Tag ‘螺旋’
年の瀬に…/船橋裕一郎
年の瀬に…
いかがお過ごしでしょうか? 今年も残すところ、ひと月余りとなりました。皆様におかれましては、どのような一年でしたでしょうか。私自身は、創立35周年という節目の年に代表に就任し、就任の挨拶文を先日書いたのでは…と思うほど、あっという間の一年でした。おかげさまで鼓童は、諸先輩や多くの先達の助けを得て、本年も広範な地域に赴き、多彩な活動を行うことができました。改めて感謝申し上げます。
「ワン・アース・ツアー〜螺旋」も佐渡での新作稽古期間をはさみ、後半がスタートしました。サントリーホールでの初演から約3ヶ月、内容も洗練され、一部のキャスト交代を行いながら、更に充実した舞台になるよう、頑張っております。是非、会場に足を運んで頂き、太鼓の音色を肌で感じ、来る年への活力として頂けたら幸いです。
さて、時節柄、部屋やパソコンなど色々と整理整頓をしていた折、今年のはじめに読んだエッセイを抜き書きしたメモを見つけました。
『成長するものは変化する。そして以前より複雑になる。考え方もふるまい方も、より複雑で、重層的で、こまやかで厚みのあるものになる。』
という哲学研究者で武道家でもある内田樹氏の言葉でした。それは日本への憂いからきた言葉でした。日本は逆行していると… 急激な成長や変化には畏れや歪みを伴います。それは国内外の政治や経済状況にも顕著に反映されています。
ただ、本年「混沌」や「螺旋」というツアーに参加した私にとって、この言葉は、鼓童が成長し続けようとしているグループだという実感を得る言葉となりました。成長過程ゆえの未熟さはまだまだありますが、坂東玉三郎さんから鼓童に対する未来への使命を与えて頂いた作品だと感じるとともに、お客様にはより一層楽しんで頂ける舞台、音を届けていけるよう最善を尽くしていこうと思いました。
11月鼓童村・幽玄稽古風景
来年は「打男」北米ツアー、初音ミクとの共演や「道」の再演から始まり、春になりますと玉三郎さんとの共演二作目となる「幽玄」など上半期だけでも多彩な活動を予定しております。
来年もまた良い年になりますよう、そして鼓童の音が皆様にとって心の潤い、活力源となれるよう、グループ一同、精進してまいります。
太鼓芸能集団 鼓童 代表 船橋裕一郎
【新作】坂東玉三郎×鼓童特別公演「幽玄」上演決定!!
http://www.kodo.or.jp/blog/news/20161201_11506.html「アマテラス」に続く待望の共演第二弾!
2017年5月16日(火)より…
鼓童 Kodoさんの投稿 2016年11月30日
【鼓童村より】交流公演メンバー、いってらっしゃい!
先ほど交流公演メンバー、元気に旅立っていきました。12月新潟、愛知、千葉、東京で学校公演や特別出演、WSなどを行います。
ーーーーー
2016年12月11日(日)鼓童特別編成で出演「大叢…鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日
【米・Forbesに掲載】鼓童の記事が「Forbes」に掲載されました!
【Forbes】Kodo, Japanese Taiko Drumming Company, To Tour Across United States In…
鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日
【WEB掲載】「カジスマ」に鼓童「螺旋」の紹介記事が掲載されました。坂本からの一言メッセージもあります。ぜひご覧ください!
カジスマ|たまった1年のモヤモヤもスッキリ!…
鼓童 Kodoさんの投稿 2016年12月6日
「浅野太鼓」訪問/北林玲央
「浅野太鼓」訪問
12月に入り、だんだんと冬の寒さを感じるようになってきましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか? こちら、ワン・アース・ツアー「螺旋」のメンバーは昨夜の新潟公演を終え、本日石川県への移動の道中、「浅野太鼓」の皆さんへご挨拶に伺いました。
僕は、初めての訪問でしたが、温かく迎えて頂き、特別に工場の中を見学させて頂くこともできました。改めて、動物、植物の命、そして職人さんの命のこもった太鼓を叩かせていただいていることを、実感いたしました。
僕が初めて浅野太鼓の太鼓を叩いたのは3年前の研修所に入所した時です。2尺2寸というサイズの長胴太鼓だったのですが、その時、自分の精一杯の力がはじき返され、鼓童という世界の厳しさを太鼓を通して感じたのを覚えています。
太鼓を通して人と出会い、学び、太鼓に教わり、自分の置かれている環境に感謝です。これからも命いっぱいの音が出せるよう、精進して参ります。鼓童ワン・アース・ツアー「螺旋」は、12月の25日まで続きます。太鼓の音を感じて頂けたらと思います。
【螺旋】2016年12月4日(日)14:00
石川県金沢市 石川県立音楽堂コンサートホール
http://www.kodo.or.jp/oet/20161204a_ja.html
公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a
12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html
12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html
12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
【北林玲央&大塚勇渡】ウレぴあ総研|太鼓集団「鼓童」が人を惹きつける理由とは? “イケメン若手コンビ”インタビュー&最新ライブから徹底解剖!
【TV出演】「サドテレビ」11月15日17:30〜坂本雅幸が登場します !
【サドテレビ】本日11月15日17:30〜坂本雅幸が登場します !
本日11月15日17:30からのサドテレビ「Newsアイランド」内「得する情報〜トクジョウ〜」に坂本雅幸が出演します。
まもなく開催します11/23(水・祝)「鼓童ワン・アース・ツアー2016〜螺旋」 佐渡公演の見どころご紹介のほか、坂本が鼓童に入ったきっかけや佐渡の好きなところ、ベトナム公演でのマル秘エピソードなどアットホームな雰囲気で収録されました。佐渡の皆さま、どうぞお見逃しなく !
サドテレビ
【放送時間】11月15日(火)17:30〜
(再放送20:00〜/ 22:00〜、16日(水)6:00〜 /7:00〜 /10:00〜 /12:00〜)
公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a
12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html
12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html
12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
大賀ホール/中込健太
大賀ホール
軽井沢大賀ホールで演奏しました。
ウォーミングアップ中の写真
会場は、五角形の形で響きも計算され、設計されているそうです。とても素敵なホールでした。
太鼓の響きもここちよく、軽井沢の気持ちのよい気候とともに、すっきりとした気分で叩いてきました。
本日は入間公演です。
http://www.kodo.or.jp/oet/20161101a_ja.html
公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a
12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html
12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html
12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
「螺旋を描いて進む未来」鼓童・船橋裕一郎×石塚充×坂本雅幸×住吉佑太 座談会
鼓童・船橋裕一郎×石塚充×坂本雅幸×住吉佑太 座談会
螺旋を描いて進む未来
聞き手◎伊達なつめ 写真◎岡本隆史
船橋 僕と(石塚)充の場合は、ちょうど準メンバーになった頃に、初めて玉三郎さんが佐渡にいらしたんです。
石塚 その頃はまだ、そんなすごい方がいらっしゃると聞いても、自分のことで精いっぱいで、ことの重みをよくわかっていなかったんですけど、そんな状況下で、玉三郎さんから大太鼓を打つように言われたんです。当時の鼓童では「このパートはこの人」というのがほぼ決まっていて、特に大太鼓は固定メンバーが2人いたので、若手がやるという発想自体ありませんでした。だから先輩たちの反応も「えっ、おまえなの?」という感じ。毎日全体の稽古が終わった後、玉三郎さんと先輩たちがズラーッと居並ぶ中で僕と小田洋介の2人が大太鼓の裏打ちの稽古をする、というのが一ヶ月続きました。体力的にもきついですし、まだ右も左も分からない分際で、全員の目に曝されて大太鼓を打つ毎日というのは、ほんとにもう大変でした。
船橋 苦しかったよね(笑)。
石塚 ただ、そうやって叩き込まれたせいで、鼓童の先輩に教わっただけでは気付かないことにいろいろ気付くことができて、自分の中にも何か芽生えたものがある気がしました。玉三郎さんは、それまでの鼓童ではあり得なかった身体の使い方や考え方を示されるので、僕らよりもむしろ先輩たちの間で「そんな教え方あり!?」という戸惑いが強くなり、2、3年は重苦しい状態が続いたんですけど、『アマテラス』(’06年初演)のころには、もうすっかりいい雰囲気になっていましたね。
坂本 僕は『アマテラス』の稽古時は準メンバーだったんですが、佐渡の民俗芸能「鬼太鼓」を取り入れた場面で、玉三郎さんにその踊り手をやるように言われて、ものすごく丁寧に教えていただきました。研修生の時に、研修所がある柿野浦という集落に伝わる鬼太鼓を、土地の方に教わっていたのですが、玉三郎さんは「こうした方がいい」と、どんどん動きを変えていくんです。最初は、教わったものを壊す気がして抵抗があったんですけど、言われた通りにしてみると、身体の軸がきれいに見えたり、腕の広がりを大きく見せられたりと、元々あったものを、舞台で演じるためによりよくしていただいている、ということがわかって、さすがだと思いました。あの時教わった身体の軸の保ち方は、今でも常に意識するようにしています。
住吉 僕は、玉三郎さんが鼓童の芸術監督に就任した’12年に準メンバーになったんですけど、研修生の頃から、玉三郎さんは研修所に稽古を付けに来てくださっていたんです。
船橋 その年は、たまたま作品創りに取りかかる時期に、メンバーの多くが出払っていたんですね。でも(住吉)佑太たちの年の研修生は優秀な人材が揃っていたので、玉三郎さんのおっしゃることに対応できたんです。
住吉 僕たち研修生は、最初は稽古を見学させていただくということで正座して並んで見ていたんですが、休憩時間に玉三郎さんがテクテク歩いていらして、「ちょっと見よう見まねでいいからやってみなさい」とおっしゃるので、やってみたら「ああ、意外とできるね…」と言われ、「(よっ)しゃぁ、ここでぶちかましたる!」って気合いが入りまして(笑)。実際には、ほとんどできてなかったはずなんですけど、気概を感じていただけたのかなと。
船橋 そうやって玉三郎さんは、特に若手にどんどん挑戦させていくので、先輩たちはそれを見て焦りながらも、自分の足元を見つめ直す、という感じでしたね。今から思えば、僕たちが入った頃は、鼓童には閉塞感があって、そこに外部から玉三郎さんがやって来たことで、物事が先に進み始めたんです。ただ、キャリアのある先輩たちにとっては、自分たちが築き上げてきたものを否定されたように感じたところもあると思います。僕自身は、(石塚)充やその下の世代が抜擢され活躍するのを、後ろから見ていた方なので、焦りはあったし、まあ今もあるんですけど、自分はパッと要求に応えられるタイプではないし、人とうち解けるのにも時間がかかるので、自分のペースで、一歩一歩やるしかない、と思っていました。精神的にはきつかったですけど、そのうちだんだんと、玉三郎さんに声を掛けられるようになりました。
現在も、若いメンバーの中には抜擢される者と、そうでない者がいるので、不安を抱くことはあると思います。でも、まじめに頑張っている人間のことは、玉三郎さんはちゃんと見ていて、何らかの形で、いいところを見出してくださるので、信じて努力を続けてほしいと思います。玉三郎さんのこういう指導者としての面も、とても勉強になります。
坂本 僕たちの世代以降は、わりと戸惑うこともなく、羽根を伸ばして自由にやらせてもらっていますけど、
住吉 いやぁ、『ワン・アース・ツアー~伝説』(’12)の時の逆風はすごかったですよ(笑)。
船橋 あれも大きな転換期でしたね。
住吉 終演後のアンケートが「こんなものを観に来たんじゃない!」みたいな感想ばっかりで、激しく凹みましたけど、その後アメリカでもツアーがあって、一年後にまた日本で上演した際には、ガラッと評価が変わったんですよね。
石塚 僕たちの世代は、それ以前から『アマテラス』みたいに演劇的な世界や、『打男 DADAN』のように振り切った大胆な作品で、「こんなおもしろい世界があるんだな」ということを経験してきていたんです。むしろ、けっこう長い時間をかけて、段階を踏んで変化してきた自覚があったので、『伝説』についても、別に驚かなかった。まぁ最初のうちの何年かは、ちょっと大変かもしれないけど、そのうち落ち着くだろうと、漠然と思っていましたね。
住吉 心強かったですよ。僕たちの感覚では『伝説』では、「えっ、こんなことすんの!?」って躊躇するようなこともあったんですけど、充さんは「はい、じゃ、やりましょか」って淡々とやっていた。僕たちに「玉三郎さんがおっしゃってるのはこういうことだよ」ってわかりやすく説明してくださって、いわゆる従来の鼓童的なことと、玉三郎さんのおっしゃることの中間地点にいてくださる感じで、とても有難かったです。
坂本 いわゆる「昔ながらの鼓童」が観たいという方は多いですし、その一方で新たな挑戦を評価してくださるお客様も、もちろんいらっしゃる。そして回数を重ねるごとに、だんだんと、挑戦と変化を楽しみに観に来てくださるお客様が、多くなってきていると感じます。玉三郎さん無しには不可能だったこの大変革を活かして、これからも自由に、いろいろなことに挑戦していきたいですね。
船橋 僕は、こうやって先を行ってくれるメンバーには、どんどん先に行ってほしいし、そうではない、別のおもしろい面を持っているメンバーには、その個性を活かした、別の表現を目指してほしい。将来も鼓童がそういう多様なグループとしてあり続けられるよう、その通過点の一人となることを目指したいと思います。
ー鼓童創立35周年記念コンサートパンフレットより
公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a
12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html
12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html
12月21日〜25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
知床五湖に行きました/中込健太
知床五湖に行きました
網走公演の前日、知床五湖へ行きました。
大自然のなかで、静寂が心地よかったです。
クマに出会わなくてよかった〜
螺旋・網走公演 大盛況!/吉田航大
螺旋・網走公演 大盛況!
日増しに肌寒くなり、夜長の頃となりました。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。準団員の吉田航大です。10月9日、我々ワン・アース・ツアー班は、ツアーの折り返し地点、北海道・網走市にて公演を行いました。
網走市と言えば、日本最恐の刑務所「網走監獄」で有名ですね。その他にも屯田兵上陸地など、様々な歴史の残る街です。
さて、今回我々がお世話になった「網走市民会館」。この会館は昭和43年からあり、ものすごく趣のある会館でした。(ロビーには開館当時からずっと飾ってある時計も。)
築48年、様々な音を響かせ吸収した会館だけあって、私たちの音もあたたく包み込まれるようでした。
鼓童にとって初めてのOET網走公演でした。そして今回尽力いただいたのは、「鼓童・網走公演実行委員会」の皆さんです。皆さんのお力により、チケットは完売、当日満席という演奏者としても大変嬉しい結果となりました。実行委員会約60名という本当に多くの方々に支えられて本公演を行うことが出来ました。退館後に実行委員会の皆様が開いてくださった交流会では、これまでの事、これからの事など、様々なことを語り合う良い時間となり、「演奏することだけが目的じゃない」と改めて実感できる機会になりました。
今回を糧に、残りのツアーも邁進して参ります。
公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a
「鼓童ワン・アース・ツアー2016〜螺旋」舞台レビュー
鼓童ワン・アース・ツアー2016〜螺旋
舞台レビュー
コピーライター:ND
『神秘』(13年)『永遠』(14年)『混沌』(15年)と、ここ3年のワン・アース・ツアーは”太鼓芸能集団 鼓童”の象徴である大太鼓を敢えて使わず、全ナンバーを新曲にして”新生鼓童”に生まれ変わる努力を重ねている印象が強かった。今回の『螺旋』では、まず玉三郎が関わるようになってからのレパートリー(09~13年初演)を並べて、その行程を振り返る。
出演者全員が揃って肩から担いだ桶胴太鼓を軽やかに響かせる『炯炯』(13年)に始まり、『Phobos』(09年)、『ミュート』(13年)、『草分け』(13年)と、桶胴太鼓の魅力を多角的に伝えるヴァリエーションが続く。
衣裳は白(後半は黒)のタンクトップに七分丈のレギンス。繊細で無国籍、洗練された現在の鼓童の音色を表現するためには、鉢巻きや半纏よりも相応しいコスチュームと言えるだろう。それは裸に締込(六尺褌)が定番だった『大太鼓』においても同様だ。
続いて登場したのは、ここ数年玉三郎演出作品では距離を置いていた大太鼓で、タイトルも前身の鬼太鼓座時代の75年に初演以来、鼓童の代表的な演目になっている楽曲と同じ。が、中身は完全に刷新された16年ヴァージョンで、屋台も提灯もなければ、笛や鳴り物も伴わない。代わって、ティンパニとグランカッサという西洋楽器の大太鼓が両脇を固め、森羅万象を想起させるような、深く、強く、ドラマティックな音色を、観客の臓腑にしみ渡らせる。
続く『モノクローム』(77年)も初期の代表作だけれど、これは現代音楽の作曲家石井眞木が、高音で乾いた音色の締太鼓の特性を解析し、構築した名曲。和太鼓の素朴さや荒々しさと対極にあるという点では、現在の新生鼓童の方向性にすんなり馴染むものだ。
そして今回は休憩を挟んで、同じ七台の締太鼓による『Color』(09年)が演奏される。撥を置き、太鼓の皮に爪を立てたり、こすったり、鈴の塊を投げつけたり、お互い顔を見合わせて唸ったり、ため息をついたり……。自由でコミカルなこの曲が、緊迫感漂う『モノクローム』のパロディであることが明快になる構成になっている。
旋回する女性パフォーマーのロングスカートと歌声が美しい『明けの明星』(12年)や、篠笛のメロディーが郷愁を誘う『夕闇』(13年)、数種類の撥を使い分け桶胴太鼓の音の表情をシャープかつ豊かに表現する新曲『綾織』を経て、最後にいよいよ表題曲の『螺旋』。
平胴、長胴、桶胴、ティンパニなど、大きさもルーツもさまざまに組み合わされた太鼓のセットが、要のソリストを囲むように配置され、八人の奏者による複雑かつ緻密、変化に富んだ打法が展開される。作曲には、今年舞台デビューした新人、若手、中心メンバーと、キャリア的に三世代にわたる演者が関わっており、文字通り螺旋を描くように順に演奏されるフレーズの中には、『屋台囃子』(73年)、『三宅』(82年)、『巴』(03年)といった、鼓童の各時代を象徴する楽曲が散りばめられているとのこと。
フレッシュな息吹を絶やさず育てる姿勢を改めて印象づけるとともに、過去を凌駕する解釈と表現によって35年間の歴史をしっかと受け止め、未来へ進む方向性を明確に呈示していた。「太鼓芸能を芸術に高める」と宣言して始まった玉三郎による新生鼓童の理想が、見事に具現化した瞬間に立ち会えた気分だ。
公演紹介
http://www.kodo.or.jp/news/20160900oet_ja.html
全国ツアースケジュール
http://www.kodo.or.jp/oet/index_ja.html#schedule26a
12月14日(水)福岡公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161214a_ja.html
12月17日、18日 大阪公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161217-18a_ja.html
12月21日~25日 東京・文京公演
http://www.kodo.or.jp/oet/20161221-25a_ja.html
実りの秋/船橋裕一郎
実りの秋
いかがお過ごしでしょうか? 佐渡の田んぼも稲刈りがほぼ終わり、はざに稲が干されております。まもなくすると新米を食べることができますが、自分の住まいとする地のお米を食せることは、とても贅沢なことであり、なによりも佐渡のお米は本当に美味しいのです!
さて、螺旋ツアー班、交流公演班はツアー真只中でございます。各地での熱演をどうぞ会場にて体感していただければと思います。若いメンバーの多い両ツアーですが、日々舞台を良くしようと頑張っている姿がとてもまぶしく、さらに逞しくなって佐渡に戻ってきてくれることと思っております。
そのような中、私は佐渡と各地を行ったり来たりしております。先日、小編成にて鼓童としては16年振りの韓国に行ってまいりました。2泊3日という強行スケジュールではありましたが、「日韓交流おまつり」というイベントで金徳洙さんやサムルノリの皆様との久々の再会と共演をしました。日韓から多くのアーティストが参加され多くの刺激を受けたとともに、最後は会場全体がひとつとなり大変に盛り上がりました。
また、この後には鼓童49カ国目となるベトナムでの公演も予定されています。この夏、ECにて共演したベトナムのバックハー、2月に訪問した際にお会いした皆様との再会と共演、現地でのミュージックフェスティバルへの参加も予定されております。
昨年のEC後にインドネシア、バリ島に訪問したように、出会った方々の本拠地を訪ねることはお互いの歴史や背景を深く知ることができ、相互理解をさらに深めることができます。数年後のECでは数カ国からのゲストをお呼びできるかもしれません。
昨年の香港、今年始めのブラジルなど、近年、欧州や北米以外の国や地域にでかける機会が増えております。鼓童の活動範囲や内容がさらに広がりをもち、個人やグループの幅や奥行きにつながってさらに面白い音楽や表現が生まれてくればと思います。
本日横手公演!/内田依利
本日横手公演!
東北は秋田県横手市にやってきました。一気に空気も涼しくなって秋の匂い。
昨日はみんな横手B級グルメの焼きそばでパワーを蓄えて、公演に臨みます。
入り口ではこんな手作りの可愛らしい太鼓や、大きなポスターが迎えてくれています。
久しぶりの清々しい天気の日、ドライブがてら横手までゴー!
鼓童ワン・アース・ツアー2016〜螺旋、横手公演
2016年10月1日(土)17:30開演
秋田県横手市 横手市民会館
http://www.kodo.or.jp/oet/20161001a_ja.html
[内田依利]本日横手公演!
【ブログ】http://www.kodo.or.jp/blog/staff/20161001_11044.html
東北は秋田県横手市にやってきました。一気に空気も涼しくなって秋の匂い。昨日はみんな横手B級グ…
鼓童 Kodoさんの投稿 2016年9月30日