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世界の劇場/小見麻梨子
世界の劇場
2ヶ月に及ぶヨーロッパ「神秘」ツアーも終盤を迎えております。今回も様々な素晴らしい劇場、コンサートホールでの演奏をさせていただいています。
街にある劇場は社交場としての目的も含まれ、それぞれの歴史や特徴を表している様に感じます。入った瞬間に感嘆のため息が出るような空間に出会う事もありました。
今回のそんなツアーで出会った劇場・コンサートホールを幾つかご紹介します!
こちらはレンガ造りの倉庫の様な雰囲気。 イギリス・ケンブリッジ「Corn Exchange」。名前の通り、以前は穀物の取引所だった建物で現在は劇場として使われています。学生の街ということで若いスタッフさんも多く、ロビーには数多くの催しもののポスターが飾られていて活発に利用されている様子が分かりました。
音楽の都 ウィーン、100年以上の歴史がある「Wiener Konzerthaus」。白と金色の装飾が上品で美しく、天井には豪華なシャンデリアか飾られていて、華やかな街の雰囲気にぴったりのホールでした。
こちらはスイス・ルツェルン「KKL Lucerne」、電動式の反響板とカーテンで音響具合を調節出来ます。5階まである整然と並んだ客席と高ーい天井が印象的でした。
またこのホールはロビーも見所。旧市街の美しい街並みをそのまま絵画に見立てた様な窓は街への愛情を感じます。他の窓からはスイスの山々を切り取ったものもありました。
こちらはドイツ・ベルリン「Berliner Philharmonie」。ベルリンフィルハーモニー管弦楽団を擁するこちらのホールは建物が五角形の形で舞台を客席が360度取り囲みます。葡萄畑、とも言われているそう。このツアー初めての後ろにお客様がいる状況での本番でした。ホールスタッフさんが皆さんテキパキと私たちの搬入搬出を手伝ってくださったのも印象的でした。
ドイツ・ミュンヘン「Philharmonie am Gasteig」、鼓童演奏者にとっては舞台前の形が左右非対称という事で有名です。「真っ直ぐ立っている筈なのに正面を向いていない」現象が起きるホールとして恐れられている一面もあります。
そしてこちらはデンマーク・コペンハーゲン「Royal Danish Academy of Music」。客席は革張りで、一つ一つの席がそれぞれ違った経年変化での色合いを感じさせます。スズランの花のような客席のランプや美しい曲線の手すり、寄せ木の床面などデザインの国という事でシンプルながらも細部までのこだわりを感じる劇場でした。
「神秘」はこうした劇場の状況やお客様を迎えて毎晩違った作品に生まれ変わっています。普段はオーケストラが響き渡るホールで、いつもはギターが鳴らされるステージで、太鼓を打つ・踊りを踊る・蛇が出てくる。そう考えると思いもよらない化学変化が起きているのかもしれない…とも感じます。
音に関しても一言で音が良いと言っても、どういう感覚を持って「音響が良い」と感じるのか。各設計の方々が頭をひねって作りだす音響設計というものも改めて興味を持ちました。
素晴らしい劇場との出会いに感謝し、旅は続きます。
2016年1月〜3月「鼓童ワン・アース・ツアー2016〜神秘」
(ヨーロッパ)
http://www.kodo.or.jp/news/20160130oet_ja.html