Photo: Takashi Okamoto

Note#2 : 新しい音楽

私は、自分自身がやりたい音楽をやるために曲を書いています。

それが偶然、太鼓だったわけで、私がピアニストだったならピアノで、
シンガーソングライターだったなら、ギターと声と言葉で曲を作ったと思います。

今回の作品は、太鼓を知らない若い世代の方々にも、
面白がってもらえるものにしたいと思っています。

太鼓を観たことがない、聴いたことがないという方が持つ
「太鼓ってこんなものでしょう」という固定概念を打ち破りたいんです。

Photo: Koichi Kinoshita

私も26歳です。

私は自分と同世代の皆さんに、いきなり日本の伝統芸能や
郷土芸能を深く学び知ってもらいたいとは思っていません。

ただ、自分が感じている太鼓のかっこよさを、
1つの新しい音楽として、皆さんに発信したいと思っています。

この「巡」という作品は、ほとんどが私の作曲したオリジナル曲で構成されています。
リズムアンサンブルやメロディーのある曲、西洋音楽的なアプローチの曲もあれば、
郷土芸能や民族音楽を取り入れた曲もあります。

Photo: Koichi Kinoshita

26歳の等身大の自分が、日本の郷土芸能や世界の民族音楽を耳にして、
単純にかっこいいと思ったグルーヴやフレーズを、エッセンスとして自分の曲に取り込んでいます。

そこには、ドラムの16ビートや、4つ打ちのダンスミュージックとはまた違う、独特のノリが存在します。

太鼓の音色や余韻によって、さらに増幅されたグルーヴは、
どんな音楽にもない深い「うねり」となり、皆さんの心と体、そして魂を揺さぶるはずです。

Photo: Koichi Kinoshita

単純にかっこいいかどうか、気持ちよく聴けるかどうか、踊れるかどうか。

そういった直感的なことからで構いませんので、
インストのライヴに足を運ぶような気軽さで、
ぜひ観に来てもらいたいです。

とにかく、理屈抜きで感じてもらえるような作品を目指して、
11月の初日に向け、より磨きをかけていきます。

「巡 -MEGURU-」演出・住吉佑太(鼓童)



→ 演出・住吉佑太 Profile


「巡 -MEGURU-」魂を、聞け。

Note#1 : 「巡 -MEGURU-」魂を、聞け。

本公演は「巡」という言葉をテーマに据え、「景色が見える音作り」を大切にしながら、全編新曲で構成した舞台となっております。

「巡 -MEGURU-」魂を、聞け。

森羅万象、巡らないものはありません。
太陽と月、水や命など、循環しないものはありません。
始まったものはやがて終わり、また始まる。時空を超えて、何度も何度も。
それは魂や人々の思いのような、精神的なものにまで至ります。

「巡 -MEGURU-」魂を、聞け。

そうやって何万年も巡り、受け継がれてきた物語に、私たちは無意識のうちに影響されているのではないでしょうか。
どんな国や文化圏の人でも、同じように感じ取る心象風景があるとすれば、それは個々人の記憶や知識だけに起因するものではないように思えます。

では、そこに共通するものとは何か。

私たちはいつの時代も、その何かを追い求めて、芸術というものに触れてきたのだと思います。
美術や音楽をはじめ、様々な芸術活動がありますが、そのすべては人間が生きていく上で、必ずしも必要なものではありません。
それなのに人類は、寝る間を惜しんで絵を描いたり、音楽を作ったりしてきました。

私も同じように、どうしようもなく曲を作りたくなる瞬間があります。
自分の中に溜まった何かを、形にしたくなる感覚です。

魂の声を聞きたい。

その衝動こそ、巡り巡ってきた一つの物語であり、この作品を通して、私が表現したいものでもあります。

「巡 -MEGURU-」魂を、聞け。

鼓童の音が呼び覚ます心象風景を巡りながら、皆さんと一緒に魂を辿れたら。
そんな思いで、一音一音、大切に奏でていきます。

「巡 -MEGURU-」演出・住吉佑太(鼓童)



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