太鼓の鼓童「新しい音楽性を追求したい」

2018.11.17 19:00

「MVを作ることで僕たちの音楽のイメージがちょっとでも広がれば良いな」という住吉(左)とメンバーの山脇千栄

(写真3枚)

11月にスタートした太鼓芸能集団・鼓童の全国ツアーで初の演出を担っている住吉佑太。本公演『巡−MEGURU−』について、正メンバー6年目の若手・住吉に思いを訊いた。

1981年に結成され、世界50カ国で活動する鼓童だが、今回のツアーに合わせて、初のMVを制作。住吉は、「太鼓のイメージを払拭したいんです。特に若い人たちの。こんなにゲキアツな音楽があるよって、ちょっとでも触れてもらえる機会を作りたくて」と明かす。

確かに上半身裸にねじり鉢巻きという和太鼓のイメージとは違い、スピリチュアルな雰囲気ただよう風景をバックに刺激的なリズムが流れるMVは、新しい鼓童の幕開けを感じさせる。「今回は『景色が見える音作り』を意識していて、心象風景を巡るという意味を含めている。誰しもが思い描く景色や世界観、そういうところに共振できれば」。

そんな住吉の好みは、ワールドミュージック。「韓国、アフリカ、モロッコ、インド・・・、世界中の民族音楽をよく聴きます。ワールドミュージックって、言葉や文化、気候、食生活に合わせていろんなリズムや楽器ができている。ある土地の楽器は片手で打つとどうしても訛るとか、リズムの必然性がそこにあるじゃないですか。それを大事にしたい」と、作曲に活かしているという。

公演タイトルにもなっている楽曲『巡−MEGURU−』についても、「『巡る』って反復のイメージがあって、民族音楽も基本は反復。バリのケチャとか韓国のサムルノリもそうですし、ケルトミュージックも。何回も何回も繰り返すなかで、トランスしていくじゃないですか。それを再現したい」と試行錯誤を繰り返したという。

「リフを作る必要があったんで、ミニマル・ミュージックっぽくするためにマリンバを使ったんです。でも太鼓になじまなくて、使う音をヨナ抜き音階(5音)に絞るとか、アタック音を派手にして非整数次倍音を出すとか、民謡の伴奏のように2コード進行にしたりとか、すごくこだわって・・・。最初のリズムは護摩焚きの念仏みたいに5拍子で、後半ではモロッコのリズムをベースに日本の郷土芸能の唄をかぶせて、でもその間にマリンバの淡々と流れるリフがある・・・。新しい音楽性をどんどん追求していきたい」と、どこまでも熱く語る。

「関西のアンダーグラウンドのバンドが好きなんですよね。日野浩志郎さんのgoatとか、いま彼らにめちゃくちゃ会いたいんですよ」と住吉
「関西のアンダーグラウンドのバンドが好きなんですよね。日野浩志郎さんのgoatとか、いま彼らにめちゃくちゃ会いたいんですよ」と住吉

MVの挑戦に限らず、初音ミクとコラボするなど裾野を広げている彼ら。「僕らをおもしろがってくれる人がいたらコラボレーションしたい。アンダーグラウンドなところにも進攻していけば、絶対おもしろがってもらえると思うんですよね」とも。

いっその事、メッセージ性のある思いを歌詞にしてボーカルを迎えては?と提案すると、「初音ミクとの共演で、キーボードの方にも言われました。鼓童に何を足す?という話で、歌詞だよ!って。ボクはその発想がなかったのでありだなと。考えてみます」と柔軟に今後も活動するという。ツアーの大阪公演は11月21日・22日に「森ノ宮ピロティホール」(大阪市中央区)で、滋賀公演は23日・24日に「びわ湖ホール 中ホール」(大津市)にて。

『巡−MEGURU−』

日程:2018年11月21日(水)・22日(木)
会場:森ノ宮ピロティホール(大阪市中央区森ノ宮中央1-17-5)
料金:6500円(全席指定)

日程:2018年11月23日(祝・金)・24日(土)
会場:滋賀県立芸術劇場びわ湖ホール 中ホール(大津市打出浜15-1)
料金:6000円(全席指定)

電話:0570-200-888(キョードーインフォメーション)

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