鼓童ワン・アース・ツアー「混沌」に寄せて/本間教子
鼓童ワン・アース・ツアー「混沌」
文●本間教子 写真●岡本隆史
かつて東京でホールやライブハウスをめぐる日々を過ごした時期があった。ステージで炸裂するのは、まぎれもないロック。ギター、ベース、そしてドラム。3つの楽器とボーカルで構成する何組ものバンドと向き合った。バンドはドラマーとベーシストによるリズム隊が基本、ドラムがブレると正確なリズムを刻めない。リズムをとらえようと目を閉じると、浮かんでくるのは何故か「鬼太鼓」だった。佐渡の郷土芸能との不思議な既視感。
鼓童「混沌」の舞台にその答えを見つけた。
ステージには3組のドラムセット。三者三様のドラミングに鳥肌が立つ。渾身の一打が心に響く、打つという行為の普遍性。地球に誕生した音に変わりがないということ。それは今回登場したフルートやティンパニ、揚琴などほかの楽器にも言えることだった。その人でなければ出せない音、この瞬間にしか出会えない音。それが外部の演奏家とのコラボではなく、鼓童のプレイヤーによって届けられたことの意味。客席も共鳴の拍手で応えた。
見えない壁をひらりと超えて、「音」を楽しませた。打楽器を基本として、弦楽器あり、管楽器あり、ボーカルあり、手作り楽器あり、なんでもあり!
鼓童という究極の「バンド」が魅せてくれる可能性にわくわくする。
本間教子氏/鼓童の前身「佐渡の國鬼太鼓座」創設当時より長年にわたり鼓童をご指導くださった本間雅彦先生のお嬢様。11/23 佐渡公演にご来場。
全国11都市で公演!