に実現するとも思わず、ふざけてよくそう言ってました。それが9年越しに叶ったのが、今回の「巡 -MEGURU-」という作品です。

Photo: Takashi Okamoto

本当に1人1人のパーソナリティをよく見極めてくれて、唯一無二の衣裳が出来上がりました。細部までこだわり抜いて作られた衣裳でありながら、必要以上の主張がなく、いい意味でニュートラルに、巡の景色に溶け込んでいると思います。

ぜひ、会場でご覧ください。
三好さんのホームページも、ぜひチェックしてみてください!
https://www.mitoka-kyoto.com

Photo: Erica Ueda
香川県三豊市の山下市長と、三好沙也加さん、三豊出身メンバーの住吉佑太、山脇千栄(初演の三豊公演にて)

Photos: Takashi Okamoto, Erica Ueda


Photo: Takashi Okamoto

三好沙也加

Sayaka Miyoshi

1991年 香川県生まれ。
2015年 京都造形芸術大学大学院芸術環境研究領域修士課程修了。
2016年 初のコレクションとなる「ぼくのサヨナラ史“My Sayonara Chronicle”」を京都にて個展発表。「言葉」から始める服づくりは、その目に見えない生地を素材に、「身に纏う物語」を展開する。


2013年 希望の服—種から服をつくる― ”The Seed Project”(学士卒業制作・学科賞)
2016年 ぼくのサヨナラ史 “My Sayonara Chronicle”(idギャラリー・京都)
2017年 ゾウの時間、ネズミの時間。“Time of Elephants, Time of Mice”(aiギャラリー・大阪)
2018年 ある村の祭り服(恵文社・京都)

https://www.mitoka-kyoto.com

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

私は、「鼓童」を知りませんでした。ご縁があり、2016年の秋頃に鼓童の西村さん、住吉さんと初めてお会いすることに。そこから、「鼓童」の魅力に惹かれていくことになるのです。

年が明け、2017年の3月に初めて佐渡へ渡ることに。
忙しない東京で育った私にとっては、
映画の中で見るような自然に囲まれた雄大な空間。
その時、佐渡を舞台にしようと決意したことを覚えています。

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

鼓童村にご招待頂き、稽古を見学させて頂くことに。
後々感じたことですが、実は公演で鑑賞するよりも迫力がすごいのです。
音の響きや、奏者の息遣いや汗。これは本当にすごい。

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

先述したように「鼓童」自体も知らず、勿論公演も鑑賞したことがありませんでしたが、
後になってみれば、それが良かったなと感じました。
MVができた後に、初めて「鼓童」の公演を鑑賞しましたが、
パフォーマンスが素晴らしい。音の響きが心を打つ感覚。
それに伴い、観客を飽きさせない演出。
非常に素晴らしいエンターテイメントを目の当たりにしました。
もし、それを先に見ていたら、
いい意味でも抽象的な世界の作品はできていなかったと思っています。

さて、MVの舞台は、日本列島が生まれる前の世界。
といっても、誰も見たことのない世界ですが。

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

「古事記」の国生み、
【二柱の神、伊邪那岐(イザナギ)、伊邪那美(イザナミ)によって日本が創られる】
というお話をモチーフにし、「鼓童」を生命(=血の流れ=鼓動=鼓童)という位置付けをし、
生命は、生死を繰り返し、そしてまた輪廻するという概念を描くことにしました。

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

様々な感情や事象、環境の変化等がありますが、
すべては「生か死」「生と死」であること、
そしてそれを巡り、「輪廻」という概念に辿り着いた訳です。

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

そして、「鼓童」と「撮影チーム」が共に意見を出し合い、
長い月日を経て完成したミュージックビデオが、
「巡 -MEGURU-」。

素敵な作品ができました。

私自身、この出会いに感謝して、
今後とも大きな海原に挑むべく、精進していきたいと思います。

浮世離れ/「巡」ミュージックビデオ監督・中野翔太

また、素敵なご縁を頂いた、
カメラマン木下昂一氏、
そして鼓童の皆様に感謝致します。

この作品が、世界中を巡っていくことを願います。

ミュージックビデオ監督・演出 中野翔太(株式会社クレイ CRAZY)

ミュージックビデオ監督・演出 中野翔太(株式会社クレイ CRAZY)