住吉佑太弱冠26歳、念願の演出家デビュー!/演出・住吉佑太インタビュー

聞き手:伊達なつめ(演劇ジャーナリスト)

曲をつくる際、玉三郎さんは、まず景色が浮かび、そこに音をつけていくそうです。僕は、最初に音が出てきて、後からストーリーと景色をつけていくやり方をします。ストーリーを先行させると、どうも僕の場合は、自分の中にある価値観以上のものが出てこないんです。逆に音を先行させると、本能的に湧き上がってきたものや、もっと大きな何かから出てきたものを、自分を通して音にしているような感覚が得られます。ただ、そうするとストーリーが後付けになるので、全体の流れがつくりにくい、という欠点があります。両方のバランスが取れると、いいんでしょうね。

もともと、曲作りだけでなく、何かを創り出すこと自体が好きなので、その最たるものである「演出」を、いつかはやってみたいと思っていました。今回初めて挑戦してみて、始めのうちは楽しかったんですが、さまざまな決断を下す段階になると葛藤の連続で、こんなにきついものだとは思いませんでした。

今までは自分でやりたいように曲をつくり、「どうぞ」と渡したら、あとは演出家が直してくれていましたけど、今回は曲もほとんど自分でつくり、直すのも自分でやらなければならないですからね。出演するメンバー各自の個性を活かしながら、曲ごとにどう並べ変えてゆくか。舞台上にどういう景色を出現させるか。そして、そこにどんな音をあてていくか。この「人」「景色」「音」の三角形が、演出には非常に大事であるということを、いま痛感し、学んでいるところです。

 

Photos: Takashi Okamoto

 


住吉佑太(鼓童)

演出:住吉佑太

Yuta Sumiyoshi

小学校2年生より和太鼓を始める。2010年研修所入所、2013年よりメンバー、「大太鼓」やソリストに抜擢される。舞台では主に、太鼓、笛、「混沌」公演ではドラムを担当。軽やかなバチ捌きを得意とし、また「草分け」「結」「炯炯」「綾織」など舞台の要となる数々の楽曲を生み出す、鼓童のサウンドメーカー。
2017年、「打男」北米・国内ツアー参加。「坂東玉三郎がいざなう鼓童の世界」、「幽玄」で坂東玉三郎氏と共演。
2018年「Evolution」ヨーロッパツアー参加、「巡 -MEGURU-」で初演出を務める。

鼓童サイト|住吉佑太プロフィール
https://www.kodo.or.jp/about/member/yutasumiyoshi