曲作りで大切にしていること/住吉佑太
今日は、埼玉県さいたま市でのOFFです。休みの日は皆、それぞれがそれぞれの生活を送っています。僕はといえば、朝方少し走って、今はコインランドリーで乾燥機を眺めています。こうしてボーっとする時間も、どうしてもバタバタしてしまうツアーの中では、意外にも貴重な時間だったりします。こういう時間に、新しい曲のアイディアが生まれたりするのは珍しくありません。
ということで、僕が曲を作る上で一番大切にしていることを、今日は少しお話します。
僕が作曲するとき、一番大事にしていることは、聴いている人、観ている人に、ここでゾクッとしてもらいたい!という瞬間を、必ず意識して作ることです。「ゾクッとする」という表現が、一番的確かどうかは分かりませんが、なんとなく感じを汲み取って頂ければと思います。(笑)
このゾクッとするという感覚、人それぞれ、好みや文化の違いはあれど全人類、共通の感覚だと思うんです。
世界中、ここには書ききれないほどの音楽が点在する中で、いい音楽というのは、必ずどこかでゾクッとする瞬間があります。そこには様々な要因があると思います。その楽器の特性、その瞬間までの展開、フレージングなどなど。もしくは、その演奏者個人のもつ魅力も関係してくるかと思います。
その音楽的な要因や、その背景にある文化を勉強することも、曲を作る上で、とても大切だと思っています。そして、自分自身の持つ感性を通して、新しい曲として再創造する。
ワールドミュージックへの憧れみたいなのがあって、どうしても日本の音楽や、そのカッコよさは見落としがちだと言われます。かと言って、「日本はこうだから」と固執していては、いつまで経っても新しいものはできないとも思います。
僕としては、小さいときから続けてきた太鼓が、今の自分にとって何かを表現するのに一番適している楽器だと思っています。
だから、太鼓の曲を書く。
これがもし、幼い頃、手に取ったのがギターだったら、ピアノだったら、何か他の楽器だったら、きっとその楽器で何かを表現していると思うんです。
「太鼓ってこうなんです!こうじゃなきゃダメなんです!」という考えではなくて、「自分ってこうなんです!こういう世界観です!今、感じているものを伝えたいんです!」ということを、太鼓で表現したい。
だから常に新しい曲のことを考えていたい。今しか書けないものもたくさんあると思うんです。
でもせっかくなら、日本にしかない伝統、文化、音楽、フレージング、そしてそのカッコよさを取り入れたりしながら、自分たちのアイデンティティーとして、曲を書き続けていきたいと思っています。そして、TAIKOがワールドミュージックと肩を並べて、全人類にゾクッとする瞬間が共有されて、世界の音楽、地球の音楽になるまで、これからもたくさんの音楽を発信していきたいと思います。
構想が大きすぎて、「いつも自分って何がしたいんだっけ?」ってなります(笑)。でもまず目の前のことから。少しずつ少しずつ、いろんなことを学びながら、日々創作活動に励みます。
今、国内ツアーをまわっている「神秘」。この中にも僕の書いた曲が4曲ほどございます! ぜひ劇場で、ゾクッとする瞬間を感じて頂ければと思います。