そんな体験をしてもらいたくて…/花岡哲海
交流学校公演
交流学校公演の「踊りのてっちゃん」こと、花岡哲海です。長野県は松本市の全ての小学校を回り、小公演などを経て6月の交流公演は無事に終了しました。
交流公演では、子どもたちが体育館へ入場する時、メンバーみんなでお出迎えをします。体育館の扉が開くと子どもたちの列が待っているのですが、子どもたちは一瞬、まず驚きます。それもそのはず、パッチ・腹掛け・足袋・ハチマキ、半被を着たお兄さんお姉さんが目の前にいて、その奥には見た事もないような種類の太鼓が、整然と並べられています。いつも自分たちが使っている体育館のはずなのに、そこには普段は目にする事のない、非日常の世界が広がっているのです。
何が始まるんだろうというドキドキと、何が見れるんだろうというワクワクした想いが溢れる子どもたちの表情を見ていると、僕はどうしても、自分の地元の祭りの日を思い出します。
普段、何気なく通る神社には提灯が並び、町内の駐車場の広場は神輿が納まる神酒所になり、町には祭り囃子が流れ、各町会の半纏を着た大人たちが通りを闊歩します。いつも生活していた空間が、年に一度だけ特別な空間になる「祭り」の日というのは、子ども心にドキドキ・ワクワクが鮮明に記憶されます。でも、細かい事を覚えているわけではなく、夜の大人の提灯神輿がよかったなーとか、とにかく神輿の掛け声や囃しがすごかったなーとか、実は、ちゃんと覚えているわけではありません。しかし、漠然とした感覚だけど、なぜか頭から離れない、忘れる事のない、何度も思い出す「モノ」が記憶に刻まれていました。
なにかすごかった。よく分かんないけど楽しかった。それはやっぱり、非日常の世界を感覚だけで感じることができて、理屈ぬきで楽しいと思える時間や空間だったからだと思います。僕は同じような体験を、この交流公演を通して、子どもたちにしてもらいたんです。
帰宅した子どもたちが家族に…
「ねー!ねー!今日、太鼓の人たちが学校に来たんだよ!」
支離滅裂で良いんです、ちゃんと説明できなくてもいいんです。
その子にとって、鮮烈で、感動で、楽しくて、面白かったという思い出が残ってくれさえすれば。
さて、まだまだ交流公演は折り返し地点、7月も全力疾走で頑張ってまいります。またどこかの町で、みなさんとお会いできる日を楽しみにしております!
2015年6月27日(土)岡山県津山市「鼓童交流公演」
http://www.kodo.or.jp/news/20150627koryu_ja.html
2015年7月20日(月)新潟県柏崎市「はじめてのKODO」小編成公演
http://www.kodo.or.jp/news/20150720hajimete_ja.html