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鼓童研修生の秋 〜夢の舞台に立つために/見留知弘


みなさまこんにちは。太鼓芸能集団鼓童代表の見留知弘です。

10月に入り、涼しさから寒さに移りゆく季節となってきました。

「鼓童ワン・アース・ツアー〜神秘」と、「交流学校公演」ツアーは、ただ今国内を巡っており、みなさまの中には既にご覧頂けた方も、これからという方もいらっしゃるかと思います。私はと申しますと、10月2日から宿根木公会堂で開催されます「鼓童佐渡特別公演2014・秋」に出演いたします。こちらへのご来場もお待ちしております。

さて今月は、鼓童文化財団研修所の鼓童メンバー養成コースで学ぶ研修生の様子をお話しさせて頂きたいと思います。

Photo: Taro Nishita

鼓童の舞台メンバーになるためには、鼓童文化財団研修所で2年間の研修を修了し(2年次進級のための選考もあります)、選考を経なければなりません。選考された研修生は「準メンバー」となり、約一年間、公演や様々な現場での経験を積み、再度選考を経て、正式なメンバーとして採用されます。

研修所では、夏季は5時、冬季は5時30分に起床し、掃除、体操、トレーニング。食事の後は、楽器準備やウォームアップをして午前稽古。昼食を挟んで午後の稽古、夕飯後は各自あるいは揃っての稽古を行ない、夏季は10時まで、冬季は10時30分までに就寝するというのが、普段のスケジュールです。時には、約40キロ程離れた鼓童村での稽古や作業などがあり、その時は食事時間を節約するためにお弁当を準備して移動したりしています。

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また研修所では、一つの目標に向かって集中する時期に携帯電話等の電子機器の必要はないと考えています。人と人とのコミュニケーションであったり、伝えるという根本的な事をメール、インターネットに頼らずに行うという点では、舞台にも通ずる所があり、それ故に研修所への電子機器の持ち込みは制限されています。研修所では休みの日以外は、本当に時間に追われるような感じで一日が終わってしまいますので、携帯電話やパソコンを手放せない生活にいた人も、次第にそれがなくても問題がなく過ごせるようになります。

研修所

4月に入所した1年生は現在、半年が経過したところで、生活にも慣れ、研修生らしくなってきました。彼らは現在、鼓童の代表演目である「屋台囃子」や「三宅」を、曲の形として完成させながら、基本稽古を同時にし、体力と技術と精神力を鍛えている途中です。

研修所

基本稽古は繰り返しで、彼らには面白くないかもしれませんが、自分の土台を作るための大事な稽古と時間です。技術というのは、その土台がしっかりしていなければ、その上に乗せたとしても、脆く崩れ去ってしまいます。

例えば「屋台囃子」では長い時間を打ち続ける稽古をするのですが、打ち続ける体力がなければ、曲を通す時には最後まで叩ききれず、リズムがズレたり音が弱くなったり、曲の完成度が大変低くなってしまいます。

Photo: Erika Ueda

彼らにとっては今、体力を付ける稽古が重要で、曲を覚える事と基本稽古を反復しながら体を強くしています。しっかり稽古を重ねれば、技術は後からついてくるのです。

一方、2年生は体力的にしっかりしてきているので、今度は技術を伸ばし、一人一人の頑張りだけではなく、アンサンブルとして一つの大きな力を発揮するための稽古を行います。強弱や抑揚、ニュアンスなども時間をかけて細かく指導、一人一人に技術が身に付いて初めて、良いアンサンブルが生まれるのです。

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2年生に残された研修期間は、あと3ヶ月しかありません。
12月の最終発表会に向けて、稽古に集中して仕上げたい所ですが、秋には色々なイベント、お米や柿の収穫作業等もあり、一日一日が今まで以上に大切になります。目標である舞台メンバーを目指すためにも、悔いが残らないよう、一丸となって頑張ってほしいところです。

また、1年生も同じ時期に2年生に進級するための選考がありますので、これからの3ヶ月間は同じような緊張感を持って過ごすことになります。

月並な言葉でありますが、「心・技・体」を鍛える事はそう簡単ではありません。研修所に入った頃を振り返って初心に戻り、自分が舞台に立つ姿を想像して、頑張って欲しいと思います。

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一次募集:2014年10月1日(水)~11月18日(火)必着

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