鼓童ブログ Kodo Blog

若い鼓童が目ざす原点/「若い夏」美術・挾土秀平


4年目を迎える浅草公演。今回は前田剛史の演出でお届けいたします。公演の題字は左官職人として個人住宅や伝統的な土蔵や茶室、近代建築まで伝統の技術に基づいた独自の世界の塗り壁づくりで幅広い活動を展開している挾土秀平氏によるもの。今回、美術もご担当いただく挾土氏と鼓童の若いエネルギーのぶつかり合いで、鼓童の新たな作品が生まれます。

挾土氏より「若い夏」に向けたコメントをいただきましたので、ご紹介いたします。

若い鼓童が目ざす原点

寄稿・挾土秀平 (美術・題字)

太鼓芸能集団鼓童の一糸乱れぬ演奏は、以前から知っていた。その音は、連綿と続いてきた風土と、素朴な強さ、懐かしさと哀愁を想わせ、何より感じるのは、我々は日本である、日本人なんだという、原点の血が呼び覚まされるような。その呼び覚まされたものは、誇り高い独自性を感じさせたり、なぜか、自然な涙が溢れてくる。

あの飾りなく無心に太鼓を打つ姿、限界まで打ち続ける姿は、やがて人を超えて自然の化身を見るような世界に私達を引き込んでゆく、まさに、これこそが鼓童でしか味わえない魅力だと思っている。

昨年、そんなひとりの若い鼓童の演奏者が、自分の元(飛騨)にやって来た。若い演奏者は、特に何かを聞くふうなこともなかったが、内に秘めた強い眼をして是非また立ち寄らせて下さいと言って佐渡へ戻って行った。

それから一ヶ月程が経って、再び八人の若い鼓童がやって来た。

CIMG7774-f-4c

その日は、土のこと、自然のこと 自然から受けとったデザインのこと、伝統と自分をどの様に考えて今に至っているかを話したり、飛騨の原風景を見せて歩いた。皆は、一様に寡黙で礼儀正しく話を聞いていた。

その夜、寡黙だった若い鼓童達が私に向かって堰を切ったように話し出した。

自分がなぜ鼓童が好きなのか
自分達から伝わる太鼓の魅力とは何か
自分がやりたい鼓童への想い

そのうちに話は、この七月の公演「若い夏」に向けて自分達はどうするのか? という骨子の話に変わっていった。

自分達はどうするのか

それぞれの想いは深夜まで続き、皆が一致した結果は、やはり鼓童はひたすら無心に太鼓を打つ姿を見てもらうことにあり、それにはまず自分達が太鼓を打つ幸せ感をもう一度考え、佐渡の風土をあらためて感じ、鼓童が歩んできた歴史を知り、その濃密な姿を伝えることを第一義とすることで、その中に盛り込む、新しいチャレンジの余白が生まれ、受け入れられてゆくのではないだろうか。つまり原点に帰りながら新しい独自性を生み出してゆきたいというものだった。

そして私に今回の浅草公会堂における「若い夏」公演の一部を一緒に考え、その舞台の背景を手がけて欲しいと言うのだった。どこまで手伝えるかわからないが自分にとっても新しいチャレンジが始まることとなった。

CIMG7826-4c-s

挾土秀平(はさど・しゅうへい)
職人社秀平組を主宰。近代的な建設物や個人住宅の壁塗り、土蔵や茶室。独自の塗り壁作りは、モダンかつ斬新で、他に類がない。その他、自由な発想から新しい空間や作品、デザイン、著作など多数。2016年、NHK大河ドラマ「真田丸」の題字を担当。


▼【残席わずか】鼓童浅草特別公演「若い夏」チケット好評発売中!
news20160701wakainatsu鼓童浅草特別公演「若い夏」
2016年7月1日(金)〜3日(日)東京都台東区 台東区立 浅草公会堂
http://www.kodo.or.jp/news/20160701asakusa_ja.html

【問】チケットスペース Tel. 03-3234-9999
(月〜土、10:00〜12:00、13:00〜18:00)

アーカイブ

カテゴリー

Top