僕が鼓童の研修所に入所してから今までの20年間、たくさんの貴重な体験や出会いがありました。その中で、この後も意識的に心にとめておこうと思うものがあります。それは、「不自由なところに身を置く」と言う2007年の「蓬莱貴譚」公演の際に、狂言師の小笠原匡先生がおっしゃった言葉です。これは、僕がプロとして舞台に立って表現する上でとても重要な事だと思い大切にしてきたものです。
この「不自由なところに身を置く」と言う事は、舞台だけでなく僕の人生においても心掛けておく事だと思っています。不自由なところにいる事で、その時の自分をより正確に認識する事ができますし、自分にとって全く新しいものが見えてくるからです。
来年40歳になります。吸収力は低下気味ですが、頑張ってより多くのものを吸収して生きて行きたいと思います。僕自身、鼓童のメンバーではない自分を見られるのが楽しみでもあります。
最後に、在籍中にお世話になった全ての方々、そして公演に足を運んで下さったファンの皆様、応援して下さった皆様に感謝申し上げます。本当に有難うございました。
またどこかでお会いできる日を楽しみにしています。
辻 勝
2015年12月10日
