鼓童ブログ Kodo Blog

息づく思い/船橋裕一郎


息づく思い

鼓童村の中庭

いかがお過ごしでしょうか。2ヶ月におよぶツアーを終え、今月はサントリーホール、ECと続きます。

さて、鼓童にとっても大きな存在であった冨田勲氏、永六輔氏のお二方がお亡くなりになりました。私自身は、お二方との接点はごく僅かでしたが、鼓童グループに与えて頂いたもの、精神は計り知れず、それらは今後もグループのなかで息づいていくものだと思っております。

冨田さんとの集合写真(2008年鼓童村稽古期間に撮影)

冨田さんとの集合写真(2008年鼓童村稽古期間に撮影)

数年前、小さな会場での公演の際、幕があがると最前列にニコニコと笑顔で座っておられたのが、冨田勲さんでした。公演後、気さくにお話をして頂き、鼓童村でのレコーディングの思い出を楽しそうに語られていました。また、1945年の三河地震で被災され、戦時統制の最中で救援もほぼなく、その後も広く報道されなかったことなど、とどまることなくお話されていたことを思い出します。昨年末、佐渡の鼓童村滞在中に出来た『宇宙の歌』をこの夏に再演することが決まった際には、大変喜んで下さり、前回からの改善点までご指示くださいました。音を通してその思いや音楽性の素晴らしさを再認識しております。

永六輔さん(2003年鼓童村にて)Photo: Buntaro Tanaka

永六輔さん(2003年鼓童村にて)

私が研修生時代に『鼓童で遊ぼう』というタイトルの公演で司会をして頂いたのが永六輔さんでした。リハーサルもそこそこに研修生をも舞台に上げ、鼓童のメンバーも名だたるゲストの皆様も慌ただしく舞台を駆け回り、最終的には客席も巻き込んでそれは楽しい舞台を作り上げてくださったことを覚えています。佐渡にも我々の公演会場にも常に足を運んで下さいました。旅をしていると、鼓童にいなければ決して足を運ばなかったであろうと思う土地に赴きますが、その土地に行って初めて分かる事が多くあると感じます。それは電波の届くところへ赴き、そのことを東京のラジオで伝えなさいという宮本常一先生のお言葉を実践され、その事を私達へ伝えてくださった証しだと思い、ツアーへの思いを改めて思い返しております。

お二方に共通して感じるのは、自分で見て触れたものを信じるという強い信念と、社会に対しては鋭く、人に対しては深い愛情に満ちた眼差しでした。

最後に永さんから鼓童に頂いたお手紙を紹介させて頂きます。

tegami

君達の【太鼓】はそこにあるだけで充分に鑑賞に耐える工藝品であり、美術品なのだ。
だから、君達もそこにいるだけで【存在感を示せる人間】であってほしい。
その上で太鼓と向き合うと君達は中途半端な人間であるよりは純粋に”童”であることに
徹することでしか、対応出来ないことに気づく、その時君達は鼓童なのだ。

永六輔

心よりご冥福をお祈り申し上げます。
合掌

yuichirofunabashi_s

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